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■少女たちの晩餐(20)

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ちょうど8人なので、ケーキを8分割し、シャンメリーを開けた。小春がケンタッキーフライドチキンをたくさん買ってきていたので、それも食べる。それで楽しいクリスマスイブを過ごした。
 
(ケンタッキー留萌店は2014年3月まであった)
 
玲羅は
「お肉だ、お肉だ」
と言って喜んでチキンを3本も食べていたので
「千里んちは、相変わらずだね」
と恵香が言っていた。
 
「きっとぼくの家よりはマシ」
と留実子が言うと
「そちらも大変ネ」
と穂花は言った。留実子は5本くらい食べていた。
 
「そうだ。るみちゃんこれあげるよ」
と言って、千里はクリスマスイベントで当たった、旭川ラーメン村のチケット2枚セットを留実子に渡した。
「これ抽選で当たったんだよ」
「へー。ありがとう」
と言って中身を見ている。
 
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「凄い。これ1時間以内なら、全ての店で1杯だけ好きなラーメン食べられるんだ」
「へー。そうなんだ」
「あそこお店8つあったっけ?」
「つまりラーメン8杯食べられるということじゃん」
「でも1時間ならせいぜい2杯じゃない?」
と千里は言うが
「いやぼくなら8杯食べる」
と留実子は言う。
 
「どうも正しい人に譲ったようだ」
「知佐と2人で行ってこよう」
「鞠古君はせいぜい3杯だろうな」
「というか普通は3杯が限度だと思う。普通の女子は2杯が限界」
「ぼくは男の子と女の子兼ねてるから8杯行く」
「どういう計算なんだ?」
「2の3乗で8かもね」
と美那。
 
「一応1時間以内に8杯目のオーダーを入れたら食べる時間は1時間を少しオーバーしてもいいみたいね」
とチケットの裏の説明を見て穂花が言う。
 
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ともかくも留実子はラーメンを食べに、鞠古君と2人で旭川まで行ってくるつもりのようだ。交通費の方がかかりそうだが、デートなのだろう。
 
なおチキンの最終的に残ったものも
「るみちゃん持って帰りなよ」
と恵香が言い、留実子も
「お言葉に甘えさせてもらう」
と言って持ち帰っていた。
 
きっと花和家の明日の晩御飯になる。
 

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12月25日(水)は終業式であった。学校は明日から長い冬休みに入る。
 
終業式は体育館で校長先生の話を聞いた後、各自教室に入って通知簿(あゆみ)と身体測定表を受取る。千里は通知簿は音楽と体育以外、1の羅列なので(*21)溜息をついて閉じ、身体測定表を見ていた。
 
そしてドキッとする。先頭の氏名の横の性別は“女”という表示である。これまでも“女”という表示だったが、それは実は誤りだった。でも今回からは“正しく‘女’になった”んだよなと思うと感慨深いものがあった。チラッと留実子を見ると辛そうな顔をしている。前回までは“男”と書かれていたのが“女”になってしまったのが辛いんだろうなと思った。
 
(*21) 千里は3年生までは全ての科目が1だったが、音楽は4年生以降、馬原先生の担任になってから4を付けてもらえるようになった。千里の音楽的才能は音楽的な才能のある人にしか分からない。体育は3年生までは1だったが、4年生になって桜井先生の担当になってから2または3を付けてもらえるようになる。そして今学期からは“男子”としてではなく“女子”として評価されるようになったので今回初めて5をもらった。また英語は一貫して4である(5でないのは千里の英語は文法がめちゃくちゃだから)。
 
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津久美は終業式の後の教室での通知簿渡しで、“あゆみ”と一緒に渡された身体測定表を見ていて、名前の横の性別欄が前回までは“男”と印刷されていたのが今回“女”になっているのを見て、ドキッとした。
 
私・・・女になったんだ。私、ほんとに女でやっていけるかなぁ。
 
津久美は少し不安を覚えた。でもセーラー服で通学したいというのも自分から言い出したことだ。頑張ろうとあらためて思い直した。
 

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学級会が終わった後、迎えに来てくれていた両親の車に乗って札幌に向かった。学校が終わったのが11時頃たったので、札幌のS医大には13時すぎに到着した。診察券を提示し、そのまま入院する。
 
この日は入院着(女子なのでピンクの甚平+ズボン)に着替えてから、尿を取り、身長・体重・血圧などを測り採血してから、心電図を取った。そして夕方4時頃に早めの夕食を取る。この後は手術が終わるまで食事も水分も取れない。
 
20時頃になって、医師の診察を受ける。あらためて手術に関する説明を受け、同意書に、津久美と父が署名した。
 
津久美はお腹も空くので21時には寝てしまった。
 

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12月26日(木)朝。
 
津久美は爽快に目を覚ました。あぁあ、とうとう今日でおちんちんともお別れかと思う。まあいいよね。自身の性別認識は正直に言うと男に近いけど、女としても生きていけると思う。昨日までは不安もあったけど、一晩寝たら吹っ切れた。多分自分は心理的には男7女3くらいかもという気がしていた。
 
そんなことを考えながらトイレに行く。津久美は当然女子トイレを使う。個室に入り、便器に座っておしっこをする。この身体から直接おしっこが出る感覚にもだいぶ慣れたなと思った。それでペーパーで拭こうとして「?」と思う。
 
邪魔なものが無いのである。
 
「え?」
と思い、指でその付近を触ってみる。
 
「嘘!?」
 
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無くなってる・・・・・
 
「なんで無くなっちゃったの〜〜?」
 
これまではちんちんが付いてるのでおしっこした後を拭く時、手が必ずちんちんにぶつかっていた。ところがそれが無いので、邪魔になるものが無く、スムーズに拭けるのである。
 
津久美はしばらく考えていたが・・・
 
考えないことにした!
 

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津久美は個室に入院している。入院期間中に読もうと『名探偵コナン』39巻を持ち込んでいたので(段ボール箱に入れて、お父さんが運んでくれた)、それを読み始めた。
 
朝7時頃、看護助手のおばちゃんが来て、体温と脈拍を測っていった。
 
7時半頃、再度トイレに行き、おしっこを済ませた後、診察に備えて、あの付近をウェットティッシュできれいに拭いた。なんか“これ”ちんちんより気持ちよくない?身体の髄から感じる快感というか。
 
8時頃、呼ばれて診察室に行く。それで津久美は病院着のズボンとショーツを脱ぎ、そこを見せた。
 
「え!?」
と先生は声を挙げた。
 
「どうして無いの?」
「分かりません。朝起きたらこうなってました」
「昨夜の診察の時はあったよね?」
「ありましたよね」
 
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「ちょっと待って」
と言って先生は津久美の割れ目ちゃんを開き、中を観察している。
 
「これクリトリスだよね?」
「触られると感じるのでクリトリスだと思います」
「肥大化していたクリトリスが自然に縮んだ?」
「そうとしか思えないよなあと私も思っていた所です」
 
「ちょっと君、あらためて検査しよう」
 
それで手術はいったん中止となり、津久美はまたMRIに入れられたりして徹底的に検査された。
 
出た結論。
 
津久美は完全な女性であり、男性的な痕跡は全く無い。
 
ということで「手術の必要無し」という診断書を書いてもらって、夕方そのまま退院となってしまったのである!
 
ただ、お父さんはまさか今日退院になるとは思ってもいなかったので、既に留萌に帰っている(母は札幌市内のホテルに泊まっていて、連絡を受けて驚きすぐ出て来た)。結局、病院側と話し合い、今夜は病院の病室に泊まり、明日父に迎えに来てもらって退院することにした。
 
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そういう訳で、津久美の読書はほとんど進まないまま、退院することになってしまったのであった。
 

津久美が27日(金)、診断書を提出に学校に出て行くと、馬原先生がびっくりして尋ねる。
「もう退院したの?」
「手術は中止になりました」
「ちんちん切るのやめたの?」
「切らないというか、切る前に勝手に消滅してしまったので」
「えぇ〜〜〜!?」
 
その場に担任の中沢先生、教頭先生、更に祐川先生と校長まで来たので津久美は事情を説明した。
 
「でも確かに自然に陰嚢が消滅して陰唇が出来たのなら、その続きで陰茎まで自然に消滅しても不思議ではないかもね」
 
「病院の先生は不可解だと悩んでましたけど、私は痛そうな手術受けなくて済んで助かりました」
 
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「確かにちんちん切る手術って痛いだろうね」
「女には分からない痛みですけどね」
「あまりその話しないでよ。聞いただけで痛くなってくる」
 
ということで、津久美は何の手術もせずに(と思っている)、完全な女性に生まれ変わったのであった。
 

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2ヶ月前の10月12日夜、きーちゃんは余命半年の千里の願いだし、津久美の去勢くらいしてあげてもいいかと思い、津久美をいったん亜空間に転送した。それで全身麻酔に近い状態にしてから、去勢手術をしようとしたら、そこに超大物の、A大神が姿を現し、仰天する。
 
叱られるかと思ったら、A大神は
「この女性器をその子に付けてあげて」
と言うので、渡された女性器を移植することにした。
 
女性器を移植するのに邪魔になる、陰茎・陰嚢(睾丸も)、前立腺、輸精管、精嚢、男性尿道、などは全て切り取り(A大神が「ちょうだい」と言うから渡した)、卵巣・卵管、子宮、膣、女性前立腺(Gスポット)、女性尿道、小陰唇・陰核・大陰唇のセットを接続した。
 
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なお“準神様”のきーちゃんの作業なので全ての神経・血管をつないでしまう。手術が終わった後の痛みは全く無い。
 
しかし、いきなり完全な男から完全な女に変わったらショックが大きすぎるかもと思い、陰核の上にかぶせて、長さ3cmのダミー陰茎(尿道無し)を付けておいた。つまりあのペニスは実はダミーだった。ダミーだから当然勃起などはしない(元々勃起能力は既に失われていた)。3cmにしたのは元々の津久美の陰茎が平常時3cm(縮小時は皮膚内に埋没)だったからである。この陰茎ではそもそもこの子、立っておしっこするのは無理だよなと、きーちゃんは思った。
 
そしておまけのサービスで声変わりで男性的な喉になりかけていたのを、女性の喉の形に変えてあげた!(それで高音が復活するとともに低音は少し広がった)
 
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その後、津久美に月経が来たことから「やはりこの子は“脳的半陰陽”だったな」と、きーちゃんは判断した。月経を起こすのは卵巣ではなく脳下垂体である。普通の男の子の場合は、胎児の内に月経を引き起こす回路が破壊されてしまうので、単純に卵巣を移植しても月経は起きない(男の身体は女の身体がY染色体の作用で男性化されて作られる)。
 
しかし時々、この回路破壊が起きていない男の子がいる。そういう子は元々男性化が中途半端で、たいてい“男の娘”に育つ。そしてそういう子のみが、卵巣移植で月経が起きるし出産も可能になるのである。要するにこの子は脳的には女の子である。つまり一種の半陰陽であり、半陰陽であれば完全な女の子に変えてあげるのはルール違反ではないと、きーちゃんは自己弁護した。
 
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12月25日夜の手術?は10月に設置しておいたダミー陰茎を取り外しただけである。
 
A大神はきーちゃんに、この女性器のセットは津久美の親戚の女性のものであると言ったが、本当は津久美自身の体細胞から造ったiPS細胞を元にA大神自身の手で育てた女性器セットである。だから一切の拒絶反応が起きない。これは実は大神自身の“実験”でもあったし、(小春の上司である)A大神が小春のリクエストに応えて千里を助けるための操作の練習でもあった。
 
小春は2003.04危機のことばかり考えているがA大神は2017.07危機の方が更に深刻であると考えていた。
 

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「そうだ、姫野さん、退院したのならちょっと音楽室に来てくれる?」
と馬原先生は言った。
 
「はい」
 
それで馬原先生と一緒に音楽室に行くと、希望とスミレが来ている。2人とも津久美は1週間くらい入院すると聞いていたので驚いている。津久美が状況を説明すると更に驚いていた。
 
「でもツクりんが出て来たのならちょうどいいや。ジャンケンするよ」
「何のジャンケン?」
「まあいいからさ」
「ツクりんには電話して電話を通して参加してもらうつもりだったんだけど」
 
それで3人でジャンケンすると、最初にスミレが勝ち抜けた。それで希望と津久美の勝負になる。今度は希望がパーで津久美がグーである。
 
「勝ったぁ!」
と希望が喜んでいる。
 
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「ということで、部長はツクりん、よろしく」
「え〜〜〜〜!?」
 
「副部長は私がやってあげるからさ」
と希望は言った。
 
「しゃ津久美ちゃん、1年間よろしくね」
と馬原先生。
「正式には新学期始まってから最初の練習の時に」
 
「で、でも私、性別が不自由で」
「その不自由は解消されたから、全く問題無い」
「不自由は、ちんちんと共に去りぬ」
 
そういう訳でこれから1年間の合唱サークルの部長は津久美、副部長は希望ということになったのである。
 
 
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