■春迷(11)
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部屋に入ってみるとレディス仕様だけあって部屋やベッドのデザインが優しい感じだった。またアメニティが女性向けのようで、女性用のシャンプー・コンディショナー・トリートメント、化粧水・美容液、またヘアブラシが置かれていた。一方、ヒゲソリとかは置かれていない。
礼音はオーリンを呼んだ。
「オーリンが社長と知り合いだったなんてびっくりした」
「長い付き合いだけど、ひろみちゃん苦手〜。なんかうまく言いくるめられて、いいように使われるんだもん」
「あはは」
確かに社長のほうがオーリンより一枚上かも。
「そうだ。礼音ちゃん、女の子にしてあげるよ」
「今週は話がややこしくなるからやめて。また今度」
「分かった。あれ?礼音ちゃん卵巣が停止してる。再起動してあげるね」
「しなくていい!立花笛吹先生に停めてもらった」
「ロビンもよけいなことを。でもこのままじゃ生理来ないよ」
「来て欲しくない!」
でも煌は再度よへほ節を教えてもらい練習した。
「オーリンって熊本生まれなの?」
「生まれは北海道だけど、おうちは熊本なんだよ」
「へー」
「姫路にも別宅があるよ」
「全国で展開してるね」
「基本的に沖縄以外のほとんどの日本国内に出てこられる」
「飛行機の中にも出られるんだね」
「これは霊体だから。肉体は留萌か姫路にある」
「へー」
翌日CMを撮影する会場に行く。一緒に踊ってくれる人として山鹿出身の女子中高生が3人来ていたが、煌を見ると歓声をあげる。
「きゃー、きららちゃんだ!東京から来たタレントさんが一緒に踊ると聞いて、きっと“聞いたことも無い有名タレント”かと思ったのに、こんな大物とは。サインいただけません?」
「じゃ後で」
それで少し練習してから浴衣を着て灯籠も頭に載せて収録したが、
「きららちゃん、上手〜い」
と彼女たちは言っていた。収録後サインを書いた。
「色紙(しきし)か何か持ってる?」
「このスケッチブックにいいですか?」
「OKOK。立山煌のサインでいい?きららのサインにする?」
「きららちゃんのサインってあるんですか?」
「じゃ両方書いてあげるよ」
それで、彼は2つのサインを並べて書いた。
「こちらが立山煌で、こちらが立山きららですね」
「よく分かるね」
「だってこちらのサインは格好良くて男らしくて、こちらのサインは可愛くて女の子らしいから。筆のタッチからして違いますよね。同じ人が書いたものとは思えない」
「立山煌のサインは剱岳(つるぎだけ)に昇る朝日のイメージ、きららのサインは美女平(びじょだいら)の星空のイメージなんだよ」
「へー。“立山きらら”もずっと続けていくんですか?」
「女の子の服が着られるのはせいぜい17-18歳までだろうから期間限定だね。そのうちとても女の子の服は似合わなくなっちゃうよ」
「惜しいですね。きららちゃん可愛いのに」
「このまま本当の女の子になっちゃいなよとか言う人もいるけどね」
「賛成!きららちゃんなら、いいお嫁さんになりそうだもん」
「あはは」
なお、この撮影の後、振袖に着替えて、熊本城・水前寺公園でも写真と動画を撮った。
「振袖も凄く似合う」
と言われた。
灯籠娘のコスプレをした煌をフィーチャーした年末年始熊本観光のCMは、収録した次の週末に掛かる12月15日(金)から、関東地区では流された。
「きららちゃんじゃん、可愛いー!」
「きららちゃん、踊り上手いんだね」
このCMを見て“立山きらら”へのCM出演依頼も幾つかあり、年内にも数本制作した。
12月中旬、H南高校女子バスケット部員たちはオーダーしていた新しいバッシュを受け取った。
12月15日(金)、今年最後の「霊界探訪」では、立山煌と大雪山に行った時の報告、阿蘇での煌のレポート(灯籠娘のコスプレを含む)、水泳の社会人選手権、定点観測(人形美術館、お弁当の琥珀、ムーラン七尾、菓子神社、津幡組、墓場巡礼、きつねうどん等)、臨月の真珠の妊娠レポート、などをお送りした。
灯籠娘のコスプレの映像には「可愛い!」という声があがっていた。熊本のキャンペーンCMは北陸地区には流れていない。
よへほを踊る煌を見て、つーちゃんは言った。
「え?この子男の子なの?」
「可愛いよね」
「男の子だなんて可哀想。妾(わらわ)が女の子に変えてやろう」
「よけいなこと、しなくていい!」
「明恵、最近結構言うようになったな」
「ゆう姫からも“こどもの躾け”は厳しくと言われてます」
12月16日(土)、礼音は山本マネージャーから
「CM撮影するよー」
と言われた。
「これ衣裳ね」
と言われて紺色の服を渡される。
「スカートなんですか!?」
「そそ。“きらら”ちゃんへの依頼だから」
「まあいいですけど」
と言って、礼音は着ていた中学の男子制服から、渡された服に着替える。今日は土曜日なので、寮から男子制服で出て来ていた。
服は白いブラウスに紺色のジャケット、同色のプリーツスカートである。
「何か制服っぽいですね」
「イギリスのパブリックスクール風」
「へー。何のCMですか?」
「英語の問題集。“きららの英語レッスン”という名前」
「恥ずかしー」
「じゃ車に乗って」
「はい」
どこかのスタジオで撮影するのかな?とこの時は思った。
それで山本マネージャーの車に乗った。
「着くまで寝てていいからね」
「ちょっと待って下さい。どこまで行くんです?」
「天栄村(てんえいむら)」
「それどこです〜!?」
「福島県。3時間くらいで着くから」
「そんなに遠いんですか?ぼくトイレ行きたくなったらどうすればいいんです?」
「大丈夫だよ。途中PAとかに寄るから」
「・・・あのぉ、ぼく男子トイレに入っていいですよね」
「その服で男子トイレに入れるわけ無い。ちゃんと女子トイレ使ってよ」
「そんなあ」
それで、礼音は福島県天栄村のブリティッシュヒルズまで行き、英国風の街並みの中で3時間ほど掛けて写真と動画の撮影をした。外人のモデルさんと英語で少し言葉も交わしたが、易しい会話だったのでスムースに応答できた。
「Are you a girl?」
というのには、もちろん
「Yes, I am」
と答えた!(中学生の問題集で無いとあり得ないやりとりだ!)
この日東京に戻ってきたのはもう20時近かったが、それから女子寮地下のスタジオでCM曲の音源制作もした。
この音源は“立山煌”ではなく“立山きらら”のシングルとして発売される。
そしてこれを皮切りに、礼音は翌週にはやはり女の子の服を着てふりかけのCMと、スナック菓子のCMの撮影を行った。その翌週は制服メーカーのCMにも出演し、これは学ランとセーラー服の両方を着た。(煌を知らない人は女性タレントが学ランも着てCMしてると思ったと思う)
ふりかけのCM、スナック菓子のCMは年内から流れ始めたが、それを見て§§ミュージックには“立山きらら”宛に可愛いお洋服がたくさんプレゼントで送られてくるようになった。
また英語レッスンのCMが流れ始めると、Are you a girl? / Yes, I am. という会話を聞いて
「きららちゃんが女の子だと認めた!」
というのがネットでは小さな騒ぎになっていた。
「やはり、きららちゃん女の子だよね」
「きらめき−ちんちん+おっぱい=きららちゃん」
「やはり、きららちゃんにちんちん付いてるわけ無いよな」
「俺のきららちゃんに、そんなものがあるわけ無い」
と暴走ぎみである。
信濃町ガールズたち
「こんなこと書かれてるよ。余計な物は取っちゃって女の子になろうよ」
「嫌だ。取りたくない」
「だって、ちんちんなんて使わないでしょ」
「おしっこする時使うよぉ」
「おしっこは、ちんちん無ければ身体から直接出てくるだけだし。無くても問題無いよ」
「ジョイスティックよりトラックポイントのほうが便利らしいよ」
確かにお豆さんは感度いいけど。
「そうだ。また可愛い服キープしておいたのよ。着てみて」
と言って着ている服を剥ぎ取られて!、かぁいい服を着せられる。
「やっぱ似合う〜」
「これあげるね」
「うん」
何か最近女物の服が増えすぎて男物を探せなくなりつつあるんですが。
お姉様方
「煌ちゃん、女の子になっちゃうの?」
「なりません」
「よかったぁ。煌ちゃんは可愛いから女の子の服はたくさん着ていいけど、ちんちんは取らないでね。いつでも舐め舐めしてあげるから」
ちんちんって舐めるもんなの?
「セックスもしたかったらさせてあげるからね」
「やめてくださーい」
「騎乗位で結合してあげるから寝てるだけでいいよ」
キジョーイって何だっけ??
「そうだ。煌ちゃん、私たちの高校に来ない?」
「そちら女子高なのでは?」
「煌ちゃんくらい可愛かったら女子生徒にしか見えないから入れてくれるって」
「入試の時セーラー服着てくればバレないよ」
「煌ちゃん女の子みたいな声も出せるから面接でも問題無いし」
「でもそしたら3年間女子高生するんですか〜?」
「バレない、バレない」
バレなきゃいいのか?
「七尾ロマンちゃんとかセレン・クロムとかは単位制のL高校だけどさ、あの子たち程度の仕事量ならいいけど、単位制高校は仕事と両立はしやすいけど、煌ちゃんくらい忙しいと永久に卒業できない危険があると思う」
「実はそれ少し不安でした」
「忙しい子ほど、かえって学年制の高校がいいと思うのよね。温情で進級・卒業させてくれるから」
「温情にすがるしかない気はしてます」
「それにうちの高校の制服可愛いよ」
結局女子制服を着るのか?
「私たち3月で卒業だから私たちの制服あげるね」
「取り敢えず試着してみて」
「やはり似合う〜」
「取り敢えず中学時代のセーラー服とか可愛い服もあげるね」
と言ってどっさりもらってしまう。
えーん。また女物が増えちゃう。
12月21日(木)、H南高校女子バスケット部の一行はこの日、首都圏に移動した。
この日移動したのは登録選手を含む女子部員全員、春貴、付き添いの保護者(料理洗濯係)、及び保護者代表として部長の山口夏生のお母さんである。応援団などは日程をずらして移動する。
一行は特別に乗せてもらったウィングライナーで富山まで行き、新幹線で大宮まで行った。そして用意してもらっているバスでさいたま市内の宿舎付き体育館に入った。春貴は部員たちに言った。
「一応夜の門限は20時にするけど、コロナ感染防止の観点から無用な外出は控えること。万一感染者が出たら出場辞退して帰らないといけないからね。必要なものがあったら、料理洗濯係のお母さん達とかに頼むこと。サロンパス・マキロンなどやナプキン・ティッシュ・乾電池・携帯充電器、ポテチ・カップ麺程度は用意しているから。また葛根湯とかはドーピング違反になるから、持っていても絶対飲んではいけない」
「ドーピング!?」
みんな驚いたようである。
「ドーピング違反にならない風邪薬とかを用意しているから、山口さんのお母さんに尋ねて」
「葛根湯って実はそのものが興奮剤だからね」
と夏生は補足した。
着いた日は1時間ほど簡単な練習をしただけで、汗を流して御飯を食べて寝た。今回も千里さんの会社の人が数人協力してくれていて、初期の買い出しはしてくれていた。この日のお昼はラーメン、夜は焼肉であった。
「“サッポロ一番”か。インターハイの北海道を思い出すね」
「サッポロ一番は群馬県の会社」
「嘘!?」
「サッポロ一番は群馬県の会社、サッポロはイメージ。丸亀製麺は兵庫県発祥。丸亀はイメージ。バレンシアオレンジはアメリカ産。バレンシアはイメージ」
「世の中の仕組みって難しい」
22日(金)はひたすら基礎練習をした。夕方、別の県の代表チームと練習試合をした。このチームは別の山に入っていて本戦で当たるとしたら決勝戦である。向こうはこちらに到着したばかりで旅疲れもあったようだが、いい練習ができたと言っていた。こういう大会では練習場所が得がたい。
この日の夕方、応援団10名(全員女子)と教頭先生が到着した。なお部員でベンチに入れない子もチアの衣裳を着て応援に加わる。それでチアの衣裳は少し余分に持ってきている。
23日(土)、初戦を迎える。相手はウィンターカップもインターハイも常連校ということだったので気合を入れて出て行く。
が・・・それほどは強くなかった。相手はゾーン気味に守っていた。が、ゾーンはスリーに無力である。美奈子が、夏生が、彩が、どんどんスリーを放り込む。たまらず向こうはダイヤモンド1(相手の卓越した選手へのマーカーを1人出し残りの4人はゾーンで守る)に変更したが、こちらの美奈子に付いた人は必ずしもマッチングが強くなく、簡単に美奈子に振り切られる。それに美奈子は新品のバッシュを履いているのでブレーキが良く効き急速反転ができるが、向こうの選手のバッシュではそんなに停まれないようだった。
リバウンドもこちらが7〜8割取り、結局3桁得点で勝った。
どうも向こうはインターハイやウィンターカップに頻繁に出てくるものの、いつも初戦で帰るというタイプのチームであったようだ。
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春迷(11)