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■春備(11)

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2025年3月9日(日)、冬子(ケイ)は長年の恋人?で弁護士の木原正望と結婚式をあげた。「その内“婚約”しよう」という約束をしたのが14年前、実際に婚約したのが7年前で極めて長い交際期間?になったが、その間実はめったにデートしていない。佐野君などが
「お前らほんとに付き合ってんの?」
と言っていた。特にケイは§§ミュージックの会長になって以来、ほとんど時間がなくなり、ここ数年は全くデートしていない。
「ね、冬子結婚の約束覚えてる?」
と言われて
「うん。結婚しようか」
と言い、結婚することにした。
 
関係者を一同に集めようとすれば関東ドームでも借りないと無理な感じだったので、ネット婚としたが、案内状(招待状ではない)を誰々に送ればいいか全く見当が付かなかった。風花も分からん!と匙を投げた。結局ネット上に掲示して案内状に代えた。披露宴ではなく祝賀会方式で会費1万円の会費制である。御祝儀は一切辞退した。受け取っていたら、芸能界はこの手の相場がとんでもないので、総額数十億円に達して会計処理が恐ろしいことになる。
 
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参加してくれる人には前日までにシャンパン代わりのサイダーと冷凍した料理を送付しておく。この送付は若葉に頼んだが1000食以上送付したらしい。(きっと関係無い人もだいぶ入っている)
 
友人代表のスピーチは佐野君にお願いした。余興での歌は、アクア・松原珠妃・2代目若山橘丘(若山流家元)のみとさせてもらった。乾杯の音頭は★★レコードの町添社長にお願いした。
 

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新婚旅行はハワイに一週間行ってくると発表したものの、ケイは困った。
「どうしよう?とても一週間なんて休めない」
 
丸山アイが連絡してきた。
「ハワイに新婚旅行行くなんて言ってたけど時間あるの?」
「無くて困ってる」
「吹き替え役の詩浮子ちゃん貸してあげるから、彼女に新婚旅行に行かせればいいよ」
 
新婚旅行に吹き替え!?
 
「さすがにそういう訳にはいかない。何とかするよ」
「彼氏とセックスさせてもいいのに。どうせ偽装結婚か契約結婚なんでしょ?」
 
うーん。世間的にはそう思われているのかなあ(そうとしか思えないのですが)
 

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千里が連絡してきた。
「ハワイに新婚旅行行くなんて言ってたけど時間あるの?」
「無くて困ってる」
「冬のコピーを作ったから、その子に新婚旅行に行かせればいいよ」
 
コピー!?
 
「何もかも冬と一緒だから。記憶はコピーした時点、昨日までの記憶を引き継いでいる。指紋も同じだから入出国でも困らない。彼がセックスしても分からないよ」
「え〜!?」
「どうせ偽装結婚なんだから彼に新婚旅行したと満足させればいいんだよ。細かい所まで全部冬と一緒だけど妊娠能力だけはないから彼と生セックスしても妊娠しないよ。それとコピーの寿命は1年程度で、寿命が尽きたら灰のようになって消滅するから」
 
「分かった。貸して」
 
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それで正望と新婚旅行に行ったのはケイのコピー(略してケイコ?)なのである。ただし旅行中、ケイコはひたすら仕事をしていて正望は呆れたようである。
 
「冬子お仕事なの?」
「ごめん。これ今週中に渡してあげないといけないのよ」
 
ケイコは旅行中に10曲もの楽曲を書いてくれたのでありがたく利用させてもらった!
 
また新婚旅行中、本物のケイは千里家の地下室に居て、こちらもひたすら仕事をしていた!ここはグランドピアノもあり、創作にはとても良い環境である。電話も掛けまくっていた。時々プールに泳ぎに行く。食事やコーヒーはこの家の雑用係の小雪さんが運んできてくれる。
 
ケイコは旅行中セックスは一度もしなかったらしい。新婚旅行なのに!
 
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申し訳無いので帰国後ケイ本人が一度彼とセックスした。
「避妊するの〜?」
「ごめん。私妊娠してる時間無いから」
「冬って妊娠できるんだっけ?」
「まだ未経験だけど、生理はあるから妊娠する可能性あると思う」
「生理があるんだ!」
 

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また結婚後のケイと正望の生活も今までと全く変わらなかった。ふたりはマリ家に住み、多数の子供たちに囲まれて暮らした。日中はケイは恵比寿のマンションや§§ミュージックの事務所で仕事していた。正望はマリ家から自分の事務所や裁判所に出掛けた。
 

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3月14日はホワイトデーである。§§ミュージックへのホワイトデーのプレゼントはアクア、常滑真音、立山きらら、ラピスラズリ、薬王みなみ、恋珠ルビー宛がこの順序で多かった。白鳥リズムはバレンタインだった。
 

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長崎のひとみのクラスでは先月は担任の先生がお金を出して男子全員に一口チョコを配った。今月は今度は女子全員に(個包装の)マシュマロを配った。ひとみはマシュマロをもらった。
 
ひとみはオーリンにはバレンタインには小さなチョコパイをあげたのだが、今月はアルフォートのバニラホワイトをあげた。
 

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金沢の芳雄のクラスでは先月のバレンタインの時は女子全員でお金を出し合い、チロルチョコを買って男子全員に「義理チョコ〜」と言って配った。芳雄(芳恵)はこの時、お金を出した。
 
今月はお返しに男子全員でお金を出し合い、女子全員にクッキーをあげた。芳雄は今月もお金を出した!
 
芳雄は神谷君に訊いてみた。
「照世ちゃんはどうしたの?」
「私先月も今月もお金出した」
「あはは、仲間仲間」
 
でも神谷君が「義理チョコ〜」と言ってガーナチョコをくれたので芳雄も「お返し〜」と言って彼(彼女)にはブルボンプチのクッキーをあげた。
 

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宮古島で一週間の予定が10日ほどハネムーンを過ごしていた九重と日和のところに千里が訪問した。
「おふたりさん、そろそろ帰ろうか」
「すまーん!」
「ごめんなさい」
 
それで九重は日和と千里を乗せて千里の指示で一気に関東まで飛ぶ。千里の指示で松戸市の一軒の家に降りる。
「ここに君たちのスイートホームを用意しといたから自由に使って」
「すまん」
「ありがとうございます」
「こちらはメイドのマロンちゃんとウォールちゃん。どちらも関西組。料理や掃除はこの子たちに任せていい。車の運転もできるから買い物やお出かけに使って」
「はい。よろしくお願いします」
「広い庭を確保しておいたから宴会などは自由に」
「すまん」
「夜中は騒がないようにね。夜間に宴会する時は焚き火はできないけど地下ホールを使って」
 
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3月15日(土)、煌は筑波山に行った。宮下マネージャー、山村マネージャー、久保君、とともに車でつくば市の筑波山神社まで行く。
 
「なんか百人一首にありましたっけ」
「陽成天皇の歌だね。筑波嶺(つくばね)の峰より落つる男女ノ川(みなのがわ)、恋ぞ積もりて淵となりぬる」
「ストレートですね」
 
筑波山は西側の男体山(標高871m)と東側の女体山(標高877m)という2つの峰からなる双耳峰である。女体山のほうが高い。ふたつの峰の間はそんなに離れていない。また男体山にはケーブルカー、女体山にはロープーウェイがあり、冬季でも登りやすい。ただし冬はかなり気温が下がることもあるので、しっかりした防寒が必要だし、積雪する場合もあるので軽アイゼンの備えもあったほうが良い。今回は簡単に装着できるバックル式のを持って来た。
 
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「でもなんで高いほうが女体山なんでしょうね」
「両者の標高差はわずかだからね。昔はどちらが高いか分からなかったのだと思う。それで山の雰囲気から『こちらが男!』って決めたんだよ」
「川泉姉妹が並んでたら、多くの人がスピンちゃんのほうを男と思うよね」
 
なぜそういう話になる?
 
神社で〒〒テレビ取材班と合流する。今日は千里さん・明恵さん、希望さんの3人である。
 

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神社の近くにある宮脇駅からケーブルカーに乗る。ここは珍しい、ルートが90度ほど曲がっているケーブルカーである。ケーブルカーは重力で動くという原理から、大抵ルートが直線なのだが、ここは曲がっている。
 
(ケーブルカーは釣瓶の原理である。ワイヤーでつないだ2つの車両がセットになっており、降りる車両の位置エネルギーを使って反対側の車両を持ち上げる)
 
ほんの10分ほどで500mほどの高低差を登り、筑波山頂駅に到着する。ここから20分ほど歩いて男体山頂上に達した。初心者の久保君がいるので、ゆっくり歩いた。幸い積雪は無くアイゼンは使わずに済んだ。
 
ここで休憩し、記念写真を撮る。それからまたゆっくりしたペースで40分ほど歩き、女体山山頂まで行った。休憩して記念写真を撮る。
 
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久保君が謝っていた。
「ごめんなさい。皆さんに付いていけなくて。ぼく毎朝のジョギング頑張ります」
「うん。頑張ろう。来月はもう少しきついよ」
「はい」
 
充分休んでから今度は女体山のロープーウェイに乗って、つつじヶ丘駅まで降りた。テレビ局のスタッフの手で車がこちらに回送されているので、その車で東京に戻った。
 
(北陸霊界探訪と協力関係にある関東不思議探訪のスタッフがやってくれた)
 

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3月中旬、多くの中学校で卒業式がおこなわれた。§§ミュージック関係で今月中学を卒業したのは下記である。
 
七石プリム・久保孝昭
春野わかな・鏡家トマト・氷川チャイム
杉谷ツグミ・森田ヒナ・梅田スカイ・富山シール・長門イチゴ・秋吉サント・赤城ヤヨイ・石山ジュン・国分ダイヤ・三萩エスト・小林エリカ
 
全員都内の私立高校に進学する。
 

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なお、氷川チャイムは中学の書類が女子になっているので、高校にも女子として進学する。
 
久保君は中学には男子制服で通っていたが、制服の無い高校に進学したので、男子標準服を着るのも女子標準服を着るのも自由である。礼音は
「取り敢えず両方作っちゃいなよ」
と唆した。
 

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3月、晃の母は言った。
「あんたわざわざ東京まで行かなくても金沢でいいじゃん」
「うーん」
 
金沢だと知り合いに多数出合いそうである。自分が男に戻っていたら
「なんで男みたいな格好してるの?」
とかたくさん訊かれそうだ。だから知り合いの居なさそうな東京でリスタートしたかった。
 
「女の子が東京でひとり暮らしするのは大変だよ。恐い町だから」
 
いや男に戻るつもりなんだけど。
 
「それに予備校代も馬鹿にならないし。浪人するとG大学に払った入学金が無駄になる。ローンまで組んだのに」
 
それを言われると辛い。ローンの返済は8年掛かる。そして今年ローンを組んでしまったということは来年はローンを組めない!それで晃は東京進出を断念し、金沢のG大学に進学することにしたのである。
 
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(姉は国立に現役で入ったのであまり費用が掛からなかった)
 

富山県で公立高校の合格発表がおこなわれた。それを受けて高岡P高校など多数の私立高校で入学手続きが締め切られた。高岡P高校では二次募集の案内を出した。
 

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手毬の所にマイナンバーカードができたという通知が来たので、ひとみを連れて市役所まで受け取りに行った。
 
手毬は運転免許証、ひとみは生徒手帳を本人確認書類にして受け取った。ひとみは自分のマイナンバーカードに「性別:女」と記載されているのを見て
「ぼくほんとに女の子になっちゃったんだなあ」
と思った。
 
ぼくまだちんちん付いてるのに!
 

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拓矢は電話を受けた。
「あ、拓ちゃん?私映画『地下社員物語』に主人公の妹役で出演が決まったのよ」
「ほんと?良かったじゃん」
「映画の撮影が入るからとても結婚なんてしてられないからさ、悪いけど別れて」
「はぁ〜!?」
「じゃね。例のオカマの子と結婚してもいいよ」
 
それで電話は切れた。
 
何て勝手な女だ!結婚してくれなかったら過去にマリファナ吸ったことがあることバラすと言って結婚を迫ったくせに!
 
春奈にも悪いことしたなと少し心が痛んだ。
 

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晃の家にG大学から手紙が来ていた。
「寮の部屋番号は233だって。3月28日までに入寮してくださいだって。それから4月4日は女子新入生の健康診断があるらしいよ」
 
「寮?健康診断?」
 
「G大学の1年生女子は全員寮に入らないといけないのよ。もう寮費も払ってるよ」
「引越の準備急がないと」
「引っ越し屋さん空いてないだろうから、うちの車で運ぼう」
 
「寮って男女居るんだっけ?」
「1年生女子が入るのは女子寮だよ。セキュリティもしっかりしてて男は侵入できないから親としては安心だよね」
「健康診断ではあまりみっともない下着は着けていかないようにね」
 
ぼく男の身体で女子寮にはいるの〜?健康診断って凄くやばくない??男の身体に戻るのが健康診断の後になればいいけど。
 
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(健康診断は毎年あるよ)
 
姉は言った。
「あんた金沢に行くのなら『霊界探訪』の編集部にはいってよ。ミノリちゃんが大学卒業したし、まこさんが妊娠したから、人手が足りないのよ」
「まあいいけど」
「じゃ今度、私の妹ですーって紹介するね」
「妹なの?」
「あ、心配しないで。この編集部男の娘さんが多いから気安いよ」
「あはは」
 

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