広告:トロピカル性転換ツアー-文春文庫-能町-みね子
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■春波(10)

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11月上旬、春貴は私物整理でH南高校を訪れた時、インターハイで頑張った選手に、と校長に“鉄メダル”を託したのだが、高田晃だけは退部していたので、姉の舞花を通じて渡した。春貴は11月から翌年2月頃まで、舞花たちのクラブチーム“555”の指導をしていた、
 
ウィンターカップ予選が終わって連休明けのミーティングで、晃は1〜2年生に言った。
 
「春貴先生怒ってたよ。自分がいないからってウィンターカップ代表逃すなんて、あり得ない。みんな何やってんだって」
 
それでみんな、やる気を出して、春貴が退任させられたショックから立ち直り、練習に熱がはいった。また11-12月は晃の姉・舞花がフラミンゴに来て1〜2年生を指導していた。舞花は現在伏木の青葉邸に住んでいてウィングライナーで容易にH南高校に来られる。春貴は千里さんに頼んでウィングライナーのパスを発行してもらった。また金沢に住む愛佳や夏生、富山市に住む松夜も時々顔を出した。彼女たちにもパスを発行してもらった。
 
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これ以降、H南高校はOGによる集団指導体制ができていくことになる。
 
横田先生は指導中に事故とかがあったらいけないと言い、舞花たちにスポーツ保険にはいってもらった。
 
舞花は練習を頑張る1〜2年生にしばしば“カロリー補給”と称してヤマサキのサンドロールやムーランの水車饅頭などを配った。それで和気藹々とした女子バスケ部の雰囲気が戻って来た。9月はみんな退部してほぼ休部状態だったし、校長が交代して復活した10月もお葬式みたいだった。あの状態では勝てるわけが無かった。
 

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フラミンゴ前の“きつねうどん”のお店の人は
「皆さんしばらく見ませんでしたね。遠征ですか?」
などと言っていた。
 
谷町先生はここの、きつねうどんに呆れていた。
「これうどんより油揚げのほうが多いじゃん!」
「うどん入りきつねですね」
 
谷町先生はお魚の天麩羅などを追加して「美味しい美味しい」と言って食べていた。
 

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舞花は555の指導もしてもらっているアキさんに、相変わらずシュートがへたな百合を見てもらった。アキは富山B高校出身のプロバスケット選手の飼いネコ?で春貴の先生にも当たる。
 
「ああ、ゆりちゃんの悪い癖分かった」
と言って彼は百合の悪い癖を修正してくれた。アキによると、百合の身体の芯が、シュートの瞬間にぶれているらしい。
「ゴール下に素敵な彼氏がいて彼に抱き付くような気持ちで」
と指導した。
 
この修正の結果、百合のゴール確率は飛躍的に上昇したのである。
「こんなにゴールするなんて楽しい!」
と百合は言っていた。
 
アキの報酬は“ちゅーる”1袋である!
 

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11月上旬の連休明け、晃は美奈子の“髪”に呆れた。
 
「ビナ、その髪はどうしたの?」
「今朝バスの運転手さんに、ぼく、なんで女子制服着てるの?と訊かれて『性転換したんです』と答えてちゃんと女子の定期券で乗ってきた」
 
美奈子は丸坊主なのである。
 
「お母さん可哀想」
「母ちゃん悲鳴上げた。でも髪洗うのが凄い楽だった」
 
「“髪”が無いからね。ほんとに性転換する?」
「ちんちんあるのも悪くないなあ」
 
美奈子は男子トイレの使用を試みたものの
「こっちにはいるなら、ちんぽがあることを証明しろ」
と言われて入るのを拒否された。
 

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ちんちん欲しいと思っている、金沢の芳雄がその日早朝ジョギングをしていたら前方にいた女子中学生が2人、
「助けて」
と言ってすがりついてきた。何だ?と思って見ると10mほど先に体長1mくらいのツキノワグマが居る。芳雄は心の中で
「オーリン」
と呼びかけた。
「認識してる。あと3mくらい近づいてから熊に向かって正拳突きのポーズをして」
 
それでまず芳雄は4歩近づく。熊がこちらを認識して威嚇する。芳雄は右手拳を握り前に向かって「や」と声をあげて突き出した。熊が倒れた。熊はもう動かない。
「死んだの?」
と女子中生たちが恐る恐る訊く。
「ぼくが処理しておくから君たちは道を戻りなさい」
「はい」
 
それで女子中生達は後方に走り去った。
「オーリン、この熊はどうするの?」
「ぼくの朝御飯にするよ」
 
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熊の姿が消える。
 
あの子もワイルドな食生活してるな。そう思うと芳雄はジョギングを続けた。
 

その日長崎のひとみが早朝ジョギングをしていると、男がひとりまとわりついてきた。
「お嬢ちゃん、偉いね。朝からジョギングしてるの?」
「ね?ひとやすみしてぼくと少し話さない?」
「ひとりでのジョギングは不用心だよ。ぼくが付いててあげるよ」
 
そうだね。あんたみたいなのが出てくると危険だね。
 
その時オーリンの声が頭の中に響いた。
「ひとみちゃん、こういうことをして」
と彼女が内容を伝える。
 
ひとみは
「おじさん、危ないから、ちょっとどいて」
と言って手で男を横に押しのけると、右手の拳を握って「や」と前方に突き出した。
 
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前方に熊の姿が現れるが、熊は動かない。
しかし男は
「くまぁ!?」
と言って、腰を抜かした。しかし熊が動かないので、男は恐る恐る尋ねる。
「その熊君が倒したの?」
 
ひとみはファイティングポーズをして男に言った。
「おじさんもぼくと少し遊ぶ?」
「ま、また今度ね」
と言って男は這うようにして逃げ去った。
 
「オーリン、この熊はどうするの?」
「ああ。ぼくの朝御飯」
とオーリンが言うと熊の姿は消えた。
「でも熊なんて初めて見た」
「九州には熊は居ないからね」
「え?でもさっきの熊は?」
「ぼくが朝御飯用に捕まえた熊をちょっと見せただけ」
 
金沢から一度ここに転送したのである。
 
「ワイルドな食生活だね」
 
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でも翌日からオーリンは朝のジョギングに彼女のお友達という円子(まるこ:ポーラ/アリス・ダイアナの妹)という30代の女の人を伴走させてくれるようになった。
 

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11月から今年の羽田小牧主演『ぼくらは少年探偵団2』の撮影が始まったが、きららはセミレギュラーの少年探偵団員“山鹿やちよ”を演じてバイクで走行するシーンも撮影した。
 
(この役名は熊本のファンを狂喜させた。むろん山鹿の八千代座に由来する)
 
アクア版『少年探偵団』ではしばしばアクアや北里ナナがバイクで走行する場面が出て来て、ひとつの見せ場になっていたのだが、昨シーズンではこの走行シーンが無かったことから、スポンサーから不満が出ていた。
 
しかし羽田小牧は実はバイクに乗れない。自転車にも乗れないので結構深刻である。合成またはCGで走っているように見せる案はあったが小牧が
「そういう嘘はつきたくない」
と言った。
 
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それで、今年は小牧に代わってきららがバイクに乗るシーンを演じることになった。小牧も「煌君がしてくれるなら」と容認した。
 
初回の物語では、山鹿やちよと白鳥リズム演じる“松島ミミ”(*7)が色違いのninja250で前後して犯人のアジトに赴くシーンが撮影された。
 
きららはホンタのスクーターのCMをしているのでホンダ側にも照会したのだが、
「ドラマの演出上のことなら仕方無いですね。でもカワサキさんのCMはしないでくださいよ」というお返事で容認してもらった。
 
更にホンダさんはきららにCBR250RRを1台プレゼントしてくれた!
(先手必勝!話を聞いてカワサキもリズムにNinja250をプレゼントした)
 

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(*7) 江戸川乱歩の原作(正確には氷川瓏が代筆した子供向けに改作した版)に“松島ナナ”というアイドル歌手が出てくるが、リアルに松嶋菜々子という女優さんがおられるので、アクアシリーズでは苗字を変えて、北里ナナというキャラクターを作っていた。
 
昨年小牧シリーズを始める際、北里ナナの代わりに松島ミミというキャラを作り、白鳥リズムが演じている。リズムはバイクに乗れたが、小牧がバイクに乗らずリズムだけが乗ると主役がかすんでしまうということから昨シーズンではリズムのバイクシーンもいれられなかった。
 
ちなみにリズムはこの番組で唯一のレギュラーである。小林少年も二十面相も誰かに変装している設定だからである。(アクアシリーズでもレギュラーは北里ナナのみだった)
 
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今年は、きらら・リズムのダブルバイクハーンがかなりはいることになりそうである。
 
「山鹿君、君のバイクで追跡してくれ」
「はい、団長」
という感じである。
 

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なおこの小牧版で明智文代を演じている品川ありさであるが、予定通り11月に女の子を出産したので、1月の撮影から復帰予定である。
 
少年探偵団の撮影にいちばん影響の少ないタイミングとして2月妊娠・11月出産というのを計画し、予定通り妊娠出産に成功したのてある(実際には人工授精している。ついでに遠心分離機でX精子・Y精子を分離してX精子のみ投入した)
 

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11月中旬、明恵は氷見市の交通事故多発地点がその後どうなったかバイク(YZF-R25)で様子を見に行った。そして驚いた!
 
(このバイクは本来青葉のものだが、ずっと借りっぱなし。そろそろ青葉は忘れてるかも)
 
霊集団が物凄く小さくなっており、このままにしておくと、あと半月もすれば消滅してしまいそうである。
 
ドイルさん、こっそり何かしたな、と明恵は思った。
 
「あれ?ここにあった電話ボックス無くなってる。今みんなスマホ持ってるから公衆電話なんて使わないもんなぁ」
 

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P高校の理事長は播磨工務店の南田設計士に電話して相談した。
「野球場の屋根ですが、トタンはいくらなんでも酷いのではという人がありましてね。例えばスレートとかに変更は可能でしょうか」
「ああ、大丈夫ですよ。1億円くらい追加になりますが」
「払います!」
 
それで野球場の屋根はスレートで作られることになった。
 

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高岡P高校の男子バスケ部用体育館は12月14日(たつ)に完成した。男子バスケ部指導者には指導は未経験だが、日本代表にもなったことのある元プロバスケット選手の前山さんという人を外部指導者として招くらしい。
 
男子バスケ部用体育館の落成と同じ日に他の建設会社が施工していた野球部専用グラウンドも完成した。
 
(建設会社は起工・棟上・竣工などは必ず“建築吉日”に行うのでこういう日程は重なりやすい。また三隣亡はどこの会社も作業休日である)
 
それで播磨工務店による屋根取付工事が始まった。播磨工務店はグラウンドの周囲に長い鉄骨を20本立てるとその上に帆布を渡しグラウンドを完全に覆ってしまった。
 
「今の時期の北陸は雨や雪が多いので、こうしておかないと工事ができないので」
「あのお、これでもう完成でもよくありません?」
「さすがに帆布では長くもちません」
 
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また帆布の高さは90mで、屋根取付工事は70-80mだからよいが、地上には斜めに降り込む雨を防ぎきれないという。屋根ができてから壁を作るらしい。(建築物を上から作るのは播磨工務店のお得意)
 
しかし理事長は播磨工務店がこの鉄骨を20本立てて帆布を賭けるのをほんの3日ほどでやってしまったので、ほんとここは凄いと思った。
 

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高岡市立Z高校では、来年度以降は生徒を募集せず在校生が卒業したら廃校になるが、教師や事務員は新規募集をせず自然減にまかせた上で2027年3月で解雇されることになつている。
 
一方新設の高岡P高校は教師を取り敢えず20人ほど採用予定である。内10人ほどは既に「準備委員」として色々な準備(用具・備品などの用意)や生徒勧誘などの仕事をしている。
 
高岡市は12月、P高校に仰天の提案をした。
 
・来年の4月付けでZ高校を実質的にP高校に併合する
・現在のZ高校の生徒は卒業するまでZ高校の生徒だが、P高校で授業を受ける。
・現在のZ高校の教師の一部をP高校の教師に移籍し、主として2〜3年生を担当する。
・市からP高校に向こう2年間運営費を寄付する。
・市は1年生クラスの運用には口出ししない。
 
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2年後に廃校になる学校の校舎をわざわざ建てるわけにはいかないということから県立高校のどこかに間借りできないかということで最初計画され、比較的近くの高岡C高校と話し合いが持たれたのだが、C高校側に教室の余裕が無い問題、Z高校は市立・C高校は県立で各々の規定の調整が付かなかったこと、両校の校風が違いすぎて、C高校の教職員組合が難色を示したこと、などから市は規制のゆるやかな私立高校にターゲットを変更したのである。
 

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春波(10)

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