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■夏の日の想い出・種を蒔く人(12)

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2016年4月21日(木)19時、新宿区のW大学体育館で「関東クロスリーグ」の開幕戦が行われた。
 
この場所が選ばれたのは人脈の関係で借りやすかったこと、比較的交通の便が良いこと、大学構内ということで大学生の観客を期待できること、観客席が1000人分あることなどである(実際にはフロア上にもアリーナ席を設置して1500人観客を入れた)。
 
この日はオープニング・イベントとして抜群の知名度があるバスケ協会の川淵会長(元サッカー協会会長)に挨拶してもらった上で、ハーフタイムにはムーンサークルのミニライブを行い、彼女たちに30分ほど歌ってもらった。おかげで、ムーンサークル目当ての客が詰めかけチケット(アリーナ1480円・スタンド980円)は完売してしまった。
 
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この日の試合は40 minutes vs レッドインパルスである。レッドインパルスはマジで1軍フルメンバーを揃えてきた。試合は40 minutesの中折渚紗とレッドインパルスの千里というどちらも33の背番号を付けたシューターふたりがどんどんスリーを放り込むなど、激しい攻防が行われ、バスケットの試合なんて初めて見に来た、などという観客が多い中、物凄く盛り上がるゲームとなった。
 
どちらも、全くタメを作らず、無駄なパス回しもせず、どんどん走りどんどん攻めていたので攻守の切り替えが早い。40 minutesの森下やレッドインパルスの三輪が華麗にダンクを叩き込む。それで
 
「女子の試合はかったるいと思ってたけど、この試合は男子並みのスピードとパワーがある」
と言っている観客もいた。
 
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今日の入場者には連休明けからのレギュラーシリーズの入場割引券と開催スケジュール表、更にクロスリーグに参加しているチームの紹介と選手ピックアップの小冊子を配ったので、この日1日で100人くらいはバスケファンが増えたかなと私は思った。
 
翌日4月22日はオープニング・イベントで主催者代表として私が挨拶した上でハーフタイムに西宮ネオンのミニライブを行い、おかげでこの日も1500枚のチケットは完売した。
 
この日はジョイフルゴールドvsローキューツだったのだが、日本代表候補に名前を連ねている佐藤玲央美・前田彰恵・高梁王子といった強力なフォワード陣を擁するジョイフルゴールドに対して、ローキューツもインターハイを経験している原口揚羽・紫姉妹、水嶋ソフィア、折口万梨花といった中核メンバーや新加入の黒川アミラ・須佐ミナミなどが対抗していき、結構いい試合になった。
 
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特にジョイフルゴールドの180cmセンター熊野サクラとローキューツの184cmフォワード黒川アミラの空中戦は見応えがあった。
 
ジョイフルゴールドはどうも最初少し手加減している雰囲気もあったのだが、次第にマジになっていき、最後はかなり本気になって15点差で勝ったが、試合終了後メンバーの顔がこわばっていたので、お尻に火が付く感覚だったのだろう。
 
なお、次回のクロスリーグ戦は連休明けの5月13-14日に川崎市の体育館で行われる予定である。
 

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開幕戦が終わった4月23日、私と千里はエヴォン銀座店で会って少し話をした。
 
千里は20日までバスケット女子日本代表の第一次合宿をしていたのだが、25日からは第二次合宿に入るということで、実はクロスリーグの開幕戦を本来の火水ではなく木金でおこなったのは千里や佐藤玲央美、広川妙子などの日本代表に名前を連ねている選手が出られるようにするためであった。
 
エヴォン銀座店は、和実が3月末で退職したので、店長はリリー(如月乃愛)が継承している。和実は結局6年間エヴォン神田店と銀座店に勤務した。リリーは年齢は和実の1つ下だが、エヴォン神田店に和実が入社する1年前の高校生時代から勤めていて、既にキャリア7年のベテランである。如才なくお店を切り盛りしていた。
 
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ここはいつも生演奏が流れていて、密談もしやすい(非公開だが盗聴器探知システムも常に作動している)。
 

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「TKRについても、★★情報サービスにしても、それ以前に作られた★★チャンネルにしても、種を蒔いている感じだね」
 
と千里は私に言った。
 
「種を蒔く?」
と私は聞き返した。
 
「今★★レコードはいったん枯れようとしている。枯れる前に種を蒔いておいて、あとで再生するためだよ」
 
私はしばらく考えてから
「そうかも知れないね」
と答えた。
 
「KARION元担当の滝口さんが製品開発室長に就任するらしいよ」
 
「うーん・・・制作部があるのにそういう部門作るのって企業資源の無駄遣いという気がする」
「まあ町添さんの権限をできるだけ削ぎたいんだろうね」
「権力闘争と企業経営は分けて考えて欲しいなあ」
 
「村上さんは1990年代にミリオンが大量に出た時代の夢を見ているんだよ。AKB48が『君はメロディー』で24連続ミリオン、ローズ+リリーも『振袖』で9連続ミリオン、アクアはデビュー以来4連続ミリオンだけど、こういうのはあくまで例外。今はCDが売れる時代じゃない。それを村上さんも滝口さんも分かってない。佐田さんがまだ現実を見ている感じだから、正直、村上さんが退任して、佐田さんが新社長の方がマシだったけどね」
 
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と千里は言う。
 
「そのCDが売れる時代ではないという意見には私は必ずしも賛成できないけど佐田さんの方が現実派というのは私もそんな気がする」
 
と私は言ったのだが、その時、唐突に思いついた。
 
「まさか、あの写真仕掛けたの千里?」
 
千里は微笑む。
 
「その質問に私が答えると思う?」
 
私たちは意味ありげな視線を交換した。
 
「まあいいや。あれで最悪の事態は避けられたし、体育館も建つことになったし」
と私は苦笑しながら言った。
 

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体育館については現在40 minutesが練習場所として使用している廃校になった小学校の敷地を江東区が丸ごと貸してくれることになり、現在の校舎を崩し校庭の土地と合わせてそこに5000人収容の体育館(仮称深川アリーナ)を建築することで話がまとまってしまった。上島先生と懇意の都会議員さんが動いてくれて話がトントン拍子に進んだのである。また建設運営の主体となるグループにKL銀行が入っていたこともひじょうに良い方向に働いた。KL銀行さんが入っているなら間違い無いだろうと思ってもらえたのである。新聞報道でも「KL銀行を主体とする企業グループ」などと書かれていた。
 
40 minutesに有利すぎる場所にも思えるが、ここは実はジョイフルゴールド、ローキューツ、レッドインパルスの本拠地中心駅から各々40-50分で到達できる意外に便利な場所にある(40 minutesと江戸娘のメンバーは都区内在住が多い。ジョイフルゴールドやローキューツのメンバーにも実は都区内在住者が結構いる)。完成後はクロスリーグの会場のひとつとして使うほか、日替わりで各チームの練習場としても使用することになる。
 
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なお、都側は東京五輪の会場にも利用させて欲しいと要望し、バスケ協会からもインターハイや社会人などの予選会場に使わせて欲しいという要望が来ているが、どちらも了承している。ここは複数の地下鉄線からアクセスでき、交通の便も良い。
 
建設費はKL銀行を通して複数の建築会社に見積もりを取り、概略設計図を麻布先生や海香さんなどにも見てもらって音響面の検討をした上、最も良い音響の期待できる設計図を出した工務店に発注することになった。発注金額はKL銀行の担当者が徹底的な無駄排除を工務店に要求したお陰で58億円に留まった。公共事業とかになっていたら考えられない低コストである。
 
競技場の床は良く乾燥させた無垢材の楓のフローリングで、その上に試合の時はバスケットのラインを引いたタラフレックスを敷くのだが(タラフレックスの交換でバレーやテニス・フットサルなどにも対応可能。ライブの時は吸音性のマットを敷く)、トレーニングルームや控室・ロビー・外装などには集成材などを多く使用する。学校の校舎を崩すが、その校舎の木材やガラス、椅子などの内装品を所有権を持つ区から安価に買い取って再利用する。おかげで廃棄物もかなり少なくなったし、児童の描いた落書きが完成後の建物に残存して随分と話題になった。
 
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また特注品をできるだけ排除して標準品を多用するし、手動でも済むものは手動にして電気設備を省略している。館内のモニターやスピーカーは安い中古品を買ってきて使用することにした。
 
費用の負担は、結局千里と雨宮先生が共同で4割、私が3割、上島先生が2割、KL銀行が1割とする。つまり40 minutes, ローキューツ、ジョイフルゴールド、江戸娘の4者で共同で建設する形になる。体育館の運営会社(株式会社JER4)も設立して利益が出た場合は出資比率に応じて配当として還元する。完成予定は2016年末である。
 
正確にはフェニックス・トライン(千里の会社)とアクア・シュライン(雨宮先生の会社)、サマーガールズ出版、上島企画、KL商事が出資者となる。
 
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現在40 minutesが使用している体育館は、新体育館が落成した後で改修してサブ体育館として使うことになった。
 

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「なんか株取引と体育館建設でお金の感覚がくるっちゃって、ドライバー会社の出資金とか、そんなに安くていいんだっけ?とか思わなかった?」
と千里は私に言った。
 
「思った思った。何か単位が凄まじくて訳が分からない」
と私も言う。
 
「雨宮先生は200億円あったら男の娘を2万人性転換させてあげられるなんて言っていたけど」
「手術する病院が足りないと思う」
 
「でも雨宮先生、三宅先生から、しばらくは株の売買しないようにと言われて、IDとパスワードを取り上げられたらしい」
 
「それがいいかも。さすがにあんなにうまく行くことは滅多に無い」
 
「唐突に雨宮先生の口座から150億円振り込まれてきたの見た時は、これ絶対銀行のシステムのバグだと思ったって」
「思うよね〜」
 
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「しかし★★レコードも部下を女装させてレイプしたあげく会社クビにするような社長じゃ人も離れていくと思うなあ」
 
「それは同感だなあ」
 
「ローズ+リリーもサバイバル戦略は考えておいた方がいい」
と千里は言う。
 
「というと?」
「過去のアルバムのセルフカバーを英語歌詞で出して配信限定で公開するとかね」
 
「それはちょっとやってみたいな」
と私も興味を持って言った。
 
「あとは他のレコード会社の歌手を育てて行くとかね」
 
私は少し悩んでから
「考えておく」
と答えた。
 

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「山森水絵は%%レコードから出すから」
と千里は言う。
 
「誰だっけ?」
「冬が提唱してくれた鴨乃清見の歌を歌う歌手募集オーディションの優勝者」
「へー!」
 
「今度高校に入学する。現時点で15歳。だけど3オクターブの音域を持つ」
「凄いね」
「デモ音源に『門出』を入れてきたんだよ。これやったのは2人だけだけど、もうひとりは別途、吉原揚巻さんに任せることにした」
 
「そちらも有望だね」
 
「冬の声域をぎりぎりまで使って書いた曲を歌えたってことは冬より声域が広いということだよ」
と千里は意味ありげに言う。
 
「私も負けてられないね。頑張るよ」
「うん。忙しいだろうけど、自分が歌手であることを忘れないように」
「コピー」
 
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「吉原さんに任せる子は男の娘だよ」
「うっそー!?」
「19歳。睾丸はもう取っている」
「うむむ」
「小学生の内から密かに女性ホルモンを飲んで声変わりを抑えていたらしい。だからこの声が出る」
「凄いね」
 
「世間ではアクアも間違いなく女性ホルモンやってると思われている」
「だよなあ」
 
「あの子、実際問題としてタマくらい取っちゃったら?本気で口説けば絶対その気になって手術に同意するよ」
 
などと千里は言うが、私は
 
「それはやはりまずいよぉ」
と答える。
 
「まあ、こちらの子は奈川サフィーの名前で◎◎レコード、プロダクションも山森水絵とぶつからないように、∀∀ミュージックから出す」
 
「★★レコードを避けてる?」
「今大手はみんな離れていきつつあるよ。この動きはもう昨年末頃から始まっている。%%レコードや◎◎レコード、ЮЮレコードあたりがその受け皿になっている。特にЮЮレコードは社長が若いから、どんどん新しいことを受け入れてくれる。10年前の★★レコードの姿なんだ」
 
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「なるほど。でも∀∀ミュージックって、今あまり大きな人居ないよね?」
「担当マネージャーも∞∞プロから派遣する。あそこは事実上奈川のためのプロダクションになっちゃうね」
 
「それもすごいなあ」
「世間ではUTPだってローズ+リリーのためのプロダクションと思われている」
「ああ」
 
「あ、そういえばローズクォーツって、オカマさんがリーダーのバンドもUTPだったかな、なんて言われている程度」
 
「あはは。タカは完璧にキャラを誤解されているな」
「誰もマキがリーダーだなんて知らないし」
「確かに」
 
 
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■夏の日の想い出・種を蒔く人(12)

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