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■夏の日の想い出・男の子女の子(6)

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私たちは翌日には東京に戻り、あちこち年始回りをした。
 
明治神宮に参拝した後、★★レコード→○○プロ→∴∴ミュージック→下川先生宅→上島先生宅→東郷先生宅→雨宮先生宅とこの日は移動した。
 
実は東郷先生宅で終わるつもりだったのだが、上島先生宅で奥様の春風アルトさんから「雨宮さんとこにこれ持って行ってあげて」と言われて、アルトさんお手製のおせちのお重を言付かり、更に東郷先生から「これあいつに持って行って」と言われて秋田の日本酒・白瀑を言付かったので行くことになった。
 
「行ってもおられなかったらどうしましょう?」
と尋ねたのだが、アルトさんも東郷先生も
「居なかったら暗証番号付きの宅配ボックスに入れておけばいいから」
と言って、暗証番号も教えてもらった(実は知っていた)。
 
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それでまあ多分おられないだろうと思って行ったものの、ご在宅であった。
 
同じワンティスの三宅先生、バインディング・スクリューの田船智史さんとお姉さんで作曲家の田船美玲さんまで居る。
 
それで4人の服装を見て、政子がはしゃぐ。
 
「どうしてみなさん、そういう格好なんですか?」
 
実は雨宮先生と美鈴さんが紋付き袴を着ていて、三宅先生と智史さんが振袖を着ているのである。
 
私は雨宮先生の男装も、三宅先生の女装も初めて見た。田船姉弟のほうがお互い紋付き袴・振袖がわりと似合っているのに対して、雨宮先生の男装も三宅先生の女装もかなり酷いものである。これで外を歩けば職務質問されるレベルだ。
 
「年越し徹夜麻雀してたんだよ」
と女装の三宅先生。
 
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「それで負けたら言われた服を着るというのやってたら、いつの間にかこういうことになった」
と男装の美鈴さん。
 
「バインディング・スクリューはカウントダウン・ライブやってませんでした?」
と私は田船姉弟に訊く。
 
「大宮でやった。ケイちゃんたちが27日に使ったのと同じ会場だよ」
「わあ、あそこですか」
 
「その後、麻雀のメンツが足りんと言われて呼び出されたのよ」
「僕たちと入れ替わりに、パンダの着ぐるみの桜木八雲と、チュチュ着た毛利君が出て行った」
「着た服のまま帰らないといけないんですか!?」
「最初着て来た服は没収されちゃったし」
 
「僕、とてもこんな格好では帰られないから、夜になるまで待ってた」
「君たち代わってくれない?」
「すみません。私もマリも麻雀のルール知らないので」
「ルール知らないなら仕方ないか」
 
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アルトさんから言付かったお重と、東郷先生から言付かった白瀑・斗瓶囲を出すと
 
「おお。食料が尽き掛けていたから嬉しい」
「今、次に負けた奴が今着ている服のまま食料を買いに行ってくるなどと言っていた所だ」
 
などと言われる。
 
もっとも、お酒は「これ以上飲んだら今夜の予定に差し支える」ということで、明日帰宅してから飲むとおっしゃって、棚に置いておられた。それを見て田船姉弟もホッとしていたようである。
 
ともかくもそれで結局しばらく私たちもおつきあいすることになる。
 
「しかしマリちゃんがいると、あっという間にこれ無くなる気がする」
「大丈夫です。ピザの宅配頼みましょう」
 
と言って、私はピザハットに電話してピザのLサイズを10枚、よりどりで持って来てと注文した。
 
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「パーティーか何かですか?」
とピザハットの人が尋ねる。Lを10枚というのはかなりの量だ。普通の食欲の人であれば40-50人分くらいある。
 
「ええ。バスケットチームの打ち上げなんですよ」
「なるほどですね!」
と向こうは納得していたようである。
 
念のため、マリの前には、これが食料ストックの最後という話であった八戸煎餅の袋を3つ、どーんと置いて、ピザが来るまで、おせちを守ることにする。
 

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「でも雨宮グループというのも、全貌がよく分からない。何人くらいおられるんですかね」
と私が言うと
 
「ああ、それは知っているのは仕事の振り分けをしているカズヨちゃん(新島鈴世)だけだと思う」
「たぶん雨宮先生本人も知らない」
 
「そもそも各々が雨宮先生と直につながっているからね。序列が無いし」
と美鈴さん。
 
「そうそう。だから雨宮の弟子は、first, second, third とは数えない。one, two, threeと数える」
と三宅先生が言う。
 
「何だかバチカンの枢機卿の話みたいですね!」
 
バチカンの枢機卿は教皇以外は(建前上)全員対等であり、上下の序列が存在しない。それでCardinals are not counted by first, second, third,..; They are counted by one, two, three, .... と言われる。ここでCardinalというのは「枢機卿」の意味と「基数詞」の意味の掛詞(かけことば)になっている。言語学的にfirst, second, third などは「序数詞(ordinal)」であり、one, two, threeなどは「基数詞(cardinal)」である。
 
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「ほぼ全員が、その内雨宮先生を倒して自分が盟主になるんだと言ってるしね」
と智史さん。
 
「まあ私はそういう子が好きだからね。美鈴にしても(高倉)夏恵にしても(福田)瑠美にしても、そういう目をしているし、そう公言しているし」
と雨宮先生。
 
私は唐突に訊いてみたくなった。
 
「醍醐春海もですか?」
 
「ああ。あの子も『雨宮先生はその内セックス・スキャンダルで音楽業界から追放されるだろうから、その後は自分が中心になる』とか、よく先生の前で言っている
と美鈴さん。
 
「僕は雨宮はそのうち、誰か売れなかった歌手に逆恨みされて刺されると思う」
「泥酔して裸になって暴れて警察に捕まるのでは?」
「選挙違反か贈収賄では?」
 
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とみんなが言っているので、私は
「いいお弟子さんをお持ちですね!」
と思わず言った。
 

そのあたりでピザが届いたが、むろんマリの前に箱を重ねておいて、おせちを守ることにする。ちなみに八戸煎餅はほぼ無くなっていた。一緒に頼んだコーラを飲みながらピザを食べていたのだが、
 
「しかし千里は面白くない」
と雨宮先生が言っている。
 
「何かありました?」
「やっと大学を出るから、これからは今までの3倍仕事してもらおうと思っていたのに、就職先が決まったとか言うからさ」
 
「ああ。本人も困っていたみたいです。先輩から言われて面接に行ったら採用されてしまったとかで。でも、すぐ辞めると後輩が採ってもらえなくなるから1年くらいは頑張るとか言ってました」
 
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「だから罰として1月中に100曲書いてと言ってリスト渡したら、いつの間にか10曲に減らされていたし」
 
「100曲はさすがに無茶です。10曲でも、事実上それ以外のことは何もせずに、作曲だけやってないと無理ですよ」
と私は言う。
 
「でもあの子、色々バイトしてたよね?」
と美鈴さん。
 
「バスケットの選手でもあるみたいね。あの子の試合見に行ったこともあるよ」
と三宅先生。
 
へー!と思う。三宅先生が千里とそんなに関わりを持っていたことは知らなかったし、千里の口から三宅先生の名前を聞いたことも無かった。
 
(青葉同様、他の知り合いの話はしない癖が付いているのかな?とも思う)
 
「それでもこれまで毎月5〜6曲書いていたね」
「うん。あのペースが信じられない。他のみんなは月に1〜2曲が限度なのに」
「(松居)美奈ちゃんは割と書くけど、それでも月に3〜4曲だよね」
「私なら1曲書き上げたら、1週間は休まないと、次の曲の発想が得られない」
「というか、前のと混線しちゃうよね」
 
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「千里は自分の曲は埋め曲だから速く書けるんだ、とか言ってたね」
「そうそう。売れそうには無いけど、それなりに可愛い曲、あるいは格好良い曲を書くのが得意」
「うんうん。元々のファンだけが満足してくれる曲」
 
「あれは頭で書くんだと言ってた」
「あと書き上げたら、即それを忘れちゃうからと言ってた」
「あの子は脳内リセットが上手いみたい」
「たぶんバスケの練習で頭をリセットしてるんだと思う」
という声があり、なるほどーと私は思った。
 
「もっとも前のと混線しにくい順序で書くとは言っていたね。大人の男性歌手向けの曲を書いた後10代の女性歌手とか」
 
「ああ、そういう順序入れ替えは私もやります。やはり鈴鹿美里の次に富士宮ノエルみたいな感じの連続は辛いです。私もわりと書いた曲は即忘れるんですけどね」
と私は言う。
 
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「ケイちゃんのペースも信じられないね」
「年間100曲くらい書いてるでしょ?」
「昨年は80曲くらいだと思います」
「それでも凄い」
 
「私は自分たちで歌う歌以外は下川先生のところで編曲してもらいますから。私が書いてるのはギターコード付きメロディー譜までなんですよ。でも上島先生が凄まじいです」
 
「ああ。あいつは異常すぎるから」
と三宅先生が言っている。
 
「一時期は年間1000曲くらい書いてたね」
「今でも700-800曲書いているんじゃないかな」
「基本的には午前中1曲、午後1曲、夜1曲書くと言っていた。どうしても書けない日もあるから、それで結果的に700曲程度になる」
 
「あいつその内、破綻しそうだけど」
と雨宮先生。
「その前に身体壊しそうで僕は心配だ」
と三宅先生も言った。
 
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夜8時頃、風花が私のカローラフィールダーを運転して迎えにきてくれた。雨宮先生から
 
「秋乃君だったっけ? 君、フルート凄く上手いよね」
と言われている。やはり管楽器奏者には注目するのだろう。
 
「ありがとうございます」
 
「君は生まれた時から女の子なの?」
「生まれた時からずっと男の子ですが」
と風花は顔色も変えずに言う。
「今も男の子なの?」
「そうですよ」
「確かめさせてよ」
「100億円頂けるなら考えてもいいです」
 
「先生、うちのスタッフを誘惑しないでください」
と私が言った。
 
「まあいいや、君もおとそ飲みなさい」
などと言われるが
「済みません。運転しなければならないので」
と風花は柔らかく断り、ピザとおせちだけ少しつまむ。
 
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その後、更にワンティスの海原先生と山根先生がやってきたので、それと入れ替わりに、私たちと田船姉弟は退出した。
 
私たちは風花の運転でいったん政子の実家に行って、政子は振袖だけ脱いでから、このまま実家で夜24:30(1/3 0:30)からの『これが性転換だ!』を見るのでテレビをつけておくと言っていた。先日の『性転の伝説』の結果発表で、ハルラノの慎也が「優勝」と言われて、強制的に性転換手術を受けさせられるために連行された続きである。
 
マンションではなく政子の実家に行ったのは、お正月で道が混んでいる中、都心まで往復すると時間が掛かるからである。
 
私は政子のご両親に新年の挨拶だけした上で、振袖を脱いで普段着に着替え、また風花の運転で上島先生のご自宅に向かった。
 
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私は雨宮先生から自宅まで、また自宅から上島先生宅までも、ひたすら車内で寝ていた。上島先生宅に夜9時半頃に到着するが、そこでもまた仮眠させてもらう。風花はフィールダーを置いたまま、タクシーで自宅に戻る。
 
11時頃、予めフィールダーに積んでおいた喪服に着替えて、フィールダーに上島先生と、私の後からやってきていた下川先生・水上先生を乗せて私が運転して出発した。
 

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■夏の日の想い出・男の子女の子(6)

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