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■春波(2)

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10月5-6日(土日)、青葉はミュージシャンアルバムの取材をした。実は放送日程が切迫はており、10月5日に収録したものを翌日、10月6日に放送しなければならない!それでこの日最初に取材したのはまた身内で恋珠ルビーである。青葉のパリ五輪出場の間の変則日程で“身内”を使っているが、こんなに身内がいるというのは、§§ミュージックはほんと凄い事務所だと多くの人が思った。この他にまだ、ルビーの相棒?のパールとか七尾ロマンもいるし、花咲ロンド・石川ポルカ・原町カペラ、更には川泉パフェ・月城たみよ、広瀬みづほ、生駒クリスに桜野レイアとまだまだ控えている。更に桜貝やFlower sunshineも使える。
 

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「恋珠ルビーちゃんでーす」
「こんにちはー」
「ルビーちゃんて、常滑真音ちゃんの保護者ですよね」
「なんかそういうことになってますね」
 
朱美は簡単に説明した。
「常滑真音ちゃんがデビューした頃、最初は色々たいへんだったのをあれこれ指導したり、助けてあげていたんですよね」
「私とか白鳥リズムちゃんとか、セレン・クロムなんかがそのグループですね」
 
舞音、ルビー、セレン・クロムはビデオガールコンテストの同期である。朱美は曖昧な言い方をしたが、舞音がオーディションの12位という低い順位からデビューし、売れ始めた時期、信濃町ガールズの中には、「凄い。頑張ってね」と応援する子たちと、「12位のくせに」と嫉妬する子たちがあった。そんな中で「この子に何かしたら、ただじゃおかないからね」と言って舞音を守ったのがルビーだった。
 
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「一応私まだうちの事務所の“特待グループ”の中にいるみたいだし」
「だいぶ競争が激しくなってきましたよね」
 

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特待グループというのは、§§ミュージックの歌手の中で定期的に(約3ヶ月に一度)シングルを出してもらえる歌手である。このグループの歌手はランキング1位を狙えるように、発売日をずらして発売してもらえる。3ヶ月は13週だからこれは定員13である。1年目まではここに入れてもらえるので、現在、生駒クリスがこの扱いを受けている。残りの12の内、アクア、北里ナナ、常滑舞音、ラピスラズリ、立山煌、薬王みなみ、白鳥リズム、恋珠ルビー(沖縄組)、ロマン&ポルカの9組が安定して優先扱いされており、残り3つの枠が残る全員で奪い合いになっている。原町カペラのように「アクアや舞音ちゃんと同じ発売日でも水曜日以外でもいいですから」と言って年に1〜2枚のシングルを出してもらっている子もいる。
 
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「最近は“沖縄組”ということで一緒に活動していることもありますね」
「ええ。うちの事務所には“沖縄組”とか“北陸組”とか仲の良いグループがいるんですよね」
「元々は信濃町ガールズの各地方支部で一緒にレッスン受けてた子たちですよね」
「ですです。まあ各支部で強力なライバルだった子たちですね」
「そういう訳で、沖縄組は恋珠ルビーちゃん、花貝パールちゃん、夕波もえこちゃんの3人ですね」
「世間では男の娘3人組と思ってる人もあるみたいで」
「あはは。全員男らしいですからね」
「3人とも遠泳で2-3km泳げるし懸垂10回くらいできますよ」
「偉い偉い」
 
「先日『シンドルバット』で、坂本まりかさんを泳いで助けあげるシーン、評価高かったですね」
「一応ライフセービングの講習は受けてますから。でもあれ坂本まりかさんは実際には泳げるんですよ。それでどうやったら溺れているように見えるか分からないと言って、女性のADさんが溺れる演技の見本をやらされてました」
「それ演技ではなくて本当に溺れているのでは」
「ADさんって大変ですね」
 
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「でも『シンドルバット』好評ですね」
「1クールで終わるかと思ってたら結構続いてますね」
「本来はアクアの代役だったんですが、シンドルバットといえばルビーと思って頂いているみたいで嬉しいです」
「まあアクアがシンデレラを演じたこと自体が事故みたいなもんだし」
 
アクアにシンデレラを演じさせるために“男装する美少女”という設定が作られた。そこからのスピンアウト作品だが、もう3年目にはいっている。レギュラーは、シンデレラ(男装名:シンドルバット)役のルビーと運転手(シンデレラの御者相当)役の松田理史以外は結構配役が交替している。
 
演奏はその『魅惑の美少女・シンデレラ=シンドルバット』から『西へ東へ』を歌った。花貝パールと、夕波もえこの代役で早幡そらが、コーラスを入れた。夕波もえこは、あけぼのテレビの仕事で極めて多忙である。もえこが居ないと全番組を1人でコントロールする羽目になる鈴鹿あまめがパニックになる。
 
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この日2組目は、更に身内でスイスイ(水谷姉妹)を招いた。
 
「スイスイのおふたりでーす」
「こんにちはー」
「双子みたいに似てるけど、ふつうの姉妹ですよね」
「はい。兄弟ではありません」
「一緒にお風呂はいったことあるから、ちんちん付いてないのは間違い無いです」
「最近はちんちんの無い男の子もいるらしいですよ」
「難しいなあ」
「そうなると、何をもって男とか女というのかの基準が難しいですね」
「もう見た目でいいんじゃない?」
「そうだね。だからアクアは女の子、きららも女の子でいいと思う」
「賛成!」
 
例によってケイは困った顔をしているが、千里は笑っている。
 

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「スイスイという名前はアクアが付けたんだったね」
「はい。水谷康恵と水谷雪花で、水・水だからスイスイということで」
「水谷って本名じゃないよね」
「芸名でーす」
「本名は溝口なんです」
 
「本名で活動していると、引退したあと名前を名乗る度に『あれ?歌手してませんでした?』とか言われるから、引退した時に普通の女の子に戻れるように、原則としてうちの事務所では芸名を使うんです」
「今まで本名で活動したのは大宮どれみちゃんとか、ごく少数だよね」
 
「お仕事忙しいでしょ」
「はい。私たちは基本的に舞音ちゃんの付属物だから」
「CAT sistersのメンバーって毎回違うけど、私たちはいつも入っているんですよね」
「元々は女子寮のサロンでいつもおやつ食べてたメンツなんですけどね」
「コロナで外出できないから、真面目な子たちは部屋で勉強したりスタジオで練習してたけど、私たちは不真面目だから、サロンに行って花ちゃんやひまわりさんと悪い相談してた」
「悪い相談というと?」
「いかにしてアクア姉弟の秘密をあばくかとか」
「あはは」
「それで、あんたたち暇そうだから手伝ってと言われて舞音ちゃんに付いてってお仕事してた」
「甲斐姉妹がラピスラズリに付いてお仕事してたから、空いてた私たちが舞音ちゃんに付いてってたんですよね」
「そうそう。私たちの出演番組とかには大抵甲斐姉妹に同伴してもらう」
と朱美。
 
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「おかげで子供たちに“スイスイのお姉ちゃん”とか言われて人気です」
「小学生の可愛い字でお手紙頂きますよ」
「お返事書けないのが申し訳無いけど」
 
「舞音ちゃんの付属物扱いだから私たち自身のシングルとかはめったに出してもらえませんけどね」
「でも歌自体はうまいよね」
「ありがとうございます」
 

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「今§§ミュージックは信濃町ガールズでも歌のうまい子ばかりだよね」
「昔の“§§プロ”時代は一時期音痴なアイドルだらけの時期もあったけどね」
「アクア以降レベルがぐっとあがったね」
「みんな音楽の先生ができる程度に歌うし、最低ピアノは弾けるしね」
「きららちゃんもピアノ上手いしフルートも上手いですよ」
「雲の上の7人にはかなわないけど、私たちも頑張ります」
 
ここで千里が説明した。
「雲の上の7人というのは§§ミュージックの中でも特に歌がうまい、アクア、北里ナナ、東雲はるこ、“まろみ”の常滑舞音・七尾ロマン・薬王みなみ、それに立山きららだね」
「北里ナナはアクアの重複として外して、町田朱美を入れてもいい」
とケイが補足した。
 
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「コスプレもいっぱいしてるね」
「コスプレ衣装に埋もれて普段に着る服が見付からない」
「舞音ちゃんの部屋に衣装があふれてるから『これ君たちの部屋に置いといて』とか言われて衣装を預かるんですよ」
「金太郎と桃太郎で出かけよう」
「あはは」
「金太郎の衣装って女の子が着ると結構“危ない”んですけどね」
「いや、男の子よりはマシ。男の子は“こぼれる”事故がおきるから」
「金太郎さんはこぼれなかったんでしようか」
「謎ですね」
 
ピアノ室の演奏は『伸びて縮んでまた伸びて』を歌った。北陸信濃町ガールズが20人、バックで踊ったがスイスイは
「私たちにバックダンサーが付くなんて」
と感動していた。
 

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この日はルビーの取材が朝6時から、スイスイが8時からで、どちらも前泊してもらっていた。そして10時からは、silver lady を迎えた。
 
「シルバーレディさんでーす」
「こんにちはー」
 
最近流行りの作曲者と女声ボーカルのペアだが、作曲者が女性なのが少し珍しい。
 
「作曲者の樋口花圃さんってケイ先生などと同じグループにおられたんですよね」
「ええ。パトロールガールズといって今の信濃町ガールズみたいなグループにいたんですよ」
と樋口花圃が言うが千里が
「そもそも信濃町ガールズの組織がパトロールガールズを真似たものだからね」
と言った。
「そのあたりの事情知る人もだいぶ少なくなったね」
とケイ。
 
「元々パトロールガールズ自体が地下アイドルみたいなものだったからね」
「でも当時からケイちゃん、凄く目立ってたですよ」
と樋口花圃は言う。
 
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「でも樋口花圃さん、作曲家としても長いですよね」
「でもこれといったヒット曲は無かった」
「この番組、作曲家アルバム時代にも取材候補にあがったことあったんですが、うまく都合が付かなくて見送りになったんですよね」
「私の自宅はとても撮せるような代物ではなかったからね」
 
作曲家アルバム時代は原則としてその作曲家の御自宅を訪問して取材していた。当時、樋口花圃は2DKのアパートに住んでいた。
 

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「でもシルバーレディ作ってからたくさん話題作が出てますね」
「コロナ時代の産物だよね。演奏者集めて伴奏作れないからMIDIの打ち込みで伴奏作って、それも期限も無いし、商業的な展開も考えてないから好きなだけチューンナップした。並みの歌手には歌えない難しい曲になったけど、それを歌のうまい子に歌ってもらった。元々売ること考えて作ってないからレコード会社がいい返事しないんで、取り敢えず動画サイトにあげたら、結構話題にしてもらえた」
「ある程度話題になってからレコード会社からお話があってアルバムを作ったね」
「コロナ以降のミュージシャンってみんな苦労して販路を開拓してますよね」
「従来の手法が全部使えなくなったからね」
 
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「シルバーレディという名前の由来とかお聞きしてもいいですか」
「ああ、仮面ライダーに出て来ましたねとか言われたね」
「あれはスマートレディですね」
「イギリスのサッチャー首相から来てるんですよ」
「サッチャーさんは“鉄の女”と言われたんですが、これ英語ではアイアン・レディなんですよ。その鉄を銀に替えてシルバーレディという名前ができました」
「サッチャーさんだったんですか」
「あとボーカルのナンが高校時代バスケットをしてましてね。インターハイで銀メダルを取ったんですよ。それでシルバーというのをいれたかったんです」
「インターハイの銀メダルって凄いじゃ無いですか」
「いい想い出です」
「いや一生の勲章ですよ」
「なんか燃えてましたね、当時」
「高校卒業後は続けなかったんですか」
「高校時代で燃え尽きたかも」
「女子バスケって高校が頂点みたいな感じあるよね」
と千里。
「あ、醍醐先生もバスケット選手でしたね」
「私も高校時代がいちばん燃えたよ」
「やはりそうですよね」
 
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歌唱は最近の話題曲から『フラミンゴの夜明け』を演奏した。
 

そしてこの日最後は、紙内松乃を迎えた。
 
「紙内松乃さんでーす」
「こんにちはー」
「ミュージシャンアルバムと聞いて私ミュージシャンだったっけ?と考えちゃったんですけどね」
「紙内さんは毎年シングルを出しておられます」
「うん。何かの間違いで紅白に呼ばれるかもしれないからと言って、うちの事務所の方針で音痴の人以外みんな出すんですよ。以前は上島雷太先生に書いて頂いていたんですが、上島先生が、ほとんど作品を作られなくなったので、ここしばらくはケイさんの紹介で松本花子先生に書いて頂いてます」
 
「紙内さんもパトロールガール出身ですよね」
「はい。樋口花圃さんとか内野音子(うちのねこ)ちゃんとかとやってたんですよ」
 
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ここでケイが説明した。
「昔パーキングサービスという女性警官のコスプレをしたアイドルグループが居まして、そのバックダンスをしていたのがパトロールガールズなんです。でも地方公演する時に全員連れて行くのは費用が掛かるから、ボーカルのパーキングサービスは仕方無いけど、バックダンサーはその地方・地方で調達してたんですよ」
 

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「最初は公演のある町の商店街とかで見境無く中高生女子に声を掛けて編成してたね」
と千里。
 
「一番最初はそうだった。その後お友達でダンスのうまい子連れてきてよとか言って少しずつ洗練されていった」
とケイ。
 
「地方信濃町ガールズというのも最初はそれと同じでアクアとかの地方公演をする時の現地調達バックダンサーだったんだよね」
「それがコロナで完全に位置付けが変わってしまったんだけどね」
「公演自体ができなくなってしまったから、レッスンでも受けててといってレッスンが始まってしまった」
 
「その昔の地方パトロールガールズに、北海道の北斗六星とか、北陸の“日本海5”、関西の“関西セブン”。関東の“八州8”とかがいた」
「ケイはその“八州8”のひとりだね。“日本海5”には、XANFUSの光帆とかがいたし、北斗六星に紙内さんや樋口花圃さん、内野音子ちゃん、チェリーツインの少女Xとかがいた」
と千里が解説する。
 
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「なんか凄い人脈ですね」
と朱美。
 
「それで私がパトロールガールズやってた時期に千里は既に作曲家として活動してたから」
とケイ。
 
それでケイと千里は当時唐津で偶然遭遇したのである。それが後にお互いに不調を脱出する鍵を得られた。
 
「それ以前の“ピコ”ちゃんのこと話そうか」
と千里。
 
「お互いにあまり昔のことはばらしたくないよね」
「全くね」
 

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「紙内さん、温泉めぐりの旅もかなりなさいましたよね」
「おかげで美味しい物だいぶ食べさせてもらった」
「ああいうの、もし美味しくなかったらどうするんですか」
と朱美が訊く。
「そりゃいかにも美味しそうに食べるんだよ」
と紙内松乃。
「タレントって大変ですね」
と朱美。
 
「ケイも、トカゲとかヘビとか食べさせられてる」
と千里。
「タレントは根性だよ」
とケイ。
 
ピアノ室での歌唱は今年の春に出した『あなたのこと3日で忘れるわ』を歌った。
 

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