広告:放浪息子(10)-ビームコミックス-志村貴子
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■春備(7)

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「売上ランキングも上位に行くといいんですけどね」
「あれは運もありますからね。100万枚売っても1位にならないこともあるし、1万枚未満で1位になることもあるし」
「まああまり売上は気にせずのんびりやっていきます。30歳くらいになったらリストラされるかもしれないけど」
「コスモス社長は80歳でも、やりたいと言ったらライブやらせてあげるよと言ってましたよ」
「それやってみたいね!」
「60歳のアクアのバックで50歳過ぎの信濃町ガールズたちがミニスカで踊るというのもいいよね、と以前舞音ちゃんと話したんですよ」
「その時は私もまぜて!」
「アクアは60歳すぎてもライブしそうだもん」
「あの子はやるだろね」
 

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「最近では毎年1〜2枚のシングルを出しておられますね」
「はい。私のシングルやアルバムは自分で作って持って行ったら出してもらえることになってるんです。それで自分で詩を書いたり友人に書いてもらって、それを音楽部長(花ちゃん)の所に持っていくとたいてい少し直されて、松本花子先生に曲を付けていただいて、伴奏者集めて伴奏音源作ってもらってそれに私の歌を乗せて信濃町ガールズのコーラスを乗せて音源にまとめます。発売はアクアとか舞音ちゃんやラピスと同時発売になることが多いです。枠が空いてないので」
 
千里が説明した。
「§§ミュージックのメイン歌手のシングルは発売日をずらして全員1位を狙えるようにしています。この枠は13しかなくて、その内、アクア、北里ナナ、常滑真音、ラピスラズリ、立山きらめき、立山きらら、薬王みなみ、白鳥リズム、恋珠ルビー、ロマン&ポルカ、上杉ユリアで11枠使っている。残り2枠を残り全員で奪い合いになっていて、争奪戦やってるのが、広瀬みづほ・月城たみよ・川泉パフェ・生駒クリス・麻生ルミナ・姫路スピカ・酒田レモンあたりだけど、カペラちゃんはこの競争には加わらず、敢えてアクアや舞音など1位確実な人と同時に出してもらってるのよね」
「私のシングルが1位取ることはあり得ないから」
「マイペースで出して行くのもいいですよね」
「でもアクアや舞音ちゃんの発売日はみんな発売を避けるから私2位になること多いんですよ。それでコスモス社長から『シルバーコレクターだね』と言われました」
「シルバー立派ですよ」
 
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ピアノ室の歌唱では最新シングルから『南十字星』を歌った。カペラはこの歌の歌詞を書くために石垣島まで南十字星を見に行って来たと言う。
 

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その日神谷は、女子制服を着て、市内の本屋さんに行って来たのだが、帰り道バスに乗っているうちに暗くなってしまった。
「やだなあ」
と思いながらも自宅最寄りのバス停で降り、小型の懐中電灯を点けて歩いていたら、前方に自分と同じ女子制服を着た子が歩いていた。わあ知り合いだったらどうしよう?と思い、彼女に追い付かないように歩く速度を落として20m程度の距離を保って歩いていた。
 
5分くらい、そうしていたら突然彼女が立ち止まり振り返った。
 
きゃー!恥ずかしい、と思う。彼女は言った。
「H高校の生徒さんですか?もし良かったら方向が同じ間だけでも一緒に歩きませんか?」
 
同じクラスの林さんだ。神谷は諦めて彼女に追い付いた。
「こんばんは、林さん」
「神谷君!?」
と彼女は驚いた。
「良かったら林さんの家の前まで一緒に行こうか。そのあと私ひとりで帰るから」
「ありかとう!」
 
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それで神谷は彼女のマンションまで行き、彼女がエレベータに乗るところまで見送ったのである。
 
「神谷君が女子制服似合うという噂は聞いてたけど実物は初めて見た」
「お恥ずかしい」
「ううん。普通に女子高生に見えるよ」
「女の子みたいな声出せたらいいんだけど。練習はしてるけどなかなかうまく出せなくて」
「へー、頑張ってね。女の子名前とかあるの?」
「照世」
「てるよちゃんって呼んであげるね」
 
 

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春貴の生理は、おっぱい島以降、10月16日、11月13日、12月11日、1月8日、2月5日、(いづれも水曜)と来た。日数を確認すると、きれいに28日おきに来ている。これまでは、半月で来たり、2ヶ月来なかったりと酷かったのに。ほんとに生理不順治ったのかも!
 

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ひとみの生理は年明けてからは、1月6日、2月3日(いづれも月曜)に来たが、無難に過ごした。
 

その日“立山煌”は深夜番組で丸呑ワンダと共演した。(収録は昼間:放送時にテロップでもことわった/但しきららの場合収録が22時すぎていたとしても、光GENJI通達の対象になる可能性がある(適用条件は微妙)。労働基準監督署からの注意は無かった)
 
ワンダは言った。
「きららちゃん、写真集で女の子水着とか着けてるところ公開してたし、もう性転換手術は終わってたのね」
「そんな手術受けませんよー。ぼくは男の子です」
と煌は答える。
「男の子が女の子水着を着れるわけが無い」
「着方があるんですよ。一般の人にはあまり知られてないけど、女の子になりたい男の子とかの間ではけっこう知られているんですよ」
「つまりきららは女の子になりたいんだな」
「別になりたくないです」
「いや、なりたいと言った」
「言った言った」
「何なら触ってみてもいいですよ。付いてますから」
「どれどれ」
と言ってワンダは触った!(ほんとに触っちゃうのがさすがワンダである)
「ほんま付いとる!」
 
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ネットの反応
「タックしてたんだろな」
「ギャフかも知らん」
「それはしらん」
「まあ女水着とかパンティならいくらでも隠し方がある」
「知り合いの男の娘が水着ならアンダーショーツで隠せると言ってた」
「うん。小さい奴ならそれでも隠せる」
「男の娘は小さいだろうな」
 

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一般の男性の反応
「付いてたのか。てっきり性転換済みと思った」
「しかし胸もかなりあったぞ」
「女性ホルモン飲んでるんだろうな」
 

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一般の女性の反応。
「きらめきちゃん、まだ男の子だったのか」
「分かった。きららちゃんは女の子だけど、きらめきちゃんは男の子なのよ」
「女の子水着も着てたから、きららちゃんが女の子なのは間違い無いね」
 

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2月14日(金)はバレンタインデイである。ひとみは8日(土)に数人の友人と一緒にチョコを見に行ったが
「高いのあるねー。すごいね」
などと言って結局ブラックサンダーを「友チョコ」と言って贈り合った。オーリンには、“小さなチョコパイ”(8個入り)をあげた。
 
§§ミュージックへのバレンタインプレゼントは今年も白鳥リズム宛がトップ。先日のワンダの番組の影響か、立山煌宛が僅差でそれに続いた。
 
また川泉スピン、月城たみよ、セレン・クロム、“アクア弟君”などのほか三国舜宛もあり、本人は喜んでいた。
 
たみよは最近スカートではほとんど露出しておらずいつもズボンである。本人の自称も“僕”だし、女子寮ではたみよと2人きりになることが禁止されている!
 
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寮内に“のり君ファンクラブ”もあるようである。
 
きららは当日、地上波の特集番組に出たが、女の子チームにはいってチョコ作りをした!
 
日和は今年も千里に九重の家につれて行ってもらい、チョコレートを贈った。
 
「おお、このまま抱き締めたい」
「卒業まではダメ」
と千里。
「徳部さん、卒業したらデートしない?」
と日和。
「うん。しようしよう」
と九重は喜んで同意した。
 
千里は日和に、徳部は人間では無く“龍族”であり、数百年から数千年の寿命を持っているから日和が年老いても彼は若いままであることを説明した。また戸籍とかが無いから法的な婚姻もできないことを説明した。日和はそれでもいいと言った。
「千里さん、彼の下の名前は何ですか?」
「名刺には徳都縦久(とくべじゅうく)と印刷してるけど仮名に過ぎない。彼の本名は本人とお母さんしか知らない。通常、九重またはヴァースキと呼ばれる。“九重さん”でいいと思うよ」
「はい」
 
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ひとみの父ちゃんは2月9日(日)に来たのでひとみはお父ちゃんに
「義理チョコ〜」
と言って明治ハイミルクのボックスをあげておいた。
 
父ちゃんからは
「バレンタインかホワイトデーか」
と言って生チョコをもらったので、お母ちゃんや祖父母と一緒に食べた。
 
「美味しいね。生チョコって熱を加えずに造ったチョコレート?」
と、ひとみは訊いた。
「全然違う。生クリームとチョコを混ぜて造った、お菓子だよ。だから生クリーム入りチョコレートを略して生チョコ(*11)」
「へー」
「まあ正確には、生クリームとチョコレートを混ぜたものは“ガナッシュ”で、それを冷やして固めたものが生チョコだな」
「あ、チョコガナッシュケーキとかあるね」
「それそれ」
 
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(*11) 正確には、こういうことである。
 
生チョコを考案した菓子店では生クリームを使った「生パイ」というお菓子を販売していた。それで生パイと同じように口当たりの良いお菓子ということで新商品に“生チョコ”と命名した。
 

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父ちゃんは言っていた。
「お前。ガナッシュの語源知ってるか」
「ううん」
「フランス語で『ばか』とか『うすのろ』という意味だ。昔菓子作りの親方のところで働いていた弟子が誤ってチョコレートの鍋に生クリームを落としてしまった。それで親方が『ばか』と叱った。ところが、このチョコと生クリームが混ざったものが意外に美味しかったんでお菓子材料として定着してしまったんだな。そして親方が言った『ばか』という言葉がその名前として使われた」
「へー」
「大きな発明や発見って結構失敗から生まれるもんなんだよな」
「前、父ちゃんたくさん失敗した人が成功するとかも言ってたね」
「うん。失敗を知らない人は大きくなれない」
「失敗する度に何かを学んでいくんだろうね」
「父ちゃんは失敗のしすぎだと思うけど」
と母が言うと、父ちゃんは笑っていた。
 
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「だけど中国・漢の初代皇帝・劉邦(りゅうほう/リューパン)は99回負けたけど、最後に1回勝って中国の皇帝になった」
と父ちゃんは言う。
 
「その内勝つ時が来るといいね」
と母は言っていた。
 

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母ちゃんは言った。
「生のチョコレートだったら無茶苦茶苦いよね」
「うん。元々ショコラトルというのは苦い汁という意味だったからな」
「へー」
「それに砂糖を加えて甘い飲み物にしたんだよ」
「なるほど。飲み物?」
「うん。元々は飲み物だった。その後、油脂成分を取り除いて溶かしやすいココアパウダーが造られ、取り除いた油脂成分が食べるチョコレートになった」
「分離されたのか」
「ココアが主役で食べるチョコは廃物利用みたいなもんだな」
 

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手毬は裁判所からの手紙を受け取った。何だっけ?と思って開けてみると、ひとみの性別訂正と名前の変更が認可されたという通知だった。
 
あれ〜?私それ申請したっけ??
 
まいっか。本人も女の子になることを望んでるみたいだし。
 
それで手毬は自分とひとみのマイナンバーカードを申請した。
 
桃香には一応ひとみの法的な性別が訂正されたことを報せたが桃香は
「だから転校と同時に性別変更すればよかったのに」
と言っていた。本当にね!
 
「いっそ0歳の内に性転換手術しちゃえばよかったのよ」
「あはは」
 

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千葉の季里子は桃香(桃香A)に言った。
「桃香、マジで精液持ってないの?」
「私の冷凍精液は実は存在する」
「だったらそれもらえない?人工授精して桃香の子供産みたい。私妊娠できる上限年齢に近づきつつあるし」
「しかし何で突然」
「お母ちゃんがさ。来紗も伊鈴も可愛いけど男の孫もひとりくらい欲しかったと言って」
「そりゃ無理だ。私の精液はオールX精子だ」
「役に立たないね。桃香の精液なんてオールY精子かと思ったのに」
「そんな奴は存在しない」
「モニカちゃん(夏樹:来紗・伊鈴の遺伝子上の父)はもう精液持ってないかなあ」
「もう使い切ったはず。最後の1本で生まれたのが歌声ちゃんだよ」
「残念」
 
それにモニカは現在優子の“妻”だから他の人に生殖細胞は渡さないだろう。
 
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しかし、ひとみも本当の女の子になっちゃったし私の“子供たち”はそもそも女の子が多いよなと桃香は思った。芳雄に言われた通り私はセックスがへたなのかも!?
 
(桃香の恋人たちは本来レスビアンなので男とのセックスではエクスタシーを感じられなかったせいかも)
 

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真珠は未来も連れて邦生と一緒に産婦人科に行った。
 
「おめでとうございます。妊娠しています。予定日は10月20日です。戌の日は5月5日です」
 
それで診断書をもらい、市役所に母子手帳をもらいに行った。子連れだし、真珠たちの着ている服も結構まともなので、市役所の人も何も心配してないようでスムースにもらえた。もっとも
「今日は御主人はお仕事か何かですか?」
と訊かれた!
 

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