広告:性転換―53歳で女性になった大学教授-文春文庫-ディアドラ・N-マクロスキー
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■春波(4)

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朝7時頃、姫奉燈の出発式が行われる。小4の笛担当が笛を吹き善美が太鼓を叩いて和弥が祝詞を奏上した。最近は毎学年1〜2人の笛担当を作るようにしている。夏祭りは中3の子の龍笛、秋祭りは小4の子の篠笛である。
 

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今年の行列はこうなった。
 
先導巫女4人−祭主(和弥)−姫奉燈を曳く氏子さんたち(約10人)−姫奉燈−副祭主(千里)−末尾巫女(善美)
 
副祭主(通称:後衛)は“光る毛皮”を着て宝剣クトネシリカを持つが、初日の運行で実際に持ち歩くのは樹脂製のコピーである。
 
末尾巫女は羽衣を着て、豊受姫の旗を持つ。姫奉燈を曳く氏子さんたちは男性が多いが、全員女物の赤い小袖を着て、お化粧もしている。ロングヘアのウィッグを着け、奈良時代風に額には花鈿(かでん)まで入れている。小袖は毎年2着ずつ作り直す。
 

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姫奉燈が巡行されるコースは夏祭りで神輿(みこし)が巡行されるコースとほぼ同じである。この沿道にこの日の昼間に多数のカンデラ(実際にはLEDランプ)が設置される。
 
姫奉燈は町内を巡行したあと御旅所の神輿殿に収められる。
 
また学校や幼稚園の校庭・園庭、公園などにはカンデラアートが作られる。(秋祭りと“偶然”同時に開催される非宗教行事『灯りフェスティバル』)
 
また昼間、様々な奉納が行われる。箏の演奏、日本舞踊、アイヌ舞踊、篠笛愛好会の合奏、ムックリ(口琴)愛好グループの演奏、千里のフルートの曲の奉納。
 
お祭りの出店は夏祭り同様多数出ていた。
 

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15時から小学生の巫女舞が行われた。
 
雅楽の奉納などの後、18時から21時まで1時間置きに、先導巫女4人による巫女舞が奉納される。
 
1日目はこの21時の巫女舞で終了する。社務所の床暖房と送風も21時で停める。明日はまた朝6時から夜21時まで掛ける。
 
1日目の夕方日没と同時に、三泊灯台の上部に灯りが灯る。これも学校の校庭のカンデラアート同様、非宗教行事の“灯りフェスティバル”への参加である。
 

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秋祭りは2日目も1日目と似たような順序で行事は進行する。姫奉燈は今日は御旅所を出発して町内を巡回し、本社に戻る。出発式も御旅所でおこなわれた。
 
この2日目の運行で副祭主が腰に付けた剣はレプリカ(刀は木製)である。
 
本社には拝殿前(ステージ前)に藁で作った大鹿の像がある。姫奉燈が神社に戻って来たところで神社で待機していたるり(光る毛皮を着ている)が本物のクトネシリカ(真剣)を抜くと大鹿の4本の足を切り、首を落として、最後は胴体を切った。拍手が沸き起こる。
 
(この場面、姫奉燈と一緒に歩いた千里が持っていたのは松田さん作のレプリカである。千里は素早く社務所内に入っており、光る毛皮の人がふたり見えている事態は避ける)
 
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鹿の藁には火番の玲羅により火が点けられ、そのまま焚き火となる。これは夕方まで維持される。追加燃料はブナやミズナラなど雑木(ぞうき)の小枝や薪(たきぎ)である。
 
10月末の北海道はかなり寒いが、この焚き火のおかげで結構暖かくなる。
 
火を焚いたことで上昇気流が生じ、浜から風が吹いてきて拝殿の屋根に取り付けてある風車がカラカラと音を立てて回った。
 

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このあと、鹿肉の串焼き(峠の丼屋さん提供)と暖い甘酒(神居酒造提供)が振る舞われた。
 
拝殿では真っ白い衣裳を着けた高校生巫女の“白鳥の舞い”が奉納され、そのあとまた様々な奉納が行われる。コロナ後祭りが復活した2022年からは旭川の大学の弦楽同好会によるヴァイオリン合奏もおこなわれている。この手のものは拝殿ではなく拝殿前に設けられた“灯りフェスティバル”のステージを使用する。
 

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今年も16時半から最後の姫奉燈運行が行われた。夕暮れの中、カンデラの灯る道を扇形の姫奉燈が静かに運行されていく、美しい風景である。観光客っぽい人たちがたくさん写真を撮っていた。
 
なお姫奉燈の最後の運行が始まるのと前後して今日も三泊灯台の上部に灯りがともった。
 
姫奉燈が戻ってきたところで焚き火は消され、水が掛けられる。出店も撤収する。
 
戻って来た先導巫女4人はサッポロ一番を作って食べて休憩した。拝殿では18時から大人の巫女による巫女舞“五節舞(ごせちのまい)”が奉納された。
 

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今日は19時から21時まで1時間置きに3回、先導巫女4人による巫女舞が奉納される。これで祭りの公式行事は終わりであり、道路に置かれたカンデラや境内のLEDは消灯される。三泊灯台の灯りも消える。神殿の燈台はこのあとは燃料補給せず、燃え尽きるにまかせる。この時、最後に燃え尽きるのは必ずいちばん奥の燈台である。実際に燃え尽きるのはだいたい22時頃である。
 

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先導巫女4人は最後の舞が終わったあと、ロゼ家に行き、ジンギスカンを食べた。そのあと、おとなが付き添って自宅まで送っていく。
 
(各々には龍族の子も更に付けてガードさせている:おとなが付くのは事故防止と暴漢対策・龍族が付くのはヒグマ対策)
 

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P神社では神殿の燈台が燃え尽きると、神殿前に、和弥(祭主)・善美(巫女長)・小雲(神様のお使い)の3人が並び和弥が〆の祝詞を奏上する。これで秋祭りは本当に終了する。千里もこの〆の神事に付き合った。
 
貞美が暖かいおでんを持って来て、番の人たちをねぎらう。それを食べると番の人たちは帰宅するので、和弥とまゆりで見送る。そのあと和弥とまゆりは燈台に火が残ってないのを確認(火の用心)し、焚き火の消火も再確認して、部屋に下がる。
 

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千里(ロビン)は大神様から呼ばれた。
 
「今年も神様会議に行って来るから一週間留守番を頼む」
 
「はい、いってらっしゃいませ」
 
それで千里はいつもの場所に座り、一週間のお留守番を始めた。
 
同時刻、姫路でも夜梨子がK神社でお留守番にはいった。
 
ロビン・夜梨子の担当は夜間であり、昼間はキツネの子がやってくれる。
 

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星月と公世夫妻は月曜日早朝にジェット機で姫路に戻った(学校に間に合う)。まゆりは11月1日(金)に、和弥と一緒に姫路に戻った(姫路の神社の秋祭り準備をする)。ロビンは11月2日に大神様がお戻りになってから、洞門の鏡で姫路に戻った。
 

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春貴が“おっぱい島”に行っている間、富山県の高校バスケット界では、春貴がH南高校を辞めたことが大きな話題になっていた。
「なんで辞めたの?待遇不満?」
「それが校長が部活も受験勉強も嫌いでインターハイに行くとか言語道断とか言って辞表書かせたらしい」
「何それ?」
「生徒は授業受ける以外のことはしてはいけないらしい」
「変な校長」
「塾に寄り道するとかもいけないし恋愛なんて不道徳なこととか」
「おかしな宗教にでもはまっているのでは」
「授業が終わってるのに図書館でたむろしていてはいけないと言って図書館を3時で閉めさせた」
「電車の時間待ちの子が困るじゃん」
「wi-fiとかあったら生徒がゲーム機で遊ぶし電波は脳味噌を破壊するといって校内wi-fiも停めさせたから校内でパソコンが使えなくなった」
「やはりおかしい」
 
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「この校長の居た前の学校では若い先生が自殺したらしいよ」
「問題校長だな」
 
「それで奥村先生、私立にでも行くの?」
「うん。高岡に新設されるP高校ってとこ。今バスケの強い中3女子を鋭意勧誘中」
「来年のインターハイ予選は脅威だな」
「野球の強い中3男子も勧誘中らしいよ」
「性転換させるの?」
「そちらは強い野球部作るんだよ!」
「びっくりした」
 

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H南高校では受験勉強を嫌うX校長が、業者テストの実施を許可しなかったので、3年生は7月の模試が受けられなかったのだが、新校長がベネッセの社長に電話してお願いしたので10月の模試は受けることができた。
 
また図書館が15時で閉められてみんな困っていたのも元通り18時までに戻した。校内wi-fiも復活した。
 

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和弥たちの帰りの便には春貴も同乗した。
 
春貴が戻ると青葉が訪問してきて頼んでおいた“鉄メダル”を渡してくれた。
「きれいにできたね」
「刻印は“4”とだけ入れてもらった。インターハイ2024とか入れると“ニセモノ”になっちゃうから記念品としてはそれだけのほうがいいだろうと思って」
「うん。それがいい。ありがとう」
と言って代金を15枚分、15,000円払う。枚数を確認して言う。
「あれ?16枚ある」
「1枚は春貴ちゃんの分だよ」
と言って青葉は
「ベスト4おめでとう」
と言ってメダルをひとつ春貴に掛けてあげた。
「ありがとう」
と言って春貴は泣いていた。
 

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春貴はP高校の理事長に連絡し、春からお世話になりたいと言った。それで春貴は4月からP高校の教師・女子バスケ部顧問になることになった。
 

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春貴は高岡P高校に勤めるのなら高岡市内に引っ越そうかと思った。高岡市内には実家もあるが、あれこれうるさそうなので高岡市内のアパートでも借りようかと思った。
 
千里さんが、家建てるといいよ、安く建てるよと言うので気持ちを切り替えるのにはそれもいいかなと思い、建てることにした。土地も運気のいい所を探してあげるよというので、お任せした。
 
3LDK+外から直接入れる応接室(北陸の家に特徴的)+フローリングの地下室、エレベータ付き、という家で土地は約80坪(16m四方)。
 
エレベータは降りる時は重力を併用する上にキャパシタ付きの省エネ設計。太陽光パネルも付いている。(電気代の安さにびっくりした。思わずPHVのアクアも買ったら全然給油しなくて済んでまたびっくりした)
 
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地下室はハーフコートが取れる広さで千里さんにライン引きを依頼したら千里さんは実際にはタラフレックスを敷いた。バスケットゴールも設置した。家の材料は主として飛騨杉。フローリングは能登産“あて”である。7000-8000万かなと思ったのだが、1000万で良いというので、現金で払った。さすが播磨工務店は安い。しかしほぼ土地代だけのような気もする。また3LDKで頼んだはずが、4LDKになっている気がするのは気にしないことにした!(播磨工務店ではありがち)
 
もっとも後で固定資産税の支払票を見たら、税務署はこの建物を1億円と評価したようである!確かに普通の工務店に頼めばそのくらい掛かるかも。
 
千里さんは「播磨工務店は部下の暇つぶしにやってる会社だから」とか言っていた。物作りの好きな子たちがたくさんいるらしい。子供のレゴ遊びと同じなんですよとも言っていた(壊すほうが好きな子たちは斫り(はつり)専門部隊にしている)。
 
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春貴が「その若い人たちに」と言って地酒を渡したら、喜んで宴会していたらしい。
 
しかしこの家づくりで1000万使ったのに口座残高は12,000万ほどになっている。邦生の銀行の投資信託にしていたのだが、凄くうまく運用されているようである。
 
家は11月中に出来上がったので、すぐアパートから引っ越してP高校には新しい住所を届けた。
 

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一方春貴はH南高校の岩本新校長から、私物整理を頼まれていたので、11月3日に行って整理してきた。休日にしたのは、平日に生徒達と顔を合わせるのは辛いからである。しかもこの日、バスケ部はウィンターカップ予選をしているはずである。
 
この時、作ってもらった“鉄メダル”を託した。
 

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10月25日(金)の霊界探訪では、氷見市の吸い込まれスポット(正確な場所は明らかにしてない)の問題と対策結果:対策前の暗い映像と対策後の明るい映像、立山煌と行った赤城山、定点観測、などをレポートした。また明恵は歩行者への注意として、
 
・夕方以降は白系統など目立つ服装をする。(赤は意外に見えない)
・反射たすき・反射ブレスレットなどを身に付ける。
・懐中電灯を持つ。
・路上横断などの危険な行為はしない。
・音のしない車もあるので耳だけでなく目でも確認する。
 
などを呼びかけた。
 
「自分は見えてるからと懐中電灯点けない人いますけど、懐中電灯って自分が見るためより。自分の存在を他人に気付いてもらうためのものなんです」
「時速80kmで走っている車は歩行者に気付いてからブレーキ踏んで実際に停止するまでに80m走りますから」
 
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10月26日(土)、今年のウィンターカップ富山県予選が始まった。例によってH南高校はシードされているので、最初の週は試合が無い。11月2日(土)の3回戦は無難に勝ち、3日(日)の準々決勝も10点差で勝った。しかし4日(振)の準決勝で高岡C高校に4点差で敗れ、今年はウィンターカップ出場はならなかった。
 
矢作先生は「相撲ではそちらが勝ってたけど、勝負はうちがもらった」
と言っていた。美奈子や彩も春貴先生の不在は大きいと思った。
 
ヘッドコーチとしてチームを指揮した谷町先生は
「ごめんね。私何もできなくて」
と言って、みんなにケンタッキーをおごってくれた。
 

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彼女らは連休明け、岩本校長から横田先生経由で
「奥村先生から渡してくれと頼まれた」
と言って“鉄メダル”を渡されると、みんな泣いていた。
 
富山県の高校バスケ界では囁かれていた。
「戦力はインターハイ全国4位の時と変わらないはずなのに、枠が2に増えている代表の座をH南高校が取れないなんて」
「やはり奥村先生は偉大だ」
と春貴が再評価されていた。そしてみんな言った。
「来年のP高校は1年目から怖い」
 
 
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春波(4)

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