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■春芽(11)

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春貴はふと目を覚ました。
 
朝のようである。一瞬自分がどこにいるのか分からなかったが、やがて自分の下宿であることに気付く。
 
あれ〜?私昨日、病院に行った気がするんだけど・・・でも受診した記憶が無い。私確か松井先生の車に乗って・・・その後どうしたんだっけ???
 
取り敢えず起きていく。
 
「おはよう。あんた昨夜遅かったんだっけ?」
と伯母が言う。
 
「何か記憶が無くて」
「飲み過ぎ?あまりハメ外したらだめよ。あんたは女の子なんだから」
「うん」
と春貴は少しはにかむように答えた。女の子扱いされるのは嬉しい。
 
トイレに行く。パンティを下げておしっこをするが、その時、物凄く変な感じがした。
 
おしっこの出る感覚が全く違うのである。
 
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何で?と思い、おしっこを終えた所で紙で拭き、そのあたりを手で触る。
 
そして驚いた。
 
うっそ〜〜〜〜!??
 
私、手術されちゃったの!??
 

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10月26日(金).
 
青葉は朝から辰巳国際水泳場に出て行った。
 
世界選手権(25m)代表選考会だが、この日は公式練習日なので、軽く泳いでからすぐ引き上げる。そしてまた深川アリーナでたくさん泳いだ。
 
この大会は各々の種目で過去1年以内に標準記録を突破してることが参加要件で、青葉の場合、女子自由形800mはOK、400mも実は800mの「途中記録」で突破している。しかし実は「アジア大会またはパンパシフィックの日本代表は全ての種目に参加できる」という規定があり、青葉はその規定を使って400mメドレーにも申し込んだ。
 
この選考会で代表に選ばれると12月に中国の杭州(Hangzhou,ハンジョウ)で開かれる世界選手権(25m)に出場することになる。杭州といえば、天月西湖(今井葉月)が“受胎”した場所、西湖(XiHu,シーフー)のある場所である。
 
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10月27日(土)、1日目。
 
朝からまず200m自由形の後、400mメドレーの予選があるので出る。予選は5組あるが、青葉は標準記録無しで参加しているので先頭の1組目であった。
 
この組ではぶっち切りの1位でゴールするが、速い人は後の3〜5組で出てくるので(*3)その結果をずっと待つ。
 
結果は3位で青葉は無事決勝に進出することができた。
 

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(*3)水泳の予選分けには単純分け方式・平均分け方式・混合分け方式の3種類があり、この大会は混合分け方式で行われている。
 
[0]前提
・エントリー時に申請したタイムを基準にする。
・1つの組の中でタイムの良い順に 4 5 3 6 2 7 1 8 コースを取る。
(9コースの場合は 5 4 6 3 7 2 8 1 9, 10コースの場合は 4 5 3 6 2 7 1 8 0 9)
 
[1]単純分け方式
エントリー時のタイムが速い人から順に↑の方式で最終組を満たし、そのあと最終組の前の組を満たし、とする。例えば8コースの競技場ならタイムの良い人8人が最終組、次の8人が最終組の一つ前、次の8人がその前、というようになる。
 
[2]平均分け方式
エントリー時のタイムが最も速い人が最終組の一番良いコースを取る。次の人は1つ前の組の一番良いコースを取る。例えば8コースの競技場で4組予選をする場合、タイム順に
4組4→3組4→2組4→1組4→4組5→3組5→2組5→1組5→4組3→3組3→2組3→1組3→・・・
のように振り分けていく。
 
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[3]混合分け方式
最後から3つの組だけ平均分けで行い、残りは単純分けとする。例えば8コースの競技場なら、タイム上位24名を平均分けして、それ以下の選手は単純分けになる。
 
※例外
1組目の参加者は3名以上になるように2組目の人数を減らして調整する。但し本番で棄権者が出て3名未満になってしまった場合は問題無い。
 

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午後一番に女子800mのタイム決勝が行われる。青葉は最終組の5コースだが、4コースを泳ぐのはジャネである。ジャネはスタートまでこちらを1度も見なかった。それで物凄く意識しているのを感じる。
 
青葉は無心である。
 
スタートする。
 
レースはすぐに4コースのジャネ、5コースの青葉、3コースの南野、6コースの永井の4人に絞られてしまう。この4人のペースが速すぎるのである。
 
500mまで行った所で永井が脱落する。このハイペースに付いていけなくなったのだろう。残り3人は更にペースをあげる。これって日本記録が出たパンパシフィックの時並みではなかろうかという気がした。
 
結局3人はほぼ同時にゴールした。
 
1.Hatayama 8:10.43
2.Kawakami 8:10.44
3.Minamino 8:11.18
 
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日本記録には僅かに及ばなかった。しかし3人が0.75秒以内にひしめく激戦だった。3人はお互い見つめ合い、顔がこわばっていたが、やがて南野さんが隣のコースのジャネ、その先の青葉に握手を求め、それで青葉とジャネも握手した。
 

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夕方近くになって400m個人メドレーの決勝が行われた。
 
ここで青葉は優勝した。2位が南野、3位が永井であった。ジャネはこの種目には出ていない。予選の時は実は1位永井・2位南野・3位青葉だったので、その順序が逆転した感じである。青葉は手を抜いたわけではないのだが、やはり遅い人たちの中で泳ぐとペースがつかみにくいのである。
 

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翌28日(日)は予選の部最後から2番目に400m自由形の予選がある。
 
青葉は3組の5コースで泳いだが、予選タイム4位で決勝に進出した。
 
そして決勝は夕方、これも最後から2番目に行われた。4コースは南野、5コースはジャネ、3コースが平多、6コースが青葉、2コースが永井、7コースが前田、と、このあたりは過去の様々な大会で顔を合わせた人たちばかりである。
 
ブザーが鳴って飛び込む。最初から全力で泳ぐ。400mは普通の水泳選手にとっては長丁場だが、青葉やジャネにとってはむしろ“ほとんど短距離”である。最初から最後まで全力で泳ぐ以外のレース方法は無い。
 
いきなりハイペースになったので、レースは南野・ジャネ・青葉・永井の4人に絞られる。800mの時と同じ顔ぶれである。永井は昨日は途中で脱落したものの、400mはむしろ彼女が最も実力を発揮できる距離だ。
 
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実際彼女はトップで泳いでいき、それに残り3人が付いて行く感じになる。しかし残り100mになってジャネが仕掛ける。それに青葉が付いていく。南野も必死で追い、結果的に永井は4番手に落ちる。しかしそこから南野が仕掛けてトップに立つ。ジャネと青葉が必死に追う。
 
最後はまた3人がほとんど同時にゴールした。
 
1.Minamino 4:04.42
2.Kawakami 4:04.43
3.Hatayama 4:05.14
4.Nagai___ 4:06.27
 
南野さんがガッツポーズである。ジャネが首を振っていた。そして今回はジャネが南野さん、青葉と握手し、その後、南野さんと青葉も笑顔で握手した。
 

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そういう訳で、青葉は400m自由形で2位、400mメドレーで優勝、800mで2位という結果であった。日本代表に選ばれるかどうかは、水連の判断次第である。
 
ジャネ 400m3位、800m優勝
南野 400m優勝、400mメドレー2位、800m3位
青葉 400m2位、400mメドレー優勝、800m2位
永井 400m4位、400mメドレー3位、800m4位
 

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28日は大会が終わった後、大宮に戻る。実は26,27日は都内のホテルに泊まっていたのである。この日は彪志は休みでビーフシチューを作って待っていてくれた。
 
「ただいまあ」
「お帰り。お疲れ様」
「どうだった?」
「うーん。400mも800mも2位だった」
「惜しかったね!」
「400mメドレーは優勝したんだけどね」
「凄いじゃん!もしかして青葉、また日本代表に選ばれちゃう?」
「これ以上忙しくなりたくないんだけどね」
「だったら出なきゃいいのに」
「浮き世の義理が・・・」
 
ともかくもヱビスビールで乾杯し、ごはんを一緒に食べる。
 
「これ凄くよくできてる。お肉が柔らかくて美味しい」
「圧力鍋で煮たからね」
 
その日は夜遅くまで・・・・頑張るつもりだったが、さすがに大会の疲れで2回戦の途中で青葉は眠ってしまった。
 
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彪志はそっと青葉にキスしてからお腹が冷えないようにタオルを掛けてあげ、一緒に毛布と布団をかぶって、横に並んで眠った。
 

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青葉が世界短水路選手権の選手選考会(10.26-28)に出ている間に“北里ナナ”の3rdシングルの制作が行われていた。
 
北里ナナのこれまでのシングルはこのようになっている。
 
2018.03.05『ナナの海』(DL版) 2018.04.25『ナナの海/花の伝説』(CD/DVD)
  ナナの海:加藤珈琲・琴沢幸穂/花の伝説:マリ&ケイ
2018.09.19『愁末日記/青い城の姫』
  愁末日記:加藤珈琲・琴沢幸穂/青い城の姫:マリ&ケイ
 
もっともケイが今年はとても手が回らないので、実際には『花の伝説』の作曲者はKARIONの和泉、『青い城の姫』を書いたのは青葉である。
 
和泉はあくまで《作詞家》なので今年の“上島代替作戦”には駆り出されていないし、青葉は6月以降“上島代替”用には、自動作曲システムの試作品を調整して提供しており、精神的な負荷が減ったことによって、こういう作品は充分な精神力で書くことができている。
 
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今回もタイトル曲の『シルバークリスマス』は加藤珈琲・琴沢幸穂のコンビが書いたもので、カップリング曲の『風車小屋の娘』はマリ&ケイとクレジットしているが、実際には青葉が作曲したものである。
 
青葉は今年水泳の方で忙しかったこともあり、アクア(北里ナナを含む)以外への提供曲は、ほとんど“松本花子”で制作したものであるが、その分、アクアや北里ナナにはかなり力(りき)をこめて作品を書いている。
 

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ところでこの“北里ナナ”だが、江戸川乱歩の原作では“松島ナナ子”に相当するキャラクターである。しかしリアルに松嶋菜々子という女優さんがいるので、こちらは敢えて変更して“北里ナナ”にしている。
 
また彼女が原作で歌唱中に誘拐される(本当に誘拐されるのはナナに変装した小林少年)シーンで歌っていた曲は『ジングルベル』であるが、それでは話をクリスマスに設定しなければならないし、現代の感覚では、超人気アイドルがクリスマスのライブで1曲だけ歌う歌に、そういう曲を選ぶという設定はむしろ不自然なので、オリジナル曲を制作した経緯があった。
 
今年の『少年探偵団II』でも“北里ナナ”が出てくる回が作られる予定である。
 
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さて北里ナナのシングルは、これまで同様、予算は掛けるものの、アクアの時間が取れないので、音源製作とPV制作がほぼ同時進行する。
 
アクアは事前に充分な練習をしていたので、金曜の夜に軽い練習をして表現上の問題をKARIONの和泉にチェックしてもらった上で、まずは土曜日の午前中に『風車小屋の娘』の録音、そして午後に『シルバークリスマス』を録音して、その日の最終便(羽田17:55-19:40女満別)で北海道に飛んだ。
 
一方西湖はアクアより1日前、金曜日の夕方の便で信濃町ガールズの瑞絵・暢香と一緒に女満別に飛び、湧別町で一泊している。
 
土曜日の朝、撮影隊A班が西湖たち3人で「かみゆうべつチューリップ公園」にある風車小屋の前で、予め用意されていたシナリオに沿って撮影をする。北里ナナ役なので、西湖は豪華なドレスを着てパフォーマンスする。西湖は「高そう!」と思いながら演技をしていた。
 
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なおこの時期、チューリップ公園は何も咲いていないのだが、公園の許可を取り風車小屋の周囲だけ、昨日の内に温室栽培のチューリップ(高価だが存在する)を§§ミュージックが雇ったスタッフにより植えて霜防止にカバーも掛けておいたので、満開のチューリップの中でパフォーマンスしているように見える。実は風車小屋から遠い所には造花のチューリップも大量に植えている。
 
つまりこの撮影は物凄い予算を掛けている。
 
この他に、今年5月に北海道の放送局がここを撮影していた映像を買い取り、それとつなぎあわせることで、より自然な映像に仕上げる予定である。
 
ここで西湖たちの演技を見ながら、シナリオや服装などを調整して構成を練っていく。西湖も青いドレス・赤いドレス・緑色のドレスなど着せられたが、最終的には白いドレスがいちばん映えるという結論になった。信濃町ガールズの2人は赤と黄色の服である。
 
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この公園が開くのが朝8時だが、公園側と交渉して特別に許可をもらい、日出直後の6時すぎから始めて9時頃までやって、だいたい構成が固まった。
 
それで瑞絵・暢香はそのまま湧別町内の宿に戻るが、西湖は千里の友人で、北海道の道に慣れている町田久美子(旭川N高校出身)が運転する車(彼女の私物のCX-5:私物を使うのは慣れている車を使った方が安全なため)に乗って、桜木ワルツと一緒に旭川に移動する。到着したのが12時頃である(お昼は途中のコンビニで調達して車内で食べる)。
 
ここで待機していた撮影隊B班と一緒に旭岳に登り『シルバークリスマス』の撮影を、風車小屋のとは別趣向のお姫様のようなドレスを着て、桜木ワルツ(侍女役)および信濃町ガールズの信貴(サンタクロース役)・昭恵(サンタガール役)と一緒にする。彼らは昨日の内に旭川に直接入っていた。これがだいたい固まったのが、もうリフト最終便の直前の16時前であった。
 
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それで撮影隊と西湖たちも下山して旭川に泊まる。
 

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