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■夏の日の想い出・振袖の勧め(10)

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「蘭子、いやに詳しいね」
と小風。
「うん。私、ローズ+リリーのケイの友だちだから」
と私が言うと、会場内に苦笑が漏れている。
 
「だけどこの振袖着るのって毎回大変だよねー」
「うん。30分くらいかかるもんね」
「私トイレ近いから、ぎりぎりまで待ってもらってトイレに念のため3回行ってから着付けしてもらった」
「3回続けて行っても意味無いのでは?」
「気持ちの問題よ」
 
「蘭子は私たちが着付けしてもらっている時、まだ来てなかったけど、何とか間に合ったね」
「ごめんねー。遅刻して。私の着付け師さん、肌襦袢・長襦袢・振袖を同時に着付けしてくれたから5分で着られたよ」
と私。
 
また会場内に苦笑が漏れている。実は私が着ている振袖のみが、松野・竹下ペアが着ていたのと同様のワンタッチで着られる振袖なのである。但し帯のみは本当に締めている。
 
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私たちがおしゃべりしている間に後ろではスターキッズの使用楽器はそのままにしておいて、トラベリング・ベルズ用の楽器をセッティングしている。但しここで使用する楽器はサマーガールズ出版の備品で、トラベリング・ベルズが普段使用している楽器ではない。楽器を東京から安中市まで運ぶ手間を考えて別途用意したものを使ってもらうことにした。
 
結構な時間おしゃべりした上で、トラベリング・ベルズの伴奏に合わせて2曲歌った。
 
この真冬の会場にぴったりの曲『雪うさぎたち』と『皿飛ぶ夕暮れ時』である。
 
私たちが『皿飛ぶ夕暮れ時』を歌っていたら、さっきゲストコーナーで歌ったばかりのスリファーズの3人がテーブルを抱えてステージ中央、私たちが歌っている前に置く。そして楽曲の最後の和音を伸ばしている最中、40 minutesのユニフォーム姿の千里(但し厚手のタイツなどを穿いている)が舞台上手に姿を現し、焼きそばの載った皿を投げた。
 
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皿は山なりの放物線を描いて、テーブルの中央にピタリと静止する。
 
この様子は場内各地に設置されたビッグモニターでもきれいに映し出され、このパフォーマンスを初めて見た人たちからどよめきが起き、続いて大きな拍手が贈られた。
 
歌い終わった美空がその焼きそばの皿を手に持つと振袖の袖の中に入れていた輪島塗の箸を取り出して一口食べ「美味しい〜」と言ったところで、笑い声とまた拍手があった。
 

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「KARIONのみなさん、ありがとうございました。焼きそば投げのパフォーマンスをしてくださった村山選手もありがとうございました」
と振袖姿の川崎ゆりこが言って、私たちは上手に下がる。千里も観客に手を振って舞台袖に姿を消す。
 
「それではこれよりライブは後半になります。Here comes Rose plus Lily again!」
 
と川崎ゆりこが言うと、まずはスターキッズの七星さんを除く4人が羽織袴姿で舞台下手から出て来て各々の位置に就く。拍手と歓声が沸き起こる。スタッフがケーブルをつなぎ直すのを待ってスターキッズが『Spell on You』の前奏を演奏し始める。
 
そこに赤と白のサンタガールのような衣装を着けたふたりが走り込んで来て、「あなたはいつも私を無視して」「靴箱のラブレターも開けてくれないし」と『Spell on You』の冒頭を歌い出すので、観客は歓声をあげ拍手を始めるものの、歌っているふたりの顔がハッキリ見える前の方にいる観客が最初にためらいの表情を見せる。
 
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そして歌っている声がケイとマリの声ではないことに気づいた他の観客たちも同様の表情を見せ、観客は拍手はしてくれているものの、ざわめきが広がっていく。
 
やがて場内モニターがステージ遠景を映していたのが、ボーカルの2人にズームアップし、それがマリとケイではないことが多くの観客に認識される。
 
ふたりは最後まで『Spell on You』を歌いきった。
 
一応拍手がなされるものの、そこに本物の私とマリが彼女たちと同じ衣装を着て舞台下手から出てくる。
 

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歌っていた2人は拍手に対して
「手拍子ありがとう!」
「後半も頑張って行こう!」
などと言っている。
 
私は持っていたハンドマイクで言う。
 
「ちょっとちょっと、君たちは誰?」
 
「私たちはゴールデンシックスだ。私がリーダーのカノンだ」
「私はサブリーダーのリノンだ」
 
この演出を昨年春のツアーでも見ていた人を中心に笑い声が起きたようである。
 
「ゴールデンシックスって、2人しか居ないじゃん」
と私がお約束のセリフを言うと、今日は
 
「今あと4人来るんだ」
とカノンが言い、実際、4人の女性が上手から出てきて、近藤さん・鷹野さん・月丘さん・酒向さんの隣に行く。4人は羽織袴姿である。4人はさっきトラベリングベルズが使用した備品の楽器をあるいは手に持ち、あるいは演奏席に座った。ギター・ベース・キーボード・ドラムスが各々2人並ぶ形になる。
 
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「私たちはローズ+リリーに挑戦するぞ」
とカノンが言う。
 
「何挑戦するのさ?」
と私は答える。
 
「カラオケ対決して私たちが勝ったら、この後のコンサートは私たちが主役だ。カウントダウンも私たちがするぞ」
「ほほぉ。何で戦うのさ?」
「AYAちゃんの『変奏曲』でどうだ?」
「いいよ」
 
それで唐突に得点板が出てくる。この得点板が会場各所のモニターにも映し出される。カラオケの音楽が流れる。それでカノンが『変奏曲』を全曲歌う。
 
カノンはひじょうにうまかった。加藤課長から「本気で行け」と言われて、マジでかなり練習したのだろう。
 
98点という採点表示が出て会場がどよめく。
 
カノンは
「勝ったかな。ちゃんと1時間演奏する分の楽曲も用意しておいたから」
などと言う。
 
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「大丈夫。私が100点取るから」
と言って、私はカラオケにあわせて歌い出す。私はふだんの自分の歌い方ではなく、楽譜に正確に音程とリズムをいっさい乱さないようにして歌った。
 
100点の表示が出る。
 
思わず会場全体から拍手が起きた。
 
「くっそー。負けた! また挑戦するぞ」
「まあ、頑張ってね。でもせっかく出てきたから、2曲くらいは歌ってもいいよ」
「そうか?だったら2曲だけ歌わせてもらおう」
 
それで近藤・鷹野・酒向・月丘の4人がいったん退場する。私とマリもいったん下手に下がり、もう少し休憩させてもらう。
 

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「とりあえず今日のメンバーを紹介しておく」
とカノンが言う。
 
「ギター、ビャク、別名葵照子でゴールデンシックスの作詞担当である。副業でお医者さんをしているようだ」
拍手がある。
「ベース、美空金剛Z様、KARIONというユニットの食事係らしい」
笑い声と拍手がある。
「ドラムス、キョウ。大学院を1年余分にやったが、何とか就職が決まったらしい」
と紹介すると「おめでとう!」という声がかかり、キョウは手を振っていた。
 
「キーボード、タイモ。別名醍醐春海、ゴールデンシックスの作曲担当で副業はバスケット選手。でもなんか君、さっきから何度もステージに出てないか?」
と言うと笑い声が起きた。
 
千里はその腰付近まである長い髪で認識されることが多い。まとめてあげたり夜会巻きとかしていると友人どころか桃香や細川さんにさえ気づかれないこともある、などと本人は言っていた。
 
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「そしてメインボーカルのカノンと」
「サブボーカルのリノンである」
と最後は2人が自分たちで再度名乗った。
 

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彼女たちはゴールデンシックスのヒット曲から『楡の木通りの恋』と『Roll over Rose + Lily』を演奏した。2曲目の演奏では会場内からかなり笑い声が起きていた。
 
それで演奏が終わり
「そういう訳でゴールデンシックスの皆さんでした。拍手!」
と川崎ゆりこが声を掛けると
 
「みんなありがとう。それでは失礼する!」
とカノンが言って全員駆け足で退場した。観客は暖かい拍手で送り出した。
 

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「それではこれから本当にカウントダウンライブの後半です。0時のカウントダウンまで、みなさん熱く駈け抜けましょう!」
 
と川崎ゆりこが言い、スターキッズが入場、更にさっきのカノン・リノンと同じ衣装の私とマリがステージに出て行き
 
「では本当の後半の1曲目『影たちの夜』」
 
私が曲名を言うのと同時に、顔まで真っ黒なマスクで覆った全身真っ黒な衣装、要するにショッカーの戦闘員のような女性(?)たちが30人ほどステージ上に走り込み、一斉に踊り始める。
 
彼女らのダンスとともに私たちはこの歌を歌った。
 
過去にはホログラフィで大量の「影」を空中に投影して踊らせたこともあるのだが、今夜はリアルの踊り手を大量に配置した。会場も物凄く盛り上がり、立ち上がってその場で踊る人たちもある。
 
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一応このイベントは(踊ると汗を掻いたあと冷え込んで風邪を引く可能性があるので)座って聴いていてくださいということにしてあったのだが、たまらず立ち上がってしまったようだ。
 
場内の整理係があちこちで観客に「立ち上がらないでください」と声を掛けて座らせているようだが、この曲が終わるまで、踊り出す人たちは耐えなかった。
 

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物凄い歓声の中で曲が終わる。
 
「踊ってくれた人たちありがとう」
と私が言うと
「踊ってくれたのって女の人たち?」
と政子が訊く。
 
「まあ、顔は隠していたけど、おっぱいは分かったね。身体の線がそのまま出るスーツ着てたから。全員おっぱいがあったように見えたよ」
と私。
 
「でも胸の所にパッド入れておっぱい偽装した男の人も混じっていたかもよ」
「お股の所はどうするの?」
「一時預かってもらうとか」
「どうやって預けるのさ?」
 
そこで苦笑が漏れる。私たちがおしゃべりしている間に「影」のダンサーたちは退場する。またスタッフがトラベリング・ベルズとゴールデンシックスが使用した備品の楽器を撤去する。ライブ冒頭の『振袖』と『灯海』に参加してもらったヴァイオリン奏者さんたちにまた入ってもらう。そして私たちは『花園の君』を演奏した。
 
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美しいヴァイオリンの音が夜空に響く。
 
電光時計の残り時間は25分を切る。
 
その中のひとり(鈴木真知子ちゃん)だけ残ってもらい『幻の少女』を演奏する。私と高岡さんが出会った時のエピソードからマリがインスパイアされて書いた詩に私が曲を付けたものであるが、私が高岡さんと最初に会ったのは2002年の8月で、その頃、アクアは1歳の誕生日の直前くらいだったんだよなというのを考えると不思議な気持ちもする。
 
当時実はアクアは戸籍を持っていなかった。なぜ高岡さんたちが出生届けを出さなかったのかは謎だ。
 

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その後、MCを交えながら『Heart of Orpheus』『神様お願い』と歌うともう時刻は23:56。残りは4分を切る。
 
「いよいよ押し迫ってきましたね。みなさんあらためて言いますが、寒い時は遠慮無く巡回しているスタッフに声を掛けてくださいね。毛布はたくさん用意していますので。それと眠たいのでもう帰りたいという人は途中で帰ってもいいですからね。バスは適宜運行していますので」
 
実際やはり途中で気分が悪くなったということで帰った客がここまでに20人ほどいる(宿泊地まで送り届けている)。会場には一応医師や看護師もスタンバイしていて、薬をもらって少し休んでいて、また観客席に戻った人もあった。
 
「それでは今年演奏する最後の曲になります。『雪を割る鈴』」
と私が言い、拍手の中、演奏が始まる。
 
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ここで『コーンフレークの花』でも踊ってくれた松野・竹下コンビが赤いサラファンを着て出てきて、私とマリの斜め後ろで踊る。
 
最初はスローテンポである。
 
時刻がどんどん進む。やがて23:59となり電光時計が0:01:00を切る。私たちは演奏を停めた。
 

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「曲の途中ですが、ここでカウントダウンが入ります」
 
ゴールデンシックスの美空以外の5人が協力して大きな鈴を吊り下げたスタンドを運んでくる。KARIONの4人!が全員侍の格好をして出てきて、特に小風が2mほどもある巨大な刀を持っている。小風は実は中学の時に剣道部であった。
 
残り時間が20秒を切る。
 
「そろそろカウントダウン行きますよ〜! みなさんも声を出してね!!」
と私が声を掛けると、わぁー!という歓声が返ってくる。
 
私は自分のマイクを下に置き、マリと一緒にひとつのマイクを使いカウントダウンする。
 
「10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1」
 
電光掲示板の数字が0:00:00になる。
 
「明けましておめでとう!!」
と私とマリが叫ぶ。
 
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小風が大きな剣を「えい!」というかけ声とともに振る。
 
鈴が割れてその中から大量に光る玉が飛び出す。
 
照明さんがカラーホイルを回し、多様な色でステージが照らされる。ミラーボールが回転する。
 
そしてスターキッズはアップテンポの伴奏を始め、『雪を割る鈴』の後半が始まる。
 
松野・竹下のダンサー2人はいつの間にか白いサリー風の衣装を着ている。ロシアからインドへのワープである。
 
私たちも『雪を割る鈴』の後半を歌う。
 
ゴールデンシックスの5人とKARIONの4人が一緒に歌ってくれる。観客もまた席から立ち上がって大きな動作で拍手を打ったり踊る人もあるが、例によってスタッフさんたちに座るように言われている。スタッフさんたちも大変である。
 
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やがて終曲。
 
物凄い歓声と拍手の中、ゴールデンシックスとKARIONの合計9人が客席に手を振って下手に退場する。
 
なお今回鈴の中から飛び出したのは全て氷の玉である。鈴を使うと全回収が困難なので、放置しておいてもよい氷を使用したのである。
 

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■夏の日の想い出・振袖の勧め(10)

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