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■夏の日の想い出・種を蒔く人(11)

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明け方になって、後藤先生と田中先生が「少し寝せて」と言って上島先生に案内されて客用寝室に移動する。雨宮先生はそれ以前にダウンして応接室の隅で熟睡中である。
 
私は千里と顔を見合わせて
「私たちは失礼しますね」
と上島先生に言って上島宅を辞した。
 
「さて帰ろ帰ろ」
と言って千里は大きく伸びをしている。
 
「どうやって帰る?タクシー呼ぼうか?」
と私は訊く。
 
「車で来ているから冬のマンションまで送るよ。その後、私は今日は40 munutesの運営会社設立で、9時に立川さんと一緒に法務局に行って、そのあと創立記念のお茶会の準備」
 
「忙しいね! でも徹夜してて運転大丈夫?」
「ああ。私目立たないように適度に寝てたし」
「そうだっけ?」
「お酒も夜2時以降は飲んでないからもうアルコールは抜けているんだよ」
「計画的だね」
 
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それで千里のアテンザ・ワゴンに乗って一緒に出ることにする。ガレージに行ってみると、千里のアテンザの他に、雨宮先生のランサーエボリューション・ファイナルエディションも駐まっている。起きてから、これを運転して帰るおつもりなのだろう。
 

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「そうだ。これ先月13日の大雪特集の番組見た後で書いたんだけど、もし良かったら、ローズ+リリーで歌ってもらえない?」
 
と言って千里はエンジンを掛ける前に楽譜とUSBメモリーを渡した。
 
『Tu es bell - 君は美しい』とタイトルが書かれている。ゴールデンシックスの名義になっている。つまり千里が書いたが、印税をゴールデンシックスの2人とシェアしたいということなのだろう。読んでみるとバラード調の懐古的な歌だ。シャルル・アズナブールとか、ニコレッタとか1960年代のシャンソンのような雰囲気もある。実際、Je t'aime(ジュ・テーム:愛してる)とか merveilleuse (メルヴェイユーズ:素晴らしい)といったフランス語も歌詞に混じっている。
 
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「千里、ほんとにきれいな曲を書くね〜」
 
と私は、彼女の運転するアテンザの助手席で言う。しかしその内、私はさっき千里が『大雪特集の後で』と言ったことを思い起こす。
 
ん?
 
「ね、千里この tu es bell ってさ、you are bell って意味だったりして」
 
フランス語で『君は美しい』と言っているようだが、本当に『君は美しい』ならTu es belle でなければならない。この bellはこの部分だけ英語で鈴の意味ではないかと私は思った。つまり「君は鈴だ」と言っている。鈴というのはつまりカリヲン - KARIONのことだ。
 
(ちなみにフランス語で鈴はclochette, 鐘がcloche である。belleというのは「美しい」という形容詞の女性形で男性形は beau である。フランス語に bell という単語は無い)
 
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「その最後の『テュ・エ・ベル』というセリフはマリちゃんに言ってもらってね」
 
「ひっどーい。これ私の秘密暴露だ!」
「『内なる敵』の仕返し」
 
うむむ。
 
確かに『内なる敵』は千里と細川さんの密会のことを歌った曲なのである。
 
「まあいいや。でもこれ凄く出来がいいから、今回のシングルに入れちゃおう」
 
それで私はその日、4日の午後からこの曲を政子と2人で歌って録音し、今回のCDに入れることにしたのである。代わりに『かけ声』を外す。
 

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ドライバー会社独立の件は、上島先生と後藤先生の2人が代表となり町添さんと交渉。5月付けで運営会社「★★情報サービス」が設立されることになった。★★レコードも出資することで、★★レコードの支店網を使いやすくすることになった。
 
実際には★★レコードの出資率は22%に留め(一応連結会社になる)、残りを後藤先生・田中先生・上島先生・雨宮先生・私と千里の4月3日に集まった6人が13%ずつ出資することにした。実際この出資額を平気で出せるのはこの6人なのである。エリゼやロンダはやりくり下手であまり貯金が無いようだし、香住先生は作曲数は多くても、爆発的に売れたりした歌手が無く、経済的にはそうゆとりは無い様子である。
 
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一方で利用する側は上島・雨宮・後藤・田中・私・政子・千里・蓮菜・エリゼ・ロンダ・香住、それに利用実績のある数人に声を掛けた所、ゆき先生・すず先生、八雲春朗さん、他数人も使わせてくれということになり全部で20人。この20人が利用度に応じて毎月10〜120万円の利用料を払うことにした。後藤・田中・上島・私・マリ・千里の6人は120万払う口である。
 

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「なんか実際には私ひとりでほとんど対応しているのにマリ先生とおふたりで240万も払ってくださるの申し訳無いです」
 
などと佐良さんは言っていたが
 
「いや、マリの運転練習に付き合わされて、時には買物とかまでしてもらっているし、ほとんどお休みないでしょう。もっともお給料で240万お渡しできるのではないので、そちらが申し訳無い」
と私は言う。
 
「いえ、今頂いているほどの給料出してくれる会社はそう無いです。マリ先生に付き合って色々おやつとかも食べられますし」
と佐良さん。
 
★★レコードからこの新会社に移籍するのは、統括していた鶴見係長、後藤さん担当の金子さん、田中さん担当の桜井さん、ローズ+リリー担当の佐良さん、醍醐&葵担当の矢鳴さん、スイート・ヴァニラズ担当の佳田さん、香住さん担当の梅田さん、それに染宮さんも入れた8人ということになり、残り2人は元々★★レコードの他の部門に居た人なので、元の部署に戻ることになった。しかし上島先生が個人的に雇っていた2人のドライバー、川村さんと津島さんも参加することになって結局ドライバーは10人である。
 
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ただ10人では足りないのでは?と雨宮先生は心配し、6月頃までにあと2〜3人増員する方向でツテを頼って探すことにした。条件は大型免許・大型自動二輪免許・牽引免許を持っていること、年間3万km以上運転していること、過去3年以内に免停が無いこと、お酒を飲む習慣が無く24時間いつでも呼ばれたら出動できること、常識外れの言動が多い作曲家・作詞家と付き合っていける柔軟性を持っていること、後部座席で情事が繰り広げられていようとも、乗っている人が女装しはじめたり女王様のコスチュームを身につけたりしても平常心でいられる程度には肝が据わっていること、業務上知ったことを絶対に誰にも言わない、秘密を守れる性格であること、そして大きな借金が無いことである。
 
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給料は★★レコードでもらっていた額を保証する。川村さんと津島さんが「え?そんなにもらえるんですか?」と驚き、上島先生が「去年が安月給でごめーん」と言っていた。
 
また月間11日の休日(特に土日や祝日は休める限り休み)、また「ILO規定」通りの年間15日の有休(内10日は2週連続)を保証することにした。2週連続の有休に入っている場合は他のドライバーで対応する。この規定は労働法に詳しい後藤先生が強く主張して実現した。長期休暇の時期は予め各社員に希望を出させた上で各担当のクリエイターのスケジュール予定を鑑みて鶴見さんが調整して決めることにした。
 
そして鶴見さんが新会社の社長、染宮さんが専務の肩書きとなることになった(「え?俺専務なの?」と染宮さんは焦っていた)。他に事務担当の女性を1人雇用する。会社の所在地は★★レコードの本社に置き、専用の部屋をひとつ確保してもらうことになった。
 
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スターキッズは4月3日(日)に帰国した。そして5日からローズ+リリーの音源制作の伴奏部分を演奏してくれた。この作業が4月10日まで続くことになる。そして4月11日(月)朝にマスター音源を工場に持ち込み、ゴールデンウィーク前に発売する予定である。
 
私と政子は伴奏制作をスターキッズに任せたまま、4月8日(金)、博多に行き、明奈の友人で筥崎宮のちゃんぽんを持っている人に会った。箱に入った状態、取り出した状態で写真を撮らせてもらう。
 
そして福岡市内のスタジオに行き、現時点での『ちゃらんぽらんな恋』の音源を流す中、それに合わせてちゃんぽんのポコペンポコペンという感じの音を所有者本人に入れてもらった。この曲については、この音を乗せた所で完成である。
 
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博多に行った後、私たちは明奈とその友人も一緒に特急《かもめ》で長崎に行き、中華街の新和楼でちゃんぽんを食べた。
 
「やはりここのは美味しい」
「ここの皿うどんもいいよね〜」
などと言っていたのだが、政子は
 
「いい曲思いついた」
と言って、何か詩を書き始める。
 
「チャチャっとやっチャイナ?」
と覗き込んだ明奈が見てタイトルを読む。
 
「中華街だからやっチャイナか」
 
「政子、最近ダジャレに走っているね」
「いや、美味しいちゃんぽん食べたから、美味しい曲ができた」
 
「それ誰に歌わせるの?」
「アクアに歌わせようかなあ。チャチャっと去勢手術やっチャイナ」
「絶対拒否されると思う」
 
マリは昨年もアクアに『おちんちんが無くなっちゃった』という曲を渡そうとして本人に拒否されている。
 
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「贅沢な。アクアが嫌がったら私たちで歌って今度のCDに入れる?」
 
「既に2曲入れ替えてるから、これ以上入れ替えると氷川さんが悲鳴をあげると思う」
 
「じゃ誰か去勢手術したがっている男の娘歌手いないかなあ」
「別に去勢手術の話でなくてもいいと思うけど。どっちみちここの歌詞は加藤さんがだめ出しするよ。ちょっと書き直しなよ」
「ちぇっ」
 

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スターキッズの作業も4月9日にはだいたい終わり、私と七星さんは9日の夜遅くまで掛けてマスター音源をまとめあげた。
 
ところがである。
 
KARIONの大阪公演から戻って来た4月10日の夜になって上島先生が私の所に電話して来たのである。
 
「ローズ+リリーの新しいCDの仮音源聴いた」
「ありがとうございます」
「ケイちゃんの曲も醍醐ちゃんの曲も凄いね。なんかふたりで競い合って凄い曲書いてる」
「今いい感じでライバルになっているんですよ」
 
「ふたりに負けてられないから、僕も別の曲を書いた。悪いけどそれと差し替えて『エーデルワイス』は次のアルバムか何かに入れてくれない?」
 
「はい、ありがとうございます」
とは言ったものの私は焦っている。明日朝にはマスター音源を工場に持ち込まないといけないのに!
 
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「今、楽譜をFAXで送ったから」
「分かりました。使わせて頂きます」
 
電話を切ってからFAXを見る。『風神雷神』という曲だ。譜面を読むが、とても力(りき)の入った曲である。私は緊急にスターキッズに招集を掛けた。政子も寝ていたのを無理矢理起こしてスタジオに連れていく。
 
氷川さんは渋い顔をしているが、上島先生から言われたのではやらざるを得ない。音源の持ち込みは連絡して明日の昼まで待ってもらうことにした。私はスターキッズの5人に言った。
 
「申し訳ないのですがCubaseに打ち込んだりスコアを作っている時間が無いんです。このメロディーとギターコードだけの手書き譜面で演奏してもらえませんか?」
 
「OKOK」
「そのあたりは任せて」
 
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それでスターキッズの5人に私のヴァイオリン、風花のフルートまで入れた状態で何度か演奏練習し、午前3時頃、伴奏を確定させる。これをやっている最中に個室でマリが氷川さんに見てもらって自分の歌パートの練習をしていた。
 
そして午前5時から私とマリの歌の収録を始める。2時間ほど練習した所で休憩して朝食と仮眠を取り、そのあと3度歌って結局2番目の歌唱を採用することにした。
 
あとは政子は風花と一緒にマンションに帰し、私と七星さんと有咲の3人でマスター音源を再度まとめあげる。音源はお昼前には完成し、私たちはホッとしたのであった。
 
音源はそのまま氷川さんが自身で工場に持って行ってくれた。
 

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■夏の日の想い出・種を蒔く人(11)

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