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■女子バスケット選手の日々・2017オールジャパン編(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-09-17
 
1月6日と7日はアクアの休養日だったので、龍虎は結局その日2日間、ひたすらホテルのベッドで寝ていた。思ったより疲れが溜まっていたようで、6日は丸一日寝ていたし、7日の日中もかなり寝ていた。
 
龍虎は裸で寝ていたが、それが結構疲れを取ってくれる気もした。宏美は何度も外出して食糧を調達してきてくれたので、龍虎も部屋でそれを食べていた。
 
龍虎は7日の夕方くらいになってやっと疲れが取れてきた気がしたが、その夜も宏美とたくさん、おしゃべりした。龍虎はかなり具体的に自分はどういうタレントあるいはアーティストになりたいのかということを改めて宏美に話した。
 
「でもこの2日で、龍ちゃんの気持ちが随分分かった気がするよ」
「確かに宏美さんと、こういう話をする機会がこれまであまり、ありませんでしたよね」
「そうそう。デビュー以来2年間、何も考える暇も無いくらい疾走してきたからね」
 
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そんなことを言いながら、もう夜12時近くになるので、寝ようか、などと言っていた時、部屋のドアをノックする音がある。宏美はホテルの人かと思ったので、ドアの近くまで行き
 
「はい、何か御用事ですか?」
と訊いた。
 
「ああ。コスモスちゃんも一緒だったんだ?」
と声がする。
 
「醍醐先生!?」
と言って驚いてドアを開けた。
 
「ごめんね〜。お楽しみの所」
などと言って千里は部屋に入ってきた。
 

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「あの、誤解しないで欲しいんですけど、私と龍虎は何もしてませんから」
とコスモスが緊張した顔で言う。
 
醍醐先生なら大丈夫だろうが『秋風コスモスとアクアに恋愛関係?』などといった記事が週刊誌などに載ると物凄く困る。自分はいいとしてアクアの人気に傷が付いてしまうとコスモスは考えた。
 
「そりゃ当然。できる訳無いからね」
と千里が言う。
 
「どういう意味ですか?」
と戸惑うような顔でコスモスが訊く。
 
「そのあたりについて、少し突っ込んで話したいんだけど、ちょっと河岸(かし)を変えない?」
 
「いいですけど」
 

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次の瞬間、千里とコスモスとアクアは大きな龍の背中に乗り、空中に居た。
 
「何これ〜?」
とコスモスが言っている。
 
「暴れないでね。落ちるから」
「しっかり捉まっている!」
「それがいいと思う」
 
「こうちゃんさん、こんばんは」
とアクアが言う。
「よぉ、久しぶりだな」
と《こうちゃん》は挨拶を返した。
 
「でも私、空を飛んでいる気がするんだけど」
とコスモス。
「今夜の出来事は全部夢だと思って」
「そうする!」
 

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龍虎が、今日は腹を割って話し合いたいということで、秋風コスモスとアクアではなく、伊藤宏美と長野龍虎に戻って話をしていたというと、千里は
 
「だったら私も醍醐春海でも鴨乃清見でもなく、村山千里で」
と言ったので、お互いに、宏美・龍虎・千里と呼び合うことにする。
 
「ついでに大宮万葉ではなく青葉、ケイではなく冬子で」
「千里さんの許可が出たから今夜はそういうことにしよう」
 
「でもこうちゃんさんは名前はないの?」
と龍虎が訊く。
 
「そんなのあったかなあ」
と《こうちゃん》は言うが、千里が
 
「こうちゃんの本名は紹嵐光龍(しょうらんこうりゅう)」
とバラしてしまう。
 
「そんな名前、わざわざ言わないでくれよ。だいたいどこでその名前聞いたんだよ?俺は名乗ったことないのに」
と《こうちゃん》が文句を言っているが、龍虎は
 
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「しょうらんこうりゅうさんなら、やはりこうちゃんなんだ!」
と言うので、《こうちゃん》も笑って
 
「だから俺はこうちゃんにしておいてくれ」
と言った。
 
《こうちゃん》というのは彼の“役名”「勾陳(こうちん)」のニックネームとして千里が付けたものである。
 
3人を乗せた《こうちゃん》は夜空を軽飛行機くらいの速度で飛んでいく。凄い速度っぽいのに、風があまり強く当たらないのが不思議だと宏美は思った。
 

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やがて1時間ほどで仙台の町並みが見えてくる。
 
「あ、仙台だ。ぼくのおばあちゃん所に行くの?」
と龍虎が訊く。
 
「そういえば、龍ちゃんのお祖母さんは仙台だったね」
と千里は言った上で
 
「今日行くのは、私のお友達の所」
と言うと、3人は何かのお店の前に立っていた。
 
「ここは?」
「メイド喫茶クレール。まだオープン前なんだけど、オープン前なのをいいことに、ライブ会場として使われているんだよ」
「へー!」
 
「§§ミュージックの研究生とかに度胸付けさせるのにここで歌わせるのもありだと思うよ。普段の客席はゆったりと70人くらいだけど、テーブルや椅子を取っ払ってオールスタンディングにすると700人くらい入るから」
 
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「それは凄い!」
 
千里が携帯で和実を呼ぶと、
「お帰りなさいませ、お嬢様方」
と言って和実が3人を中に入れてくれた。
 
龍虎が女性としてカウントされるのは、いつものことなので龍虎も全く気にしない。
 

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客席に案内され、とりあえず水を持って来てくれる。そして10分ほどで美しいコスモスの模様、龍の模様、鳥の模様の、ラテアートが施されたカフェラテを持って来てくれた。
 
「すごーい!」
とコスモスが感激している。
 
「さすが。だてにメイドを10年やってないね」
と千里が和実を褒める。
 
「メイド歴10年ですか!?」
「この子は高校生の時からメイドをしているんだよ。ラテアートは100種類くらいレパートリーがあるよね?」
「そのほとんどは普段忘れているから、使えるのは20種類くらいだよ」
と和実は言った。
 
龍虎が写真撮ってもいいですか?と言い、和実もどうぞどうぞというので龍虎はその写真を撮影していた。
 

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「ところで、これ結界が新しくなっているけど、青葉が昨日くらいに来た?」
と千里は聞いたが、和実は答える。
 
「ごめん。たとえ友人でも、お客様のことは話せない」
「うん。いいよいいよ」
 
と言って千里は微笑んだが、どうもこれは宏美に聞かせるのも目的だったようである。この店のクルーがしっかり守秘義務を守っているのを確認させたかったのだろう。
 

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厨房の方では数人のクルーが仕込み作業をしているようだが、千里たちは店の奥、厨房から最も遠いテーブルに陣取って、話をすることにした。
 
「宏美ちゃんは、龍虎がこの年齢でまだ声変わりもしなければ、ヒゲとかも生えてこないことに、疑問を持っていると思う。それって睾丸を物理的または化学的に除去でもしない限り、絶対にありえない」
 
と千里は問題の本質を語った。
 
「その点について、一昨日、龍ちゃんは、青葉さんに体内のホルモンコントロールをしてもらっているから、男性ホルモンが男性器の周囲だけに効いていると言っていた。そして他の部分は女性ホルモン優位になっているから、身体付きは女の子のように丸みを帯びてきているけど、おっぱいの所には女性ホルモンが作用しないようにブロックしているから、おっぱいは大きくならないんだって」
 
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と宏美が言う。
 
「そうそう。青葉がやっているのが化学的な操作。だから龍虎は化学的な去勢状態にある」
と千里は言う。
 
「そして私がやっているのが物理的な操作。実は龍虎の睾丸は物理的に取り外している」
 
「え〜〜〜!?」
と冷静なコスモスが思わず声をあげた。
 

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千里はこういう“たとえ話”をした。
 
「最近のコンピュータの発達でいちばん凄いと思うのが仮想化、virtualizationの技術だと思うんだよね。たとえば社内LANとか組んであるとLAN上にぶらさがっているプリンタをあたかも自分のPCに直接接続されているプリンタと同様に扱うことができるよね。ストレッジにしても、何百キロも遠くにあるサーバー上のディスクをまるで自分のローカルにつながっているハードディスクのように扱うことができる。実際、PC上で動いているプログラムからは、データを書き込む先が直接つながっているハードディスクだとしても、LANにつながっているハードディスクだとしても、あるいはクラウド上に存在する保存場所だとしても、何も変わらない。あたかも自分のローカルにあるディスクに書くように、クラウドに書くことができる。これが1980年代頃まではその保存場所をプログラム上で正確に指定する必要があったんだよ。プリンタなんてそのタイプまで指定しないといけなかった。Windows95あたりからストレッジや周辺装置の仮想化が普及し始めた」
 
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(という話をしているのは実は小春である。千里が随分と専門的な話をしているので《げんちゃん》などが驚いている)
 
宏美は興味深く聞いている。
 
「だから・・・青葉は龍虎の身体にくっついている睾丸に化学的な操作をしているつもりでも、それは仮想睾丸に作用している。実はその操作は龍虎の身体ではない場所にある龍虎の睾丸に作用しているんだよ」
 
と千里は言った。
 
なお実際にその操作をしている《こうちゃん》は今、千里たちを運んだ後で休憩に入っている。実際には近所のガールフレンドの龍の所に行っているはずである。
 

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「じゃ、龍ちゃんは本当に物理的に去勢されているんだ?」
と宏美が訊く。
 
「復元可能な形でね」
と千里は言った。
 
「実際問題として、龍虎は腫瘍の治療でひじょうに強力な薬を使っていたことから、一時的に男性機能も生殖機能も死んでしまっていたんだよ」
 
「やはりそうなのか」
 
「だから、私は龍虎の睾丸を取り外して、ある場所で治療している」
「うーん・・・・」
 
(実際には睾丸の治療は《こうちゃん》が勝手にやっていることであり、千里はあまりよく認識していないものの、小春は全部分かっている)
 
「その間、龍虎の身体に付いているのは、何の機能もないダミーなんだよ。だから、この睾丸とペニスには男性機能も生殖機能も無い。龍虎に性欲が無いのは当然のことだし、射精も勃起もするわけがない。これはダミーだから」
 
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実際にはダミーというより、女性ホルモンの長年の服用で機能喪失した男性器を《こうちゃん》は時々調達してきては多少の加工をした上で龍虎にくっつけているようである。血管と神経もつないでいるので細胞的に死ぬことは無いし触れば感触はあるものの、勃起はしないようにしている。
 

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「でもその治療が終わったら、戻すわけ?」
と宏美が訊くので
 
「戻すことを龍虎自身が望むならね」
と千里は答えた。
 
「龍ちゃんはどうなの?それを戻して欲しいの?今のままがいいの?それともダミーも取り除いて女の子の形になりたい?」
 
「20歳すぎたら、戻してもらえませんか?まだ治療が完全でなくても」
と龍虎は言った。
 
「いいよ。そうしよう」
と千里も答えた。
 
「ぼくも何となく20歳くらいになったら男になってもいいかなという気がしてきているんです。それまでは曖昧な性別をむさぼりたい気分」
 
「いいんじゃない?女の子の服を着るの好きでしょ?」
「好きです。男に戻っても着たいくらい」
 
「それは着てもいいんだよ」
と千里も宏美も言った。
 
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「じゃ着ちゃおうかなあ」
と龍虎は言っている。
 

「だけど、青葉の操作が続いている限りは、物理的に睾丸とペニスを戻しても男性能力は回復しないから」
 
「その時は青葉さんにも、操作を解除してもらいます」
 
「じゃ20歳になったら、男の子に戻るのね?」
「龍虎の場合は、その時に初めて男になるというところかな。今はまだ中性なんだよ」
 
「ええ。だからいづれ男になる覚悟はできてきたから、おっぱいも大きくしません。おっぱい大きいのいいなあとは思うけど、大きくしちゃったら男になれないし」
 
「だいぶ素直に自分の気持ち言うようになったね」
「えへへ」
 

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