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■女子バスケット選手の日々・2017オールジャパン編(2)

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今年のオールジャパンは1月2日スタートで、1回戦の結果は下記の通りである。
 
W11(シグナス)×−○中国(岡山H女)
四国(みかんず)×−○北海(クロック)
北信(富山T大)×−○関東(Rocutes )
大6(川崎C大)×−○九州(福岡W付)
大5(愛知AS大)×−○東海(岐阜F女)
W12(バタフラ)×−○大4(東京W大)
大8(西宮KG大)×−○東北(山形D銀)
近畿(和歌K銀)×−○大7(茨城TS大)
 
岡山H女子高校は「岡山3強」の一角で、ウィンターカップ出場は逃したものの、オールジャパンの方に出てきてプロチームを倒して1勝をあげた。
 
ローキューツは2012年以来5年ぶり2度目のオールジャパン出場だが、当時の選手で残っているのは薫と国香だけである。取り敢えず大学生チームを倒して2回戦に駒を進めた。
 
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岐阜F女子校はインターハイ3位、ウィンターカップ4位であったが、オールジャパンでも取り敢えず1勝である。これで今日登場した高校生チームは3つとも勝利をおさめた。
 
東京W大は青葉の友人・奈々美がいるチームである。今日の試合ではベンチスタートであったものの、2〜4ピリオドに出場してひとりで25点をあげる活躍。勝利に貢献した。W大に千里は2015.04-2016.03の1年間、同大学主宰のクリニックに参加するという名目で毎週1度行き、一緒に練習をさせてもらっていた。奈々美は2016年4月入学なので、千里とは入れ替わりになっており直接手合わせはしていない。
 

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和実は1月1日の午後、★★レコードの仙台支店(先日から何度も行っているTKRの仙台支店と同じビルの中にある)に行き、ζζプロの米長と打合せをした。
 
昨日はほぼノリで2日後の公演を決めて発表してしまったものの、何も条件面を打ち合わせていない。
 
まずは飲食店営業許可証を見せ、反社会的勢力(暴力団のこと)との関わりがないという誓約書にサインする。
 
当日はボニアート・アサドの専用イベントとすること(ノルマ&バック制(*1)ではない)。開演1時間前の開場。入場無料だが、1ドリンク制にすること(*1). ミュージックチャージ(*1)は課さないこと。ボニアート・アサドにクレール側が出演料として5000円払うこと(但し入場者が100人を越えた場合は入場者数×100円)。仙台駅からのシャトルバスの運行費用はプロダクション側が持つことを決める。出演料の額に関しては今後適宜見直す。
 
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なおドリンク代は400円均一とし、飲み物の種類はドリップコーヒー、カフェオレ、エスプレッソコーヒー、カフェラテ、オレンジジュース、アップルジュース、ミルク、豆乳の8種類。コーヒー類は各々本来の点てかたで入れること。ジュースは実際のフルーツからミキサーで作ること。なお開演後の混乱を避けるため、開演前20分を過ぎてから入場する客は、ドリップコーヒー、カフェオレ、ミルク、豆乳からの選択とすること。ドリンクの容器はテイクアウト仕様である。
 
また入場時にドリンク代と交換にドリンク引換券を渡し、会場内で作りたての物を引換券と交換していく方法を採ることを決めた。またフードは、当日はオムライス、ハンバーガー、フライドポテト、唐揚げ、のみの販売とし通常価格、テイクアウト仕様(手提げ袋付き)で渡すことにした。サンドイッチも検討したのだが、生っぽい料理は避けようということになった。
 
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またゴミ回収にライブ中、スタッフが巡回することにした。
 
座席については一応椅子席(max240)を基本とするが当日、開場1時間前の様子を見て、入りきれないかも知れないと思われたらオールスタンディング(max500)とすることにした。万一定員に達した場合は、そこで満員御礼、入場できないものとする。
 

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(*1)一般的なライブハウスでは、ノルマ&チャージバック方式を採る。これは例えば入場料が1500円なら10枚などといったノルマを課し、入場者がこれに満たなかった場合は、不足額を出演者がライブハウスに支払うものである。ノルマを越える入場者があった場合は、チャージバックといって越えた分の入場料の一定の割合を出演者にバックする。バック率は50%くらいの所から100%バックする所まで様々である。
 
ライブハウスでは来場者はチケット代とは別に最低1ドリンクは買わなければならないシステムになっている。ライブハウスは飲食店営業なので、客に音楽を聴かせるのはそのサービスの一環として認められるものの、飲食代金を取らずにチケット代だけで入場させた客に音楽を聴かせると、飲食店としての営業ではなく、コンサートホールとしての営業許可が必要になる。
 
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概してコンサートホールの営業許可を取るのは条件がひじょうに厳しい。そもそも食事をする場所と観客席を壁で隔離する必要がある!
 
「飲食の客」と「ライブの客」は、法的にはその店で飲食したかどうかで判断されることになる。
 
それで入場者はライブを聴きに来たのではなく、飲食をしにきた客であるという建前が必要なので、チケット代とは別にドリンクを買ってもらうことにするのである。
 
この事情を知らない客は「ドリンク代もチケット代に含めればいいのに」と不満を言うが、法令上の問題でどうしても分ける必要がある。最近は経営状況が厳しいことから「2ドリンク制」にしているライブハウスもある。昨今ライブハウスは軒並み経営状態が悪化しており、オーナーが建設作業員のバイトをして赤字を補填しているなどといった涙ぐましい所まであるらしい。
 
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ミュージックチャージ制というのは、飲食店としての傾向が強い一部のライブハウスで導入されているもので、通常はふつうの飲食店として営業されていて、ライブ演奏をする時だけ、その時間帯に「ライブ席」に座っている客に300-500円程度のチャージをさせてもらうものである(こういう所では店内がライブ席とレストラン席に分けられ、間に扉付きの壁がある)。このチャージの一定額が出演者に渡される。概して還元率は高く、100%バックというお店も結構ある。
 

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和実は★★レコードでの打合せを終えると、まず若葉に電話して、エスプレッソ用の豆が明日のお昼までに入手できないか訊いてみた。
 
「手配できるよ。うちの叔母さんの会社が扱っているから、神戸の倉庫からこちらにすぐ持って行かせる」
 
どうも無理の言える社員さんに、車で神戸から仙台まで持って来てもらうということのようである。社員さんにはお正月早々気の毒だが、こちらは助かる。エスプレッソ用には普通の豆より深煎りの豆を細挽きにして使用するので、まだまだ大量にあるモカブレンドの普通煎り中挽きの粉は使えない。
エスプレッソマシンも1台しか用意していなかったので、念のため(和実の好みのメーカーのものを)4台とスチーマー・ミルクフォーマーを5台ずつ、そちらの会社に頼むことにした。
 
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ハンバーガー用のバンズも知り合いのパン屋さんに打診してみたら焼いてくれるということであった。牛乳も知り合いの農場に打診したらすぐに出荷してくれるということだった。和実は東北地方のボランティア活動を通してこういう系統の知り合いが大量に居る。
 
パテ用の牛肉の挽肉などなど細々とした食材は伊藤君と和実の母が元旦から営業している市内のスーパーを回って調達してくれた。リンゴについては実は淳の叔父がリンゴ園を経営していて、1箱お歳暮代わりに送って来てくれていたので、それを使用することにした。
 
しかし和実はこのような手配関係の作業で20時近くまでかかった。
 
「和実、仕込みは私がやるから寝てなさい」
 
と淳が言い、和実もそうさせてもらうことにした。ただ、妊婦の若葉も深夜作業はできないので、淳と紺野君だけでは不安がある(胡桃は美容室がお正月は超多忙なので頼めない)。
 
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そこで和実は《身内》に近いマキコに電話してみた。すると「やりますよ〜」と言って、Ninja-H2に乗って出てきてくれたので、その日の深夜の仕込み作業(ハンバーガーのパテ作り、トマトのスライス、レタスのちぎり、豆乳作り)は、マキコを中心に、淳、紺野君、伊藤君の4人で進めてくれた。ちなみにマキコは法的には女性労働者ではないので、深夜作業には何の縛りも無い!
 
こうして1月2日の《こけら落とし》の準備作業は進められたのである。
 

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1月2日早朝。紺野君は若葉と一緒の布団から抜け出すとトイレに行った。おしっこをしようとしていた所に伊藤君が入って来る。
 
「お疲れ〜」
「お疲れ〜」
と声を掛ける。
 
「何人くらい来ると思う?」
と伊藤君が訊く。
 
「200人くらいだと思う」
と紺野君。
 
「万一さ」
「うん?」
「想定以上に来た場合、客が興奮して前に押していこうとしたような場合、危険だと思わない?」
 
紺野君は少し考えた。
 
「椅子に収まる程度の人数なら、椅子が移動防止の役目を果たすから問題ない。でも立見になった場合は・・・」
と言ってから、自分で
「何か停めるものがないとやばいね」
と言う。
 
「ふつうそういうライブってどういう対策取るんだっけ?俺ライブとか行ったことないから分からないや」
と伊藤君。
「僕もクラシックのコンサートしか行ったことないから分からない」
と紺野君。
 
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ふたりはトイレを出てからその前でしばし話す。
 
「ちょっと小野寺に電話してみる。あいつAKBだかSUPER☆GiRLSとかのライブ行っているみたいだし」
 
それで伊藤君が高校の時の同級生、小野寺君に電話してみた。伊藤・小野寺・近藤・江頭の4人は高校を卒業した後もしばしば一緒に遊んでいる。実は麻雀のメンツでもある。
 
「俺も小さい会場は分からん。俺は乃木坂46のファンでだいたい大きな会場のライブにしか参戦してないから」
 
と小野寺君は言っている。
 
「でも小さなライブハウスとかだと、フェンス立てて客がステージに上がったりするの防いでいるみたいだよ」
「フェンスか!」
「工事現場に立てておくような奴」
 
伊藤君と紺野君は顔を見合わせる。
 
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「どう思う?」
 
「お金、若葉に出させるからさ、そういうフェンスをホームセンターとかで買ってきてもらえないかな」
と紺野君。
 
「よし。頼もう」
それで伊藤君は朝ホームセンターが開いたら、フェンスを買ってきてくれないかと頼んだ。
 
「すまん。金が無い」
「だったらこっちに寄ってくれない?現金を渡せると思う」
と伊藤君は紺野君の顔を見て言った。
 

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それで小野寺君はクレールに寄ってくれた。彼がクレールに来るまでの間に2人はネットでどういうタイプのフェンスがあるのか調べていたのだが、結局フェンスよりロープがいいのではないかという結論に達した。
 
銀行のATMとかスーパーのレジの前に“1列並び”させるために張っているようなロープである。
 
「つまりさ。フェンス置いておいてそれが倒れたら危険じゃん」
「確かに!」
「それならロープの方が安全度が高い」
「だったらロープを通すポールを買ってくればいいのかな?」
 
しかし、それなら、ひょっとして★★レコードさんが持っているんじゃないか?という話になって電話してみたら、あるから持っていくということだった。
 
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「だったら買物は?」
「無し」
「まあ借りられるものは借りた方がいい」
 
「じゃ俺は?」
「ついでだから、イベントが終わるまでいてくれない?この店、男手が全然無くて」
「まあいいよ。何か食わせてくれるなら」
「オムライスとかハンバーガーとかでよければ」
 
それでこの日は小野寺君もイベントに付き合ってくれたのである。
 

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一方、この日の朝から、パン屋さんがハンバーガー用のバンズを、農場の人が牛乳を持って来てくれる。バンズはどんどん半分にスライスしていく。この作業は伊藤君がやってくれた。彼は割と料理がうまい。
 
御飯を炊いてケチャップライスを作る。長時間の作業が続くので交代で1-2時間ずつ仮眠を取りながら作業を続けた。
 
8時半頃、若葉の伯母の会社の人がエスプレッソ用のコーヒー豆を持ってきてくれた。既に挽いてあるものなので、助かる。社員さんは結局、新幹線の乗継ぎで持って来てくれた。道路は混雑して時間が読めないからということだった。昨夜一晩東京に泊まって朝一番の東北新幹線でこちらまで来たらしい。
 
和実は往復の交通費を商品代金に上乗せして払おうとしたがサービスの範疇ですと言って辞退された。
 
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「いや、ちょっとブラジルまで行ってきてとか突然言われること、しょっちゅうですから」
と彼は言っていた。
 
「似たようなことを千里が言っていたな」
「ああ、どこにでもそういうビジネスマンがいるんですね〜」
「いつでも鞄にパスポートと現金、しかもドルやユーロを入れていると言っていた」
「ああ、私もそうですよ」
 

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9時にライムが出てきてくれたが、マキコが深夜から作業していたというと「私も呼んでくれたら良かったのに!」と言っていた。
 
「メインの2人がどちらも疲れているとまずいし」
「だったら、マキちゃん、少し仮眠してなよ。あと私がやるから」
「そうする!」
 
それでマキコは9時から11時頃まで、和実の自宅の方で仮眠していた。
 

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女子バスケット選手の日々・2017オールジャパン編(2)

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