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■夏の日の想い出・瑞々しい季節(11)

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この時期、私はKARIONの方がミニアルバムを出して一段落しているのでローズ+リリーのアルバム『やまと』の制作準備を進めていた。現在準備できている楽曲は6曲なので、あと6曲を新たに書くか、誰かにもらうか、過去に書いてまだ使っていない曲のストックから取って調整する必要がある。
 
2日の夜が徹夜になったので、3日は昼過ぎまで寝ていて、そのあと政子を約束していた、しゃぶしゃぶ屋さんに連れていく。
 
政子は「美味しい美味しい」と言って嬉しそうに食べている。政子のこういう顔を見ると、私も日々頑張っている甲斐があるなと感じてしまう。
 
「これどこの牛のお肉ですか?」
と政子がお店の人に訊いた。
「産地ですか?」
「はい」
「当店の牛肉はメスの松阪牛(まつさかうし)とメスの神戸ビーフでございますが、お客様がお選びになった特選コースは松阪牛でございます」
とお店の人が説明した。
 
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「やはり松阪牛(まつさかぎゅう)は美味しいですね!」
と政子が言う。
 
「そうですね。やはり手間暇掛けて育てた牛ですし」
とお店の人。
 
私はお店の人の発音と政子の発音が違うことに気づいて質問した。
 
「まつさかうし、というのが本来ですかね?」
と私は質問した。
 
「はい、それが正式の呼び名になっていますが、まつさかぎゅうでも通じますよ」
「そうだったのか。あ、どちらもメスといいました?」
 
「はい。松坂牛は全てメスです。神戸ビーフにはメスもオスの去勢牛もありますが、当店はメスだけを仕入れています」
 

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「松坂牛がみんなメスなら、どうやって子供作るの?」
「但馬牛のメスの子供を買ってきて育てるんですよ」
「ああ、生まれは松阪じゃないのか」
「昔は但馬生まれだけだったのですが、最近は九州生まれの松阪牛も出回っております。しかし当店は但馬生まれの特選クラスのみを買っております」
 
「へー。でもオスは美味しくないの?」
「オスでも去勢牛でしたら、結構美味しいので、神戸ビーフには去勢牛も含まれているのですが、当店では神戸ビーフも契約牧場からメスだけを買っています」
 
「オスは肉が硬くなるんだよ」
と私が政子に説明すると
 
「そっかー。人間も男の人の肉は硬いもんね」
 
と納得している。
 
「やはり可愛い男の娘は早い時期に去勢してあげないと、肉が硬くなるよね」
などと言い出すので
 
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「なぜ、そういう話になる。政子の頭の中が分からない」
と私は呆れて言う。お店の人も苦笑していた。
 

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その時、唐突に政子が言う。
 
「松阪ってどこだっけ?」
「三重県だよ」
と私が答える。
 
「地図見せて」
 
私がスマホでその付近の地図を表示させる。
 
「あ、伊勢の神宮の近くじゃん」
「まあ近くかな」
 
「よし。お伊勢さんに行こう」
「まあ日本の美を歌うなら、お伊勢さんは行っておく価値があるね。いつ行く?」
「今から」
「え〜〜〜!?」
 

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それで私たちはしゃぶしゃぶ屋さんを出ると、そのまま東京駅に行き新幹線に飛び乗る。名古屋で降りて、近鉄で伊勢市に入った。もう日が落ちてしまうので、駅近くのホテルに入り、その日は寝て翌朝からお参りすることにする。
 
翌日。私は政子を午前3時に起こした。
 
「まだ3時じゃーん」
と文句を言うが
 
「天文薄明が始まったよ。お参りに行くよ」
と言って連れ出す。
 
そのまま歩いてまずは外宮(げくう)に参拝する。
 
「あれ?前来た時と場所が違う」
「式年遷宮したから」
「へー」
 
外宮の境内にある各社を回ってから、タクシーで内宮(ないくう)に移動する。内宮の宇治橋の前に着いたのが4:20くらいで、もうかなり空は明るくなってきている。
 
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「今日の夜明けは4:08だったからね」
「なんかもう普通に朝の空だよね、これ」
 
内宮の本宮でお参りをする。
 
「こちらもお引っ越ししたの?」
「そうそう。20年に1度引っ越しするんだよ」
「神様も大変だね」
 
そこから荒祭宮の方に行こうとしていた時、空の色が明らかに変わる。
 
「日出だね」
「でも静かで良かった。外宮にしてもここにしても昼間来た時とは雰囲気が違う」
 
「こういう早朝に見せる姿が本当の姿だよ。昼間はガードが堅いから」
「昼間はお化粧していて、今はまだ寝起き?」
「そういう意味ではないと思うけど」
 
細い道を歩いている時、政子が「あっ」と言って、道の端に寄る。
 
「どうしたの?」
「見て見て」
 
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「わぁ」
 
そこからちょうど内宮本宮の建物がきれいに見えたのである。
 
私たちは朝日を受けて黄金に輝く内宮の美しさに、しばし見とれていた。
 

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内宮を出た後は、おはらい町の方に行き、赤福で一休みする。お土産に赤福を10箱買ってタクシーで駅前に戻る。
 
「もう帰るの?」
「どこか行くの?」
「二見浦の日の出も見たい」
「うーん。だったらもう1泊する?」
「今日はもう日の出は無いの?」
「無茶言わないで」
 
それでホテルで尋ねるともう1泊可能ということだったので滞在を1日延ばすことにする。それでその日は松阪市まで出かけて、本場で松阪牛のステーキを食べたりして過ごした。
 
翌7月5日(火)。
 
この日は二見浦だけなので、朝4時前にホテルを出る。昨日の内に頼んでおいたタクシーで二見浦まで行く。着いたのが4時半くらいである。
 
タクシーには待っていてもらい、ふたりで二見興玉神社にお参りする。そして大勢の参拝客と一緒に夫婦岩近くからの日出を見た。
 
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「きれーい」
 
政子は太陽がかなり上の方まで登ってからやっと声を発して言った。
 
「ほんとにきれいだったね」
 

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蛙さんのお守りを買ってからタクシーに戻る。
 
「ありがとうございます。宇治山田駅まで行ってもらえますか?」
 
「お客さんたち、東京の人?」
「はい、そうです」
「伊勢神宮にはお参りした」
「ええ。昨日。外宮(げくう)から内宮(ないくう)へとお参りしました」
「お、偉いね。ちゃんとその順番知ってるね」
「はい。外宮にお参りした後、内宮にお参りするルールですよね」
 
「あんたたち瀧原には行った?」
「あ、行ってないです」
と私が答えると、政子が
「そこ何だっけ?」
と訊く。
 
「元々お伊勢さんがあった場所かもと言われている所。すごくきれいな所だよ。朝の内は」
と私が言うと、政子が行きたーいと言う。
 
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本当はそこで見る朝日もいいんですけどね、とは言いつつ、タクシーは予定を変更して瀧原宮・瀧原竝宮(たきはらのみや・たきはらのならびのみや)まで行く。
 
内心はここまで来るのならレンタカー借りるべきだったなと思ったが、運転手さんは、今日は貸し切りということにしませんか?と提案。私もそれを了承して、この日は3万円で回ってくれることになり、メーターは起こしてしまう。私がその場で3万円を渡すと、喜んでいた。
 
瀧原の入口の所にある道の駅でタクシーを駐めると、運転手さん自らが案内して中に入る。
 
「凄い。ここ好きかも」
「なんかみずみずしいね。ここ」
 
「気持ちいい所でしょう?」
と運転手さんも言っている。
 
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「確かにここも日出前に来たかったかも」
と政子。
 
「でも内宮と違ってここは日が高くなっても大きくは雰囲気変わらないみたい」
と私。
 
「やはり来る人が内宮ほど多くはないからですよ。ここは知る人ぞ知るスポットですからね」
と運転手さん。
 
「やはりこういう本当に美しいものを次世代に残していきたいですね」
と私。
 
「まさにその通りですよ。あなたたち歌い手さんなの?だったらぜひこの美しさを歌ってください」
「ええ。歌いたいです」
 
私たちは道の駅に戻ってから、その日見た二見浦での日の出の感動からここ瀧原での、まさに「やまとの心」のようなものに触れて得た感動を詩や曲にしていった。
 

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貸し切りにしたら運転手さんは張り切って、更に知る人ぞ知るスポットというので、私たちを瀧原より更に先の伊雑宮(いざわのみや)まで連れて行ってくれた。
 
「だいぶ来たね。今どのあたり?」
と政子が言うので地図を見せると
 
「もう鳥羽の近くじゃん!」
と言う。
 
「うーん。まあ近くかもね」
「だったら鳥羽水族館に行って帰ろう」
 
と言うので、結局鳥羽市内のホテルを予約し、そこまでタクシーで連れて行ってもらった。
 

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7月6日(水)。
 
私たちは朝から鳥羽水族館に行き、のんびりとお魚たちを見てまわって14時頃鳥羽駅に移動する。そして近鉄と新幹線を乗り継いで、19時頃、東京駅に戻ってきた。
 
昨日は晴れていておかげで二見浦の朝日を見ることができたのだが、今日は朝からぐずついた天気である。東京駅に着く頃には小雨が降り出していた。
 
政子が「お腹が空いた。お寿司食べたい」というので、駅構内で傘を買って歩いて近くの政子のお気に入りの店まで歩いていき、取り敢えず晩ご飯にする。そして21時過ぎにお店を出て、マンションに帰ろうというので駅に戻りかけたところで、車のクラクションを聞く。
 
「千里!?」
 
千里の赤いアテンザが停まって助手席から千里が顔を出している。運転席には千里担当ドライバーの矢鳴さんが座っている。
 
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「どこか行くの?」
「マンションに戻る所」
「じゃ送っていくよ。乗って乗って」
 
それで私は政子に乗るように行って先に乗せてから、私も一緒にアテンザ・ワゴンの後部座席に乗り込んだ。
 

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「ごめん。傘で車内が濡れちゃうけど」
「平気平気。そんなの全然気にしない」
 
「でも合宿やってたんじゃなかったんだっけ?」
「ちょっと出てきた。山森水絵の件、先日はありがとう。助かった」
「まあお互い様で」
 
「でも今日は私自身が行かないとどうにもならない件があって、ちょっと外出してきたんだよ」
 
「大変だね!」
「こちらは昨日、壮行試合の第1試合を川崎でやって、次は明後日小田原なんだよね。もちろんその間ずっと北区で合宿やってるんだけど、今日は早めに練習が終わったから、それで外出許可取って矢鳴さんに来てもらって。今行って用事を済ませてきた所。冬たちを送ったらまた合宿所に戻る」
 
「ほんとに大変だね!そんなに忙しいのに送ってもらってよかったの?」
「今日は4時で練習終わりだったからね。恵比寿は行く途中だし」
「うーん北区なら、うちのマンションとは逆方向の気もするけど」
 
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北区のナショナルトレーニングセンターは東京駅の北にあるが、恵比寿は東京駅から南西にある。
 
「まあちょっとドライブということで」
 

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「だけど、千里。だったら全然家に帰ってないのでは?」
と私は訊く。
 
「6月16日以来戻ってない。まあこういう長期間の不在は去年もユニバーシアードに続けてのアジア選手権でやってるけどね。桃香がまた食料ストック尽きた。カップ麺飽きたと連絡してきたから、都内にいる友達に頼んで、野菜とかお肉とかをどーんと持っていってもらった」
 
「わっ。大変だ」
 
「きっと桃香はお肉のパックをそのままレンジでチンして、キャベツには丸ごとかぶり付いている気がする」
と政子。
 
「ありそうだ」
と私も言う。
 
「この後、壮行試合が終わったら一度家に帰られる。でも7月14日からまた合宿に入ってあとはオリンピックが終わる8月20日すぎまで帰られない」
 
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「ほんとにお疲れ様」
 
「私は醍醐先生が南米に行っておられる間、2週間のお休みを頂くことになっています」
と矢鳴さんが言っている。
 
「そういう時に休まないとですね。醍醐は移動距離がハンパ無いから」
 

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「そういえば男子の方は苦しい展開になってるね」
と私は言った。
 
バスケットの男子はセルビアのベオグラードで開かれている世界最終予選に出ているのだが、7月4日夕方(日本時間5日早朝)に行われた第一戦でラトビアに敗れてしまい、重苦しいスタートとなった。
 
この大会は6ヶ国が参加しており、3国ずつの予選で1〜2位になったチームが決勝トーナメントに進出する。その決勝トーナメントで優勝すればオリンピックに出場できる。
 
しかし日本はグループBの第一戦で負けてしまったので、次の試合(7月6日)で勝って、予選2位で決勝トーナメントに行く道を目指すしかない。ただし2位で通過した場合、初戦の相手はグループA・1位の国ということになり、かなりきつい。
 
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「貴司と話したけど、チームは気合い入りまくりみたい。まあ次の試合で勝てばオリンピックに行ける可能性あるからね」
と千里は言う。
 
「それにオリンピックに行けたらセックスさせてあげると言っているから、頑張るでしょう」
 
「ははは」
 

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■夏の日の想い出・瑞々しい季節(11)

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