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■夏の日の想い出・3年生の冬(6)

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タカは、どうせローズ+リリーとローズクォーツの違いを明確にしたいというのであれば、次のシングルはローズ+リリーとローズクォーツのを同時発売すればいいと提案し、調整することになった。取り敢えず来週からの予定であったローズクォーツの新譜をもう明日から制作に取りかかろうということになる。町添さんと上島先生に連絡して承諾を得た。上島先生は
「来週からと思ってたので、新曲は来週書くつもりだった。少し待って」
と言い、私も
「制作は8日までやってますから、それまでに頂けると」
と先生に言ったら、
「うん。それまでには書くね」
と言った。
 
このパターンは多分8日になってから送られてくるなと思ったら、先生の作品は8日の夕方になって、やっと届いて、予備日にしていた9日にその作品の制作をすることになった。
 
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今回のシングルに入れた曲は、上島先生の『Night Attack』,マリ&ケイの『ウォータードラゴン』、マキの『メルティングポット』『ダーク・アロー』
『オルタネート・ラバー』の5曲。なんと全部英語のタイトルだ! 加藤課長あたりから「あんたら売る気ある?」とか言われそうである。
 
上島先生の作品が遅れていたので、『ウォータードラゴン』から制作を始めたのだが・・・・美智子が持って来たアレンジ譜を見て私は頭を抱えた。
 
「みっちゃん、申し訳ない。この曲は私にアレンジさせて欲しい」
と私は言った。
 
「うーん。そうだね。元々マリ&ケイの曲だし。いいよ」
 
ということで初日12月4日の午前中、私はスタジオの副調整室の隅でキーボードを弾きながら『ウォータードラゴン』のアレンジをした。
 
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「ケイちゃんが、アレンジするのに楽器使ってるの初めて見た」
などと初日なので顔を出している氷川さんに言われる。
 
「私だって、楽器くらい使いますよぉ」
「でも、いつも楽器使わずにひたすら書いてるイメージが」と氷川さん。「だよね〜。どんなアレンジをするのか」と美智子。
 

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午前中に『オルタネート・ラバー』の楽器パートを録り終えたので休憩にする。私はちょうど仕上げた『ウォータードラゴン』のアレンジ譜をMIDIで鳴らしてみせる。
 
「格好え〜」とサト。
「凄い。同じ曲とは思えん」と美智子。
「えっと・・・・これを俺たちが演奏するの?」とヤス。
「これ1日で弾けるようになる自信無い」とタカ。
「みんなまた1ランク、レベルアップしてもらわないといけないね」
と美智子は笑顔で言った。
 
「ね。ケイ、『メルティングポット』も同様にアレンジしてくれない?」
と美智子が言うので、私は「はい」と笑顔で答えた。
 

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他の4人が昼食に出ている間に『オルタネートラバー』のボーカル部分を吹き込んだ。
 
「ね、ケイ。高音がすごくきれいに出るようになってるね」
「そうですね。安定しては出せないけど、時々E6が出ることがあります」
「凄いね。それ考えてアレンジしたいなあ」
 
「そういえば、クォーツってアレンジャーがいないんですね」
と私は言った。
「うん。そうなんだよね。マキは作曲の才能はあると思うんだけど、マキの編曲は凡庸すぎるんだよね〜」
 
「でも私があまりやると、またまたローズ+リリーとの区分けが分からなくなっちゃうから、今回はこの2曲だけということで」
「うんうん。それがいい。でも私もマキじゃないけど、アレンジの勉強やり直すよ。この曲がこんなに凄くなるというのが私には見えなかった。そういえば、以前にも似たことあったね。『用具室の秘密』だったかな」
 
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「そうですね」
と言って私は微笑む。体育用具室という場所は私にとっても政子にとってもいろいろ思い入れのある場所であった。
 
「マキは頑張る努力家ではあるけど、努力の方向のセンスがやや悪いからそれがもったいないです」
「まあ、それがマキの持ち味なんだろうけどね」
と美智子は笑顔で言った。
 
「ところでさ、ケイって編曲も凄いけど、ミクシング技術も持ってるよね。だから編曲とミキシングがきれいに呼応している。ミクシングでこうすればいい、というのを考えて編曲されている」
「そうですね」
 
「ケイって人前ではあまりやらないけど、ギターとかヴァイオリンとかサックスとかトランペットも演奏できるよね」
「音が出せるというだけで、演奏というレベルには遠いですよ。楽器の特性を知らずにはアレンジできないから、最低限の知識です」
 
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「ふふ。それにケイって、こういう副調整室の機器を全部ひととおりちゃんと操作できるじゃん。前からよく制作途中に仮ミクシングした音源をちょちょいと作ってみんなに聴かせたりしてたし。『天使に逢えたら』の緊急録音の時とかはケイが直接コンソールの前に陣取って、全体の指揮をしてたよね」
 
「みっちゃんも『影たちの夜』は直接、コンソールに座って作業したんでしょ?」
 
「あれはもう時間的に最初からミックスダウンされた状態を考えて音を出させないと間に合わなかったんだよ」
 
「私も同じ理由でコンソールから指示を出してました。みっちゃんはいつこういうの覚えたの?」
「20歳頃のほんとに売れてなかった頃に、スタジオでバイトしててその時に操作とかも覚えたんだよ」と美智子。
 
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「私も一時スタジオでバイトしてたことありましたから。サウザンズのアルバム制作でアシスタントしたこともありますよ」
と私が言うと
「えー!?」
と驚かれた。
 
「そういや、ケイって△△社に最初に来た時から、この世界の慣習とか言葉遣いに慣れてるって思った。そんなバイトしてたから?」
「スタジオでバイトする前に、リハーサル歌手してたんですよ。その時覚えたんです」
「何〜〜!? そんな話は聞いてないぞ」
「ああ。これ政子にしか言ってなかったし。KARIONの和泉と組んでふたりでやってたんです。向こうもKARION結成前ですよ」
「うっそー!!?」
と美智子は叫んでから、おそるおそる訊く。
 
「KARIONのいづみちゃんと組んでって・・・・まさか女性デュオ?」
「はい」
「じゃ、その頃からケイって女性歌手だったんだ!?」
「えへへ」
 
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やがてクォーツの4人が戻ってくる。タカがお弁当を買ってきてくれたので、私はそれを食べながら『メルティングポット』のアレンジに取りかかり、美智子は『ダーク・アロー』の演奏部分の収録作業を進めた。簡単なのを先に仕上げておいた方が、後が少し気分的に楽になる。
 
夕方までに『ダーク・アロー』の演奏が完成したので、私はその間に書いていた『メルティングポット』のアレンジをMIDIで流す。
 
「明日はひたすら練習ですね」とタカ。
「うん。頑張ろう」
 
ということで、その日は彼ら4人はそれで帰して、その後『ダーク・アロー』の私が歌う部分を録った。
 

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『ウォータードラゴン』と『メルティングポット』の演奏については4人ともかなり苦戦していた。結局12月5日,6日は収録はせずにひたすらみんな練習していた。私もこの2つの曲ではウィンドシンセで演奏に参加するので、その部分をひたすら練習する。
 
7日に『メルティングポット』を録ることにした。全体練習を午前中やって、それから、楽器ごとに個別に録ることにした。各々スタジオ内のブースに入り、独立した進行でクリックに合わせて演奏してもらい録音をするが、なかなかいい録音が取れない。難易度の高い所は充分な演奏能力のある彼らでも数回に1度しか成功しないので、その部分だけを何度も演奏して録り直すということもしたりした。各々がバラバラのペースで作業を進める中、美智子は副調整室でひとりずつに指示を出していた。しかし何とか夕方までに使える状態まで持っていくことができた。
 
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8日は『ウォータードラゴン』であった。ひじょうに高い技術を要求される曲だけに、ほんとにみんな苦労していたが、昨日の『メルティングポット』で各々の技術が上がっていたこともあり、また昨夜は私と美智子以外は夕方で上がって4人とも充分休ませたこともあり、何とか仕上げることができた。
 
そこまで仕上げたところで上島先生から「遅れてごめーん」といって下川先生にアレンジしてもらった『ナイトアタック』のスコアが送られてくる。
 
「5日前の俺なら、この曲『できません』と言ってた」とタカ。
「明日頑張ろうね」
「はい」
 
ということで、その日も4人を夕方で帰し、私と美智子のふたりでここまでの4曲の編集・ミクシングを進める。
 
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「これとこないだのローズ+リリーの『ピンザンティン』を聴いたら、ファンの人たちも納得してくれないかな」
と言って美智子は微笑む。
 
「記者会見が必要なら、一緒にしよ」と私。
「うん」
 

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発売は、元々1月2日にローズ+リリーの新譜、1月16日にローズクォーツの新譜の予定であったが、1月9日に同時発売ということで話がまとまった。
 
12月9日はローズクォーツの音源制作の最終日だったが、私は途中スタジオを抜け出して、政子と落ち合い、YS大賞の授賞式に行ってきた。ローズ+リリーの『影たちの夜』が優秀賞を頂いたのである。
 
この賞はリクエストの数で表彰される賞なので、歌が本当に評価されて頂く賞である。そういう意味では、いちばん大事な賞だと私は思っている。
 
昨年はローズクォーツの『夏の日の想い出』、ローズ+リリーの『Spell on You』
ダブル受賞だったが、今年はローズ+リリーのみである。私は来年はまたダブル受賞できるといいなと思った。
 
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更に12月20日にはDL大賞でまた『影たちの夜』が金賞を頂いた。これは着うたやダウンロード系の賞で、昨年は(実数こそ公表していないものの)恐ろしい数のDLがあった『神様お願い』が特別賞を頂いている。
 

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新曲の事前宣伝は12月中旬くらいから始め、短時間のPVをyoutubeに上げたり、曲の一部をFMで流してもらったりしたが、やはり当然来たのが
 
「今回のローズクォーツの作品にはマリちゃん参加してないのですか?」
という問合せであった。
 
そこで私たちは★★レコードの本社で、私とサトと美智子に加藤課長が出席して記者会見を開いた。本来マキが出るべきだが、こんな場にマキを出したら何をしゃべるか分からなくて怖すぎるのでサトが出た。
 
私たちの説明はシンプルである。
「技術的な問題もあり、ここ1年ちょっと、マリにローズクォーツの音源制作にも特別参加してもらっていたが、ローズ+リリー本体の活動も少しずつ活発になりマリが多忙になってきたので、今後は Rose Quarts Plays シリーズ限定での参加になる」という趣旨であった。
 
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「多忙になってきたというのは、やはりローズ+リリーの活動が本格化していくのでしょうか?」
「新譜の発売に関しては創作の波とかもあるので確約できませんが、来年はシングル3枚以上とアルバム1枚以上の発売はお約束します。また現在のところ6回のライブを予定しています。日程などがまだ確定していないので、詳細は随時発表していきます」
 
と私は答える。本当は全て会場確保済みだが、チケット販売政策上、公開するタイミングがある。9月の2万人ライブは5月の仙台が終わるまでは明かせない。
 
「ローズ+リリーの方が忙しくなってきてマリさんが離脱ということのようですが、ケイさんも多忙なのはマリさん以上だと思うのですが、ケイさんも離脱する可能性はあるのでしょうか?」
「元々、イベントの伴奏などにはボーカルが不要なので、私以外のメンバーで行っておりますが、私自身がローズクォーツから離脱することはありません。私はローズクォーツは20年くらいはやるつもりでいます」
 
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サトが
「元々、ローズ+リリーの伴奏をローズクォーツがしているのと、ローズクォーツにマリが参加しているのと、どこが違うのか? という質問がよくあったのですが、実はやっている我々もそれが分からなくて」
と言うと、記者席がどっと沸く。
 
ここにいる記者さんたちの中にも、その質問を私たちにしたことのある人がけっこういるはずだ。私もサトもその質問に何度答えてきたか分からない。
 
「それで、違いをやはり明確にしようということになったのもあります。それでローズ+リリーの伴奏もスターキッズが務める機会が増えると思います」
とサト。
 
「それって、別にマリさん・ケイさんと、マキさん・タカさん・サトさんの関係が悪化したので、活動も別々になるということではないですよね?」
という質問が来る。これは予想された質問だ。
 
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「そんなことは無いですよ。私たちはとっても仲良しです。何なら今ここでケイとキスしてもいいですが」
とサトがいうが
「いや、キスはやめましょう。私がキスするのはマリとだけです」
と私は言い、また記者席がどっと沸く。
 
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