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■Les amies 結婚式は最高!(2)

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小夜子はバスルームに入り裸になって思いっきり熱いシャワーを身体に当てる。汗をきれいに流してから、今度は冷たいシャワーを当てて身体を引き締めた。身体を拭いてからドアを少し開け
「ねえ、私お風呂から出るから、ちょっと目を瞑ってて」
「いいよ」
 
小夜子は服を手に持ち裸のままベッドまで行くと、布団の中に潜り込む。
「入ったよ」
「じゃ、僕もシャワー浴びてくる」
と言って晃はこちらに目をやらないようにしてバスルームに入った。ほどなく出てきて、小夜子をじっと見つめた。熱い視線だ。
 
「サーヤ」
「うん・・・」
「好き」
「私も好き」
 
晃はベッドの中に入り、小夜子を抱きしめた。小夜子の脳があっという間に沸騰する。キスする。5年ぶりのキスだ。高校時代の思い出がフラッシュバックする。私たちどうして別れちゃったのかなあ。大学が違ったって、電車で2〜3時間あれば会いに行けたんだもん。付き合い続けることはできたはずなのに。
 
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お互いをむさぼるように愛撫した。キスされるのが気持ちいい。乳首をいじられるのが気持ちいい。背中を撫でられるのが気持ちいい。
 
「えっと・・・入れていいんだよね?」
「何を今更。外形だけじゃなくて機能的にも男であることを証明してよ」
「うん」
 
ベッドの枕元に置いておいた避妊具の箱を開ける。装着しているようだ。小夜子は晃の乳首をイタズラしていた。晃が小夜子のあの付近を触って濡れていることを確かめる。そしてあの場所を指で確認して、そっと入れて来た。わぁ。。。。
 
晃は身体が密着するまで深く入れてから、しばらくそのままぎゅっと小夜子を抱きしめ、ディープキスをした。脳が陶酔物質であふれる。小夜子は我慢できずに「早くしてよ」という。晃はゆっくりと腰を動かして出し入れを始めた。少しずつスピードを上げていく。あまり長い距離を動かさず、短い距離の出し入れだが、その短いリズムがよけい脳を強く刺激する。
 
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きゃー、何だかこれ気持ちいいよぉ。小夜子は入れられながら晃の背中をずっと撫でていた。キスしようとしたが息づかいが荒いのでやめておく。これって男の人にとっては、けっこう体力使う運動なんだろうなあ。
 
やがて一瞬晃の力が抜けたので「あ、逝ったかな?」と思う。それでも晃はまだ腰を動かしていたが、少しずつペースが落ちてきて、やがて深く入れたままぎゅっと小夜子を抱きしめた。
 

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「サーヤ、初めてだったんだね」
セックスが終わってから晃が言った。
 
「あまりもてなかっただけよ。アッキーは経験あったの?」
「ううん。僕もこれが初めて」
 
ふたりは微笑みあってキスをした。そしてそのまま第二戦に突入した。この日は結局延長して5時間滞在し、4回もセックスした。晃自身も男性機能がそんなに強くないと思っていた自分が4回も連続でできたことに驚いた。
 

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それから小夜子は毎週月曜日の夜に晃とデートするようになった。小夜子も毎日仕事が遅くまであるので、月曜日の夜22時に待ち合わせて、軽く御飯を食べてからドライブする。それから、晃のアパートに行き、セックスして夜食を食べておしゃべりして一緒に寝る。正直な話、晃とのセックスも気持ち良かったが、それ以上に一緒に寝るのが凄く幸せな気分にさせてくれた。
 
小夜子が毎週外泊するので、母は「彼氏、一度連れてきなさいよ」と言った。しかし小夜子は悩んでいた。だって・・・髪が長いのは美容師だしいいとしてもお化粧してブラジャー付けてスカート穿いてる「彼氏」なんて、親に見せられない!
 
「ねえ、背広とかは持ってないの?」と小夜子は晃に訊く。
「そんなの持ってないよ。着る機会も無いし」
「もしかして男物の服、全然持ってないとか?」
「そうだなあ。僕あまりパンツ好きじゃないからスカートばかりだし」
うーん。これは重症だ。
 
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「ねえ、私男物の服、買ってあげるから、ちょっと男装してみてよ」
「えー!?」
 
小夜子は翌朝(火曜日)、会社に電話して今日休ませて欲しいと言い、晃と一緒に街に出て、ユニクロで男物のパンツとワークシャツを買った。出がけに晃がお化粧しようとするのをやめさせ「すっぴんは恥ずかしいよぉ」などと言うのを無理矢理そのまま引っ張って出て行った。髪もお団子にまとめさせていた。
 
試着室を借りて買った服に着替えさせてみる。
 
うーむ・・・・と小夜子は困ってしまった。男物の服を着せたのに女にしか見えない!
 
「取り敢えず今日はこれでデートしよう」
「なんか、こんな格好恥ずかしいよぉ」などと情けない声で言っているが黙殺。
 
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そのままお昼を食べに行ったが、何だか落ち着かないそぶりだ。
小夜子はまじめな顔で言った。
 
「ねえ、お母ちゃんから、彼氏を連れて来てよと言われてるのよ。何とか恋人の親に会える程度の格好にできない?」
「うーん。自信無い。僕もう3年以上男物の服着てないし。今も何だか凄く変な気分で」
「私のこと嫌い?」
「好きだよ」
「じゃ、ちょっと頑張ってよ」
「うん。じゃ、頑張ってみる」
 
その日、昼食後晃は小夜子と一緒にスーパーの紳士服売場に行き、あれこれ悩みながらいくつか服をチョイスして買い、自宅に持ち帰った。男物のトランクスとシャツも買った。
 
自宅に戻り小夜子と一緒にいろいろ着てみる。どうも普通に男を装うより、中性的な路線を目指した方が、何とかなることが判明した。
 
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「BUCK-TICKのあっちゃんとか、西川貴教とかの路線を目指してみようよ」
「ああ、あのくらいなら何とかなるかも。SHAZNAのIZAMとか?」
「IZAMじゃだめ!女にしか見えないじゃん」
 
今日買ってきたワークシャツやポロシャツを着せてもどうにも変なのが、かえって元から持っていたレディスの少し中性っぽいブラウスを着せて髪もお団子をほどきふつうにロングにして、その代わり眉毛を少し太く描き、キリッとした顔をして、斜め35度くらいの方角から写真を撮ったら《男と言われたら男に見えるかも》と思える程度の写真になった。
 
「バンコラン路線だなあ。よし、とりあえずこの写真を母ちゃんに見せよう」
「ごめんねー。僕、全然男らしくなくて」
「ううん。アッキーは凄く男らしいと思うよ」
 
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普段一緒に歩いている時、晃がさりげなく小夜子をしっかりガードしているのをいつも感じていた。食事のメニューなど決める時も素早い。深夜営業のスーパーやコンビニで一緒に買物などすると買い方が豪快。一度街を歩いていて、ちょっとチンピラっぽい男に絡まれそうになったら晃が毅然とした態度で接したので、向こうが
「済みません。どちらの姐御でしたでしょうか。申し訳無いです」
などと言って、逃げていった。『姐御』には少し引っかかったが。
 
その件を後で聞いたら
「ああ、気合いじゃ負けないよ。ダテに剣道三段は持ってないから」
などと晃は笑っていた。
 
そうだった。小夜子は高校時代、剣道で晃が連戦連勝するのを憧れの目で見ていた。
 
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晃を男らしく見せる大作戦は毎週続いていたが、瞬間的に男かもと見える時はあっても、普通に会話したり食事をしている時は、やはり女にしか見えないし女の子と話している感覚になってしまう。それに一晩一緒に過ごし、朝になるといつも晃は可愛い服を着ている。洗顔し化粧水と乳液でスキンケアをしっかりしてから、朝ご飯を作ってくれて、小夜子を最寄り駅まで送っていく時は、ふつうにスカートルックである。
 
それはそれで可愛いし、晃と話していると楽しいし、晃の手料理も美味しい。晃と付き合い始めてから小夜子はお化粧もよくよく教えてもらい、社長からも「だいぶ上手くなったね」と褒められていた。
 
しかし・・・小夜子はやはり晃に「男である」ことも求めてしまった。
 
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そしてある日とうとう小夜子は爆発してしまった。
 
「どうしてこんなにアッキーって女らしいのよ。私、男の子のアッキーと付き合いたいのに」
「ごめん。僕はそういうサーヤの期待には応えきれないと思う」
「そうなの? じゃもう私別れる」
「僕はサーヤが好きだよ」
「好きなら男になってよ」
 
しばらく沈黙が続いた。
 
晃は黙ってバッグから調髪用のはさみを取り出すと、自分の長い髪を切った。かなり短くなってしまった。
 
「これで少しは男になれる?」と晃は訊いた。
 
小夜子は晃がとても大事そうにしていたその長い髪をまさか切るなんて思いもよらなかったので、自分がどうしたらいいか分からなくなってしまった。
 
「もう嫌い!」
そう言い残すと、小夜子は晃のアパートを飛び出して行った。
 
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晃はどっと疲れたかのように椅子に座り込み、自分が切ってしまった髪を手に取って小夜子が出て行った扉を見つめ、涙を流した。ふと棚の上に置いていた箱にも視線が行く。
 
来週、小夜子の誕生日なので渡そうと思ってパリに住む友人に頼んで買ってもらい日本に送ってもらっていた、カルティエのネックレスであった。
 

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それから5年がたった。
 
小夜子はその後も何度か短期間男性と付き合うことはあったが、一度もセックスする所までは辿り着かなかった。デートしておしゃべりしている時、いつの間にか目の前の彼を晃と比較している自分に気付くことがあった。
 
晃ならもっと優しいのに・・・・
晃ならもっと男らしいのに・・・・
晃ならもっとセンスいいのに・・・・
晃ならもっと楽しい話をしてくれるのに・・・・
 
小夜子の携帯で、晃の携帯の番号は0番に登録していた。ボーイフレンドができても、機種変更してもそれは一度も変えなかった。晃にはいつでも掛けようと思えば掛けられる。でも小夜子は晃と別れてから1度もその番号に掛けることは無かった。
 
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そんなある年の10月の金曜日、小夜子は大口の仕事をライバル会社との競争を制して受注することに成功した。受注額は年間6000万円である。小夜子も社長も取れるとは思っていなかったので大喜びでその日は軽く祝杯を挙げた。「増員しないといけないね」などと社長と話したりしながら9時近くまで飲んで別れる。
 
何となく夜風に吹かれながら夜の街を散歩している内に酔いは醒めたが興奮はまだ冷めない。うーん。誰かとセックスでもしたい気分だな、と思って、ふと晃のことを思い出す。晃・・・私に振られてショックで性転換でもしちゃったかな・・・・などと変な想像もした。1度電話でもしてみようか。。。。
 
そんなことを考えながら歩道橋を渡っていたら、下を走る車のヘッドライトが何だか美しい。小夜子は足を止めて歩道橋から下を眺めていた。
 
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その時、誰かに突然乱暴に抱きしめられる。
 
心の中で『きゃー』と悲鳴を挙げたものの声も出ない。完全に無防備だったので、身体が全く反応しない。小夜子が何をすべきか慌てて考え始めた時、小夜子を抱きしめた人物が言った。
「早まっちゃいけない。生きてれば何とかなるものだから」
『はあ?』
小夜子は訳がわからずに周囲を見た。
「ねえ、君少しゆっくり話そう」
 
小夜子はどうも自殺志願者と間違われたようである。少し離れた所に人が2人ほどこちらを見ていたし、歩道橋の下には凄い人だかり!
 
「違います。私死んだりしないから離して」
「大丈夫?」
「ただ、夜景を見ていただけです。自殺じゃないです」
「ほんとに?」
といってこちらを心配そうに見るこの人・・・あれ、この人は?
「アッキー?」
「あれ、なんだサーヤだ。久しぶり」
「うん、ほんと久しぶりね」
 
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結局晃に促されて一緒にその場を去り、近くのファミレスに入った。
 
ファミレスでオーダーをしている晃を見つめて小夜子は『会いたいと思っていた時に、ビンゴ会えるなんて、やはり私、この人と赤い糸なのかな』などと思った。でもさすがにいきなり『セックスして』とは言えないよなあ。今日はとってもしたいのに。
 
小夜子はわざと突き放したような視線で晃を眺めて言った。
「もう性転換しちゃったの?」
「なんで〜? そんなのする訳無い。僕は男だよ」
 
しかしそう答える晃の声は可愛い女声である。声だけ聞くと22-23歳の女の子にしか思えない。私、晃のこの声も好きだよなあと小夜子は思った。
 
「でもそうやってると、完璧に女の人にしか見えない」
「うん、そう思われるのには慣れてるから、そう思われても気にしない」
「まあ、個人のファッションの感性は自由だと思うよ。もう私も関係無いし」
 
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ああん。私の馬鹿〜。今でも好きだって言えばいいのに。でもまだ性転換してないんだったら、セックスできるな・・・・しかし晃ったら何て美人なの?
 
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