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■女子大生たちの新入学(12)

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「それで千里ちゃん、私夕方静岡でお仕事があるのよね。送って行ってくれる?」
「はい、お送りします」
 
とは答えたものの、運転免許をもらって最初の運転だというと、貴司が最初は自分が運転すると言った。
 
「東京都区内とか大阪市内って特別だから。ある程度慣れてからにしないと怖いよ。それに首都高がまた戦場みたいな場所だから」
「戦場〜?」
 
雨宮先生も頷いている。
 
それで東名に入って最初のSAまでは貴司が運転することにする。そして静岡で先生を降ろしてからそのまま大阪まで貴司を送っていくことにする。
 

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貴司が運転席に就く。千里は若葉マークを持って助手席に乗り込む。雨宮先生が後部座席に乗って出発する。なお貴司は高3の夏休み、インターハイ終了後に免許を取りに行ったので既に若葉を卒業している。
 
「千里、助手席で自分で運転しているつもりになってよく見てて」
「うん」
 
貴司は千葉北ICから高速に乗ると、そのまま首都高に入り、有明JCT/谷町JCTを通過して東京ICから東名に乗る。しかし首都高で千里はカルチャーショックを受ける。
 
「貴司、車間距離短いよ」
「いや。これでいい。試しに開けてみようか?」
と言って貴司が前の車と適正な車間距離を取ろうとしたら、すぐ他の車が飛びこんできて、また前と同様の車間距離になってしまう。
「ね。開けようとしても無意味でしょ?」
「だってこれ急ブレーキ踏んだら追突するよ」
「だからしょっちゅう、そういう事故が起きてる」
「うーん」
 
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それでも貴司は前の車との距離は比較的大きめに取っている。そこにまた強引に車が飛び込んで来た。
 
「何今の? ウィンカー点けるのと同時に飛び込んで来た」
「だから首都高は戦場なんだよ。銃弾の飛び交う前線に居るくらいの気持ちでいないと事故に巻き込まれるよ」
「分かった」
と言って千里も臨戦態勢になる。
 
「それでも下道よりはずっとマシなのよね〜」
と後ろから雨宮先生が言う。
 
「都会の下道はもうカオスですよね」
「そうそう」
 

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やがて車は海老名SAに着く。ここでトイレ休憩した後、今度は千里が運転する。教習所を出てから初めての運転だ。2週間しか経ってないから充分覚えているだろうと思ったのだが甘かった。最初発進の仕方を忘れていて貴司に教えられる。
 
「ごめーん」
「気にせず慎重に」
「うん」
 
高速教習もやったし、貴司のアウディA4アバントを無断運転で高速を走ったりもしていたし大丈夫だよね、と思ったのだが、貴司は心配して言う。
 
「無理しないで。左車線に入って80km/hで走ろう」
「うん、そうだね」
 
それでも30分も走っているとだいぶ感覚が戻ってくる。
 
「行けそうな気がする」
と言って千里は2車線目に移動するとともに100km/hに加速した。
 
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「前だけを見るんじゃなくて、バックミラーとかサイドミラーも定期的に見るようにしよう」
「うん。そういえばそんなこと言われたんだった」
 
「あれって見る癖のできてない人は何年運転しててもダメよね」
と後ろから雨宮先生も言う。
 
「車線変更する時は必ず目視確認」
「それも言われてた!」
 
やがて東名名物の左右ルートに分かれる区間が来る。
 
「左ルート・右ルートって何?どちらに行けばいいの?」
「どちらでも好きな方を」
「よし。右に行こう」
「ほほぉ」
「左が良かった?」
「いや。どちらに行くべきか迷った時は左を選ぶ人が多い」
「へー」
「さすが私の弟子だわ。変わってる」
「はい、私、変人なことには自信あります」
 
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貴司が何気なく疑問を呈する。
「先生も変人なんですか?」
「そうよ。私かなりの変人のつもりだったのに、この子見てたら自信がぐらつくわ」
「なるほどー」
「そもそも女に見えるけど実は男だってのも同じだしね」
「えーーー!?」
と貴司が驚く。
 
「先生、男性なんですか?」
「そうだけど」
「女性に見えます!」
「そうね。女に見られることが多いわね。
 
「ってか、女にしか見えないよねー」
と運転席で千里も言う。
 
「ちなみに性転換手術はしてないってのも同じだよ」
と千里は追加したが
 
「それは嘘だ。千里は性転換済み」
と貴司。
「あら、あんた性転換したんだ?」
と先生。
「してません。私、身体はまだ男です」
と千里は言ったが
 
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「いや。こいつ既に高1の時に医師の診察受けて女性と診断されて、それで女子選手の登録証をもらったんだから、既にその時点で性転換済みだったのは間違い無いです」
と貴司は言う。
 
「ああ。そうだったわね」
と言って先生は苦しそうに笑っている。もう!
 
「私ホントに手術とかしてないんだけどなー」
と千里は言うが、信じてもらえないようだ。
 
「だけど千里、免許取って初めての運転にしては上手いよ」
「褒めて、褒めて」
 
「あんたたち、キスくらしいてもいいわよ」
「いや、私たち友だちだから」
「ふーん。友だちねぇ」
と言って、先生はまた苦しそうにしている。
 

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下道の都市部は大変だしということで日本平PAでまた運転は貴司に代わり、それで先生の行き先を確認してカーナビをセットし、静岡ICで降りて先生を目的地に送り届ける(静岡までの高速代は先生が出してくれた。ついでにガソリン代と言われて1万円もらった)。
 
下に降りたついでに静岡市内のファミレスで夕食を取り、ゆっくり休んでからまた出発する。今度は千里が最初から運転した。
 
「この高速のチケット取ったり精算するの結構面倒だね」
「ETCカードを作るといい。割引にもなるし」
「ふーん」
「この車はETC取り付けてあるからカードだけ作ればいい。ETCで夜間に高速を走ると確か3割引とかだよ」
「それは作らなければ!」
 
「結果的にクレカを作ることになるけど、学生は結構簡単に発行してくれるんだよ」
「へー。それどこで訊けばいいんだっけ?」
 
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「車を買ったディーラーとかカー用品店とかでも取り次いでくれると思う。僕は銀行の人に勧誘されてそれで作ったんだけどね」
「へー。オートバックスにでも行ってみようかな」
「女の子には親切に教えてくれるよ。口座の通帳印鑑とか持って行ってね」
「うん」
 

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結構休み休み走ったので滋賀県付近まで来たのは既に夜9時頃である。千里は菩提寺PAの表示を見ると車を中に入れる。カーナビの表示は残り70kmを切った。千里は車を建物から結構離れた場所に駐めた。
 
「トイレ休憩?」
「うん。行って来ようよ」
 
ふたりで一緒にトイレに行くが、男女表示のところで当然別れる。貴司は男子トイレに行き、千里は女子トイレに行く。千里が出てくると、貴司はトイレの前で待っていてくれた。
 
「コーヒーでも飲もうよ」
と言って、ブラックコーヒーを2缶買って1つは貴司に渡す。飲みながら車に戻る。ロックを解除するが千里は後部座席のドアを開けた。
 
貴司が千里を無言で見詰める。
 
「しない?」
と言って千里は貴司を見て微笑む。
「する」
と言って貴司もドアを開けて中に乗り込んだ。
 
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結構運転で神経を使っていたせいか、セックスしたままお互い眠ってしまっていた。目を覚ますともう夜11時である。
 
「この後うちの近くの道は一方通行とかあって入り方が難しいから僕が運転するよ」
「うん」
 
それで貴司の運転で京滋パイパスを通り再度名神に合流して、吹田ICで名神から府道2号に入る。千里(せんり)ICを降りて少し走ると貴司のマンションだ。
 
「ここの住所書く時、私、何だか自分の名前を書いてるような気がする」
「だからそこに住んでいるのさ」
 
その言葉に千里はドキッとした。貴司は帰りが分かりにくいと思うと言い、運転席を交代した上で、マンションから千里(せんり)ICまでの道を千里(ちさと)に運転させて出てから、再度自分のマンションに戻った。マンション前で車を停める。ふたりはしばらく車の中で沈黙していた。
 
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「私たちの関係だけど友だちということでいいんだよね?」
と千里は訊いた。
 
「うん。いいんじゃない。セックスしちゃうかも知れないけど」
「そうだね。気分次第では。でもこないだみたいに、嫌だと言ってるのに無理にしちゃうのはNGだからね。お互いに同意できる時だけだよ」
「あれはごめーん」
 
「じゃ、また」
「うん。帰り気をつけてね」
と言ってキスをしてから、貴司は車を降りていった。
 
『千里、どこかで少し寝てから帰った方がいい』
と《りくちゃん》が言う。
『うん。桂川PAあたりで一眠りしてから帰るよ』
と言って、千里はインプレッサを発進させた。
 

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結局千里が東京まで戻って来たのは朝6時である。カーナビに設定されている駐車場に行ったのだが。。。
 
「え?」
と思う。駐車場は都内である。
 
「嘘。だったら、私アパートからここまでどうやってくればいいのよ!?」
 
しかし車を路上に放置したりもできないので、そこに駐めて千里は電車で千葉に戻った。
 
軽くシャワーを浴びてから、ポロシャツとセーターにスリムジーンズという格好で学校に出て行く。
 
教室で金曜日に飲み会に行った男の子と顔を合わせたので
「おはよう」
と言ったが、向こうは
「あ、おはよう」
と少し困ったような顔をする。
 
ああ、やはりあの飲み会での言動で、私、男の子の仲間からは外れたかな、と思う。まあ、その方が気楽でいいけど。男の子と話すのは緊張する。貴司だけが例外だなぁ、などと考えていた。
 
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1時間目の英語の授業が終わり、教室を移動して2時間目は線形代数の授業だ。教室移動といっても、大半の学生は一緒に移動している。
 
教官が来るのを待っていると、突然後ろから耳に触られる。
 
え?
 
「あ、動かないで。じっとしてて」
と女の子の声がする。
 
「イヤリング付けてあげたよ」
というので、バッグから手鏡を出して見る(普通男子学生はそんなの持ってない)。
 
「わ、可愛い」
と千里は言ってしまった。イルカのイヤリングだ。
 
「気に入ったのなら、それあげる」
と言ったのが朱音であった。
 
「村山君、今日の授業終わった後、予定ある?」
「ううん。無いけど」
「和菓子のバイキングあるんだけど一緒に来ない?」
「あ、行く行く。ボク和菓子大好き」
 
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そんな感じで千里は同じクラスの女子たちと仲良くなっていったのであった。
 
 
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