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■春波(8)
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目次 #
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「たくさんカバー曲も歌ったんですけど、懐かしい曲が聴けて良かったと言っていただきました」
「うん。『ポーラー』とか懐かしいと私も思った」
とケイが言う。
ケイがオーディションで優勝した時、年齢不足が分かって失格したので繰り上げ優勝になった篠田その歌のデビュー曲である。ケイ自身も伴奏に参加している。
ピアノ室での歌唱ではヒット中の『恋のレッスン』を朱美の伴奏で歌った。
この歌唱中、エリゼが間違ったら朱美は瞬間的に反応して歌に合わせてあげた。
「ごめんなさい。私間違っちゃって。NGでリテイクかと思ったら合わせて頂いて」
「歌って伴奏に合わせて人が歌っているように見せて実は歌い手に合わせて伴奏してるんだよ」
「そうだったのか」
「アクアとかも結構間違うけどバックバンドが合わせるから、聞いてる人は気付かないこともある」
「人間が伴奏するとそのあたりも何とかなりやすいね」
「まあアクアは誤魔化し方も上手い」
そしてこの日3組目は、海岸線を迎えた。これが新年最初の放送になる。
「海岸線の皆さんでーす」
「こんにちはー」
「デビューおめでとうございまーす」
「ありがとうございます」
彼女たちのデビュー曲は実はまだ発売されていない。年明け、この放送の直前に発売される予定である。
「皆さん、中高生ですね」
「はい。週末になると、学生から歌手に変身します」
「昔、ももいろクローバーさんが“週末ヒロイン”って自称してたね」
「それに近いですね」
「私高校は退学しなさいと言われるかもと思ってたけど、高校卒業までは土日だけの活動でいいよと言われたから」
「いい事務所で良かったね」
「ラピスラズリさんたちもずっと高校生とアイドルを兼任してましたね」
「うん。うちの事務所も高校までは行かせてくれる」
「海岸線って名前の由来は?」
「社長が鎌倉の海岸線を散歩してて思いついたそうです」
「波が岩に阻まれても回り込んで先に進むように、困難があってもめげずに頑張ってほしいという願いを込めたものだそうです」
「じゃ頑張らなきゃ」
「はい」
「デビュー曲は蓬莱男爵さんの曲だね」
「はい」
「蓬莱男爵の皆さん格好よくて、しびれました」
「醍醐先生は蓬莱男爵さんとも関わりがありましたね」
「彼女たちの引越を手伝っただけ」
「千里はまたそういう話が多い」
「雨宮先生がさ、トレーラー持って来て『あんたこれ運転して』というから、慌てて牽引の免許取りに行った」
「なんか凄い話だ」
「泥棒を捕まえてから縄をなうみたいな話」
「御飯が炊き上がってから茶碗を作り始めるような話」
「雨宮先生はそういう無茶振りが多いからね」
「それで私もケイもたいがい無茶をやらされている」
「私と千里のライバル心を煽って無理やらせてたね」
「当時は私とケイはまだ面識が無かったんだけどね」
ピアノ室の歌唱ではデビュー(予定)曲の『桜の約束』を歌った。
11月11日(月)、ひとみは6度目の生理になった。今回は生理前夜から3日目の夕方までちんちんと玉袋が消失していた。確かに生理が楽な気はした。
取り敢えずちんちんや玉袋がナプキンの粘着部分にくっつくこともないし!
春貴はおっぱい島に居る間、10月16日(水)に生理が来た。春貴の生理周期は全くデタラメだが、PMSでだいたい来る直前には分かるのでそろそろ来るなと思ったら夜用ナプキンを着けて寝るようにしている。
そして島から戻った後は11月13日(水)に生理が来た。日数を数えてみると前回生理の28日後だ。きれいに28日で生理が来たことなんて今までなかったのに!
ほんとに生理不順治ったかもと春貴は思った。
青葉と彪志は10月中旬にセックスした。
彪志も2022年6月以来2年ぶりのセックスだったが、Rは青葉分裂後初めてのセックスだった。彪志はこの時、自分がかなり女性化しているので射精する自信が無かったが、何とかできた。ひょっとしたらこれが最後の射精かもと思った。
11月中旬、青葉Rは「生理が遅れてるな」と思い、妊娠検査薬を使ってみた。
きれいに線が出た。
「あはは。あた〜り〜!」
青葉は彪志を連れて産婦人科に行った。
「おめでとうございます。妊娠しています。予定日は7月日7日です。戌の日は1月29日です」
ともかくも診断書をもらい、一緒に母子手帳をもらいに行った。妊娠したことは、双方の親、およびコスモス、〒〒テレビの石崎部長にも報告した。
でもコスモスは
「片方だけですよね?おふたり同時妊娠ではないですよね?」
なんて言っていた!
11月15日(金)、関東以南では七五三である。マリ家ではこの子たちが該当した。
学年似7:あやめ・夏絵
数え5歳:大輝(大奈)
数え3歳:かえで
ただし、かえでは確かに数え3歳だが、まだ小さいので来年検討することにした。それで、今年はあやめ・夏絵・大奈の3人が七五三をすることにした。3人とも赤い女物の着物を着せてお宮参りし、記念写真を撮った。マリは大輝に男物の服を着せる気は全く無かった!
「あたしずっと女の子なのかなあ」
「ちんちん無くなっちゃったんだからもう女の子だよ。おとなになったら、お嫁さんになれるよ」
「およめさんかあ」
一方、浦和の千里家では、緩菜と由美が年長さんなので、七歳の七五三をした。こちらでは難しいことは何も考えてない。千里が「緩菜と由美が年長さんだから七五三だよ」と言うので、桃香も何も考えずに2人に赤い和服を着せ、一緒に神社にお参りに行って来た。
マリは
「子供の性転換手術してくれる所知らない?」
などと怖いことを言っていたが、千里は言った。
「幼稚園くらいまではいいけど、小学校にはちゃんと男の子の服で行かせなさい。最終的に本人が女の子になることを望むなら女の子にしてあげるよ」
マリは不満そうだった。
「取り敢えず貴子を性転換させよう」
「結婚式までは待ちなさい」
「亮平も性転換させよう」
「妃登美ちゃんがいいと言ったら」
一方千里家では、戸籍謄本を取ってみて、緩菜の性別が女になっているのに貴司は首をひねっていたが、本人が完全に女の子の性格なので、来年女の子の服を着せて小学校にやることには貴司も異論は無いようだった。緩菜を女の子として育てることには、法的な生母である美映も同意見である。貴司は緩菜の血液型問題にも気付いていない。
(貴司がB型・美映がO型なのに緩菜はA型である。緩菜は戸籍上は貴司と美映の子供ということになっているが、本当は信次(O)と千里(AB)の子供である。このことには最初桃香が気付いた。桃香と(一部の)千里だけが知っている)
11月中旬、高岡P高校の女子バスケ部専用体育館ができたので、見てくださいというので、春貴は見に行ってきた。さすが播磨工務店は仕事が速い、と思う。
フラミンゴと同仕様である。1階はバスケットのフルコート(28mx15m)がひとつ取られており、2階にジョギングコース、シュート練習場などがある。地下には25mプールもある。別棟で会議室・トレーニング室・宿舎が付属している。
「トレーニングルームはどんなマシンいれましょうかね」
「そうですね。まずしトレッドミル(ランニングマシン)・エアロバイク・ローイングマシンを3台ずつかな」
「なるほど」
「あと腹筋運動用に低いバーを」
「ああ」
理事長さんがメモしていた。
地下のプールも見る。
「プールまで作って頂いたのは感謝です。腰に負担掛けない筋トレにいいんですよ」
「ああ」
「早速泳ぎたい気分だ」
「泳いでいいですよ」
「そうですか」
それで春貴は水着に着替えると、軽く100m個人メドレーをしてきた。
「速いですね!」
と理事長が感心していた。(この手のパフォーマンスはわりと大事)
なお隣にも同程度のサイズの体育館が建設中だった。そちらは男子バスケ部用ということである。男子用体育館はプールを省略し、トイレの構造が少し違うらしい。
女子バスケ部用体育館は白い外装で“白鳥”、男子用はグリーンに塗装して“隼”と命名される。
春貴の新しい家も11月下旬に完成したのですぐ氷見市のアパートから引っ越した。
ここはウィングライナーの新駅予定地から100mの場所らしい。
「毎日駅まで100mダッシュできるよ」
「あはは、健康にいいですね」
親には色々言われそうな気はしたが、報せないわけにも行かないので、両親にも報せ、招待した。
「結構立派な家じゃん」
「県立高校の退職金を頭金にして毎月5万の30年ローンだよ。まあ家賃程度で自分の家が手に入るから」
(本当は退職金なんて無かったしローンでは無く現金で払っている)
「ああ、それもいいかもね」
「でもあんたお嫁に行く時はどうするの?」
「学校の先生はたっぷり産休がもらえるから大丈夫だよ」
「庭が凄く広いね」
「最近の家って建蔽率が厳しいから、広い庭を取らないといけないんだよね」
「ああ。うちなんて敷地ギリギリに建ってるもん」
「今はそういう建て方は認められないんだよねー」
「仏間(応接室)も広い」
「生徒が来て大会の打ち上げとかできるように広く作った」
「ああ、先生の家でパーティーとか楽しいよね」
11月下旬、ひとみの中学では校内マラソン大会が行われた。
その前夜、オーリンが出て来て言った。
「ひとみちゃん、明日のマラソンではこれ着けときなよ」
と言って布のようなものを渡す。
「なあに?」
「スポーツブラだよ。女の子が激しい運動する時はこのくらい着けておかないと胸が揺れて痛いから」
それで着けてみて驚く。
「凄いがっちり押さえるね」
「運動の時だけね。普段は強すぎて痛いから」
「分かった。ありがとう」
それで、ひとみは大会前に更衣室で体操服に着替える時、普通のブラを外して、このブラをした。結果思いっきり走ることができて、陸上部の子、バスケ部の子に続いて3位で、銅メダルをもらった。厚紙に銅色の塗料を塗ったものだが。
大会が終わった後着替えてたら「それ見せて」と言われたので見せた。
「なるほどー。こういうので胸を押さえていたのか」
「しっかり押さえないと胸が揺れて痛いからね」
「女子はたいへんだよね」
ユウカちゃんが訊いた。
「これ売ってる所教えて」
「今度聞いとくよ」
それでオーリンに訊いて教えてあげた。オーリンにはキットカットをあげた。
オーリンは言った。
「もうちんちん使わないよね。取っちゃおうか」
「嫌だ」
「邪魔なだけなのに」
11月下旬、礼音の高校でもマラソン大会があった。礼音はもちろんスポーツブラを着けて出場した。女子の部に出るよう言われたが、男子の部に出たいと言って、そちらに出て5位だった。校長先生から賞状をもらったが「男子の部で5位って凄いね」と言われた。男子たちにも
「広中さん、女子の部で出たら優勝だったのに」
と言われた。
オーリンは
「競技中は本当に女の子になってるんだから女子に出てもよかったのに」
と言っていた。
競技中というより学校にいる間は女の子になっている。彼が男の子になっているのは平日に仕事をしている間、夕方16時から22時までの6時間ほどのみである。土日は1日中女の子だから日光に行った時も鬼怒川温泉を含めてずっと女の子だった。
11月下旬、谷町先生は困ったような顔をしてキャプテンの彩に相談した。
「年末年始の新人戦でヘッドコーチはE級コーチのライセンスが必須と書いてあるんだけど、どうしよう」
この先生の場合、コーチライセンス前にバスケルールの勉強が必要だよなと思う。
「3年生の高田晃さんがE級コーチのライセンス持ってるから、頼めばいいですよ。それで先生は単に引率として付いてきてくださればいいんです」
「ほんと?聞いてみる!」
つーちゃんは真珠に言った。
「ネタが無いなら、妾(わらわ)が歌でも歌おうか」
「ぜひお願いします」
「何歌う?『新春新人シャンソンショー』でもしようか?」
「いえ、ぜひ童謡で」
こんな小さな子が『愛の賛歌』とか『枯葉』とか歌ったら変だ。
それで
『あんたがたどこさ』(毬搗き付き)
『ちょうちょ』
『手をつなご』(おともだち11人共演)
『ウミ』(ウミはひろいな、おおきいな)
『村祭り』
『雪やこんこ』
『春の小川』
『月の沙漠』
『お山の杉の子』
『鞠と殿様』(毬搗き付き)
などと歌った
11月29日(金)の霊界探訪では、立山煌と行った日光、東京の局でも話題になった、きらら本人が歌う『おお、きらめき』。“明恵・希望・双葉の能登半島バイクツーリング、つーちゃんの童謡歌唱ショー”、定点観測などのレポートをした。
なお『おお、きらめき』は東京の局で歌った時は
「私のおうちは、とやまなのよ。深い山の奥にあるの」
という歌詞を使ったのだが、この霊界探訪版では
「私のおうちは、南砺(なんと)なのよ。5つの谷(たに)の間にあるの」
という歌詞を使用した。彼の出身地である南砺市の“五箇谷間(ごかやま)”という地名を説明したものになっているが、南砺にしても五箇谷間にしても北陸の人には分かるが、東京の人には分かりにくい。
(近年では“五箇山”と書かれそれが正規の書き方になっているが、これは本来は誤記が定着したもの)
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春波(8)