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■春波(6)

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ところで立山きららは4〜9月には『銀座アルジャン亭』というドラマでセリフの無いウェイトレスを演じていたのだが、きららの評価は日増しに高まり、とうとう10月からのドラマ『四季・水の調べ』で、セリフのある役として主人公の“妹”を演じることになった(主演は三浦美凉ちゃん)。そしてとうとう、多くの人が推察していたように、きららが女の子の声も出せることを明らかにした。
 
騒ぎが大きくなる前に、コスモスはきららと一緒に記者会見した。
「別に隠していたわけではありませんが、男役で出る時は男声を使っていただけです」
「やはり去勢しておられます?あるいは女性ホルモンを摂取しておられます?」
「いや、去勢とかホルモンとかいう問題ではなくて、男性的に聞こえる声も女性的に聞こえる声も、どちらも単なる発声法なんですよ。ぼく“1人男女デュエット”とかもできますから」
と言って、きららは薬王みなみとのデュエットでヒットした『変わらない距離』の1人デュエットをやってみせた。記者たちから拍手が沸き起こる。
「これはもう立派な芸やね」
と##放送の名物記者さんが言った。ここから立山煌&立山きららの1人デュエットショーが始まってしまったのである。
 
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きららは求めに応じて
 
『ふたりの愛ランド』
『恋音と雨空』
『銀座の恋の物語』
『美女と野獣』(英語)
『森の熊さん』
『おお、きらめき』(*2)
『カナダからの手紙』
『ロンリーチャップリン』
『3年目の浮気』
『男と女のラブゲーム』(未成年にお酒の歌をリクエストするなよ)
などなど10曲以上の1人デュエットを披露して、もはや去勢とかホルモンとかいう問題はどこかに行ってしまった。
 
大まかなシナリオを考えたのは、ひまわりだが、きららの度胸に賭けたコスモスの作戦勝ちだった。
 
途中からテレビを見た人は立山きららのナツメロ歌謡ショーかと思ったようである。
「この子古い曲をよく歌うねぇ」
と感心していたようである。でもよくあった視聴者の声
「なんでカメラはデュエットしてる女の子側だけ映して男の子側は映さないの?」
「この女の子は今売り出し中のきららちゃんだよね。デュエットしている男の子は誰だろう?カメラが全然映さないから分からない」
 
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(*2)『おおブレネリ』の替え歌。動画サイトにきらら似の女の子のアニメ付きで公開され、話題になった。
 
(男)
おお、きらめき。あなたのおうちはどこ?
(女)
私のおうちは、とやまなのよ。深い山の奥にあるの。
やっほー。デーデレコデン、ヤッホ、デデレコデン。
 
これをきらめき本人がやったのが凄い。実はガールズたちにせがまれて寮ではかなりやっていた。もちろん1人男女デュエットで!
 
なお「テデレコデン」は彼(彼女?)の出身地・南砺(なんと)市の民謡『こきりこ』のハヤシことば。
 

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彪志が務めている南砺市のUDD事業化準備室は、最初の1年は薬のドローン配送をする上での問題点洗い出しとか、より安全な飛行ルートの開拓とかをしていたが、2024年春からは、事業化に向けて、ドローン操作の訓練に事業の中心が移った。50人ほどの研修者が来て、操作の練習に励んでいる。ここは敷地も広いし、大きな体育館もあるので、操作の練習をするには最適である。またウィングライナーの路線にそってFPV(一人称視点)で長距離飛ばす練習もできる。
 
彪志たちは、操作の訓練と共に、トラブルが起きた時のケーススタティについても指導していった。
 

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青葉はオリンピックが終わって8月上旬に帰国してから、まずは霊界探訪編集部でたまっていた細かい作業をたくさん片付けた。それと同時に、氷見市の交通事故多発地点の処理で8月から10月前半くらいまで忙殺された。それで久々に彪志とデートできたのは、10月中旬だった。彪志と青葉は同じ家に住んではいるものの、青葉が忙しそうなので、彪志も遠慮していたのである。
 

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ところで、2023年3月に紗織を出産したのは青葉Lで、2024年7月のオリンピックに出場したのは青葉Rである。Rの身体にはいっているのは青葉自身の遺伝子を持つ卵巣だが、Lにはいっているのは、実は小さい頃に亡くなった彪志の姉・銀杏の卵巣である。Lが妊娠した時、彪志にはいっていたのは実は青葉の睾丸だったので、紗織は遺伝子的には、青葉を父とし、彪志の姉を母とする子供だった。つまり青葉は自分を遺伝子的父とする子供を妊娠していた。
 
しかし彪志の睾丸はその後彪志自身の遺伝子を持つ睾丸に交換された。それで、青葉と彪志の次の子供は、睾丸が更新された彪志と青葉Rの間で作ることになっている。(Lとでは姉弟で子供を作ることになってしまう)
 
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そのRはオリンピックまではセックスを控えていた。オリンピックが終わり帰国してからもずっと忙しくしていた。その間、アクアの楽曲もかなり制作しているが、そちらは主として出産して1年半たちだいぶ感覚が戻ってきたLが書いている。
 
そして10月中旬、前校長を轢き逃げした人が捕まり、事件も一段落したところで、ある夜、Rはワインの瓶とグラスを持って彪志の部屋に入った。
 
「彪志忙しそうだね」
「青葉には負けるよ!」
「これパリで買ってきたワイン。一杯飲まない?」
「もらう」
 
それで栓を開け、ふたつのグラスに注いで乾杯した。
「お疲れ様」
「お疲れ様」
「ワインのおつまみに“私”も食べない?」
「もらう」
 
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警察と消防は高岡市立Z高校の火災原因について、火元付近の燃えかたの分析から、男性職員更衣室でのタバコと断定した。同校の50代男性教師が「自分がちゃんと消火を確認しなかったかも」と言って退職した。教師は退職金も辞退した。実際にはZ高校の男性教師で喫煙者は3人おり、誰の不始末だったのかは分からない。
 
市はP高校の校舎を完全に禁煙とし、喫煙室も閉鎖した。(P高校開校前に撤去された)
 

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桃香が子供たちの所を回るのはだいたい2ヶ月に一度である。熊本と長崎はいつもまとめて行っており、4月・6月の後は8月だったが、10月はうまく時間が取れず11月上旬の連休になった。
 
桃香Aの担当
 
茨城の絵理・中3(辞退)
神奈川の光・小6(辞退)
栃木の秀樹・小6
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千葉の来紗・小5
千葉の伊鈴・小4
 
辞退した子の所には新しい“お父さん”がいるから桃香は訪問もしない。母親に毎月1万円送ってあげるだけである(お小遣い)。
 
桃香Bの担当
 
金沢の芳恵・高1
砺波の瑞季・中3
富山の珠那・中2
長崎のひとみ・中2
熊本の美甘・中1
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浦和の早月・小1(桃香の実の娘・法的にも娘)
浦和の由美・年長(桃香の実の娘)
 
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珠那・ひとみ・美甘の3人は桃香が誕生に立ち会っているし、小さい頃よく桃香が連れて回っていたので、友人達にも比較的名前が認識されている。
 

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(*3) こういう場合、事実上、虚空(丸山アイ)の子供である小空・小歌は含めない。
 

以前康太(ひとみ)に女の子の服を着せて、珠那に会わせたことがあるが、今回桃香は九州組と北陸組の全員顔合わせをすることにした。自分が早く死んでしまったような場合に姉妹で精神的に支え合ってもらえたらという思いからお互いの存在を知らせておくのである。
 
11月1日の夕方、熊谷から千里のホンダジェットで長崎空港に飛んだ。きーちゃんの車で熊本に移動しホテルで一泊する。翌日2日(土)、美甘を拾い、長崎まで走ってひとみを拾う。ふたりは久しぶりに会うので手を取って喜んでいた。
 
長崎空港に行き、ホンダジェットに乗る。
「こんな小さな飛行機ほんとに飛ぶの?」
などと初めてこれを見た美甘は言っている。この子たちにSR-22を見せてやりたいくらいだが、プロペラ機では九州−北陸間は時間が掛かりすぎるのである。特に風上に飛ぶ帰路が辛い。
 
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離陸すると、美甘が「ほんとに飛んだ!」などといってはしゃいでいた。
 
ひとみも2年ぶりである。1時間半どのフライトで富山空港に着陸する。サハリンにセレナで迎えに来てもらっている。富山市内で珠那を拾う。ひとみは2年ぶりの再会で喜んでいた。砺波(となみ)市に移動して瑞季を拾う。ひとみも美甘も初めてだが「よろしく」と言って握手していた。そして金沢に出て芳恵を拾う。芳恵は男子制服を着ている!
「お前達の総領(そうりょう)の芳雄だ。芳雄、みんなお前の妹たちだぞ」
 

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それで芳恵は4人と握手していた。芳恵以外の4人は全員セーラー服である。
 
まずは金沢市内の“海天すし”に連れて行くと、みんな「美味しいー」と言っていた。芳恵は
「ここと氷見の“きときと寿し”が双璧なんだよね」
と言っていた。
「安物好きの父ちゃんにしてはいい所に連れてくる」
「食べ物と医者はケチってはいかん」
と桃香は言った。
「父ちゃんの言葉とは思えん」
 
食事のあと金沢市内の“21世紀美術館”に連れて行くと“プール”などで、みんな面白がっていた。そのあと兼六園・尾山神社・老舗記念館、友禅工房と見せる。
「お前達の成人式の時は振袖5つ作ってやらんといかんから大変だ」
「5つってお兄ちゃんも振袖着るの〜?」
「ちょっと簡単な手術受けると着れるようになるぞ」
「そんな手術受けたくない」
 
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桃香は昔から、芳雄とひとみは性別逆だったら良かったのにと思っていた。芳恵はサッカー部のエースでバレンタインもよくもらってるらしい。
 
クラソ・プレイス香林坊(旧・香林坊109)でお洋服を買ってあげたが、桃香はセンスに自信が無いので、芳恵の母ちゃん・友香を呼び出して見立ててもらった。友香はひとみを含む4人に可愛い服を選び、ついでに芳雄にまで
「女装に目覚めるように」
と言って可愛いブラウスとチェックの膝丈スカートを買っていた。
「これを僕が着るの〜?」
「性転換してお嫁さんになってもいいよ」
 

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芳雄はトイレも男子トイレを使っていた。ちゃんと小便器を使えるようになっていて、桃香と連れションした。
 
洋菓子屋さんでケーキを食べたあと、ビーンズ(大型書店)を見てから、サイゼリヤで夕食をとって金沢市内のアパホテルで一泊する。
 
翌3日は射水(いみず)市に連れて行き帆船・海王丸(横浜の日本丸の姉妹船)を見せた。橋巡りの遊覧船に乗せてから、お昼に高岡駅で“ちゃんぽん”を食べさせる。うどん・そばがどんぶりに半々はいっているものである。
 

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「東日本と西日本の境界線だから、うどん文化とそば文化の境界線で、こんなものができた」
 
北陸組は知っていたが、九州組は面白がっていた。
 

(2018.2撮影)
 
もっとも本当の東日本と西日本の境界線は富山市内の呉羽山なので、高岡市は実は西日本文化圏である。なお西日本でも福井県は、そば文化圏。
 

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午後は高岡大仏を見せてからウィングライナーに乗せて、まずは南砺市に連れて行く。
 
「あれ?これに乗れるの?」
と北陸組。
「この切符は?」
と九州組。
 
「1日パスを発行してもらった」
と言って桃香はパスを全員に配った。
 
「これはD製薬とムーランの内部交通機関なんだけどね。知り合いが関連会社に勤めているからパスを発行してもらったんだよ」
「へー」
 
「なんかそもそも改札が無いような」
「内部用だからな」
 

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南砺市のD製薬で、彪志君に頼んでドローンの実演を見せてもらった。彪志君自身については
「妹のお友達の月子ちゃん」
と紹介した!(性別の面倒な人が多い!)
 
しかし“女性用紳士スーツ”を着ている月子を芳雄が憧れの目で見ていた!
 
そのあとまたウィングライナーで伏木の家に連れて行き、朋子に会わせる。
「母ちゃん、これみんな私の息子・娘たち」
「元気そうな子たちだね!」
 
「でも女の子が多いね」
「私は早く逝くからな」
 
意味が分からない子が多かったが、芳雄が解説した。
「セックスの時、早く射精すると女の子ができやすくて、ゆっくり射精すると男の子ができやすいんだよ」
「へー!」
「ヴァギナって普段は酸性に保たれてるけど、女が感じるとたくさんアルカリ性の愛液が出て中和される。Y精子は酸に弱くX精子は酸に強い。ゆっくり射精してもらうと女は充分気持ち良くなれて愛液がたくさん出るからY精子が生き延びられるようになる。つまり父ちゃんはへたくそなんだな」
「すまん」
 
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ピアノ室でひとみが『くるみ割り人形』の『行進曲』を弾いたが
「スタインウェイなんて初めて触った」
と言っていた。他の子たちはピアノ室が広いこと自体に感心していた。瑞季も恐る恐る『エリーゼのために』を弾いていた。
 
「妹は音楽の先生をしているから、このピアノを鳴らすためにこのピアノ室を建てたんだよ」
「へー」
「スタインウェイという楽器はまともな音を出すのに最低この広さが必要らしい」
「わあ」
「ヤマハのピアノは日本の普通の六畳とかでも何とか鳴るようにできている」
「なるほどー」
 
サンルームでは、芳雄が、彪志君からプレゼントしてもらった小型ドローンを早速飛ばして遊んでいた。このままサンルームで夕飯に焼き肉を食べる。
「安いオージービーフで済まん」
「いや、安い物が好きな父ちゃんらしい」
「松阪牛もオーストラリア牛も牛には変わらん」
「父ちゃんの通常運転だ」
 
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この日はこの家に5人泊めた。
 

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