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■春風(4)

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青葉はさっさと全部脱いでしまった。
 
「へー。ほんとに完全に女の子の身体なんだね」
と絢子が言って、何だかあちこち触っている。
 
「おっぱいはホルモンだけ?」
「そそ。胸は手術してないよ」
 
ヒロミの方は美由紀と日香理に挟まれて、空帆や紡希も興味深そうに見ている中で脱いでいく。
 
「ああ。パッド入れてるんだ?」
「うん。ちょっとカップが余るから」
 
バストが露わになると、空帆が触ってみていた。
「普通に女の子のおっぱいだね」
 
下の方はショーツを脱いだ後、タオルで隠している。
 
「そのタオル、取ってみない?」
「勘弁して〜」
 
「まいっか。そこさえ見なければ、ヒロミも完璧女の子ボディみたいだから」
「ウェストくびれてるね」
「うん。これは努力してくびれを作った」
「偉い、偉い」
 
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「ウェストいくつ?」
「今67」
「でもこれヒップは90以上あるね」
「うん。96ある」
「なるほどー。だからこれだけくびれが目立つ訳か」
 
「それだけお尻が大きければ、赤ちゃん産めるね」
「ああ、産めそう」
 
などと言うと、またまた恥ずかしがって真っ赤になるので美由紀が喜んでいる。
 
「ささ、入ろう入ろう」
 

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ということで、8人でぞろぞろと浴室に入る。各自からだを洗ってから、浴槽に入り、おしゃべりする。他の部屋の子たちともあれこれ声を掛け合い、話の輪は大きくなったが、ここではみんな呉羽の性別のことは話題にしないようにしていた。また呉羽もさすがに浴槽の中では開き直っていたようである。ただ他の子の身体に視線が行かないようにしている感じではあった。
 
それでも何人かの子にバストを触られて恥ずかしそうな顔をして
「おお、今時珍しい純情な子だ」
などと言われていた。
 
「ね、ね、この合宿が終わった後、抜き打ちテストがあるって噂聞いたけど本当?」
「本当だよ〜。12日に1日掛けて5教科テストやって、それで進路指導の資料にするのと、補習のクラス分けに使うみたい」
 
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「わあ!私、勉強道具持ってくるんだった!」
「うちの部屋で、お風呂上がった後、中学の復習問題本をやるけど、来る?」
「あ、じゃ、行く行く」
 
ということで、勉強会の人数が少し膨らんだ感じであった。
 

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浴室から出て身体を拭き、みんな体操服に着替えるが、呉羽はじっと見られているので、なかなか服を着れずにいる。服を着るには一瞬でもタオルをお股のところから外す必要がある。その瞬間にはどうしてもあそこを見られてしまう。
 
それを見せずにうまく下着を着けてしまうなどという器用なことができたのは青葉くらいであろう。青葉はそれを小学2年生の時からやっていたから、呉羽とは年季が違う。
 
「ね、可哀想だから、ちょっとだけ後ろ向いててあげようよ」
と紡希が言うので
 
「そうだねー」
と美由紀や空帆も言い、全員呉羽に背を向ける。それで呉羽は無事下着を着け体操服も着ることができたようであった。
 

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部屋に戻る。ノックして勉強会に参加する子が続々と入って来て、部屋の中は20人くらいになった。タブレットを持って来ている絢子がソフトをスタートさせると自動音声で問題が読み上げられる。各自自分のノートに解答を書く。だいたい10秒ほど置いて正解が読み上げられるので、各自採点したりメモしたりする。
 
1教科20分で休憩をはさんで、勉強会は23時半頃まで続けられた。
 
「さすがに疲れた〜」
「もう頭が真っ白。グレイアウトしそう」
「でも凄く勉強になった」
「じゃ、寝よう寝よう」
「その前にトイレ〜」
 
ということで20人ほどでぞろぞろとトイレに行っていたら、社文科の担任の音頭先生がちょうど見回りに来て
 
「まだ起きてたの? 寝ましょう」
と声を掛ける。
「はーい」
とみな素直に返事をした。
 
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部屋は六畳の部屋に8枚の布団を敷いて寝る。
 
一応畳が六枚敷かれている他に板間部分があるので、純粋な六畳よりは少し広いのだが、それでもかなり無茶な敷き方になる。当然布団同士が重なる。縦に2個×4列だが、呉羽の性別に配慮する。主として、青葉と日香理が主導して寝る位置を決めた。
 
一番奥の上側に呉羽を寝せ、その下側に日香理、呉羽の横に青葉が寝て、青葉の下側は美由紀、その後、紡希・空帆、絢子・須美、という配列になった。つまり上側は呉羽・青葉・紡希・絢子、下側は日香理・美由紀・空帆・須美となっていた。
 
「でも、何となくこういう配列になるというのが、お互いの頭の中に無かった?」
と絢子が言う。
 
「うん。私もだいたいこういうイメージを描いていた。多少異なる部分もあるけどね」
と紡希。
 
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「まあ、若干のバリエーションが発生する余地はあるよね。美由紀と紡希は逆でも行けるね。あとこれの左右対称版もあり得るよね」
と日香理も笑って言っていた。
 
それで「おやすみー」と言って全員自分の布団に入り、灯りを消すが、どうも呉羽は緊張しているようだ。女の子と一緒の部屋で寝るというのが初体験なので、戸惑いもあるのだろう。
 
「ヒロミ、眠れないならオナニーしちゃってもいいよ。誰にも分からないよ」
「そんなのしないよー」
 
「じゃ、起きてる子だけで英語の尻取りしない? 反応が無かったら眠ってしまったものとみなして、次の子に行く」
 
「OKOK」とあちこちから声がする。
 
「じゃ、school」と言って青葉から始める。
 
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「light」「time」「endless」「stamp」「pineapple」「exam」「many」
「young」「・・・・」「寝ちゃったかな。じゃgreen」「notebook」「king」
「・・・・」「寝てるみたいね。じゃgood」「dream」「mix」「x-ray」
 
などといったことしている内に、15分ほどで全員眠ってしまった。英語の尻取りというのは特に k とか x のようにそれで始まる単語が少ないものの所で考えている内に眠ってしまうという罠がある。最後まで起きていたのは結局青葉で、みんなに向かって「Good night」と言って、眠りの世界に入っていった。
 

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翌日は午前中、大ホールで、部活や委員会活動などを紹介するビデオ、それから今年有名大学に合格した卒業生のビデオメッセージの紹介などがあった。その後お昼は共同作業の訓練も兼ねて、部屋単位で協力しあって食堂でカレーライスを作る作業をした。女子のグループの方はだいたいグループ内に料理の得意な子がいて、何とかなっていても、男子のグループの方には何だか悲惨なことになっていたところもあったようである。
 
午後からは、まず国語の小谷先生が「作文苦手な人でも1時間で小論文が書けるようになる方法」と題して、ひじょうに楽しい講義をしてくれた。その後更に社会の黒呉先生が「歴史年号暗記法」と称して、大量の年号語呂合わせ暗記法を紹介してくれた。この講義も楽しくて、多数の笑い声に包まれていた。
 
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また英語の生の発音に慣れようという趣旨で『ハリーポッターと秘密の部屋』
を字幕無し、英語音声で上映した。でもこれは場内を暗くしたこともあり、結構眠ってしまった子もあったようである。美由紀も途中で寝てしまったが、青葉も日香理も起こさずそっとしておいてあげた。
 
最後は近隣のお寺、禅祐寺からご住職と数人のお坊さんが来て、坐禅体験をする。全員、大ホールの椅子に座ったまま、目を瞑って瞑想をした。でも美由紀は小さな声で「ね、ね、そろそろお腹空かない?」などと言っていて、どうも瞑想ではなく迷想になっているようであった。
 
住職は警策を持って場内を循環していた。美由紀は軽く叩かれていたが、青葉の所に来て、ビクッとする。
 
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「君、お寺の娘さんか何か?」
と青葉に小声で訊いた。
「いいえ。でも私、既に住職の資格を持っているので」
と言ってニコっと笑って答える。
「それでか! でも君、それにしても凄いね」
「ありがとうございます」
 

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18時で解散になった。青葉・美由紀・日香理・呉羽の4人で一緒に帰る。
 
「丸2日、完全に女子として埋没して生活して、かなり女の子としての自覚が育ったんじゃない?呉羽」と美由紀。
 
「うん。頭の中がかなり組み替えられた感じがする」と呉羽。
「まあ女子高生としての通過儀礼みたいなものかな」と日香理。
 
「そうだ、青葉。お坊さんと小声で話してるの聞いたけど、青葉って住職の資格持ってるんだ?」
「持ってるよ。法衣と袈裟も持ってるし。親戚のお寺で檀家さん回ってお経あげてきたこともある」
 
「へー凄い。じゃ、学校出たら尼さんになるの?」
 
「ならないよー。私はアナウンサー志望」
「アナウンサーか。。。。それで裏家業は霊能者なのね?」
「そそ」
 
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「漫画みたいな設定だなあ」
「ふふふ」
 

学校を出るまでの間、青葉の仕事をセーブするということに関しては、青葉の「首席保護者!?」を自認する桃香が、春休み中に大船渡の慶子、高岡の詩子と会って話し合い、結局、高校在学中は、霊的な相談事については1件最低3万円+実費とすること(特別な事情がある場合を除く)と、週に1件を限度とすること(緊急の場合を除く)を決めた。それで青葉の岩手行きも取り敢えず高校在学中は月に1回程度とすることを決めた。また高校3年生の1年間は原則として、霊的なお仕事は休養することも決めた。
 
「でも青葉って休養してても仕事してそうな気がする」
と千里に指摘されていたが、
「それでも建前上休養中と言っておけば、かなり減らせるだろ?」
と桃香は言った。
 
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合宿明けの金曜日の新入生テストは、実施を告げられると教室内で
「えーーーー!?」
という声が上がっていたが、実際には半分くらいの生徒は行われることを知っていたようであった。
 
60分+休憩5分の変形時間割で、午前中に英語・国語・社会が行われ、午後から理科・数学が行われた。国語は現国2:古文1:漢文1の割合。社会は日本史・世界史・地理・政経、理科は物理・化学・生物・地学で各々4等分されて問題が出ていた。
 
「なかなかハードだったね〜」と帰り道一緒になった明日香が言う。
「頭がマラソンした感じ」と世梨奈も言う。
「そうそう。こういう試験は脳味噌の持久力が必要なんだよ」と日香理。
 
「私、結構ちゃんと解答できた気がする」と美由紀。
 
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「美由紀は入試の時、追い上げで凄く勉強してるから、それがまだ残ってるんだよ。美由紀の入試の成績って、内申点を入れると最低ギリギリだったかも知れないけど、純粋に入試だけの成績だったら、多分トップクラスだったはず」
と日香理。
 
「そうそう。私もそう思う」と明日香。
 
「補習のクラス分けでは恐らく、美由紀いちばん上のクラスに入れられるね」
「日香理やヒロミも多分いちばん上のクラスだろうね」
「青葉もでしょ?」
 
「うーん。私は微妙だと思うなあ。実はあまり勉強してないし」
「勉強より仕事たくさんしてたよね」
「うん。でもさすがに高校在学中はかなり仕事をセーブすることを、窓口になってくれている人たちと話し合って決めた」
「まあ、中学の時もちょっと仕事しすぎって感じだったね」
 
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