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■夏の日の想い出・種を蒔く人(3)

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「200億儲けた」
と雨宮先生は得意そうに電話して来た。
 
「随分稼ぎましたね」
 
「とにかく1000円と1600円の間を一週間の間に何往復もしたからね。底で買って天井で売れば1.6倍になるんだよ。他に下がる時に空売りしておいて買い戻した分もあるから、最終的に投入した資金70億が280億になった。いやあ雷ちゃんには遠く負けるけど、私も小金持ちになった気分」
 
「良かったですね」
「たくさん儲かったから、儲けの3分の2を還元するよ。だから千里に30億くらい、冬子に60億くらい返すね。正確にはきちんと計算してから振り込む。でもこれだけあったら一生遊んで暮らせるかもよ。私もしばらく株は、しない」
 
「先生が残りの約200億を1年で使ってしまうのに賭けていいですか?」
 
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「いや、それマジでやりかねんからその賭けは無し。取り敢えず税金払えなくなると困るから150億はイク(雨宮先生の事実上の夫である三宅先生)が管理している口座にいったん移動させた」
 
「賢明ですね。でもその分すった人もいるんですよね?」
「だろうね。冬子は税金対策考えておきなよ」
「それ無理です。素直に25%の法人税を払いますよ」
 
「10億も税金払うくらいなら買物すればいい」
「50億も何を買えばいいんです?」
「新幹線を買うとか。確か16両編成で40-50億円くらいだよ」
「新幹線なんて買ってどこに置くんですか!?」
「鉄道会社でも始めるとか。ローズ+リリー鉄道」
「マリは面白がりそうですけどね」
 

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「400億儲けちゃった」
とその日若葉はうちに来て、得意そうに言った。
 
「誰かとこの喜びを分かち合いたくて、ケーキ買ってきた」
 
若葉は上等なボルドーワインとケーキを3個買ってきている。2個出して一緒に食べて、もう1個はもう午後2時なのに起きてくる気配の無い政子に取っておく。私たちはとりあえずグラスを合わせて、ケーキを食べ始めた。
 
「ありがとう、というかおめでとうというか。でも若葉最近男の子と付き合っていたのでは?その子と喜びを分かち合えばいいのに」
 
「お祝いに一緒にディナー食べて、ホテルで1晩一緒に過ごしたよ」
 
「若葉の男性恐怖症も随分改善されたね」
「セックスはしなかったけどね」
 
「ホテルに行ってセックスしないんだ?」
「5cm以上離れて寝る約束。タッチ無し」
「へー」
 
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なんか千里と似たようなことしてるなと私は思った。理由は全く違うけど。
 
「冬だけに言っちゃおう。あのねあのね」
と言う若葉は物凄く可愛い。
「その子から種をもらって2人目の子供産んじゃおうかなと思ってるの」
と若葉は言った。
 
「いいんじゃない?また人工授精するの?」
「うん。治孝は今貞子と付き合っているから、貞子としても私が他のボーイフレンドとの仲が進展している方が安心だろうしさ」
 
若葉の最初の子供である冬葉(かずは)の父親は中学の陸上部の同輩である野村治孝なのだが、彼は現在同じく中学の陸上部の同輩であった前村貞子と交際中である。貞子は若葉に治孝が精子を人工授精用に提供したことは承知しているし、若葉と治孝の間には恋愛関係が無いことも理解してくれてはいるが、子供まで作った女性がフリーでいるのは、貞子としては心穏やかならざるものがある。もっとも貞子は若葉と元々仲良しだし、ふたりで一緒に冬葉の顔を見に来て、遊んであげたりもしているようだ。なお貞子は現役陸上選手なので、当面は結婚することができない。治孝君には「東京五輪が終わるまで結婚は待ってくれ」などと言っているようだ。
 
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「でもどのくらいの元手から参戦したの?」
と私は話題を変えるように言った。
 
「あ、これって儲かりそうと思ったから証券会社さんに電話して200億円くらい貸してくれません?と言ったらいいですよと言うから借りたのよね〜。それで適当に売買している内に600億円になっちゃった」
 
「凄いね」
「借りた200億円を返して400億円の儲け。その間の利子は1500万円くらいだから大したことなかったね」
 
「自己資金は無かったの?」
「私、自分の貯金は3億円くらいしか無いし」
「あ、そう」
 
やはり若葉は金銭感覚が尋常じゃないと私はあらためて思った。しかし若葉は
 
「結構楽しかった」
などと言っている。
 
「株はよくやってるんだっけ?」
「前にサンリオ株を2000万円買ったら数ヶ月で4000万円になったから、それで売り抜けたことある」
 
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「へー。確かにサンリオは過去何度も大きな変動しているね」
 
「株取引やったのはそれ以来かな」
 
「・・・・・」
「どうしたの?」
「もしかしたらビギナーズ・ラック?」
「あ、そうかも。お母ちゃんに言ったら、最低3年は株取引するなと言われた。あと勝手に何百億も借りるの禁止とも言われた」
 
「それがいいと思う」
 
「でも400億円もお金ができちゃった。前から作りたいと思っていたレストラン作っちゃおうかなあ」
「レストラン作るのに400億円も要らないと思うけど」
 
「伯母ちゃんとかお母ちゃんの人脈で人を探すと詰まらないしさ、冬、誰か社長というか店長あるいは板長さんになってくれそうな人知らない?」
 
「ちょっと心当たりを当たってみるけど、レストランのコンセプトは?」
「オーガニックフードをベースにした庶民的な日本料理店」
「うーん・・・。若葉には『庶民的』という概念が理解しにくいかも」
「そうかな?」
 
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「体育館を建てない?」
と千里が電話して来て言った。
 
「それってもしかして、40 minutesとローキューツの共同で?」
「そうそう。私と冬で25億くらいずつ出資して。50億円あれば3000-4000人収容の体育館が建設できるんだよ」
 
「うーん。。。。それいっそ5000人にしたい。そしてコンサートにも使えるようにするのなら、その話に乗る」
 
今実は絶対的に東京都周辺の大規模ライブ会場が不足しているのである。相次いで改修や閉鎖になっている施設が出ている。
 
「うん。それでいい。5000人規模なら多分80億くらいかな。いやライブでの使用を考えた音響設計したら100億掛かるかも」
 
「ライブで使える前提なら、千里が25億、私が75億という出資でもいいよ」
「うん。冬にたくさん出してもらえると助かる」
 
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「でもそれ単純な建設費だよね。場所は?土地は買う訳?」
と私は念のため訊く。
 
「場所は交通の便のいい所が絶対条件。それと、こういうのは自治体も1枚かませた方がいい。そして自治体の持っている土地に立てる。最終的に土地は買い取ってくれと言われたら買ってもいいし。平米あたり60万円くらいとして1万平米の土地が60億で買える。そのくらいは銀行も融資してくれると思うんだよね」
 
と千里。
 
「うん。私たちの年収を見たら貸してくれるだろうね。雨宮先生を上手く乗せたら半分くらい出してくれる可能性もある」
と私。
 
「ああ。それは脅迫すれば出してくれるよ」
「脅迫ネタ持ってるの?」
「まあね。場合によってはジョイフルゴールドや江戸娘にも声を掛けて、少し出資してもらうといいかも」
 
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「あ、それがいいかも。でもそういう話、どのあたりから持っていく訳?」
と私は尋ねる。
 
「取り敢えず、ジョイフルゴールドの藍川社長、親会社の倉吉副頭取、ローキューツの高倉社長と冬子、40 minutesの立川社長と私、江戸娘の青山キャプテンと上島先生、この4者で一度集まって話し合ってみない? 自治体とのパイプはうちの立川さんにしても藍川さんにしても高倉さんにしてもあるはず。あと銀行がメンバーに入っていると、自治体も安心する」
 
「言えてる。じゃ、まずは1度集まってみようか。多分上島先生のスケジュールが厳しいと思うから、先生の時間の取れる日を訊いて連絡するよ」
「よろしく〜」
 

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「激勝さんが薬物使用で逮捕されたので、完全にMM系の敗北が決まりましたね」
と氷川さんはその日の朝、マンションに来て言った。
 
「去年、芹菜リセさんが活動自粛に追い込まれた事件で、実際には司法取引のようなものが行われて、販売ルートが警察にかなり把握されたみたいですね。あの後売人が随分逮捕されて、芸能人やスポーツ選手の薬物使用者も何人も逮捕されています。それでどうも警察もそのルートから激勝さんも内偵していたみたい。だから不倫報道が無くても激勝さんの退場は時間の問題だったみたいです」
 
時間の問題だったかも知れないが村上さんが社長に就任しMM系で中核を占めた直後に発覚していたら★★レコードは大打撃を受けていたろう。6月の株主総会の前で良かったのだ。
 
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「激勝さんは破産になる可能性も高いみたいですね」
と氷川さんは言う。
 
「やはりかなり借金があったんですか?」
「相当豪遊していたようです。銀座で1晩で1千万使ったりしていたとか」
「どうやったら1晩で1千万も使えるんです!?」
「庶民には伺い知れない使い方があるんでしょうね。そんなことしてたら借金も増えるでしょう。配当で毎年1億近い収入があったとはいえ」
 
「今回の事件では、お金の感覚がくるうような話ばかり聞く」
と私は嘆くように言った。
 
「お金のある所にはあるもんですね〜」
と氷川さんが言う。
 
「でも結局、無藤鴻勝氏も辞職、トロイカレコード出身の本社営業部次長の矢掛さんが大阪支店営業部長に就任することになりました。その後は、鬼柳制作部次長が営業部次長に横滑り、そして加藤課長が制作部次長に就任という線で近いうちに辞令が出るようです」
 
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「加藤課長の後任は?」
「森元係長の昇格です」
 
「森元さんも課長になっていいくらい仕事してますよ」
「ええ。過労死しないかと心配なくらい仕事してますね。今回は加藤も森元も鬼柳も社内の動揺を抑えるのに必死だったみたいです」
 
「そのあたりに負荷が掛かりますよね」
「三田原さんがこちらに残っていたら彼女が加藤の後任になったんでしょうけどね」
「いや、向こうは向こうでアクアに関する仕事が無茶苦茶多くて大変だと思う」
 
「もっとも三田原は権力闘争に巻き込まれた時に、自分が性転換しているという問題が敵に攻撃されやすいと思って自ら転出した感じもありました」
と氷川さん。
 
「そういうのって性転換者が背負っている十字架なんですよ」
と私は厳しい表情で語った。
 
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「でもTKRの課長の方が★★レコードの課長より大変になる可能性もありますけどね」
「ですです。子会社が親会社より成長することもよくありますよ」
 

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夏の日の想い出・種を蒔く人(3)

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