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■夏の日の想い出・十二月(5)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-08-02
 
Havai'i 99のメンバーとサマーガールズ出版で渡航前に交わした契約書では下記のミッションが指定されていた。
 
・タヒチの楽器の演奏法を学んでくること
・タヒチの音楽・歌・踊りなどを覚えてくること
・向こうで5〜6曲、タヒチ風のオリジナル曲を書いてくること
・タヒチ楽器の演奏法や歌・踊りなどを帰国後こちらの指定した人に教えてくれること(授業料は払う)
・タヒチの楽器を自分たちの分以外に、適当な数持ち帰ること(代金別途)
 
そして禁止事項としては
・現地の人との性的行為
・タトゥを入れること
・度をすぎた飲酒
・麻薬・覚醒剤の類い!
・政治的な活動・言動
 
その他常識的ないくつかの禁止事項が並べられていた。
 
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メンバーおよび各々の恋人、合計6人は各自パスポートを準備してから2019年2月下旬に日本人通訳(日本語←→フランス語)兼会計係の三条さん(実は∞∞プロのスタッフである。§§ミュージックには男性スタッフが少ないので、鈴木社長にお願いして借りた)と一緒にタヒチに渡航した。
 
メンバーの男性3人は各々妻を連れていたので“無事”だったが、通訳兼会計で同行した三条さんは「恋人要らない?」と言われて断るのに苦労したようである。「私は女には興味が無いので」と言って断ったら、7人共同で住むことにした家の彼の部屋のベッドに、お化粧した美少年が寝ていて、ハイトーンの声で「オカエリナサイ」と可愛く日本語で言ったので、追い出した!らしい。
 
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「せっかくだから抱いてあげればいいのに」
「社長に叱られるよ。それに俺、男には興味無いし」
 
鈴木さんが怒ったら怖そうである。
 
「子供ができて養育費を要求される心配無いよ」
「それも怖いね!」
 

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滞在中はタヒチ島で楽器の演奏法を習うとともに、たくさんの伝統的な歌を習って、ポリネシアの音程や歌い方などを身に付けた。本来はメンバー3人だけが習う予定だったが、女性3人も何もしないのは暇なので、結局お稽古料を彼女たちの分もこちらで出すことにして一緒に楽器や歌・踊りなどを習うことになった。
 
タヒチの楽器は基本的に打楽器とメロディー楽器に分けられる。
 
タヒチでは打楽器は男性が演奏するものという観念が強く、女性の打楽器奏者はボンゴに似た太鼓“パフ・タパエ(Pahu tapa'e)”以外では極めて稀である。パフ・タパエ以外では、タリパラウ奏者がごく僅かいる程度らしい。
 
そういう訳で羽合碁王のメンバーは男性3人が打楽器、女性3人がメロディー楽器を習うといいと言われた。しかし月さんは「私は半分男」と主張して打楽器も勉強することを認めてもらった(*1)。
 
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(*1)本当に付いているか触って確認されたらしい!ついでに自分のも触れと言われたので触ってあげたら、何だか喜んでいた!?
 
打楽器については、しばしば演奏者が楽器を自作するので、結果的に日々新しい楽器のバリエーションが生まれていく。しかし基本は次の3つである。
 
●タリパラウ(tariparau):大太鼓(バスドラ)
●ファアテテ(fa'atete):小太鼓
●トエレ(to'ere):後述
 
打楽器を習う時は必ずタリパラウから習うことになっている。それで合格したらファアテテを習うことを許してもらえる。4人の内、タリパラウ合格と言われたのは中橋・酒田・月の3人で村原は3ヶ月間頑張ったが最後まで合格しなかった。しかし彼はその分プー(ほら貝)では「結構上手い」と褒められた(但しそちらも合格にするには後1歩足りないと言われた)。
 
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合格した3人は4月に入ったあたりからファアテテを習った。これで合格したのは中橋と月の2人である。それでこの2人がトエレを習うことを認められ5〜6月にそのお稽古をした。
 
「しかしこれは1ヶ月コースでは何も勉強できずに帰らないといけなかったな」
「うん。3ヶ月コースにしてよかった」
と中橋や酒田は言いあった。
 

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トエレはタヒチアン・ミュージックを象徴する楽器である。そして前述のように、打楽器の演奏を究めた者のみが学ぶことを許され、そしてバンドの花形である。
 
元々はクック諸島(*2)由来の楽器でクック諸島ではトケレ(tokere)だが、タヒチではk→'とカ行の子音が声門閉鎖音に置換されてトエレ(to'ere)と呼ばれる。
 
トエレの材料はミロ(別名パシフィック・ローズウッド)や照葉木(てりはぼく)などである。これらはカヌーの材料にも使用される硬い木である。これを円柱状に切り出し、円柱の側面と両底面に細長いスリットを入れ、中身もくりぬいて作る。サイズは小さい物は40cmくらい、大きな物は120cmくらいで、出したい音程に合わせたサイズが作られる。クック諸島では、
 
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小さいもの: tokere-mamaiti
中くらいの: tokere-tangarongaro
大きなもの: tokere-taki / tokere-'atupaka
 
と呼び分ける。これを先が細くなった円錐状(角状)のスティック(やはり硬木でできている。鉄製のスティックを使う流儀もある)で叩く。
 
演奏法は2種類あり、垂直に地面に立てて、横から1本のスティックで叩く方法と、地面に横に寝せて、あるいは足の上や膝の上に置いて上から2本のスティックで叩く方法である。左右の支柱の上に置いて叩く場合もある。複数の音程の違うトエレを叩く人はこの支柱方式を使用する。
 
多人数のバンドでは、リード・トエレ、リズム・トエレなどに分けられる。西洋のロックバンドでいえばギターに近い地位を持つ楽器。
 
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(*2)“クック諸島”という国である。マオリ語では“クキ・アイラニ”。旧名はラロトンガ王国。
 
場所はタヒチの西1000kmほどの所。15の主な島とその周辺の小島からなる。中心は旧国名と同じラロトンガ島。『戦場のメリークリスマス』が撮影された島である。ラロトンガ国際空港(IATA:RAR)があり、ニュージーランド、タヒチ、アメリカへの国際便が就航している。外交をニュージーランドに委ねていることもあり、国家として承認していない国も多い。2019年現在クック諸島を国家として承認しているのは40-50国程度(資料により数に差異がある)に留まる。日本は2011年に承認し、同年、首相夫妻が来日している。
 

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「でも女でトエレを許されたのは俺が教えた中では10年前に1人居ただけだ」
と先生から言われた。
 
月は都合のいい時は男、都合のいい時は女、とみなされているようだ。
 
もっともトエレ合格を告げられたのは中橋のみである。月もかなり褒められたものの“合格”にはしてもらえなかった。それでも“女トエレ奏者”の認定証をもらった。その番号が"5"だったのが凄い。つまりこの認定証は月を含めて過去に5人しかもらっていないということである。
 
「ちなみに1番の番号の認定証をもらった女は、拳闘大会でも男のチャンピオンを倒して“認定男”になって、男として暮らすことが許され、父親の後を息子として継いで海運会社を経営して、奥さんも持ったらしい。もう50年か60年くらい前のことだけど」
 
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などと先生は言っていた。
 
へー!そういう「男に負けない活躍する」のを好む女性は居るよな、と思う。でもお嫁さんももらうのか。しかし拳闘で男に勝つのは凄い。
 
「あんたも男に認定してもらえるよう推薦しようか?」
「それでは村原の奥さんを辞めないといけないので遠慮します」
「代わりに旦那が女になったら?あの人、女みたいに腕力無いし」
「あはは」
 
あいつもかなり怪しいよなあと月は思った。いわゆる“代理トランスジェンダー”では?という気もする。自分自身が女の子になりたい気持ちを隠して、代わりにトランスジェンダーの恋人(妻)を持ちたがる人というのが、割と存在する。性転換したい気持ちをパートナーに「投影」(心理学用語)して代替満足しているのである(自分がピアニストになれなかった母親が娘をピアニストにしようと厳しいレッスンを課したりするのと似た心情)。
 
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だからこちらに「早く性転換できるといいね」とか唆してくるし。こちらが彼に「ヒロちゃんのちんちん切っちゃうぞ」などと言ってあげると興奮するし!本棚に『バッド・ストリート・ガールズ』とか『プリティフェイス』とか『らんま1/2』とか『少女少年』とか並んでいたし!
 

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トエレを習った中橋と月の2人は似た楽器イハラ('ihara)も習った。これはトエレがクック諸島から伝わる以前からタヒチに存在したものの、トエレに押されて一時期消滅していたらしい。それを古楽器の研究から復活したのである。
 
縦に細く切った竹を多数束ねて、それをトエレと同様の硬木のスティックで叩くものである。ジャジャジャジャという感じの音がする。これは基本的に2本の支柱の間に渡して横に置いて使用する。数本のトエレと並べてひとりの奏者がまとめて演奏することも多い。キーボードを数台並べて演奏するのと似た感じだ。
 
なお、ポリネシアの竹(ohe)は、日本など温帯の竹と違って地下茎で広がらず、1ヶ所から多数の竹がまとまって生える“叢生”をする。このタイプは「竹」「笹」と別分類の「バンブー」と呼ぶこともある。
 
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ファアテテで合格できなかった酒田はトエレを学ぶことを許されなかったので、代わりに太鼓類を色々教えてもらった。これには次のようなものがある。
 
●タリパラウ(tariparau 大太鼓) 両面に皮を張った太鼓で1本のマレットで打つ。
●ファアテテ(fa'atete 小太鼓) 片面に皮を張った太鼓で両手または2本のスティックで叩く。
●パフ・トゥパイリマ(pahu tupa'i rima 高太鼓) 高さ1mほどの背の高い太鼓で皮は1面。手で叩く。
●パフ・タパエ(Pahu tapa'e) ボンゴのような小さな太鼓で複数の(音高の違う)太鼓を並べて使用する。皮は片面。女性にも演奏が許されている数少ない太鼓のひとつ。
 
なお「パフ」というのが、太鼓族の一般的な呼び名である。
 
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一方、女組3人(月を含む)は、メロディー楽器を習った。これには下記のようなものがある。
 
●プー(Pu) ホラ貝!
●ヴィヴォ(Vivo) 縦笛
●ウクレレ(ukulele)
 
まずプー(Pu)はプートカ(Pu toka)ともいうが、ホラ貝である。マウスピースは使用せずに、貝をそのまま吹く。貝の先端に穴を開けてあり、そこから吹くようになっている。学校とか職場などで、チャイムのようにして使用される。タヒチのホテルで朝の合図とかお昼の合図など時報のようにプーを吹く所もある。
 
マウスピース無しで貝を鳴らすのは結構難しく、女性3人の内、器用な月と、中学の吹奏楽部でトランペットを吹いていた美雪は吹けたが、その手の経験が無い鈴花はだいぶ教えてもらったのだが、どうしても音が出せなかった。
 
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ヴィヴォは指穴が3つ(4つのものもある)の縦笛で、フルートと同様のエアリード楽器である。管の端は閉じていて、端の近くの側面(指孔と同じ側)に唄口が開けてあり、ここに息を管と並行に吹きかけて鳴らす。吹きたい曲の音程に合わせてサイズの違う数個のヴィヴォを用意するのは、日本の尺八と同じ考え方のようだ。
 
そしてヴィヴォの変わっている点はこれを口ではなく鼻息で吹くことである。管の端を鼻と上唇の間、いわゆる人中の所に当てて、鼻から出る息で吹く。
 
これは月と鈴花は少し練習しただけで吹けたが、鼻づまりの悪い美雪はうまく音が出せなかった。
 
「あんた笛を習う前に鼻の通りをよくしないといけないね」
と言われて、毎日鼻の穴に水を通す練習!をしていたら、1ヶ月ほどで何とか音が出るようになった。
 
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「これ気持ちいい。日課にしようかな」
と美雪は言っていた。
 
「鼻に水を通すのは、日本の有名なコメディアンでサカミ・シローという人が広めたんだよ」
 
と先生が言っていた。誰だろう?と思っていたのだが、帰国後確認して、コント55号の坂上二郎であることが分かった!
 

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夏の日の想い出・十二月(5)

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