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■夏の日の想い出・種を蒔く人(7)

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ライブはその後『メルヘンロード』の曲を中心に演奏して行く。
 
『白雪姫は死なず』『目覚めた眠り姫』『待ちくたびれたシンデレラ』、『ツンデレかぐや姫』『戦え赤ずきん』『青い鳥見つけた』『こぶたの姉妹』、『白兎開眼』そして昨年夏のシングルから『魔法の鏡』『お菓子の城』と演奏したところで、いったん休憩となる。
 
ここでトラベリング・ベルズや他の伴奏者たちが退場し、和泉・美空・小風の3人も退場するのだが、私は退場しない。そしてセットの中にある小さな小屋の扉を開けて中に入ると、白雪姫風の白いドレスを脱ぎ、小屋の中に用意してあった、赤いバラをイメージしたドレスを着て、また扉を開け、外に出てくる。
 

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この演出に観客はかなりざわめく。そして白いユリのような細身のドレスを着たマリが舞台下手から出てきて、私と並ぶ。そしてふたりで
 
「こんにちは、ローズ+リリーです」
と挨拶する。
 
観客はざわめきながらも拍手をしてくれて「マリちゃーん」「ケイちゃんーん」という声を掛けてくれる。
 
「沖縄に来たら暑いかと思ってたけど、肌寒いね」
「さすがにまだ3月だしね」
「私、ビキニの水着持って来たのに」
「昼間なら海に入れると思うよ」
「じゃライブの後で付き合ってよ」
「まあ少しなら」
 
「ところでケイ、さっきまでどこに居たの? 私ケイが居ないと思って探していたら、もうステージに出てるからびっくりして急いで出てきた」
 
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「うん。私はいつもマリのそばにいるから安心して」
「ところでケイはKARIONのらんこと同一人物ではないかという噂があるよね」
「さあ、そのらんこちゃんという人と会ってみたことがないから分からないなあ」
 
「同一人物なら、らんこと会うことができないのでは?」
「それは面白い見解だね。では曲に行きます。『コーンフレークの花』」
 
それで私たちはカラオケでこのコミカルな曲を歌う。今日はダンサーは居ないがホリゾント幕にPVでおなじみになった豚の男の娘ペアが出てきてダンスを踊る映像が投影されると、観客から歓声があがっていた。
 
フルコーラスで歌い、豚のストリップが終了した所で歌も終わる。大きな拍手がある。
 
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「今後ろに映っていた豚ちゃんたちは男の娘だったみたいだけど、実際問題として、豚とか牛とか、家畜のオスは去勢されている子が多いよね」
とマリは言うる
 
「まあオスのままにしておくとお肉が硬くなったり独特の臭みが出るから、そうならないように去勢するんだよ」
と私は説明する。
 
「じゃ世の中に居る豚君や牛君って実は男の娘が多いんだ?」
「まあ別に女装はしてないと思うけど。あと去勢するのは可哀想といって最近では薬で肉質が悪化しないように抑える方法も開発されているみたいだよ」
 
「そう? 人間も豚もタマタマなんて生まれてすぐ取っちゃえばいいと思うけどなあ。ケイも取って欲しかったでしょ?」
 
「うーん。私は取って欲しかったけど、取りたくない子も多いと思うよ」
 
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「そっかー。世の中面倒くさいなあ。でもアクアのタマタマは取るべきじゃない?」
 
このマリの発言に対して観客の中から拍手が起きる。
 
「本人が取りたくないと言ってるからそのままにしてあげようよ」
「そこを何とか説得して。あるいは眠り薬を御飯に仕込んで寝ている内に病院に運び込んで」
「それって犯罪だからね。次の曲『灯海』」
 
私たちはその後MCを交えながらもう1曲『振袖』まで歌ってから、ふたりで一緒に舞台下手に下がった。約20分のステージであった。
 

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その後、代わって上手から出てきた人物を見て観客が物凄く騒ぐ。
 
「こんにちは。お久しぶりです。明智ヒバリです」
と挨拶してお辞儀をすると
 
「ヒバリちゃーん!」
という声が多数掛かる。
 
「今回のKARIONさんのツアーでは毎回違うゲストが登場するということで、沖縄はあんたの地元だからちょっと出ない?と言われて、出てきました。最後にステージに立ったのが2014年の夏で、実際問題としてデビューして半年でダウンしちゃって、ファンの皆さんのご期待に応えられなかったんですけど、私のCDって今でも毎月1000枚とか2000枚とか売れているらしくてありがたいなと思っています」
 
ここで拍手がある。
 
「それで今回のKARIONさんの沖縄公演で私が1曲だけ歌わせてもらうということにしたのですが、その話を聞いた東郷誠一先生がわざわざこのステージのために曲を書いてくださいまして。それを歌わせて頂くことにしました」
 
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ここでまた拍手がある。
 
「曲名は『心の翼』と言います。病気で入院していてベッドから出られない女の子が外の世界に出て自由に飛び回りたい。その翼が欲しいと歌う曲で、私が入院していた2014年後半のことをそのまま曲にしてくださったみたいで私、譜面と歌詞を見た時、ドキッとしました。それでは聞いてください。『心の翼』」
 
それでカラオケの音楽が始まり、ヒバリが歌い出す。
 
ステージから2年近く遠ざかっていたとは思えない堂々とした歌い方である。声もよく出ていてマイクを口からかなり離しているにもかかわらず、しっかりと会場の隅まで声が届いていた。
 
5分近い曲が終わり、ヒバリがお辞儀をすると物凄い拍手が送られた。それでヒバリは再度お辞儀をして退場しようとしたのだが、そこに
 
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「アンコール!」
「ヒバリちゃん、もう1曲」
 
といった声が掛かる。ヒバリが戸惑うようにしていると、舞台袖からマリがさっきの衣装のまま出てきて言う。
 
「ヒバリちゃん、リクエストされているから、もう1曲歌いなよ」
「でも何を歌おう?」
「去年、おちんちん無くした子に会いに来た時、ヒバリちゃんが唄ってくれた曲」
「おちんちん無くした子?」
「あの可愛い子」
「ああ、あの子か! じゃあの祝い唄ね」
「あ、それでよろしく〜」
 
「それではこの曲はご存じの方もあるかも知れませんが、といいつつ実は私、この曲の題名を知らないのですが、来間島(くりまじま)で地元の年配女性に教えて頂いた祝い唄」
 
それでマリが下手に下がり、ヒバリはアカペラで来間島で習ったという祝い唄を歌い始めた。
 
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物凄い迫力である。ヒバリの声は高音になっても安易に頭声に逃げず響きの豊かな胸声的に唄っている。いわゆるミックスボイスだ。元々歌唱力のある彼女だからできるワザだろう。
 
音階は二六抜きの琉球音階ではなく、宮古地方に特有の三七抜き音階(律旋法)だが、ビブラートは入れず、「突吟(ちちじん)」と呼ばれるヨーデルに似た技法を駆使している。このノンビブラート&オクターブ飛び唱法は沖縄民謡に特徴的な唄い方で、実は西洋音階の曲でも突吟を入れるだけで、物凄く沖縄っぽくなる。
 
(宮古地方は、琉球系の二六抜き・八重山系の四七抜き(演歌と同じ音階)・更に古い三七抜きの音階が混在しており、音階のクロスロードである)
 
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彼女の歌が終わると、物凄い拍手があった。その拍手に笑顔でお辞儀をして応え、ヒバリは退場した。
 

代わって今度はカラフルなドレスを着たKARIONの4人が登場する。いづみは赤、小風は黄、美空が青、そして私がピンクである。
 
後半は過去のヒット曲を中心に演奏して行く。
 
まずは風帆伯母の琵琶をフィーチャーして『黄金の琵琶』、続いて風帆伯母に今度は箏を弾いてもらい、響美・夢美・風花の3人がキーボードを弾いて『アメノウズメ』、七美花とゆまのツイン篠笛を入れて『鬼ヶ島伝説』、夢美の超絶キーボードと泰華の超絶ヴァイオリンを入れた『スノーファンタジー』と続ける。
 
泰華さんは過去のKARIONのライブでも『スノーファンタジー』のヴァイオリンを弾いたことがあるので、今回も数回練習しただけで弾きこなした。
 
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更に『海を渡りて君の元へ』『星の海』『雪うさぎたち』と定番化している曲を演奏、今回のアルバムから『夏祭りの夜に』、南藤由梨奈のカバーが話題になった『魔法のマーマレード』、そして最後は4人によるKARIONを明確に打ち出した『四つの鐘』で締めくくる。
 

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束の間の休憩を経て、アンコールの拍手に呼ばれて再度出て行く。
 
「アンコールありがとうございます」
と和泉が感謝の言葉を言う。
 
「そういう訳で、KARIONのプロジェクトから、今シンガーソングライターとしてご活躍中の福留彰さんと、トラベリング・ベルズのリーダーであったTAKAOが離脱してしまいました。なお新しいトラベリング・ベルズのリーダーはTAKAOと並んで最古参のメンバーであるSHINが務めることになりました」
 
ここでSHINが右手を高く上げると、拍手がある。
 
「今日のライブでは福留さんとTAKAOのペアの最後の作品を最初に演奏しましたが、ここでその2人の最初の作品『嘘くらべ』を歌いたいと思います」
 
この曲は今回のツアー用のスペシャルアレンジで、MIKAがアコスティックギターを持って前の方に出てきて、彼女の演奏に続いて私たちは歌い出す。1番は完全にアコギ1本の伴奏で歌い、2番からベース・ドラムス、そしてキーボードやサックスも入る。間奏では、風花・七美花のフルートと、SHIN・ゆまのサックスの掛け合いがある。
 
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静かに始まり最後は元気に締める演奏であった。
 

歌い終わり、拍手の中、全員退場する。
 
再びアンコールの拍手である。KARIONの4人だけで最初出て行き和泉が再度アンコールへの感謝の弁を語る。
 
「では本当に最後の曲です。『Crystal Tunes』」
 
伴奏者としてグロッケンの美織さんとピアノを弾く風花が入ってくる。そしてこの2つの楽器のみの伴奏で私たちはこの美しく透明感のある曲を歌った。
 
割れるような拍手の中、私たちは何度も観客席に向かってお辞儀をして退場した。
 
締めのアナウンスは本当はマリがする予定だったのだが、今日はヒバリに入れてもらった。
 

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途中の休憩の所で、らんこが小屋に入ってケイが出てきた演出については
 
「もう完全に、らんこ=ケイを認めたね」
と言われた。
 
らんこが小屋に入り、ケイが出てきた。そのケイは下手袖に下がり、休憩明けでは、らんこが下手袖から出てきた。ふたりが同一人物でなければ説明できないのである。
 
またヒバリが歌った『心の翼』についてはCD化しないんですか?という問合せがかなりあり、秋風コスモス社長は。一緒に歌った来間島の祝い歌とカップリングして、発売する方向で検討すると自分のツイッター・アカウントから述べた。
 

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その日の打ち上げは宜野湾市内のホテルのプライベートキッチンで、今日の出演者全員で行ったが、ヒバリは人が大勢居る所は苦手ということであったので、料理を折り詰めにして、お茶・ジュース、お土産のお菓子と一緒に渡した。恩納村の下宿(木ノ下大吉先生の家の離れ)に戻ってから食べるということだった。
 
「あのヒバリちゃんが歌った曲だけどさ」
と和泉が私に小さな声で言う。
 
「あれって、こないだ私たちが奥八川温泉に閉じ込められて出られない〜と言ってた時の歌だよね」
 
「うん、そうだと思う。全く醍醐春海は絶対にタダでは起きない」
「冬もあの時に書いた曲があるんでしょ?」
「うん。ローズ+リリーで出す予定で譜面をまとめている。金沢公演の後から制作に入る予定」
 
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KARIONのライブは土日(+祝)なので、平日にローズ+リリーの音源制作をしようという魂胆なのである。
 
「私もあの時書いた詩があるから、それもう少し推敲してから冬に回すから曲を付けて」
「了解了解」
 
SHINさん、HARUさん、それにMIKAさんがヒバリが差し入れてくれた宮古島の泡盛を飲んでご機嫌な様子であった。MIKAさんはすっかりメンバーに溶け込んでいる。
 
「MIKAさんは、ふつうの女の子の話題が通じないっぽい」
と小風が言う。
「うん。あの人はファッションとかお菓子作りとかのことは頭の中に無いんだよ。自分の専門分野のことと音楽のこと以外は、むしろ男性的な趣味が多いみたいね」
と私。
 
「車も大型免許取ってるし、ゴルフの打ちっ放しとかバッティングセンターでストレス解消するとか言っていたし、クレー射撃で国体に出たこともあるらしい」
と和泉。
 
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「射撃は凄いな」
「実は高校生の頃、まだ無免許で鴨とか撃って旅館の食材にしてたんだって」
「実戦で鍛えてるのか」
 
「大学でも男性の友人たちとよく飲みに行ったりすると言ってたし」
と美空、
 
「まあ博士課程は特に女性少ないだろうしね」
 

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