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■春歌(11)

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16:44発の「はくたか」に乗り込み、彪志と携帯のショートメールでチャット的に会話をした。
 
《今夜Hできる?》などと大胆に訊いてくるので
《もちろんだよ、マイ・ダーリン》と返信。
《ふふふ、楽しみ》と言ってくる。
 
こんな会話、声出しての通話ではできない。でもリアルでのHって8月に東京の冬子さんのマンションでして以来になるなあと青葉は考えていた。夢の中ではけっこうしてきたけど、向こうも飢えてるだろうなと思うと、笑みが出る。30分くらいこのチャットを続けた。
 
越後湯沢で東京行き「とき」に乗り換える。青葉は突然1年前のことを思い出してしまった。ちょうど1年前の3月9日に大きな地震があったんだった。大きな地震自体には慣れっこだから、やれやれと思いながら家の中の片付けをしてた。まさかあの時、2日後にあんな悲劇が起きるなんて、思いも寄らなかった。青葉は未雨のこと、飲んだくれていた母のことを思い出して涙が出て来た。だめだ、これ。落ち込んでしまうよぉ。
 
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青葉は席を立ってデッキに行き、座り込んで彪志に電話をした。
「どうしたの?」と彪志が優しい声で訊く。
「慰めて」と青葉は言った。
「よしよし、愛してるからね。泣いてもいいよ」
「うん。ちょっと泣く。今私少し泣き虫になっちゃった」
 
「青葉って、とっても精神的に強いから、それを知っててみんな青葉に元気出せって励ますと思うけど、青葉だって、時には泣いていいんだよ。涙が尽きるまで泣いてごらん」
「うん」
青葉は彪志と会話しながら、たくさん涙が出てくるのを放置していた。
 
でも、彪志と15分も会話していたら、かなり落ち着いてきた。涙も止まる。
「ありがとう。何だか気持ちが落ち着いてきた」
「元気になった?」
「うん。少し元気になった」
「じゃ、頑張ろうか」
「うん。私、頑張る」
 
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「でも泣きたくなったらいつでも電話していいからね」と彪志。
「うん。嬉しい時も電話するからね」と青葉。
「うん。どんどん電話して」
 
彪志に「ありがとう」を言って電話を切る。洗面台で顔を洗って席に戻った。
 

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大宮駅で「はやて」に乗り換える。「はやぶさ」に使われている新型車両だ。何だか乗り心地がいい! 岩手との往復は高速バスを使うことが多いのだが、さすが新幹線は高いだけあって、楽だよなあとも思う。
 
和実から《彪志くんどうだった?》というメールが入った。
《合格してた》と返信する。
《今夜岩手に行くの?》
《今、はやての車中》
《こちら、今佐野SA》
 
和実もちょうど今、東北に向かうところだったようである。あちらの目的地は石巻である。しばし和実ともチャット的メールのやりとりを楽しんだ。やがて《休憩終了。出発》とあったので《気を付けてね。安全運転》とメールする。《そちらも気をつけて。良き恋を》と和実。
《そちらも良き恋を》と青葉は送信して、チャットを終えた。
 
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一ノ関で降りて出口まで行くと、彪志が手を振っていた。傍にお母さんが立っている。お母さんに「ご無沙汰しておりました」と挨拶してから
 
「あらためて合格おめでとう」と彪志に言う。
「ありがとう」と彪志。
 
お母さんの車に乗り込み、彪志の自宅まで行った。
 
「晩ご飯はどうしました?」
「はい。母がお弁当作ってくれたので車内で食べました」
「じゃ、お夜食でも」
 
ということで冷凍ピザを焼く。
 
「でも彪志が千葉に行ったら、あなたたち少しは距離が近くなるわね」
「そうですね。でも時間的には大差ないです。今高岡から一ノ関まで新幹線と特急を乗り継いで5時間ですが、千葉までは4時間ですから」
「あれ?その程度だっけ」
 
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「新幹線ってのが距離を超越して速いからね」と彪志。
 
「更に今は、私岩手との間は月2回くらい往復してるので、そのついでに寄れるのですが、東京方面には用事がないので、どうしたものかと考えている所で」
「あらら、全然デートできなくなったりして」
「あるいは私が岩手に来る時に、彪志さんも帰省してもらうとか」
「あ、それ良い案!」とお母さん。
 

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お風呂をいただいてから、持参の花柄のパジャマを着て、居間にいるご両親にお休みなさいを言って彪志の部屋に行く。布団が2枚敷いてある。なんだか彪志がそわそわしている。
 
「そうだ。これ忘れないうちに。少し早めのホワイトデー」
といって彪志は青葉にホワイトチョコの包みを渡す。
「わあ、ありがとう」
と言って、青葉は彪志にキスした。
 
「ね、できるんだよね?」
「でもここ2階だから音が下に聞こえたりして」
「えっと・・・」
「ふふふ。愛してるよ、まい・だーりん」と言ってキスする。
彪志のキスがうわの空になっている。
 
「じゃ、疲れたから寝ちゃおう」と言って、布団に潜り込む。
彪志が悩んでるようだ。ふふ。悩ませちゃえ。彼はしばらくどうしよう?という感じで悩んでいたが、やがて意を決したようにズボンと上着を脱ぐと、青葉の布団に潜り込んできて「好きだよ」と言った。
 
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「私も好き」と言うと抱きついてくる。
「脱がせて」というと、上着のボタンを外していく。こちらも身体をうまく動かして脱がせるのに協力する。やがて、ブラジャーがあらわになる。ごくりとつばを飲み込む音。背中に手を回してブラのホックを外す。肩紐を外す。彪志は乳首を舐めてきた。
 
「おっぱい大きくなったね」
「タマが無くなってから成長速度が上がったみたい。今Cカップ付けてるの」
「夢の中のサイズと同じになる日も近いかな」
「あそこまで大きくならなくてもいいけどなあ」
「いや、あのサイズ、俺好き」
「ふふ」
 
パジャマのズボンを下げられる。パンティの上からあの付近を触られた。
 
「あれ?何か変」
「ふふふ」
「これ、クリトリス?」
「脱がせて確かめてみて」
 
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彪志は先に自分が脱いで全裸になってから青葉のパンティを脱がせた。戸惑うような顔。
 
「何これ?」
「性転換パッドっていうの。リアルでしょ?」
「見ただけだとまるで本物の女性の股間って感じ」
「リアルすぎるよね、これ」
 
「ちゃんとクリトリスもあるし」などと言いながら触って揉み揉みしている。
 
「これ付けたままおしっこもできるんだよ。ちゃんと女の子のおしっこ出てくる位置から出てくるの」
「面白い」
「ちゃんとヴァギナもあるよ。入れてみる」
「入れてみる!」
 
「事前に告知しておくけど、そこに彪志が入れると私は入れられている感触が味わえるようになってる」
「へー。どういう仕組み?」
「その穴が、私の穴にセットされてるから」
「青葉の穴・・・・。え?まさかあそこ?」
「うん」
「じゃ、あそこに入れるのと同じ?」
「そそ。でも人工ヴァギナは完全な筒状になってるから、直接あれの中身に接することはないよ。それに彪志、ちゃんとコンちゃんも付けてるしね」
 
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「うーん。。。仕組みを聞くと少し躊躇っちゃうけど、俺今日は飢えてるから入れちゃう」
「うん」
 
「う・・・硬い」と彪志。先端を入れる段階で苦労している。
 
「ごめんねー。私、そこに入れられるのに慣れてないから」
「でも頑張る」
彪志は何とか頑張って入れてくる。青葉はちょっと痛かったが我慢した。
 
「ふー。入った」と彪志は言っているが8割くらいまでしか入ってないようだ。でも自分の身体の中に彪志のものが入っているって、何だか物凄く幸せな気分。
 
「動かしちゃおう」
「うん」
 
彪志が出し入れする。。。。。これって・・・・気持ちいいじゃん!
 
凄くきついようで、そのせいで高速に出し入れすることができないようだ。そのためか逝くのに少し時間がかかったようだが、やがて彪志は青葉の中で果てた。力が抜けて体重を青葉の上に預ける。青葉は出し入れされるのは気持ちよかったが、自分は逝くことができなかった。でも彪志が逝ったことで満足した。彼の背中を撫でてあげる。彼はそのまま眠ってしまった。青葉も少し寝た。
 
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青葉が目を覚ました時、彪志はまだ寝ていた。結合したままである。青葉は目を瞑ったまま、頭を空っぽにして待っていた。やがて彪志が目を覚ました。
 
「おはよう!」「おはよう!」「気持ち良かったよ」「ほんと?良かった」
「あ・・・入れたままだ。ごめん」と言って、それを抜く。う、抜かれる時の感触が少し嫌な感じかな。彪志が抜いても、性転換パッドのヴァギナ部分は抜けたりせず、青葉の体内に留まっている。コンちゃんの外側に塗られているゼリーのおかげだろう。でもちょっと痛い。入れられている時はそんなに痛みを感じなかったのに、抜かれるとけっこう痛みを意識した。これってある意味、破瓜の痛みかもね、などと思ったりもする。
 
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「ね、ね、いつもの状態にはできる?」
「できるよ。楽屋裏見せたくないから、目を瞑って200数えて」
「200?OK」
 
彪志が目を瞑って向こうを向いてくれたので、青葉はいそいで性転換パッドを取り外すと、持参していたビニール袋に二重に入れてバッグの中にしまう。それから予め接着して疑似割れ目を作ってあった皮の中に、細長い器官を押し込んで収納した。通常のタックのできあがりだ。
 
「できた」と青葉が言うと、彪志が振り向く。
 
「あ、こちらの方が安心する」
「でも私7月に手術しちゃうから、あんな感じの形になっちゃうよ」
「実物ならあの形でも問題なし」
 
「今日は私も一緒に逝きたかったから、あそこにセットしたけど、入れずにテンガの中身みたいなのをセットする方法もあるよ」
「・・・今度会った時、その仕様でやらせて」
 
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「テンガって分かる?」
「そりゃ、男はみんな知ってるよ」
「使ってるの?」
「使ったことはない。そんなの親に見つかったら仰天される」
「じゃ、ひとり暮らしになったらプレゼントしてあげようか」
「うーん。。。。そんなこと言われると迷うじゃん」
 
「そうそう。私、借金返さなきゃ」
「借金?」
「これ。夢の中ではしてあげたけど、リアルではまだだったから」
と言って布団の中に潜り込み、彪志のアレを口に咥える。
 
「あ、待って、今出したばかりで敏感すぎるから」
「少し待った方が良い?」
「明日の晩、して」
「いいよ」
 
その晩はそのまま裸でくっついて寝ることにする。3月の岩手は寒い。
布団の外は室温7度だ。でも布団の中でふたりでくっついていると暖かい。
 
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「青葉さ、幼稚園の頃は立っちゃったことあるって言ってたよね」
「うん」
「それでいじって遊んだりしなかったの?」
 
「遊んだことあるよ。でもお母さんに見つかってさ」
「ああ」
「そんなので遊んでたら切っちゃうよって言われたんだ」
「俺は経験無いけど、そう言う親って結構いるよね」
「それで包丁持ってこられて、おちんちんの根元に当てられて」
「うんうん」
「私、切って欲しかったから『うん切って』ってお願いしたの」
「青葉ならそうだろうね」
「『ほんとに切っちゃうよ、いいの?』ってお母さんが言って」
「うん」
「『切ったらおまえ男の子じゃなくなっちゃうよ』って言われて」
「うん」
「私、『女の子になりたいから切って』って言って」
「ああ」
「そしたら、ぎゅって包丁押しつけられて」
「へー」
「ストンって切られちゃった」
「え?」
 
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「それで、私のおちんちん無くなっちゃったんだよね」
「ちょっと待て」
「切り落としたおちんちんは生ゴミの袋にポイ。凄く痛かったけど、これで女の子になれたと思うと嬉しかった」
「えーっと」
「血が止まるまで、生理用ナプキン当ててたよ。女の子パンティ持ってなかったから、その日はお姉ちゃんのパンティ借りたの。そして、もうおまえは女の子になっちゃったから女の子パンティ穿かなきゃって言われて、それまで仮面ライダーの男の子ブリーフ穿いてたんだけど、次の日お母さんがおジャ魔女の女の子ショーツ買ってきて、それを穿くようになったし、スカートも穿くようになったんだよね。幼稚園に入る直前の頃で、幼稚園の制服も男の子用を頼んでいたのをキャンセルして女の子用を注文しなおして、4月からは女の子として幼稚園に通ったの。もちろん男の子の服は全部捨てられた」
「あのぉ・・・」
 
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「だから、私おちんちん無いの」
「無いの?」
「私におちんちんあるの見たことある?」
「見たことないけど、10月に触った」
「きっと気のせいよ。私には、おちんちん無いはず」
「そうか?」
彪志は笑っていた。
 
「楽しそうね」
「今日は青葉が嘘つきだということがよく分かった」
「私、嘘ついたこと無いけどな」
「それが一番の嘘だ!」
 

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