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■春芽(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-10-08
 
《こうちゃん》はぶつぶつ言っていた。
 
「3番のやろう、余計なことしやがって。せっかく2番の目を盗んで可愛い葉月ちゃんを女の子にまた1歩近づけてあげようと思っていたのに」
 
「何かむしゃくしゃする。どこかに女の子に変えてあげたら喜びそうな可愛い男の娘はいないかなぁ」
 

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2018年10月9-10日、西湖は学校の宿泊研修に参加した。
 
使用したのは、八王子市内(といってもほぼ山中)にあり、都内のいくつかの私立校で共有している瀘古講という和風っぽい5階建ての建物である。
 
外見は和風だが鉄筋コンクリート造りであり、使用している壁や天井などの木材は全て不燃加工されている。「瀘古講」という名前は「ろここ」と読み、美術のロココ(Rococo)と中国の湖・瀘沽湖とが掛けられている。
 
1階には畳を敷けば大広間にも転換できる小ホールがあり、講演会やセミナーにも使用できるし、囲碁や将棋の大会にも使われている。また付属の体育館はハンドボールのコートも取れるサイズ(44×25)の2階建てで、水連の公認を取っているプールもあるので、夏休みや冬休みなどには運動部(バスケット・バレー・ハンドボール・テニス・卓球・水泳・吹奏楽など)の合宿に使用されている。実際夏休みや冬休みはほぼ予約が埋まる。
 
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この施設の本館2階が食堂・調理室・浴室・小セミナー室などで、3〜5階が宿泊用和室である。各階には8畳の和室が20個ずつあるので、法令上は各部屋に4人ずつ1階に80人ずつ宿泊することができて、3フロアで240人収容可能。S学園の4年生は250名なので、ちょっと誤魔化せば!?全員収納できる。
 
もっとも今回は不参加者もいて参加するのが228名なので全員法定通りの密度で収納できる。小川先生は
 
「無理すれば1フロアで全員詰め込めると思うんだけどね」
などと言っていたが、それだと8畳に12人寝ることになる!
 
「まあ女子ばかりだから部屋数の計算が簡単。男女混合だと結構面倒なのよね」
などとも小川先生は言っていた。
 
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なお西湖の扱いについて教頭先生が少し心配したものの、小川先生も、担任の大月先生も、保健室の川相先生も、西湖がこの学校に入るきっかけ(戦犯?)となった二本松先生にしても
 
「ああ、あの子は大丈夫」
と笑って言ったので、ここに入る時に父が言った通り「何の配慮もしない」ことにして、他の女子たちと同室である。
 

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実際には西湖と同室になったのは、仲良しの紀子のほか、小泉伊代、それに6組の中居広子で、全員休みがちで「出席特例」を受けている芸能人である。
 
「これ芸能人だけ集めたのかな?」
「隣の部屋が、瀬梨香・水希・治美・由美奈だから、それっぽい」
「その隣が、靖菜・光江・早美・菜衣留」
 
4人は腕を組んで「うーん」と考え込んだ。
 
「つまりここは無名芸人の部屋だ」
「嫌だ!その分類」
 

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今回の研修の内容は、午前中は教養講座、午後は実習的なものがメインだった。日程はこんな感じである。
 
1.日本神話/日本古代史/日本模様:昼食:和服講座/和裁実習/和服着付/篠笛講座:夕食:
2.朝食:男性と女性/月経と妊娠/性行為と避妊:昼食:恋愛講座/同性愛と異性装/売春と風俗/太鼓講座:夕食
3.朝食:仏教史/日本仏教分類/梵字講座:昼食:座禅/園芸講座/園芸実習/ギター講座
 
1日目と3日目がとっても深淵?なのに対して、2日目はこの宿泊研修のエポックともいうべきものである。通常の保健の授業ではなかなか突っ込めない所まで踏み込んで、女子高生の周囲にある“危険なこと”に注意をさせようという趣旨である。この日程表を見て、かなりの生徒がこの講座に「期待」していた感じであった。
 
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1日目の午前中は睡眠率が高かった(x_x)☆\バシッ!
 
今回の研修では御飯は自分たちで作ることになっているが、全員で掛かっても不効率なので、クラス単位で分担している。
 
●調理
1昼3 夕1+8
2朝7 昼5 夕4
3朝2 昼6
 
●片付け
1昼5 夕4
2朝2 昼6 夕3
3朝1+8 昼7
 
1日目の夕方の調理担当が1+8になったのはこの2つのクラスの参加者が少ないからである。また1組は生活デザインコース(いわゆる家政科)で元々料理も得意な子が多く、8組にはスポーツ選手とか理系進学志望の子とかが多く、料理が苦手な子が多い!ので組み合わせるとちょうどいいというのもあった。
 
なお、お風呂は一度に収容できる人数が30人くらいで(定員は60人だが洗い場は32個しかない)、これでは全員を入浴させるのにかなり時間が掛かるということから、男湯・女湯の双方を運用することにし、奇数クラスは男湯、偶数クラスは女湯に入るということになった。
 
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男湯 19:00=1組 19:40=3組 20:20=5組 21:00=7組
女湯 19:00=2組 19:40=4組 20:20=6組 21:00=8組
 
どっちみち入るのは女生徒ばかりなので、長風呂の子が多少次のクラスの子たちと重なっても問題無い。なお先生たちは22時以降に交代で入る。また生理中などでお風呂に入りたくない子は個室型のシャワールーム(8室)を使うこともできる。
 

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そういう訳で初日、西湖たちは調理担当ではないので17時からこの日習った和服の着付けや篠笛の練習を各自の部屋でやりながら過ごし、18時からの夕食後はまた部屋に戻って、お風呂の時間になる21時まで、数学や英語の問題をやりながら過ごす。
 
。。。ことになっていたのだが、実際には各部屋に戻ればおしゃべりばかりしていて、篠笛の練習もしなければ、数学や英語もしない。
 
そしてそれは20時頃のことであった。
 

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「ところで」
と伊代は言った。
 
「聖子(西湖の生徒登録名)については、男の娘疑惑があるのだが」
 
「何それ?」
と紀子は言うが、西湖は内心焦っている。
 
「いや、男の娘のアクアちゃんの代役を葉月ちゃんが務められるのは、葉月ちゃん自身も男の娘だからではないかという話も昔からある」
と伊代は言っている。
 
「あははは」
と西湖は笑っている。
 
「聖子、男なんだっけ?」
と紀子が訊く。
 
「男に見える?」
と西湖は訊き直す。
 
「いや、女の子にしか見えない」
と広子。
 

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「でもアクアも女の子にしか見えないのに男だからなあ」
「なんか以前、医師の診察を受けて間違い無く男とか診断されていたね」
「要するに、あれってちんちんを見せたんだよね?」
「まあ医者でもない人がちんちん見るのはセクハラだから医師に確認してもらった」
 
「でも聖子はおっぱいあるよ」
と紀子がかばってくれる。友だちっていいなあと西湖は思った。
 
「おっぱいは偽装できるよ。瀬梨香みたいに」
「あの子の偽装はすごいね。実はAカップにも足りないのにDカップに偽装してる」
「水泳大会では偽装おっぱいのままビート板25mに出てたね」
 
「あれは腕をあまり動かすと、パッドが外れやすいから腕を動かさなくても済むのに出たんだと思う。あの子、マジメにやればちゃんとクロールできたはず」
 
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「その代わり、胸の偽装がバレると」
「既にバレているのに往生際が悪い」
 
「聖子のおっぱいも偽装されているかも知れない」
と伊代が言う。
 
「じゃ、ニセモノかどうか充分触って確認していいよ」
と西湖は開き直って言った。
 
「服の上からでは分かりにくいから、裸の方がいいなあ」
「いいよ」
 

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それで西湖は制服の上、ブラウスを脱ぎ、ブラジャーも外してしまう。
 
「どれどれ」
と言って伊代が近づいて来て触っている。広子も近付いてきたが、紀子は離れて向こうを向いている。西湖は彼女の友情に感謝した。
 
「本物のような気がする」
 
いきなり伊代は乳房をくすぐった。
 
「やめて!くすぐったい」
と西湖は悲鳴をあげた。
 
「やはり本物だ!」
と伊代。
 
「だって私、男の子のアクアさんの代役するんだから、おっぱいを大きく偽装する必要なんてないよ。むしろ胸が目立たない服着たりもしてるよ」
 
「なるほどー!そう言われたらそうだ」
「北里ナナのPVでは王子様役もしたし」
「そうそう。あれ格好よかったね」
と離れた所に立っている紀子が言う。
 
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「ああ、あれは私も見た。聖子ちゃんが顔出し男装してる〜と思った」
と伊代も言っている。
 
「だけど男の子でも女性ホルモン飲んで胸を大きくしてる子いるよ」
などと伊代はまだ言っている。
 
「というかアクア自身、おっぱい大きいんじゃないかという噂もあるよね」
と広子。
 

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「いいよ。お股も見てみてよ」
と西湖は言うと、スカートを脱ぎ、パンティも脱いでしまった。
 
「ちゃんと女の子じゃん」
と広子が言う。
 
「それも実は知る人ぞ知る偽装テクニックがあるんだよ」
と伊代。
 
ああ。タックのこと知っているんだなと西湖は思う。
 
「何なら触ってもいいよ。偽装なら触れば分かるでしょ?」
と西湖は言う。
 
「どれどれ」
と言って、伊代は本当に触っている。そして割れ目ちゃんを開いている!
 
「これ本物だ!」
と伊代。
 
「だって私、女の子だもん」
と西湖は言う。
 

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すると伊代は土下座のポーズをして言った。
 
「疑って悪かった。聖子が本当に女の子であることを確認した」
 
「いいよ。こんなの別に気にしないから」
と西湖は笑いながら言う。
 
「おわびに私もフルヌードになる」
「え〜〜〜!?」
 
それで伊代は服を全部脱いで真っ裸になってしまった。しかも足を広げて立っている。当然あそこは***ている。お股を偽装していないことを示すためだろうが、とっても危ない!姿勢である。
 
「えっと・・・」
広子も西湖も何と言ったらいいか分からない。
 
「取り敢えず伊代ちゃんも間違い無く女の子のようだ」
と紀子が言う。
 

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「というか、こんなことしなくても9時になったら、みんなお風呂に入って、裸を曝すことになるのに」
と広子。
 
広子は6組ではあるが、7組の子と同じ部屋に入っているのでお風呂は7組のタイミングで入ってと言われている。
 
「まあそれはそうだね」
と西湖も言う。
 
「まあ私たちお互いに確かに女の子であることを確認したね」
と伊代は言ったが、
 
「そういうことであれば私も裸になろう」
と言って紀子まで服を脱いで裸になってしまう。
 
紀子ってほんとに優しい子だなあ、と西湖は思った。
 
「ちょっとちょっと」
とひとりだけ服を着ている広子が焦っている。
 

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そしてその時だった。
 
「広子ちゃん、6組のクラス委員の多寿菜ちゃんから連絡で」
と言いながら入ってきたのは小川先生で、西湖・伊代・紀子のフルヌードを見てギョッとしている。
 
「あなたたち何してんの!?」
 
「あ、いえ。浴衣の着付けの練習で、あれは本当は裸の上に着るんだよという話になってしまって」
と西湖が弁明する。
 
「浴衣の着付けかぁ!びっくりした」
と言って、小川先生はホッとした表情をしている。
 
「確かに元々浴衣は下着だから、下着の下に更に下着を着るのは変なんだけど、ふつうにパンティとキャミソールくらい着てもいいと思うよ」
と小川先生は言った。
 
その小川先生の視線は西湖のお股の所に行っていたが、そのことには誰も気付かなかった。
 
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小川先生が出ていった後、伊代が言った。
 
「聖子ちゃん、よくあの場でうまい言い訳が出たね」
 
「この子はとにかく機転が利くんだよ。ドラマで他の人がセリフ間違った時にうまく破綻無いようにフォローできるんだよね」
と紀子。
 
「それはアクアさんが凄い。私はまだまだかな。アクアさんのフォローの仕方にいつも驚かされているから」
と西湖がいうと
 
「まあ要するに聖子はやはりアクアをライバルだと思っているんだな」
と伊代は言った。
 
西湖は曖昧に微笑んだ。その表情を見て紀子は頷くようにしていた。
 
「ところであんたたち、いいかげん、服着たら?」
と広子は言った。
 

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その後はホントに裸の上に浴衣を着付けて
「あ、これわりといいかも知れない」
などと言い合った。
 
やがて20:55くらいになって
「お風呂行こう」
と言い、浴衣のまま、着換えを持って2階の浴室に行く。みんな普通に女湯の方に入ろうとして
 
「待った。7組は男湯!」
という声で男湯の脱衣場に入る。
 
「男湯なんて久しぶり」
と伊代が言ったら
「あんた、元男だったの?」
と先に入室していた童夢から突っ込まれている。
 
「違うよ。幼稚園の頃、お父ちゃんと一緒に男湯に入ったことあるから」
と伊代は弁明している。
 
「聖子はいつ以来?」
 
「うーん。男湯に入った記憶無いなあ」
と西湖は答えたが、でもボク男湯ってマジでいつ入ったっけ?と考えたものの分からなかった。中学の修学旅行は仕事で行っていないし・・・。
 
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「小さい頃も入ってない?」
「家にお風呂あったから銭湯とか行ってないし」
「旅行とかでは?」
「だいたい部屋についてるお風呂に入ってる」
「必ずしも大浴場とか行かないかもね」
「私、両親の仕事について国外に旅行していたのが多くて、外国には大浴場とか無かったし」
「なるほどー!」
 
そういう訳で、西湖は他の女子たちといっしょに、にぎやかに入浴をすませたのであった。お風呂の中では、女子校恒例の!?おっぱいの触りっこが発生したものの、西湖は遠慮無く他の子たちのおっぱいにも触っていた。
 

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