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■春声(2)

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食事の後は夜のパレードを見てからTDLを出る。舞浜駅でちょうど武蔵野線電車が来たので西船橋まで乗り、総武線に乗り換えて東千葉まで行って降りる。ここから10分ほど歩いて彪志の新居に到達した。途中のコンビニで食糧を少し調達していった。
 
「狭い所でごめんね」と彪志。
「ひとり暮らしだもん。100坪とかあっても仕方ないし」と青葉。
「そんなの掃除がたいへん!」
「掃除してる?」
「してない。昨夜は少し片付けたけど・・・・散らかっててごめん」
「あ、私そういうの全然気にしないから問題無い。姉ちゃんたちのアパートとか、床に本がピラミッドみたいに積まれてるし」
 
「桃香さんたちのアパートは2DK?」
「そうそう。2人暮らしだからね」
「2人暮らしなら1部屋では無理だもんね」
「あそこ、お友だちのたまり場にもなってるしね。布団4組あるもん」
「それは凄い」
 
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「ここ、シャワーあるんだっけ?」
「うん。一応」
「お湯出る?」
「出る。一応都市ガスだから」
「あ、それは便利ね。じゃ、シャワーもらっちゃおう」
と言って青葉が開けたのは押し入れの戸だった。物が落ちてくる。
 
「ごめん。間違った」
「いや。こちらもごめん。そこに色々物を押し込んだ。お風呂はそっちね」
「じゃ、青葉がシャワー浴びてる間に片付けてお布団敷いとく」
「うん」
 
青葉は笑顔でバスルームの中に入り、服を脱いで熱いシャワーを身体に掛けた。一緒にシャワー浴びよう、なんて言われたらどうしよう?と思ったけど、彼もそこまでは考えないかな・・・・・でも、シャワー気持ちいい! 1日TDLの中を歩き回ったので、さすがに足の筋肉が硬くなっている。青葉はそれを手で揉みほぐした。身体全体にシャワーを掛けながら自己ヒーリングで疲れを癒やす。
 
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あがろうとして「あっ」と思う。バスタオルが無い。
 
「彪志〜。ごめん。バスタオル貸して」
「あ、ごめん。置いてなかった」
と言ってバスタオルを持って来てくれる。バスルームの戸を開けて青葉に渡してくれたが、全裸の青葉を見て一瞬動きを止める。青葉はニコっとしてそれを受け取ると「ありがとう。また後でね〜」と言って手を振り自分で戸を閉めた。
 
身体を拭いてから着替えの新しい下着を身につけ、今夜のために持って来たPJの可愛いベビードールを着て外に出て行ったら、彪志が「うっ」と言って固まっている。
 
「どうしたの?」
「いや・・・その・・・・」
「お布団で待ってるね」と言って青葉はそのまま布団に潜り込む。
 
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彪志はすぐにバスルームに飛び込み、5分くらいで出てきた。
 
「カラスの行水だね」と青葉が布団の中から言う。
「いや、待たせちゃ悪いし」と言う彪志は裸である。
 
「お洋服着ないの?」
「着てもすぐ脱ぐし」
「確かに」
 
「青葉」
「ん?」
「好きだよ」
「私も好き」
 
彪志はそのまま布団の中に潜り込んでベビードールごと青葉を抱きしめた。
 

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翌日はお昼くらいまでのんびりと過ごした。昨夜はふつうの状態でHしたのだが、朝から例の「性転換パッド」のヴァギナ部分を青葉の身体の中には入れずに代わりにホールを装着して試してみた。青葉としてはあまり楽しくないのだが、彪志は気持ちよさそうにしていたので「それじゃ」と言ってテンガの4個セットを机の上に積み上げてあげた。
 
「これにハマっちゃったらどうしよう・・・・」
「高いからハマることは無いよ」
「確かに気軽に買える値段じゃないよね」
 
「これを入学祝いということにしようかな」
「それは勘弁」
「冗談よ。入学祝いはこちら」
と言って箱に入ったパイロット製ボールペンを渡す。
 
「立派そうなボールペン」
「そこに積み上げたテンガセットの4倍の値段のボールペンだから」
「わあ。凄い。大事に使うよ。ありがとう」
 
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お昼は待ち合わせて、桃香・千里と一緒に4人で焼肉屋さんで食べた。
 
「男女で料金が違うの見て、一瞬男何人・女何人だっけ?と考えちゃった」
と料金を払った青葉が言う。
 
「性別で料金決めるのは不合理だよね。少食な男の子もいれば、ギャル曽根クラスの女の子もいる」と桃香。
「いや、めったにそんな人はいない」と千里。
 
「でも私が悩んでるうちに、お店の人が女性3名・男性1名ですね?と言ってくれたから、それでいいことにしたけど」と青葉。
「それでいいと思うけど」と彪志。
「今度は彪志君を女装させて来ようか」と桃香。
「それはさすがにバレます」と彪志。
 
「今ふと気づいたけど、これダブルデートだね」と青葉。
「そうそう。ひとり以外はその見解に合意と思うね」と桃香。
千里は例によって笑っている。
 
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「昨日はディズニーランド楽しかった?」
「楽しかった! 去年お母ちゃんに連れられて行った時は、遊園地なんてものそのものが初めてだったから、全てが驚きの連続だったけど、今年は純粋に楽しめた」
「あそこは本当に楽しめるように作られているよね。しばしば儲かるようにとか、あまり金掛けずにある程度人が来るようにとか、不純な目的意識で作られた遊園地もあるけど、ディズニーランドは楽しめるものをという目的意識が明白なんだ。ひたすらマニアックなものを追求した感のある富士急ハイランドと、私は関東の2トップだと思うな」と桃香。
 
「私、富士急ハイランド苦手」と千里。
「昔、あそこ行って『ええじゃないか』に乗せられてトラウマになった」
 
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「私はジェットコースター大好きだけど『ええじゃないか』だけは遠慮しとく」
と桃香。
「でもあれ以外はけっこう楽しめるよ」
 
「そんなに怖いんだ!?」と青葉。
「俺もあれだけは乗りたくない」と彪志まで言っている。
 
「男の子はタマが縮むらしいね」と桃香。
「ああ・・・・じゃ、私は平気かも」と青葉。
「そういう意味だと、千里ももう平気かもね」と桃香。
「きっとタマの回転とコースターの回転が交換相互作用を起こして恐怖心を生み出すんだな」
 
「タマが回転したら大変だよ」と千里は笑いながら言う。
「あれって回転しないの?」と桃香。
「しないしない。回転したら血管や精索が恐ろしいことになる」と千里。
 
昼食後、千里が4人で散歩でもする?と言ったのだが、桃香は「おやつでも食べながらのんびりする方がいい」と言ったので、みんなで桃香たちのアパートに行き、その日の午後は、のんびりとした時間を過ごした。
 
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青葉が桃香のアパートに入る時「ただいま」と言ったので、彪志が
「へー。ここも『ただいま』なんだ」と訊く。
 
「そうだよ。高岡の家もただいま。桃姉・ちー姉の家もただいま。どちらも私の家だから」
「俺のアパートも『ただいま』にする?」
「結婚したら、そうする。籍関係無く、私たちが結婚したという意識になったら」
「了解」
 
その日は夕方の新幹線で高岡に帰還した。彪志が東京駅まで送ってくれた。
 

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東京から戻った週の水曜日、青葉は美由紀と一緒に、昨年10月に交通事故に遭い青葉のヒーリングを受けて回復した容子さんのお見舞いに行った。
 
「こんにちは。その節は本当にお世話になりました」
とお母さんが嬉しそうに青葉たちを歓迎する。
 
美由紀が付いてきたのは、最近北陸の仕事では詩子が「受付窓口」、美由紀が「営業担当」という感じになってきているためである。事故当日こそ来ていなかったものの、その後の追加ヒーリングの際は、いつも美由紀が「担当兼秘書」
のような感じで付いてきていたので、容子さん親子ともすっかり顔なじみである。
 
「でも入試もうまく行って良かったですよね」
「ほんとに。特例ということで別室で車椅子に乗って看護婦さん付きでセンター試験を受けられたし、大学はそれでセンター試験の成績だけで推薦入試枠に入れてもらって面接だけで済んだし。もう、事故の直後は1年浪人だなと思ったんですけどね」
 
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「左手の練習も頑張りましたよね」
「そうそう。右手は全然動かない状態だったもんね。でもマークできないとセンター試験はアウトだから、とにかく線だけでも引けるようにしようって練習して。でも後で聞いたら、そういう場合は代筆者付きでも受験できたらしいけどね」
「でも代筆での回答はそれがまた大変ですよ」
「うん。今ではふつうに左手で字が書けるみたいだし」
 
「まだまだ、かなり下手だけどね。まだほとんど動かない右よりはマシ」
と容子さん本人も笑っている。
「ノートもまともに取れないから友人のノートをコピーさせてもらってるんです。レポートは音声入力で書こうかなと思って、今システム調教中です」
 
「リハビリ進んでます?」
「右肩がうまく使えないので身体のバランスが何だか取りにくいのよね。でも少しずつ歩く練習しているところ。でももうしばらくは大学には車椅子で通う」
「ええ。無理してて道路で倒れてまた車に轢かれたりしたら大変です」
「それ、お医者さんからも言われました!」
 
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美由紀がこの日、青葉と一緒に行動していたもうひとつの理由は、美由紀自身の要請で、青葉に「観てもらいたい」案件があったからである。
 
容子さんの家を出た後、青葉と美由紀は、一緒に市内のドーナツ店で美由紀の思い人・N君と会った。先に青葉たちが着いたようで、カフェオレとドーナツを注文し、席で待つ。少ししてN君が現れ、コーヒーを注文してそれを持ってこちらの席についた。
 
バレンタインに美由紀は勇気を出してN君に告白してチョコを渡した。N君はチョコは受け取ってくれたものの、交際はできないと言った。美由紀は落ち込んでいたが、青葉と日香理で励まして再度アタックさせた。するとN君は「石井さんのことは好きだけど付き合えない」と言った。それでまた美由紀は落ち込んで戻って来たのだが「好きだけど」と言ってるのなら、押せば落ちると言って、青葉と日香理で再度励ます。そこで美由紀も猛烈なアタックをした。その結果、N君は意外なことを言い出したのだ。
 
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「俺の家系の男は、みな若死にする。その不幸に巻き込みたくないから俺は結婚しないことにしたし、女の子と付き合うこともしない」
と言うのであった。
 
すると美由紀は「そういう呪い的なものなら得意な子がいるから」と言って青葉を引っ張り出したのであった。
 
正直、青葉はその手の「呪い」には手を出したくなかった。過去に1度だけやむを得ず関わったことがあるが、命懸けの戦いになった。今回も美由紀から「呪い」と聞かされて、正直逃げ出したかったのだが、親友の美由紀の思い人であれば、見捨てる訳にもいかない。半ば渋々この場に出てきたのである。
 
この日青葉がN君から聞き出した主な内容は
 
・彼の本家筋の男子はだいたい20代までに死んでいる。
・本家の苗字は**と言って、その苗字の家系では、彼のひいおじいさんの妹さんがひとり生き残っているだけ。もう男子は残っていない。
 
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・彼のおじいさんは20歳前にN家に養子に来たおかげか34歳まで生きた。・彼のお父さんは42歳まで生きた。
・他にも**家から成人前に他家に養子に行った男子の中には30代・40代まで生きた人もいるらしいが、だいたい全てその後の家系が途絶えている。
 
・彼は3人兄弟のいちばん下だが、もうこの不幸は自分たちの代で終わらせようと言って、ふたりの兄(大学生と高校生)も、女性と交際しないようにしている。自分もそのつもりでいる。
・この「呪い」は多分少なくとも4〜5代前から続いているのではないか。
 
といったことであった。
 
「男だったら死ぬのか・・・・性転換したらダメかな」
などと唐突に美由紀が言い出すが、さすがに青葉がたしなめた。しかしN君はまじめに答えた。
「俺たち3兄弟は全員小学校に上がるまで女の子の服を着せられていた。名前も全員女の子でも通る名前なんだよな」
「えー?現代でもそういうのあるのね」
 
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