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■夏の日の想い出・神は来ませり(2)

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2人が帰ってきたのは11日の午後であった。2人はいったんゆまの自宅に行って「荷物を降ろして」から、ゆまが1人で私のマンションにやってきた。
 
「あまり使わなかったよお。高速代は行きが7840円、帰りが9690円。ガソリン代は22456円、飲食代等は14890円。合計約55000円だから45000円返すね」
 
とメモを見ながら言う。たぶん千里が計算してくれたのだろう。
 
「じゃとりあえず受け取っておく」
 
「それとこれお土産〜」
「わあ、ありがとう!」
 
ゆまが持って来たくれたのは、中田屋のきんつばと、笹義の“ますの寿し”である。
 
(富山名産の鱒寿司だが、お店により微妙な表記違いがある。最も有名な源は「ますのすし」、一部根強いファンのいる笹義は「ますの寿し」と書くし、他にも高芳「鱒の寿し」なみき「ます寿し」元祖関野屋「鱒乃寿し」など様々な表記がある)
 
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「ありがとう!これどちらも、私も好きだし。マリも大好きなんだよ」
「まあ美味しいよね」
 

千里は何か千葉市内で用事があるとかで、そちらが終わってからまた顔を出すと言っていたということであった。
 
「でもこの時間になったというのは、帰りは安全運転で走ってきたのかな?」
と私はゆまに訊いた。
 
「いや、それが高岡に向かう途中で雪が降ってきて焦っちゃって」
「わぁ。タイヤは・・・スタッドレスだったんだよね?」
「いや、それがノーマルだったんだよね〜」
「え〜!?」
 
「千里さんが雪道なら任せてというから、積雪している区間は全部お任せした」
「ノーマルタイヤで雪道を走って大丈夫なもの?」
「千里さんの話では、スピード控えめにして、シフトも落として走ればわりと何とかなるということだった。他人には勧めないけどと言ってたけど、私もそのあたりは自信ない」
 
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しかしゆまは昨日は「村山さん」と言っていたのが今は「千里さん」になっている。一緒に高岡まで往復してきたので、かなり親しくなったのだろう。
 
「でもやはり危険だからこれスタッドレスに交換しようよということになってさ」
「ああ。じゃ向こうでスタッドレス買ったんだ?」
「そうそう。私、クレカ停められてるんで困ったと思ったけど、千里さんが自分のクレカで買ってくれたから、後で精算しないと」
 
「わあ、それは大変だったね」
 
私は千里はバイト学生なのに大丈夫かなと心配した。
 
「あれ?クレカ停められてるんならETCカードは?」
「ETCパーソナルカードって作ってるんだよ。銀行の自動引き落としで払えるやつ」
「なるほどー」
「でも、それ限度額あって大変でしょ?といって、それも千里さんがETCカード貸してくれた」
「わっ」
「実はデポジットしている額の半分までしか使えない。私8万のデポジットだから月に4万円までなんだよね」
「旅行とかすると結構厳しいね」
 
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この当時、鮎川ゆまはラッキーブロッサムの解散から2年近く経ち、スタジオミュージシャンやサックス教室の先生をして食いつないでいた時代である。結構懐具合も寂しいのかなと私は思った。(ゆまが南藤由梨奈のディレクターとなり、経済力を回復させていくのは翌春のことである)
 
「冬からもらった現金から2万渡しておいた。後でタイヤ代4万も渡さねば」
「じゃ、この余った金額から渡しておけば良かったのに」
「あ、そうか!気付かなかった」
「後で来るなら、その時私が取り敢えず渡しておこうかな」
 
「じゃよろしく。冬との間は後日精算で」
「OKOK」
 
「しかし交換したタイヤを荷室に積んだから、荷室にあった荷物は全部後部座席に放り込んで、なかなか大変だった」
とゆまは言っている。
 
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「でもスタッドレスは持ってなかったんだっけ?」
「あったけど、あの車を買った年に買ったものだったんだよね〜」
「それ耐久期限が過ぎているのでは?」
「うん。だからちょうどよかった気もするよ」
 

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それで(私は譜面の整理をしながら)少しおしゃべりしていたら七星さんがやってくる。
 
「おお。いい所に来たようだ」
と言って、勝手にソファに座ると即、鱒寿司を摘まんでいる。
 
「音源製作の方は?」
「行き詰まったから気分転換」
「なるほどー」
 
七星さんが来てから5分もしない内に政子が
 
「何か美味しい匂いがする」
などと言って起きてきた。
 
政子はだいたい昼過ぎまで寝ていることが多いのだが、この日はちょっと遅いなと思っていた。そろそろ起こしに行った方がいいかなと思っていたのだが、食べ物の匂いに釣られてやっと起きたようである。
 
ゆまが買ってきていたという、もう1個の“ますの寿司”も開けてみんなで一緒につまむ。
 
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「千里にはとっておかなくていいかな?」
と私は心配したが
 
「千里さんは自分でひとつ持って行ってたよ。千里さんの彼女と一緒に食べるんじゃないかな。そもそもこのお店は、その彼女のお勧めなんだって」
とゆまは言っていた。
 
「へー。桃香のお勧めか」
 

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「でもこの鱒寿司の鱒(ます)って、富山湾あたりで泳いでいた鱒かなあ」
などと、鱒寿司を食べながら政子が言う。
 
「鱒(ます)はさすがに北海道産とかじゃないの?富山湾と言ったら、ブリとか白えびとか“食べられる天然記念物”ホタルイカでしょ」
とゆまが言う。
 
「そうか。寒鰤(かんぶり)が美味しいんだった」
と政子。
 
「これからの季節は蟹も美味しいんじゃない?」
と私は言った。
 
「蟹って、タラバガニだっけ?ズワイガニだっけ?」
「タラバガニとあと毛ガニは獲れるのは北海道だけ。他の地域はズワイガニとか紅ズワイガニが主力だと思う」
と七星さん。
 
「松前蟹ってのがズワイガニだっけ?」
 
「松葉蟹では?」
「あれ〜〜〜?」
 
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政子は漢字にも食べ物にも強いのに、しばしば大きな勘違い・覚え間違いをしていることがある。
 
「ズワイガニは異名が多いよね。福井県付近で獲れるのは越前ガニ、山陰で獲れるのが松葉蟹、京都府では間人蟹(たいざがに)、石川県は加能蟹(かのうがに)」
と七星さんが解説する。
 
(ちなみに富山湾は紅ズワイガニがよく獲れ、地元では赤ガニと呼ばれている)
 
「松葉蟹は山陰かあ。松葉って地名?」
 
「地名ではないよ。足を広げた姿が松葉のようだというので付いたとか、蟹肉を水に浸けると松葉のように広がるからだとか、茹でる時に松の葉を燃料に使ったからとか、色々な説がある」
 
「松葉って気持ちいいよね」
「何の話をしている!?」
 
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七星さんもちょっと呆れたようだが気を取り直して
「英語ではズワイガニはQueen Crabだよね」
と言う。
 
「女王なんだ?王様もいるの?」
「タラバガニがRed King Crab」
「おお!」
 
「じゃ、雄がタラバガニで、雌がズワイガニ?」
「いや、別の種類だし、どちらもオス・メスいるよ」
「そうか」
 
「でも主として食べるのはどちらもオス」
「メスは〜?」
「メスは産卵するから、そのために栄養が取られてどうしても味が落ちる」
 
「ああ、それは仕方ない」
「それと日本ではタラバガニと毛ガニのメスは、資源保護のため捕獲禁止」
「え〜? でもオスだけ捕獲できるの?」
「捕まえた中にメスがいたら放す」
「女の子なら助けてもらえるのか。女装してたら助かるかな?」
「どうやって女装するのさ!?」
「リリースした場合、8割程度は生き延びられるとも言う」
「ああ、結構生存率が高い」
 
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「タラバガニはオスもメスも似たようなサイズだけど、ズワイガニのメスはオスに比べて極端に小さいから、各地で別の名前が付いている」
 
「あ、それは聞いたことある」
 
「コッペガニとかコウバコガニとかセコガニとか。安く売られているから、普段のお味噌汁の具とかにもするんだよね。水揚げ地では」
 
「そっちはメスを捕まえてもいいわけ?」
「十分な数がいるから大丈夫なんだろうね」
 

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「でもそんなに体格差があったら、オスのズワイガニが女の子になりたいと思っても性転換は難しいね」
などと政子が言い出す。
 
「蟹の性転換!?」
 
「蟹って性転換するんだっけ?」
と私はゆまは顔を見合わせたが、七星さんが知っていた。
 
「甘エビは性転換するよ」
「ほほお」
 
「甘エビは生まれた時はみんなオスで成長するとメスになる」
「クロダイとかと一緒か!」
 
「卵を抱くには身体が大きくないといけないから、最初は男の子として精子を提供し、大きくなったら女の子に性転換して卵を産んで抱いて育てる」
 
「甘エビは大きい方がメスなのか」
「甘エビって全部卵抱いてるイメージあったけど、そういう仕組みがあったのね」
 
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「シシャモだと、オスに卵を注射してメスに見せた偽メスもかなり売られているけど、甘エビの卵抱いているのは、全部本物のメス。もっとも小さい頃はオスだったわけだけど」
 
「甘エビは全員男の娘かぁ」
と政子は何だか楽しそうである。
 

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「普通の蟹は性転換しないけど、フクロムシに寄生されたされた蟹は去勢されてメスのような行動を取る」
と七星さん。
 
「寄生されると去勢されちゃうの!?」
 
「フクロムシは宿主に寄生すると、AG(androgenic gland)あるいは造雄腺と呼ばれる甲殻類をオス化させる器官を破壊してしまう。要するに生殖活動されるとそれで栄養を消費するから、寄生側に有利な身体に変えてしまうんだよね」
 
「なんてわがままな」
 
「それで造雄腺を破壊されたオスはメスのような体つきになり、メスのような行動をするけど、オスだから卵も産めない。むしろ、フクロムシの卵を自分の卵と勘違いしてしまう」
 
「男の娘でも妊娠したらちゃんと母親的な行動できるよね」
と政子が発言したのは取り敢えず黙殺する。
 
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「カッコウ並みの悪い奴っちゃ」
「オスを強制的にオカマにしちゃうのか」
などと私とゆまは言っていたのだが、政子は
 
「強制男の娘計画かぁ」
などと言って、何だか目をキラキラさせている。
 
「ねえ?どこかに男の娘にしてしまいたいような、可愛い男の子はいないかなあ?」
 
「知らん!」
 
「無理矢理女性ホルモンを注射して男の娘に変えてしまう」
「それ間違い無く犯罪!」
 

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「よし」
と言って政子は立ち上がった。
 
「どうかした?」
「松葉蟹を食べに行こう」
「何でそうなるの!?」
と思わず全員が突っ込む。
 
「だって蟹は美味しいよ」
と政子。
 
「まあ美味しいけどね」
とゆま。
 
「松葉蟹って解禁日があるんじゃなかった?」
と私は七星さんに訊く。
 
「確か11月上旬。ケイ、ちょっとパソコンで調べられる?」
「うん」
と言って私は検索してみた。
 
「11月6日だったみたい」
「じゃもう食べられるね」
「どこがいいかな。山陰といっても広いよね」
 
「兵庫県の香住漁港、柴山漁港、津居山漁港。鳥取県の網代漁港、鳥取港、境港。島根県の松江港、西郷港、浦郷港、境港。あれ?境港は鳥取と島根の両方でカウントされてるみたい」
 
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「まあ県境にあるからね」
「西郷・浦郷ってのは隠岐みたい」
「なるほどー」
 
「どこに行く?」
 

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