■春迷(7)
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11月5日(日)、秋風コスモス(の夫?)は女の子を出産し、音美と名づけられた。実際にどちらが産んだのかは知らないが(?)、出生届けは、母:伊藤宏美、父:道雄として届けられた。(遺伝子的には間違い無くそうである)
11月上旬、立山煌が、あちこちの番組で女装させられて各々に色々な名前が付けられている問題について各番組の司会者が集まって話し合うことになった。たまたまテレビ局に来ていて、カップソープから誘われた川崎ゆりこはこの会議に出席した。
立山きらめきこ
立山きらりん
立山きらきら
立山きーこ
立山霧子
立山美女(みめ)
立山かがみ
立山ひかり
立山きらら
立山キャサリン
立山シャイニー
これらの名前を比較検討の結果、煌の女装名は「立山きらら」に統一することになった!各番組で次回の収録から順次紹介される。
揚浜フラフラがデザインした“きららちゃん用セーラー服”まで制定
されてしまった。(大手制服メーカーが実際に制作してくれた)
ゆりこが会議に出ていたことから、この名前が“事務所認定”として扱われた。しかし、ゆりこはこんな会議に出席したことをコスモスに叱られることとなる。
でも制作されたセーラー服は§§ミュージックで買い取った。煌の衣裳のひとつとして管理される。
「煌ちゃん、次のライブこれで歌う?」
「勘弁してください」
「そうか。やはりドレスがいいよね」
「それも勘弁してください」
その日、霊界探訪の編集部に顔を出した青葉に、双葉は言った。
「迷わせおばさんとでも言うべき事件が多数報告されてるんですよ」
青葉は直観的に先日千里姉が書いてくれた祝詞はこれ用だな、と思った。
報告は遙佳・奈那・双葉がまとめてくれたもので合計7件あったが
パターンはだいたい同じである。
・道路を自動車で走っていて道が分からなくなる。
・親切そうなおばさんが案内してあげるといって助手席に乗る。
・その人の案内でしばらく走っている内、おばさんが消えてしまう。
・結果的に山の中で途方にくれる。
「以前取り上げた“藪入り”に似てるけど少し系統が違いますよね」
「これがあの時も検討した“妖怪迷わせ”だと思う」
「やはり妖怪案件ですね」
「それ用の祝詞があるんです。幸花さん、これを通常の“石川行こかな”の時間に一瞬でいいのでテレビに映してもらえませんか」
「神谷内さんに頼んでみる」
『北陸霊界探訪』は本来『石川行こかな』の中の1コーナーである。ただし最近は毎月原則として最終金曜の『石川行こかな』が丸ごと『霊界探訪』になっている。幸花は『霊界探訪』のディレクターで神谷内は『石川行こかな』全体のプロデューサー。
それで、11月中旬の『石川行こかな』でレポーターとして登場した奈那が“お仕事中の金沢ドイル”として自宅で祝詞の書写をしている青葉を映し、結果的に祝詞も全県に放映されたのである。
奈那は『霊界探訪』のみならず『石川行こかな』全体のレポーターをしている。食べ比べとか、お祭りレポートとか、スポーツ選手のインタビューとかやっている。もちろん無給である!でも前プロデューサーである父にあれこれねだっている!!それでフルートも買ってもらった。
そしてこれを境に“迷わせおばさん”の報告は全く出なくなった。
この映像は、富山・福井でも各々のローカル番組内で流された。
青葉は千里に尋ねた。
「あの祝詞で、妖怪迷わせを皆殺しにしたの?」
「そんな恐ろしいことはしない。祝詞を読めば分かるけど、祝詞の影響が及んだ範囲を整序ある迷いにくい空間に変えて、悪いムジナやカッパの類いが悪さできないようにしただけだよ」
「じゃそもそも迷いにくいね」
「そうだよ」
「良かった」
「今回の事件はカッパが多数現れていた副作用だと思う。いいカッパもいるけど、悪戯カッパもいるから」
「やはり何かの前触れ?」
「それは恐ろしくて言えない」
11月中旬、東京の高校の修学旅行団体さんが来て、和栄が務めるバス会社のガイドは12名が総動員された。和栄もひとつのバスを受け持ち、金沢市内、安宅(あたか)の関、木場潟、白山(しらやま)ひめ神社、なぎさドライブウェイ、羽咋(はくい)の気多(けた)大社・コスモアイル、七尾港(食祭市場)・花嫁のれん、輪島のキリコ会館・輪島塗会館・永井豪記念館、能登島などを案内し、和倉温泉に泊めた。お風呂も修学旅行生たちと一緒に入った。
ここで“花嫁のれん”とは、石川・富山付近(旧前田藩エリア)の風習で、花嫁の実家が用意し、結婚する時、嫁ぎ先の仏間に掛け、花嫁がこれを1度だけくぐるというものである。花嫁のれんを使うのはこの1度だけであり、その後は取り外してしまう。1代限りのものであり、娘に伝えたりもしない。娘にはまた新たなものを制作する。1度しか使わないものだが、極めて豪華なもので、制作には数百万掛かるようなものも多い。七尾市の旧中心街には、この花嫁のれんを集めた展示館があった(震災後どうなったかは情報を持ってない)
「1度しか使わないものに、そんなにお金を掛けるって凄いですね」
「名古屋では娘が3人できると破産すると言いますが、石川県もなかなかです」
「ガイドさん所は何人姉妹ですか?」
「女の子は2人ですが、うちみたいな貧乏人には縁の無い話です」
「やはりお金のある人だけですね」
(輪島の永井豪記念館は地震後の火事で全焼したが収蔵品の多くが奇跡的に無事だった。しかし震災後2026.4時点ではまだ再開されてない模様。他の施設も現状不明。輪島朝市のお店の一部は市内の大型ショッピングセンター内で仮営業中)
11月いっぱいでガイドさんが2名辞めた。元々辞めたいと言っていたのをこの修学旅行の分まで何とか頼むと言われていたのである。それでガイドは和栄を含めて10人になった。更にもうひとり年内くらいで辞めたいと言っている人もある。一応4月から何人か新卒を入れる予定だが、それまではこの体制で何とかやりくりするしかない。会社では臨時の求人も職安に出した。
和栄は俊美と話して11月まででお願いしていたアイゼンのバイトをこのまま3月まで続けてもらうことにした、ガイドの人手が足りないのである。12月は10回も乗務した。
和栄は卒論をあらかた書き上げ、先生にも見てもらい、あとは細かい点を調整していくだけになった。希望・俊美もだいたい似たような状態である。
煌が、その日出演した、揚浜フラフラの番組『フラフラダンス』で揚浜フラフラは言った。
「よし『ロミオとジュリエット』をやろう」
いや〜な予感がした。
「きららちゃん、ジュリエットやって」
やはり・・・
でもロミオが薬王みなみだったので、やることにした。白いドレスを着て
「おお、ロミオ、ロミオ、どうしてあなたはロミオなの?」
と“窓”のシーンを熱演し、男装のみなみと結婚式をあげるシーンまで演じきった。ラストシーンは省略され、結果的に結婚式で終わるというハッピーエンドな『ロミオとジュリエット』になった。
神父役をしたフラフラが
「誓いのキスを」
と言って、みなみがほんとうにキスしようとしたので、これだけは逃げさせてもらった。
「ぼくのジュリエット、どうしてキスを嫌がるの?」
と、みなみは迫る。(煌の対応能力を信じてる)
「ごめんなさい。私今晩の御飯が餃子だったの」
と応じて、笑いを取った。
(後でフラフラさんに「あんたたちの演技は安心して見てられる」と褒められた)
視聴者からは「みなみちゃんのロミオも格好良かったし、きららちゃんのジュリエットも凄い可愛かった」と好評だった。視聴率も凄かったらしい。
「来週は、きららちゃんで『赤ずきん』やろう」
「助けてぇ」
視聴者の声
「みなみはマジできららにキスしようとしたな」
「うん。あれは寸止めとかじゃなくホントにやる気満々だった」
「一瞬唇が触れなかった?」
「微妙」
この件について、みなみはブログで述べた。
「事故を装って唇を狙ったんですが、うまくかわされました(だから接触してないよ)。でもお友達だからほんとにキスしても平気ですよ。女の子同士だし」
ファンの声
「そうだね。きららちゃん女の子だもんね」
(以前から、薬王みなみの男性ファン、立山煌の女性ファンの間にはふたりが仲良すぎるのではという不安の声があるので、誤解されるようなことは避けていた。ふたりは度々「ただのお友達です」と言っている。しかし、みなみと“きらら”の関係については不安の声は無い)
11月11-12日(土日)は『ミュージッシャンアルバム』の取材をおこなった。
11日の午前中は仙内美和を迎えた。
「仙内美和さんでーす」
「こんにちはー」
「性転換して女の子になってからもう5年くらい、なんて言ったら知らない視聴者は誤解するかな?」
「いや、その見解でいいです。5年前にプーケットに行って女の子になる手術を受けましたから」
「ほんとに信じちゃう人出ますよ」
と朱美は言ってから
「男の子役を7年くらいやってから女役に転じて5年ですね」
「ひたすら、男の子役をやってましたね。ピーターパンとか、宝島のジム少年、ニルスのふしぎな旅、ジャックと豆の木、単発では、ドラえもんののび太、ワンピースのルフィ、サザエさんのカツオとかもしました」
「男役時代はスカートも穿かなかったとか」
「はい、男の子の歩き方ではスカートで転ぶからズボン穿いて男の子的な歩き方を普段から練習してました」
「今日はスカートですね」
「女役に転じた当初スカートで歩けなかったです」
「男の人が女装した時、まずは転ぶと言いますね」
「転びました」
「性転換って大変ですね」
「話し方とかも君の話し方は男がしゃべっているようにしか聞こえないから、オカマの人に話し方を習えと言われましたよ」
「男と女では話し方も全然違いますからね」
「ええ。男は語る、女は歌う、とオカマさんから指導されました」
「人が相手の性別を判断する場合、声のピッチ以上に話し方の要素が大きいんですよね」
「そのあたりをやはりオカマさんってよく研究してますよね」
「ええ。だから声自体は男の声でも女の人が話してるように聞こえる人居ますよね」
「ええ、あれは凄いです」
(こういう話し方を“フィッシュアイ話法”という。石田彰さんが『セーラームーン』のフィッシュアイの声を当てた時にやってみせ、日本中のMTFに衝撃を与えた)
「あと話す内容も大事だと言われました。いくら女の声でも『ビッグマック2つにポテトのXL』とかいう注文したら『こいつほんとに女かよ』と思われる。女の注文は『チキンバーカー単品にサラダを付けて』とかだって」
「まあ大食いの女が居てもいいだろうけどね」
「はるこちゃんはハンバーガーを半分しか食べきれなかったね」
「え〜!?」
「寮の御飯も残すからいつも叱られてました」
「最近はだいぶたべるようになったね」
「料理人さんにだいぶ味付けを工夫してもらったのと、毎日たくさん運動させられるから」
「アルバム『数え歌』は楽しかったです」
「数字の入っている歌って多いですからね」
「ええ、それを集めてみました」
「『ウナセラディ東京』『あずさ2号』とか『3年目の浮気』とか『4の歌』
(Baby Metal)、『GIVE ME FIVE』(AKB48)、『6月の雨』、『SEVENTH HEAVEN』
(Perfume)・・・」
(ウナセラディ東京は英語に直訳すると one evening of Tokyo. ザ・ピーナッツのヒット曲)
「かなり古い歌もあったんですが、社長が捜し出してくれました」
「このまま100まで続けましょう」
「今回20まで行ったんですが、30までは何とかなるけど、その後は難しいみたいです」
「30歳すぎると無感動になるのかもね」
「年齢をテーマにした曲って多いですからね」
「小泉今日子さんの『私の16才』、南沙織さんの『17才』、かぐや姫さんの『22才の別れ』、10代後半から20代前半は特に多いんですけどね」
「なんか大先輩の曲ばかりですね」
ピアノ室の歌唱では『数え歌』の中でいちばん好きだった曲と言って
『私の16才』を歌った。
この日の午後にはターキーのメンバーを迎えた。
「ターキーの皆さんでーす」
「こんにちわー!」
「ターキーって七面鳥という意味だから最初7人かと思っちゃった」
「社長が滝沢だからなんです」
「ターキーと呼ばれた水の江瀧子(みずのえ・たきこ)さんなんかと同様だね」
「レッスン受けてる内に、この5人が残ったんですよね」
「最初は10人くらい居たね」
「ターキー・ファイブという案もあったんですよ」
「『361回の伝言』は囲碁と何か関係あるのかって髄粉話題になりましたが」
「あれ、私たちもファンの方からのメールで知ったんてすよ。囲碁の碁盤の目が361個なんだそうですね」
「19×19だからね」
「へー(暗算できない)」
(a-1)2= a2- 2a +1 だから、(20-1)2= 202- 2x20+1 = 400-40+1 = 361
「作詞をしてくださった松村先生にお聞きしたら、囲碁とか全然関係無くて1年の数から4日くらいは休もうって4を引いたものだそうです」
「ああ、芸能人って年中無休だけど4日くらいは休みが欲しいよね」
「ですね」
「お盆・お正月・クリスマスに誕生日?」
「誕生日は別として他の3つはむしろ忙しい」
「稼ぎ時ですよねー」
「元々藪入りの習慣から来たものなんだよね。昔は奉公人は休みとか無かったけど、年に2回、1月と7月の16日には休みがもらえて実家に帰省していた。でもお兄さんとかが家を継いでいると歓迎されないから帰省できない。それで帰省する代わりに近場で遊んだ。それで遊興施設に勤める人は、人が休む藪入りの時がむしろ稼ぎ時になった」
「なるほどー」
「私たち学生芸能人も平日は学校行ってて土日に芸能のお仕事してる」
「結果的に休みが無くなりますね」
「この世界は休みの無い人と仕事の無い人の両極端になりがち」
「ああ怖い」
「せめて誕生日くらいは休めたらいいのにね」
「賛成!」
「§§ミュージックは原則誕生日はお休みだよね」
「ええ。でも、アクア、常滑真音、今井葉月、ラピスラズリ、白鳥リズム、薬王みなみ、立山煌、恋珠ルビーには適用されない」
「可哀想」
「だから芸能人長く続けるには、上手なサボリ方を覚えることが大事なんだよ。ほんとに休みが無かったら死んじゃうから」
とケイが言う。
「ああ」
「アクアとか舞音はいつもジェット機で飛び回ってるけど移動の飛行機の中でひたすら寝てる」
「大変そう」
「専用のジェット機があるんでしょ?」
「うん。アクア、舞音、ラピスは専用の機体があって、この3つの機体は原則ほかの人には使わせない。他の人を同乗させることはあるけどね。だからみんな結構私物を置いてるよね」
「ええ。私も舞音も読みかけの漫画とか好きなおやつを置いてますよ」
「なんか凄い生活だなあ」
「私たちも専用ジェット機とか持てたらいいね」
「ジェット機って1個いくらするんですか?」
「ホンダジェットの最新型新品は10億円だよ。旧型の中古ならもっと安く買える」
「それを印税で稼ぎ出せば専用機が持てる」
「遠い道だ」
「ミリオンを10回くらい出せばその程度は稼げる」
「やはり遠い道だ」
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