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■夏の日の想い出・神は来ませり(11)

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11月14日。
 
朝4時半に起床する。
 
「信子ちゃんも来る?」
と声を掛けると
「あ、はい行こうかな」
と言って一緒に起きてスカートに着替え、コートを着ていた。
 
むろん政子は起ききれないので、トイレにだけ行かせて、車の中で寝てるといいと言って、取り敢えず乗せて毛布と布団を掛けてあげた。
 
全員でチェックアウトする。信子の着替えなどの荷物は余っている箱をもらって詰め、宅急便の発送を旅館の人にお願いした。
 
今日はゆまの運転で美保関(みほがせき)を目指す。昨日の夕方は島根半島西端の日御碕(ひのみさき)で夕日を見たのだが、今朝は島根半島東端の美保関で朝日を見ようということなのである。
 
5時前に出発する。すぐに天文薄明が始まる。
 
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「信子ちゃん、何か悩んでるような顔してるけど、どうかしたの?」
と私は尋ねた。
「あ。いえ、大丈夫です。でも人生って多分何とかなりますよね」
と彼女は言う。
 
「うん。人生って色々なことがあるけど、結構何とかなるもんなんだよ」
と私は答えた。
 
私は信子がしばしば千里をチラッチラッと見ていることに気付いた。まさか好きになっちゃったとか?それで悩んでいるとか??
 

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1時間ほど走って美保関灯台の駐車場に到達した頃、夜明けとなった。
 
「まだ暗くてよく見えないけど、灯台見てこようか?」
と言って政子は放置して残りの4人で遊歩道を歩き、灯台や鳥居を見てきた。
 
「夏至の頃にはこの鳥居の向こうから日が昇るらしいんだけどね」
と千里が言う。
 
「おぉ、それも一度見てみたいね」
「それが見るのは至難のワザなんだよ」
「どうして?」
「だって梅雨時だから」
「あぁ!」
「見られたら物凄い幸運だよ」
 
それで駐車場に戻る。
 
「それで今日はこの駐車場に居ればいいの?」
「そう。国立天文台のサイトによれば方位は111.9度と書いてある。だからこの駐車場がベストビューになるはず。方位的には大山(だいせん)付近から昇るはず」
 
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日の出の時刻は6:41なので、6時半頃、政子を起こした。なかなか起きないので
 
「朝御飯はステーキにしようか」
と千里が言うと、パッと起きた。
 
やがて大山(だいせん)のあたりが明るくなってきて、そこから太陽が昇ってきた。それはまるで大山が太陽を噴出したかのような感じであった。
 
「凄く力強い太陽だ」
とゆまが言った。
 
「活力があふれてくるみたい」
と信子も言う。
 
「うん。昨夜の日御碕の夕日はただただ美しかったけど、この美保関の朝日は力強い。エネルギーが湧き上がってくるようだよ」
と私も言う。
 
千里は無言だが、何かを決意するかのような鋭い視線でその昇ってきた太陽を見つめていた。
 

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空が明るくなったので、政子も一緒に再度灯台や鳥居の方まで行ってくる。
 
「みんな、この鳥居の向こうの方に小さな島があるの見える?」
と千里が言う。
 
「見えない」
と私は早々に諦めた。
 
ゆまはかなり目をこらしていたのだが
「ダメだ〜。分からん」
と言う。
 
信子もあまり視力はよくないようで
「分かりません」
と言った。
 
しかし政子は
「あの何か白いのが立っている所?」
と言う。
 
「うん。それ。あれが沖の御前と言って、恵比寿様が鯛を釣っていた島なんだよ」
「へー!」
 
「この鳥居のすぐ先に岩場みたいなのがあるよね」
「うん」
 
「こちらが地の御前と言って、ふたつでペア」
「なるほど」
 
「和歌山の加太の地島・沖ノ島と雰囲気似てるね。距離は大きく違うけど」
と私は言う。
 
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「うん。あちらは西向きで、こちらは東向きの違いもあるけど、どちらも聖地という感じがあるね」
 

美保関には8時頃まで居て、そのあと県道を2kmほど戻って美保神社にお参りする。先ほどの灯台そばの鳥居は実はこの神社の境外摂社だったのである。
 
その後、ゆまの運転するインプレッサは更に7kmほど道を戻ってから、巨大な境水道大橋を越えて、鳥取県の境港に入った。
 
「今空気が変わった」
と政子が言った。
 
「ええ。何か変わった気がします」
と信子。
 
実は私も感じた。
 
「出雲大社は何重もの結界で守られているけど、出雲国全体がいちばん外側の結界なんだよね。だからこの橋を渡る時は空気が変わるんだ」
と千里が言う。
 
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「なんか変わったの?分からなかった」
とゆまは言っていた。
 

千里が橋を渡る少し前に助手席からカーナビを操作していたのだが、境港市内に入った車はやがて一軒の食堂の前に行く。そばの駐車場に駐める。
 
「まだ開いてないのでは?」
「あと少しで開くと思う」
 
実際、私たちが駐車場で待機していたら、お店の人が玄関を開けて出てきて
 
「今開けました。どうぞ」
と声を掛けてくれた。
 

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それで中に入る。
 
「朝から申し訳ないのですが、サイコロステーキかハンバーグできます?」
と千里が尋ねる。
 
「どちらもできますよ」
 
千里が政子を振り返る。
 
「サイコロステーキ!」
と言っている。
 
「じゃサイコロステーキ4人前とハンバーグ4人前、セットは5人分で。飲み物は・・・」
 
「ミックスジュース」とゆま。 
「ヨーグルト」と政子。 
「コーヒー」と千里は言ってから優しく信子を見る。千里に見つめられてドキっとしたようだが、信子は
「じゃ私はミルクティーで」
と答えた。
 
「それにココアで」
と私は言った。
 
「かしこまりました。御飯とお味噌汁は食べ放題ですので」
とお店の人が言うと、政子は
「やった!」
と叫び、お店の人もつい笑みが漏れていた。
 
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先に飲み物を持って来てくれる。それを飲みながらおしゃべりしていたら、政子が
「さっきの朝日きれいだった。詩を書いたから曲を付けて」
と言って紙を渡す。
 
「OK」
と言って受け取るがタイトルに困惑する。
 
「走る人?」
「うん。太陽と大山(だいせん)のコラボが走る人の姿に見えた」
と政子は言う。
 
「見えた?」
と私が他の3人に訊くと
 
ゆまは
「一瞬、あれ?人の姿だと思った」
と言う。
 
「あ。私も人の形に見えました。確かに走ってました」
と信子。
 
「凄く短時間だったけど、人が走っている姿に見えた。その後、飛び上がった」
と千里は言う。
 
「そうそう。ジャンプしたのよ」
と政子は言っていた。
 
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「気付かなかった!」
 
「やはり冬は疲れ過ぎなんだよ。それで感性も鈍くなっている」
とゆま。
「冬、やはり根本的に休養が必要だよ」
と千里も言っている。
 
「うーん・・・・」
 
「冬は忙しすぎるもんね〜。これから毎日お料理は私が作ろうか」
「いい!」
 
千里が苦しそうにしていた。
 
「マリちゃんが御飯作ったら、1度に米10kgくらい炊いてしまいそうだ」
とゆまは言っていた。
 

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「でも曲を作るとか、何かバンド活動とかしてるんですか?」
と信子が訊く。
 
「うん。このふたりは一緒に曲作りをしてお小遣い稼ぎをしているんだよ」
と千里が言うと
 
「へー。すごーい。コンペとかに出すんですか?」
と訊く。
「コンペもやるけど、なかなか当選しないよね」
と私は答える。
「苦労して作っても優勝者以外は無報酬ですからね」
と信子が言う。
 
「あれ?もしかして信子ちゃんも作曲とかするの?」
「何度かコンペに参加したことありますけど、ダメでした」
「へー。信子ちゃんの作品を今度見せてよ」
「あ、はい。じゃ東京に戻ったら仲間で作ったCDを1枚お送りします。住所教えて頂けますか?」
 
「だったら私の所に送ってもらえば」
と言って千里が住所を書いていた。その千里から住所を渡されてまた信子はドキドキするような顔をしていた。この子、マジで千里のことに恋愛的興味を持ったんだったりして?
 
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「でも仲間で作ったというと、信子ちゃんこそバンドしてるの?」
「はい。4人組のバンドなんです。私の担当はベース兼ボーカルで」
「おお、凄い」
「他の3人は女の子?」
「あ、いえ。全員男で」
「じゃ、信子ちゃんは紅一点のボーカルなんだね?」
と政子が言うと
「あ、あれ?あ、そうですね」
と言って、信子は焦っていた。
 
きっと紅一点などと言われたのは初めてなのだろう。
 
「男性のバンドにボーカルだけ女の子ってのはよくあるパターンだよね」
「確かにそうですね」
 
と言って信子は何か考えているようであった。
 

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「でも4人なら、ギター2人とベース、ドラムス?それとも、ギター1人でキーボードが入るパターン?」
とゆまが訊く。
 
「あ、それがうちはギター、ベース、ベース、ドラムスで、私はセカンド・ベースです」
 
「ベースが2人?」
「意味が分からん!」
「よくうちのバンドの構成は変だと言われます」
「うん。変!」
 
「各々持ってる楽器で集まったら、そうなっちゃったもので」
と言って信子は頭を掻いている。
 
「それでバンド名も最初は『イエロー・スカ』だったのが、お前らベースが重複してるから『ベース重複』で『ベージュスカ』にしろと知り合いのライブハウスの人に言われて、そう改名しちゃいました」
 
「ああ、スカなんだ!」
「はい。KEMURIとか好きなんですよ」
「ああ、KEMURIはいいよね」
 
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KEMURIは度重なるメンバーチェンジの末、2007年にいったん解散したが、昨年秋再結成され、今年6月に6年ぶりのオリジナルアルバムが発表されて、小気味良いサウンドが多くのファンを歓喜させた。
 
「ベージュスカと続けて発音されるとロシア語っぽい」
「バラライカとか入れてもいいな、なんて話したこともあります」
「ああ、面白いんじゃない?」
 
「でもスカやるなら管楽器は入れないの?」
「レギュラーメンバーではないですけど、メンバーのお姉さんがトランペット吹くんで時々加わってもらっています」
 
「おお。女性のトランペッターって格好良い!」
と私たちは思わず声を挙げた。
 
「お姉さん自身は友人たちと一緒に『ホーン女子』というユニットを組んで、主として老人ホームの慰問とかに回っているんですよ」
「へー!」
 
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「元々が高校のブラスバンド部の友人だったそうで、お姉さんがトランペットのほか、アルトサックス、トロンボーン、ユーフォニウムという組み合わせで」
「女子4人なんだ?」
「でもよく男1人に女3人と誤解されるそうで」
 
と信子が言うと、ゆまが「ゴホン、ゴホン」と咳き込んでいる。
 
「そのホーン女子とセッションやることも時々ありますよ」
「8人編成だと迫力ありそうだね」
「逆にそのくらいの人数居るとスカっぽいね」
「実は1枚だけ作ったCDもベージュスカとホーン女子のコンボ演奏なんです」
「ほほお」
 

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やがてお料理が来るが、サイコロステーキは2皿をシェアして、残り2皿を政子の前に置いたのだが
 
「美味しい!」
という声が上がる。
 
「これ結構良いお肉を使ってる!?」
「うん。これは普通にステーキにもできるお肉の端切れを使っているんだと思う。それにお肉が柔らかくなるように仕込みをしっかりしている」
 
ハンバーグの方もひじょうに美味しかった。町食堂のメニューにしては本格的な味であった。
 

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結局1時間ほど滞在してから車を公共の駐車場の移動させようと思い、駐車場の場所をお店の人に訊いたのだが
 
「どのくらい駐められます?」
と訊き返される。
 
「1時間くらいかな」
「だったらまだ時間も早いし****の駐車場に駐めちゃうといいですよ」
「おぉ」
 
それで地図上でそこの場所を教えてもらってから、そこに車を移動させた。
 
そして水木しげるロードを歩く。
 
「可愛い!」
と政子が楽しそうに声を挙げる。
 
妖怪のおどろおどろしい絵が描かれているのだが、こんな明るい光の中で見ると力を失ってしまっているかのごとく、むしろ滑稽に見えてしまう。これって夕闇とかの中で見たら結構怖いかも、などと思っていたら
 
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「私前回はここに真夜中に来た」
と千里が言う。
 
「怖くなかった?」
「今以上に滑稽な感じだった。全く怖くなかったよ。でももしかしたら夕方とか見ると怖いのかも」
 
「ほほお」
 

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水木しげるロードを見た後は、米子市まで南下してから山陰道/9号線を走り、12時頃に“ハワイ”に到達する。
 
「長時間同行させて頂いて、宿にも泊めてもらい、御飯までごちそうになって、ありがとうございました。またヒッチハイクしながら東京に戻りますので」
と信子が言う。
 
「私たちも東京まで行くからずっと乗っていけばいいのに」
「ひとりの人にあまり長時間お世話になったら、なんかズルでもしているみたいで」
「ああ、そういうのはあるかもね」
「じゃ気をつけてね」
「ラーメンだけでも一緒に食べて行かない?」
「じゃそれまでお世話になります」
 

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私たちは鳥取県中西部の名物「牛骨ラーメン」を食べた。
 
「これは独特の味だ」
「私はこれ結構好きかも」
「豚骨ラーメンとかも最初は抵抗があったけど、慣れると結構病み付きになるしね」
「この地域だけにあるんだよね〜、牛骨ラーメンって」
 
という感じで、このラーメンはわりと好評だった。
 
「でも私、一度USAからハワイまでという走行をやってみたいと思っているんだけどね」
と千里が言うと
 
「あ、それ私もやってみたい」
とゆまが言っている。
 
USAは大分県の宇佐市、そしてハワイは鳥取県羽合町(現湯梨浜町羽合地区)である。
 

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昼食を終えてからトイレに行く。私が済ませてから出てくると、自販機の所に千里がいたので声を掛けようとしたのだが、その時、こんな会話が聞こえてきたような気がした。
 
「あんたたち、あの子に何かしなかった?」
「ちょっとした親切だよ。きっと満足すると思うよ」
「うーん。。。まあ、いいけどね」
 
千里は私に気付いたようで、こちらを向くとニコッと笑った。
 
近くに誰も居ない・・・よな?と私は不思議な気がした。
 

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千里が自販機で買った飲み物を「私のおごり〜」と言って全員に配る。信子にも暖かい紅茶花伝のミルクティーを渡した。
 
信子はよくよくお礼を言っていた。彼女と別れ、私たちは先に出発する。
 
「ね、ね、信子ちゃん、今日の方が昨日よりずっと女の子らしくなってなかった?」
と政子が言う。
 
「私もそう思った。昨日は男の娘だったけど今日はもう完璧に女の子になってた」
とゆまも言う。
 
「あの子さあ、罰ゲームで女装したとか言ってたけど、絶対もうハマっちゃったよね」
と私が言うと全員同意した。
 
「あの子の人生は多分変わったと思う」
「もうあの子は女の子としてしか生きていけないね」
「たぶん数年以内に性転換しちゃうよ」
「もう既に性転換していたりして」
 
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「でもあんなに可愛かったら、ヒッチハイクで乗せた人に襲われたりしないかな」
と政子は別の心配をする。
 
「大丈夫だよ。神様にあの子が東京に帰還するまで共に居てお守り下さいとお祈りしておいたから」
と千里が言う。
 
「へー」
「同行二人って感じかな」
「そうかもね」
 

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「ところで千里は男の子には興味は無いよね?」
と私は訊いてみる。
 
千里はなぜか一瞬辛そうな顔をしたものの、すぐに言った。
 
「私の恋愛対象は男の子だよ。女の子には興味は無い」
「え?でも桃香は?」
「私と桃香は友だちだし」
「うーん・・・」
 
そういえば確かに千里って最初から、そんなこと言ってたよなと私は考えた。
 

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■夏の日の想い出・神は来ませり(11)

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