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■女の子たちの魔術戦争(3)

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ふたりはその後も仕事の合間を縫って週に1度くらいのデートを続けた。そして4回目のデートの時、信次は千里をホテルに誘った。
誘った信次のほうが不安がっている感じだったので千里はしょうがないなと思い、優しくキスした。そうしたら信次も少し落ち着き、ふたりは優しく結合をした。最初はおそるおそるだったものの、ふつうにできるようだと分かると、向こうも調子に乗ってきて、結局その日は朝まで10回ほど結合をした。
 
信次は今度母に紹介したいから、来週の日曜時間を取って欲しいと言った。
 

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その日千里が茶道教室に行った時、康子が折り入って相談があると言ってきた。教室が終わったあとで、ふたりで近くの小料理屋に入り、個室で話をする。
 
「実はね。うちの息子が恋人を紹介したいと言ってきて」
「あら、よかったじゃないですか!早々にお孫さんが見られるかも知れないし」
「それがね、どうも色々問題のある女の人みたいで」
「あら」
「息子は騙されていると思うんですよ。何とかそれ破談にしたくて」
「うーん。でもこういう問題は、本人の意志を優先してあげたほうがいいのでは」
 
「でも、あまり変な人と結婚しても破綻するの目に見えているから。それでね、あなたにお願いなの。うちの息子と見合いしてくれないかしら?」
「えー!?それはまずいのでは。息子さんは、その好きな方がいるんでしょう?」
「だから形だけでもいいのよ。あなたみたいな素敵な女性を見たら、息子も考え方変わるだろうし」
「でも困ります。私も実は交際している人がいるので」
「あら、そうだったの。でもお願い、息子に素敵な女性のサンプルを見せるだけでもいいから」
千里は康子の熱心かつ強引な頼み込みに負けてしまい、明日お見合いに行くことを承諾した。
 
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会社に電話して急用ができたので明日休むということを伝える。参ったなあと思いながらその日は早めに寝て、翌朝は美容液パックでしっかりお肌のメンテをした。康子から頼まれたとおり、上等の訪問着を着る。ゴム糸目の普及品ではあるが京友禅の品で、千里としてはけっこう気に入っている服のひとつである。髪の毛も自分できれいにまとめ、長い髪を巻いてかんざしで留める。
 
愛用のミラに乗って、康子に教えられた住所に行った。
 
康子のうちでは、康子が次男が言い争いをしていた。
「だからね、素敵な女の子がいるのよ。ちょっと会ってみてほしいの」
「そんなの困るって。俺会わないよ。俺こないだ言った人と付き合っているんだから。今度ここに来させるからさ。その人に会ってよ」
「だって、その人は問題外でしょ。少し目を覚ましなさい」
 
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そんな争いをしているうちに玄関のベルが鳴る。
「あら、いらしたみたい」
息子は困ったなという表情で、パジャマのままテープルの所に座っていた。背広を着ろと言われたのだが反抗してパジャマのまま。ひげも剃っていない。
 
「さあ、いらして、いらして」と康子が千里を部屋の中に案内してくる。
「でも千里ちゃん、きょうはとてもいいお召し物ね」
ん?ちさと??
「ありがとうございます。京友禅ではありますけど、ゴム糸目の安物なんですよ」
え?この声は。
 
信次は棒立ちになった。
千里は部屋の中に入り信次を見てびっくりして立ち止まってしまった。康子は何が起きたのか分からず、ふたりの顔を見比べている。
 

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ひどくガックリしている様子の康子に千里が遠慮がちに声を掛ける。
 
「私の性別のこと言ってなくてごめんなさい。でもまさかこういうことになってるとは。私、自分の性別問題については、ふつうの結婚ができる立場ではないと自覚しています。今回の話は私、身を引きますから、康子さん、信次さんにいいお嫁さん探してあげてください」
すると信次が反論する。
「ちょっと待って。身を引いたりしないでよ。僕は千里の性別なんか気にしないし、結婚したいと思っているんだから。子供作れないのはしょうがないけど」
 
康子が何も発言できないまま、身を引くと言う千里と、結婚したいと言う信次がしばらく言い争っていた。それを眺めていた康子がやがてこう言った。
 
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「千里ちゃん、もしよかったら、身を引いたりせずに信次と結婚してやってくれない?」
「え?でも」
「信次のところでは孫は諦めるわ。太一のほうに賭けるから」
「うん、兄貴に期待しよう」
「だって千里ちゃん、ほんとに良くできた女の子なんだもの。立ち居振る舞いがすごく優美で、言葉遣いもきれいだし、行儀作法もしっかりしてるし。和服をこんなにきれいに着こなせるお嬢さんなんて、いまどきなかなかいないしね。私、千里ちゃんをお嫁さんにしたい」
「康子さん・・・・」
 
こうしてふたりは婚約者になってしまったのであった。
 
話がまとまってしまったところで、3人でお食事に行きましょうということになり、信次はちゃんとヒゲを剃り背広に着替えてきて、康子も上品な友禅の訪問着を着た。「凄い!糊糸目ですね」と千里が言ったが信次は「その糸目って何?」などと言っている。
 
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信次のムラーノを車庫から出し、代わりに千里のミラをそこに収納した。信次の運転で郊外の海岸沿いにある料亭に入った。
 
お食事をしながら今後のことを話していく。
「今回、信次さんの会社から受注したシステムの完成予定が12月ですが、システムの開発は、これ発注者を前にこんなこと言ってはいけないのですが絶対予定通りには行かないので、少し余裕を見て、3月くらいの結婚式というのではどうでしょうか?」
「春に結婚式っていいわね。新しい生活のスタートという感じで」
「それで、私、おふたりに言っておかなければならないことがあります」
「え?まだ何かあるの?」
 
「子供のことなんですが・・・実は孫の顔、見せてあげられるかもです」
「どういうこと?」
「私の大学時代の親友で、大学時代はずっとルームシェアして暮らしていた、とっても仲の良い子がいるのですが、私のこといろいろ心配してくれて、私が手術受けた時とかも、タイまで付き添ってくれたりした子なんですが、その子が、私がもし結婚した場合は、卵子を提供すると言ってくれてるんです」
「体外受精?」
「ええ。それで私、卵巣も無いけど、子宮もないので、卵子だけもらっても妊娠できないのですが、これも学生時代のツテで、国内で代理母の斡旋をしているお医者さんがいまして、ですから、彼女からもらった卵子を、信次さんの精子と体外受精させて、代理母さんに産んでもらえば、信次さんの子供、康子さんの孫を授かることができます。もちろんたくさん費用かかりますがそんな時のために私、頑張って貯金しましたから、お金でご迷惑は掛けないと思います」
「それはとっても嬉しい話だわ、私」
「そんなことができるなんて」
ふたりは思ってもいなかった話に感動し、ぜひその話を進めて欲しいと言った。康子はその費用は自分が出すから、貯金は新生活のために使ってとも言った。
 
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