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■春備(9)

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桃香は2月上旬、北陸・九州に住む4人の娘(瑞季・珠那・ひとみ・美甘)および千葉の家と浦和の家に、七段飾りの雛人形を送った。
 
「どうしたのよ、これ?」
と手毬が電話して来た。
「私が株を持ってる人形屋さんが創業15周年で発売した15体セットの段飾り雛人形なんだよ」
 
(15体:内裏雛・三人官女・五人囃子・左右大臣・笑い上戸/泣き上戸/怒り上戸)
 
「何十万かしなかった?」
「安物好きの私がそんな高価なものを買うわけがない。定価10万を株主優待の2割引きで8万だよ」
「8万!?80万くらいしそうなのに。人形の顔も上品だし。結構大きいし」
「人形は3Dプリンタで作られてる。原価は1000円くらいのもんだよ。スキャンしたのが名人さんの作った人形だからそれをコピーしたこの人形もわりと上品」
「なるほどー」
「人形が着ている服はシルック振袖の端切れだから極めて安い。しかもミシンで縫ったりアイロン接着シートとかでくっつけてる。人形をわざと大きめに作ることで服も細工しやすいようにした。3Dプリンタだと大きさは自由自在だし」
「大きいからコストダウンできるのか!」
 
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段飾りの段はそこら辺にいっぱい生えているミズナラで材木屋さんから1枚10円で仕入れてきたもの。敷いてるのもフェルトではなくただのリネンだし。2枚重ねしてるけど」
「徹底的にコストダウンしてるんだね」
「菱餅が省略されてるのはスーパーとかで買って来て載せてくれ。雪洞(ぼんぼり)が無いけど取り敢えず100円ショップのランタンか何かで代用しといて。お道具が書き割りで代用されてるのは後で本当のミニチュアセットと交換可能。屏風も雑誌の付録みたいなのが付いてるけど、もう少しいいのと交換可能」
「まあそのくらいはいいよ」
 
「工房も宇治市の山の中にある。元々老舗の人形屋さんの息子達が数人集まって『庶民が気軽に買える雛人形を作ろう』と言って設立した人形製作所なんだよ」
「へー」
 
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手毬とひとみで組み立てて飾ったが、手毬の母・春子は
「きれいだね。安物には見えない」
と感心していた。春子が子供の頃祖母から贈られた段飾りの雛人形があったらしいが、段飾りを見たのはそれ以来50年ぶりだと言っていた。当時の人形は幼い弟がその上に倒れたり人形を投げて遊んだり射撃のまとにしたりしてかなり壊され、最終的には妹が婚家に持っていったらしい(三上戸や御道具は欠落していた)。
 
この段飾りは3月4日に片付けた。
 

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千里は松戸市に400坪ほどの住宅用地を確保すると、万奈・清川を呼んで、小さな家を建てさせた。そして周囲には高いフェンスを二重に設置させた。なお家は小さいが、広い地下ホールがある。
 
 

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2025年3月2日(日)、アクアはデビュー10周年のネットライブをおこなった。実際にデビューしたのは2015年3月4日なのだが、その日は今年平日なので、前倒ししてこの日のライブとなった。あけぼのテレビも現在は太いバックボーンを持っているので休みの日にアクアや舞音のライブをやってもアクセスに耐えられる。
 
例によって前半は北里ナナ、後半はアクア、サービスステージでは再び北里ナナの歌を歌った。幕間には町田朱美・常滑真音・薬王みなみ・立山きららが出て来て四重唱するという超豪華演出がおこなわれた。朱美が紫、舞音がオレンジ、みなみが青、きららが黄色というそれぞれのパーソナルカラーのドレスを着ていた。
 

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3月2日、政子(マリ)は、冬子(ケイ)に、かえでの父親について打ち明けた。
 
「え〜〜!?私が父親なの〜?」
「青葉も千里も貴子(貴昭)も亮平もリンナさんも、かえでの顔見て気付いたと言っていた。冬が気付かないのが異常」
「うーん・・・」
「冬はカリオンでデビューする直前に去勢手術を受けた時、玉を取る前に精液を保存したでしょ?その精液は4本あったけど、その中の1本を使ったんだよ」
「私の同意無しで?」
「ああ、同意書のサインは私が代筆しといた」
「ひっどーい!」
 
しかし私カリオンでデビューする前に去勢手術受けたんだっけ??
何か分からなくなって来た。
 
(若葉はこの時、冬子が性転換手術を受けたと思っている。若葉はこの時の精液の1本を使用して政葉を産んだ)
 
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2025年3月3日(月)、全国の多くの高校で卒業式が行われた。§§ミュージック関係では以下の子たちが高校を卒業した。
 
恋珠ルビー・花貝パール・水谷姉・花園裕紀・鹿野カリナ・広瀬みづほ・箱崎マイコ・月城としみ→芸能活動に専念
松島ふうか→あけぼのTVに専念
古屋おだんご→この機会に東京に出て来て芸能活動に専念。
入瀬コルネ→結婚して信濃町ガールズからは引退するが、作詩家としては活動継続。また妹のホルンとセットでドラマなどに出ることはある。
 

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コルネ(日和)が結婚するというのは、多くの信濃町ガールズに波紋を与えた。
「そうか。私たち結婚して引退するって道もあったのね」
「ひよちゃん、あけぼのテレビで豪華な結婚式を」
「私そんな大物じゃないよー」
と本人が固辞するので、ガールズたち多数で「結婚前祝い」をしてあげた。会場は寮の元食堂である。コロナ以来食堂としては使用していないが、花ちゃんの許可を取ってそこを使った。
 
海浜ひまわりが調達してきてくれたウェディングドレスを日和に着せ、花婿が居ないので徳部の写真を横に立てグラスにコーラをつぎ、恋珠ルビーの音頭で乾杯!用意したミルフィーユケーキをみんなで食べた。
「千年愛を積み重ねるように」
 
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ミルフィーユ (mille feuille) とは「千の葉」という意味である。多数の層を重ねたケーキなので、そう呼ばれる。
 
「千年も生きる自信無いよぉ」
「気持ち気持ち」
 
「写真が立ってるとまるで死んだみたいだ」
「彼は生きてるよぉ」
「ケイ会長は昔ユニットで活動していた時期、どうしても都合つかなくてライブを欠席した時、黒い縁取りの写真立てられてお花まで添えられたらしい」
「それは欠席したのが悪い」
「ブッキングした事務所の責任だよね」
 

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松島ふうかが日和にマイクを向ける
「入瀬さん。ご結婚なさるということですが、妊娠はしておられますか?」
「妊娠とかしてません。私まだ彼とセックスもしてません」
「ひよちゃんセックスのしかた分かる?」
「ネットで動画見た」
「まあ女は基本寝てればいいけどね」
「彼の背中を撫でてあげたりすればいいよ」
「フェラティオの仕方分かる?」
「やったことはないけど頑張る」
「あれはソフトクリームを舐める要領で舐めてあげるんだよ」
「シックスナイン分かる?」
「図解は見た。頑張る。でもあれ男と女とどちらが上のほうがいいの?」
「相手の好み次第」
 
徳部さんは上を好みそうだなあ、と日和は思った。
 
「バックのやり方分かる?」
「騎乗位のやり方分かる?」
「正面座位のやり方分かる?」
と色々な体位が話題になり、性体験のある、ひまわりが解説していた。
 
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でも中学生ガールズたちが興味深そうに聞いていた!
 

コスモス社長、ケイ会長、千里さん、花ちゃん(音楽部長)、アクア、舞音ちゃん、リズムちゃん、スピカさん、ロンドさん(寮長)、春貴先生!に女子バスケ部一同(実際には3年生で出した)から御祝儀を頂いたので、花ちゃんに相談して商品券でお返しをしておいた。
 
春貴先生の住所が高岡市になっていたので、転勤になったのかな?と思った。
 
(実際に作業したのは花ちゃんから頼まれたホルン。日和にやらせるのは危なすぎる)
 

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氷見のH南高校でも3日に卒業式がおこなわれたが、女子バスケ部関係者の進路はこのようになった。
 
原田河世 富山市のI大学に合格した。
綾野美奈子 金沢のG大学に合格した。
鶴野五月 富山県内の専門学校に進学予定。
津田秋奈 同上
藤永弘絵 金沢のS大学に合格した。
高田晃 東京の私立大学を狙っていたが合格できず、滑り止めに受けて合格していた金沢のG大学(美奈子もここに行く)に行くか浪人するか迷い中。
 
なお晃は高校の書類が女子になっているので入試も女子として受けている。願書も女で出したし、女子制服を着て試験を受けた。
 
金沢G大学の入学手続きの期限は2月にあったので父にお願いしてお金を出してもらい、入学手続きを済ませておいた。お父さんは初年度校納金を払うため、100万円の教育ローンを組んだ。
 
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さて、高田晃は高校を卒業したら、男の身体に戻してもらう約束だったのだが、卒業式が終わっても身体は女のままであった。
 
時間かかるのかな?とも思ったが、翌日になっても女のままだった。
 
晃は姉の舞花を通して春貴に連絡した。春貴は真珠を通して津幡姫に問い合わせてもらった。真珠は直接晃に電話した。
「女の子が似合ってるから、そのまま女のままでいればいいよ、と言ってるけど」
「ぼく男に戻りたいんですけど」
「取り敢えず数日待てって」
「分かりました」
 

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女子バスケ部ではフラミンゴで1時間ほどの簡単な送別会をした。舞花がショートケーキを用意してくれたので、みんなでお茶を飲んでケーキを食べた。
美奈子から、日和が東京の高校を卒業するとそのまま結婚して花嫁さんになることが報告される。
「すごーい」
「いや、ひよちゃんは以前から男の人と付き合っていた」
「なんかおとなの世界だ」
「でも高校生の間はセックスしないという約束だったらしいよ」
「今時珍しいかも」
「中学生でもセックスする子たちいるのに」
「結婚してから初夜とか古風かもね」
 

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3月3日はひな祭りなので、あけぼのテレビでは特集番組を放送した。高校生以下のメンバーを使って段飾りをする。
 
男雛:立山煌(高1)
女雛:薬王みなみ(高2)
三人官女:恋珠ルビー(高3)・広瀬みづほ(高3)・水谷姉(高3)
五人囃子:川泉パフェ(高2)・三陸セレン(高2)・山鹿クロム(高2)・紺青セイラ(高1)・入瀬ホルン(高1)・入瀬コルネ(高3)
七人舞手:バニショコ(高1)・ももくり(高1)・生駒クリス(中2)・水谷妹(高2)・春野わかな(中3)
左大臣:花貝パール(高3)
右大臣:月城たみよ(高1)
仕丁:花園裕紀(高3)・麻生ルミナ(高1)・酒田レモン(高2)
 
今年も激戦だった。五人囃子が6人居るのは愛嬌である(太鼓・大鼓・小鼓・龍笛・箏・扇)。紺青セイラはフルートが吹けるので、龍笛を持つ姿も様になった。ホルンも箏を弾いたことがある。セレン・クロムは鼓を半日習った。
 
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入瀬姉と水谷姉の序列はかなり微妙だったがキャリアの長い水谷姉を上にした。紺青セイラが序列的には高い麻生ルミナより上に置かれたのは横笛(よこぶえ)が吹けるからである。誰もたみよに女衣裳を着せようとは思わなかった!
鏡家トマト・氷川チャイム・清水スピリ・上杉ユリアあたりがボーダーラインで落選した。
 
煌もみなみも内裏雛は辞退しようとしたのだが
「あんたたちを差し置いて内裏雛ができる人はいない」
と言われてすることになった。男雛は束帯、大臣は狩衣、女雛は十二単(じゅうにひとえ)、官女は小袿(こうちぎ)である。
 

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番組では、最初に舞手の7人で『うれしいひなまつり』を歌った。
 
菱餅を焼き、雛あられ(ポン菓子型)を摘まんでカルピスを飲んだ。立山煌、薬王みなみ、恋珠ルビー、広瀬みづほ、月城たみよ、川泉パフェ、麻生ルミナ、が歌唱した。
 
浦和の千里家では桃香が用意してくれた雛人形を2月から飾っていたが、その前で菱餅を焼いて食べ、お雛様ケーキ、雛あられ、ちらし寿司を食べ、カルピスを飲んだ。京平はスカートを穿いていた。
 
伏木の青葉家では、この家に下宿している遙佳・舞花と、霊界探訪編集部のメンツ、明恵、希望に4月から霊界探訪の編集部に加わる予定の桂ちゃんという男の娘さんも加えて、お雛様ケーキ、雛あられ、ちらし寿司を食べ、カルピスを飲んだ。
 
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青葉邸には、千里が段飾りの雛人形を贈ってくれたので、2月の立春に飾り、3月4日に片付けた。飾るの・片付けるのもこのメンツでしてくれた。
 
「凄い立派なお雛様だね」
と朋子が感心していた。
「高そう」
「ちー姉が株主になっている京都の白猫人形店というところのお雛様だって」
「へー」
 

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桃香が言う。
「なんか狭い道をはさんで、白猫人形店・黒猫人形店って向かい合っているらしい」
「面白いね」
「白い招き猫と黒い招き猫が立っている。その情景を写した写真がよくネットにあげられている。その白猫人形店の次男さんと、黒猫人形店の次女さんが結婚してさ」
「あら」
「その2人を中心に友人の若手人形職人数人で15年前にパンダ人形店というのを始めたんだよ」
「白猫と黒猫が結婚して白黒熊猫になったんだ?」
 
「安い雛人形を販売しようと努力して、三段飾り3万円なんてのもあったけど、今度創業15周年記念で人形15体セットの七段飾り雛人形を10万円で売り出したんだよ」
「安いね!」
 
「こんな立派なものには比べるべくもないけどな。それを発売記念特別価格9万円の株主優待2割引きの7.2万円で6つ買って浦和と千葉とあと私の娘たちの所4箇所に送り届けた」
「ああ、そういうのはいい想い出になるよ」
「お嫁に行く時は持ってってそのまた娘に見せてやればいいよな」
「男の子しかできなかったら?」
「スカート穿かせればよい」
 
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長崎のひとみの家でも菱餅を焼き、お雛様ケーキ、雛あられ(おかき型)、ちらし寿司を食べ、カルピスを飲んだ。
 
(“雛あられ”は全国的に、ポン菓子型の地域と、おかき型の地域がある)
 
「うちってぼくの小さい頃からひな祭りしてた気がする」
「そりゃ女の子の家ではひな祭りするよ」
「あはは」
 
昨年までは夫婦雛だけのお雛様を飾っていた。今年もテレビの上に飾っている。
 
金沢の芳雄の家では、特に雛祭りはしなかった。男の子の家ではする必要は無い!(小さい頃はしていたが、その内しなくなった)
 

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春備(9)

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