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■春対(10)

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「結構大きな車が残ったね」
と貴司。
「うーん。その内子供が4人くらいできたらそのくらいの車があった方がいいかも」
と千里。
 
「4人も作るの!?」
と貴司が言うのでお店の人が
「今お子さんは何人ですか?」
と訊く。
 
「今年1人目が生まれたばかりだから、これからですけどねー」
と千里は言った。
 

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結局試乗してみることにする。各々の車を車屋さんから1kmほど離れた地点まで貴司が運転して行き、運転交代して千里が車屋さんまで運転して戻る。
 
「奥様、凄く運転がお上手ですね。さすがMTが好きとおっしゃるだけありますね」
と同乗しているお店の人が感心していた。
 
「千里結局国際C級ライセンスは取ったんだっけ?」
「取ったよ。そこのバッグに入っているよ」
「ライセンスをお持ちですか!凄いですね!」
 

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3台とも試乗してから検討する。
 
「アルファードは取り回しが楽って感じがしたね」
「うん。使い勝手もいいと思う。子供がいる家庭ならアルファードって感じ」
 
とふたりが言うのでお店の人が
 
「それではアルファードになさいますか?」
と訊くと。
 
「いいえ」
と千里と貴司が同時に言った。お店の人が戸惑っている。
 
「やはり使いやすいからと言ってそれを選択するのは女の選択だよね」
と千里。
「女か男かは分からないけど、僕もアルファードは使いやすすぎて却下という感じがした。もっと冒険がしたい」
と貴司。
 
「なるほどですね」
とお店の人は言っているが、ふたりの論理が理解できてない感じだ。
 
「じゃプラドで」
「うん。賛成」
 
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「意見が一致したね」
「愛し合ってるからね」
 
ということで、貴司はランドクルーザー・プラド(TZ-G Diesel 7人乗り)を買うことにした。
 

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事務所に入って手続きをする。
 
オプション関係を選択していくと価格は563万円ということであった。
 
「お支払いはローンになさいますか?」
「あ、いえ。前の車の保険金が近い内に入るはずなのでそらにプラスして現金で払うつもりです」
と貴司。
 
「それはいつ頃、入金するのでしょうか?」
「あれどのくらい掛かるのかなあ?」
などと貴司は千里を見て言っている。
 
ちょっと待て。まだ入金してなかったのか〜?と千里は突っ込みたくなった。それで千里は笑顔で言う。
 
「じゃ取り敢えず私がへそくりで払っておくから、後で貴司私に返してよ」
 
「千里、そんなにへそくりあるの?」
「利子はトイチで」
「え〜?」
 
それで千里はお店の人に口座番号を聞き、即代金を振り込んだ。
 
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「ホソカワ・チサトの名前で振り込みました」
 
お店の人が口座を確認している。
 
「確かに頂きました。それではお車は一週間ほどでお届けできると思います」
と言った上で提案してくる。
 
「即金で頂きましたので、サービスでナビはスタンダードではなくて通信機能付き、地図自動更新・フローティングカーシステム付きのデラックスタイプに致しましょうか?」
 
「あ、それいいですね。よろしく」
と千里は笑顔で答えた。
 
お店の人は他にもいろいろサービス品をくれたが、今日は荷物になるのでと言い、納車の時に一緒に持って来てもらうことにした。向こうはどうも即金で560万円を奥さんのへそくりから払えるような客は大事にしたいと思った感じもあった。
 
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車を選んだ後、ふたりはタクシーに乗って大阪市内のNホテルに行った。ふたりがいつも会っている場所である。
 
いつものようにランチとモエ・エ・シャンドンのシャンパンを頼む。顔なじみのソムリエさんが
 
「本日はおふたりの結婚記念日でしたよね。おめでとうございます」
 
と笑顔で言ってシャンパンを開け、ふたりのグラスに注いでくれた。こういうのをちゃんと情報整理しておいてくれるというのは偉い。ふたりはグラスを合わせて、楽しくおしゃべりしながらランチを食べた。
 
食事の後、いつものようにいったん市内の体育館でバスケの練習をして汗を流した。これは実は2013年秋以降会う度にほぼ毎回しているふたりにとって一番楽しい時間である。貴司も千里と会ってHなことをするのも楽しみではあるものの、ふたりでバスケする時間がもっと楽しいと言っていた。
 
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ここまでの流れは先月阿倍子に尾行された時と似たようなパターンだが、その先が今日は違った。タクシーで再びNホテルに戻り、客室に入る。シャワーを浴びてバスケ練習で出た汗を流す。先日は銭湯で汗を流したが、今日はホテルのバスルームを使った。
 
ふたりはホテルのガウンを羽織っただけの状態でベッドに腰掛けて会話をする。
 
「3年目は皮婚式と聞いたから」
と言って貴司は革製のバスケットシューズを出してくる。
 
「ありがとう。まあこれは持っていても怪しまれないよね。消耗品だし」
と言って受け取る。
 
「これでオールジャパンに出ようかなあ」
「オールジャパンか。一度出てみたいなあ」
「貴司はプロに行けばいいのに。今の貴司が売り込めば絶対取ってくれる所あるよ」
「そうだなあ」
 
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「でも私も貴司と同じ発想しちゃった」
と言って千里は革製のバスケットボールを出してくる。男性用の7号ボールである。
 
「これも新しいの持ってても全く怪しまれないね」
と言って貴司も笑った。
 
ちなみに昨年の12月22日には、綿婚式だからと言って、お互いに練習用の靴下のセットを贈っている。その前の年は紙婚式と言ってメモ帳だった。いづれも普段に使ってしまっている。
 
「ちなみにセックスはできないよね?」
「結婚している男性とセックスなんてできません」
「でも今日は結婚記念日だよ」
「そうだね。非結婚記念日だね」
「ちゃんと付けるからさあ」
「そりゃ付けずにはできないよね」
「1回だけでいいから」
「じゃ、じゃんけんで貴司が勝ったらしていいよ」
 
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「よし、じゃんけん・・・ポイ」
 
結果は貴司がグーで千里がチョキである。
 
「やった!」
「仕方ないな。じゃ1回だけね」
「うん」
 
貴司は嬉しそうに千里のガウンを脱がせる。千里がガウンの下に何も着ていなかったので、少し驚いている。自分もガウンを脱ぎ、下着を脱いで千里を押し倒すようにベッドに寝せた。
 

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貴司は逝った後、そのまま眠ってしまった。何だか凄く幸せそうな顔で寝ているのを見て千里は微笑む。貴司の下から身体を抜いて自分も少し寝た。ジャンケンはわざと負けた。貴司はジャンケンで最初にグーを出す癖があるので、こちらが勝ちたい時はパー、負けたい時はチョキを出すと高確率でこちらの思い通りになるのである。
 
結局1時間ほど寝たようである。目を覚ましてキスを交わす。
 
「そうだ。こないだ久しぶりにこの指輪つけてみたんだよ」
 
と言って千里は枕元のポーチの中からジュエリーケースを取り出し、大粒のアクアマリンの指輪を取り出した。そして左手薬指につける。千里が左手の薬指にそれを付けた時、貴司がドキッとした顔をした。
 
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これは実は6年前、大学1年の時に貴司からもらった指輪である。アクアマリンは千里の誕生石(3月)だ。貴司はそれをエンゲージリングとして千里に渡そうとしたものの、当時貴司が緋那と二股状態であったことから、緋那ときちんと切れるまでは受け取れないと千里は拒否した。それで貴司はファッションリングとして受け取って欲しいと言い、千里はそれを了承して受け取ったのである。
 
この指輪には Takashi to Chisato Love Forever という文字が内側に、バスケットボール3個の模様が外側に、いづれもレーザー刻印で入っている。
 
「この指輪は私が持ってていいんだよね?」
 
と千里はまじめな顔で訊く。貴司は一瞬考えたが、すぐに言った。
 
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「うん。それはあくまでファッションリングとしてあげたものだから」
 
「じゃ遠慮無く持ってて、時々つける」
「ごめんね」
 
そしてまたキスした。
 

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12月24日(木)、青葉が学校から帰ると彪志が来ていた。
 
「お帰り」
と彪志が言うと、青葉も
「お帰り」
と言った。
 
「あら?挨拶変わった?」
と朋子が訊くので
「私、もう彪志の奥さんだと思うことにしたんだよね。だから私が彪志のアパートに行った時は『ただいま』と言うことにしたから、彪志がここに来た時も『お帰り』『ただいま』にしていい?」
 
と青葉は言う。
 
朋子は笑顔で
「うん。いいよ。じゃ次からは彪志君に私も『お帰り』と言うことにするね」
と言ってくれた。
 

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青葉は受験勉強してなさい、ということでクリスマスの料理を朋子と彪志で協力して作っていたようである。
 
「フライドチキンできたよ。青葉、手を休められそうなら一緒に食べよう」
と彪志が声を掛けるので、青葉も勉強道具を置いて、
 
「じゃ食べよう」
と笑顔で答えた。
 
クリスマスケーキとして朋子がショートケーキを3つ買ってきていたので、それを1人ずつ取った上でシャンメリーを開けて乾杯する。
 
「メリークリスマス!」
 
と言ってグラスを合わせる。
 
「あんたたちキスしてもいいよ」
と朋子が煽るので、彪志が青葉の唇にキスする。青葉は心が高揚して凄く幸せな気分になった。
 
「何かあんたたたちの様子を見ているだけでお腹いっぱいになっちゃうけど、まあ食べよう食べよう」
と朋子が言い、クリスマスイブの食事が始まった。
 
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12月24日(木)東京では、千里と桃香が経堂のアパートで
 
「メリークリスマス!」
と言い合って、よく冷やした日本酒を入れたワイングラスをチンと合わせた。
 
これは先日J市の事件を解決した時に水城さんから頂いたお酒セットの中の大吟醸である。本生酒は既に桃香が全部飲んでしまっている。
 
「いや、ワインとかウィスキーとか洋酒もいいけど、やはり日本のお酒が私はいちばん好きだ」
などと桃香は言っている。
 
この日は千里がチキンを丸ごと1匹オーブンで焼いた他、ビーフストロガノフ、マカロニサラダ、それにホームベーカリーで焼いた全粒粉パンを並べている。
 
「今日は桃香がたくさん食べてくれること期待してたくさん作ってるから食べてね」
と千里は言う。
 
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「心配しなくてもたくさん食べるよ。でもチキンも美味しい、ストロガノフも美味しい」
と言いながら、ほんとによく食べてくれるので千里も笑顔である。その千里も結構食べている。
 
「ごはん終わったら千里も食べていい?」
「もちろん。クリスマスだしね」
「それが楽しみだ」
「うふふ」
 

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同日、都内のホテル。
 
信次と優子はこのホテルのレストランでディナーを食べた後、お部屋に入って既に受けと攻めを交代しながら4回した後、少し休憩してビールを飲みながら買っておいたハンバーガーを食べている所であった。
 
「ね、ね、ね、ね。クリスマスだしさ。生でやらせてよ」
と信次。
「幼子(おさなご)が生まれたりしてね」
と優子。
 
「養育費の問題は妥結したしさ」
「月6万ってけっこうきついよ。大丈夫?」
 
「いや、正直な話さ。俺、子供作るなんてチャンスは優子と別れたら2度と無い気がしてさ。多分妊娠能力のある女と付き合うことはもう無いと思う。だからもし優子が妊娠しちゃったら、マジでちゃんとするよ」
 
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信次はこれまでに付き合って性的な関係まで築いた相手は、女装男性、性別移行中のニューハーフ、そして男性ホルモンをしていて妊娠能力を喪失済みの男装女性しかいなかったことを告白している。好きになる相手は普通の女性が多いものの、ある程度親しくなると怖くなってしまい、告白まで辿り着かないのだと言う。信次は自分はやはり女性恐怖症なのだと思うと、優子には言っていた。
 
「まあそれは私も同じだな。根本的に男には興味が無いから、信次と別れたら2度と生物学的な男と付き合うこと無いだろうし。うちの母ちゃんも私には孫はできないものと諦めてるよ」
 
「じゃ、やっちゃう?」
「そうだなあ。養育費はもらえるとしても私自身としては、あまり妊娠したく無いんだけど、今日は安全日だし、しちゃおうか」
 
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「やった!」
 
それで信次は優子と生でしたのである。
 
「凄く気持ち良かった」
「そう?よかったね」
 
と言いながら優子は、少し眠そうな顔をしている信次の背中を撫でてあげていた。
 

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