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■続・夏の日の想い出(8)

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マキさんと美智子はまだ少し話し込んでいた。あはは・・・しばらくここから動けないや、と私は思い、結局そのまま深く眠りこんでしまった。30分後にイベンターのチケット担当の女性が私を発見して起こしてくれたので、ちゃんと打上げには出席することができた。
 

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ドサ回りは当初10〜11月を予定していて、12月にレコーディングをするつもりだったのだが、10月初めに作曲家の上島先生の所に挨拶に行くと、その時点で「萌える想い」がダウンロード・着うたフルとCD売り上げ合計6万件あったことを好感してくれていて、また書いてあげるよ、12月ならクリスマスだね、などといって一晩で「パーチャル・クリスマス」という、またテクノ風の曲を書いてくれた。
 
クリスマスの歌なら遅くとも12月初旬に「発売」しなければならない。そのためには最悪11月中旬までにレコーディングしなければということで、急遽予定の組み替えが行われた。美智子があちこちにぺこぺこ謝って予定を変更してもらい、私達は11月の前半をレコーディングに当て、11月の後半から12月上旬に西日本方面のライブツアーを行った。
 
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当初の予定では11月3〜6日の連休(4日は平日だが自主休講)に四国一周をして11月20-23の連休(22日は平日だが自主休講)に奄美・沖縄・宮古に行き、28日の博多で打ち上げというスケジュールだったのだが、さすがに四国と沖縄の予定は動かせなかったが、博多のライブはイベンターと「ツアーの最終日」にする約束だったのでその予定を変更。11月の残りの日々は北九州や山陽方面などに行き、12月に入ってからは大阪・名古屋・北陸などを攻めて、12月12日の日曜の博多ライブで打ち上げとなった。
 
博多のライブでは、私は「博多にわか」の法被を着て、ステージでは最後に博多どんたく囃子を歌い、お客さんがロビーに出てきた所で博多祝い歌を歌うと、お客さんたちも一緒に合唱してくれて、とても素敵な感じで最後のステージを締めくくることができた。
 
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なお、私は毎日東京から各地へ往復するのに新幹線もフルに活用したが、飛行機にもかなり乗ったので、この期間だけで私はANAのブロンズメンバーの資格を取得してしまった。
 

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さて少し話を戻して11月前半のレコーディングだが、なんといってもタイトルに使うことになる上島先生の曲が「バーチャル・クリスマス」なので、季節物で行こうということで方針が固まった。
 
まずはクリスマスの定番ソングとして「恋人がサンタクロース」、クリスマスキャロルとして有名な「First Noel(まきぴとひつじを)」(英語歌詞)、そして、富山民謡・越中おわら節の膨大な歌詞の中から冬っぽい歌詞を数点選択、それにマキさんが書き下ろした曲で「Winter Contact」, 政子が新たに詩を書いて私が曲を付けた作品「渡せないプレゼント」。以上6曲の構成ということになった。
 
録音は「おわら節」に関しては富山のライブ(ここは西日本だが新潟ライブの後の流れで10月に行っていた)後の打ち上げで知り合った地元の民謡酒場の人の協力を得て、そこの常連さんと一緒に11月12日の土曜日に録った。私の唄とマキさんの太鼓だが、メインの唄い手を誘導する「唄われよ、わしゃ囃す」という出だしの部分は、八尾出身という民謡酒場のオーナーの女性が唄ってくれた。この日は常連さんが集まるのが夕方20時くらいからということでそれから録音をしたのだが、現地には15時くらいに入った。とにかく唄ってみてといわれて唄ったら「筋がいいね」と言われ、その場で2時間ほどミニ・お稽古をしてもらった。自分でもその2時間でかなり改善されたのを感じた。
 
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「すごく良くなった。ね、来年の9月3日、八尾に来ませんか?一緒に街流ししましょうよ」とオーナーさんが言う。
「そんな余所者が入っていいんですか?」
「街流しはもともとゆるいからね。私の関係者ということでいいよ」
オーナーのお母さんが八尾在住なので、三味線を弾くお母さんに付き合ってオーナーは毎年胡弓を弾いて街流しをしているらしい。
 
これは「風の盆」というお祭りで、公式には9月1-3日なのだが、その公式行事が終わる9月3日の21時を過ぎた頃から4日早朝まで、町の人たちがみな自由にグループを組んで八尾の町を演奏してまわるらしい。これこそが実は祭りの『本番』なのだとか。私はぜひ来年行きたいと言ってオーナーさんと別れた。
 
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それ以外の曲に関しては、11月7日から11日までと、13日から15日までの合計8日間に東京都内のスタジオで収録作業をおこなった。ダウンロード開始日は12月2日(金)と決まり、一週間前の11月26日にPVをyoutubeで公開した。PV公開後のライブでは収録曲の中から何曲か歌ったが、PV公開前日の広島公演で「バーチャル・クリスマス」を先行公開。都市部のライブで年齢層が若かったことから、こういうテクノ風の曲もひじょうに反応が良かった。
 
このシングルは12月中に5万件のダウンロードとCD販売を記録した。
 

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12月12日の博多ライブが終わって帰京してから、私と美智子は呉服屋さんに振袖を受け取りに行った。12月初めに出来ていたのだが、受け取りに行く時間が無かったのであった。
 
その場で着付けしてもらった。
 
「わあ、可愛い」と美智子が本気でうれしがっている感じだ。
私も鏡に映っている自分にちょっと見とれていた。振袖を注文した時にもらった付下げや、その後別途買っていた街着などは時々自分でも着ていたが、振袖はまた別物という感じだった。
 
「あのね、あのね、自分でもこれ可愛いと思っちゃった」
「ほんとに可愛いからそう思っていいんだよ」と美智子。
私はしばらくその鏡の中を見ていた。これが自分だというのがまだ信じられない気分だ!こんな感覚って、初めての体験!?こんなのも女の子だけが体験できる感覚なんだろうか。。。。
 
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「あ・・・・みっちゃん、五線紙ある?」
「あるけど」
といってバッグの中から五線用紙を取り出して、ボールペンと一緒に渡してくれた。
「ちょっと済みません」
私はその瞬間思いついてしまった曲のモチーフと浮かんできた歌詞を大急ぎで五線紙に書き留めた。タイトルの所には「Flower,Bird,Wind,Moon」と書いた。
 

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12月の後半は主として大都市でライブハウスなどに出て演奏をした。大都市のライブハウスなので、ロックでオープニングも良いだろうということから、私は振袖を着てビートルズの「抱きしめたい」を歌った。(この振袖はお正月の挨拶用に私が購入したものではなく、ステージ衣装として美智子が経費で買ったもので、セット価格50万円ほどの既製品である)振袖でステージに出てきた段階で「おお」とか「わあ」とかいった歓声が上がり、それだれでツカミができる感じだった。「抱きしめたい」もノリのいい曲なので、ライブは最初から盛り上がった。
 
「抱きしめたい」では、ステージ上でマキが私を口説いているような感じの仕草を見せ、私は恥ずかしがるような仕草を見せる。そして曲のラストでマキの口説きが成功したかのような感じで、私とマキが抱き合うか・・・と思ったらマキが抱きしめてしまうのはタカ、などというパフォーマンスをした。これも大いに好評であった。
 
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「しかし毎日タカを抱きしめてると変な気分になってくるな・・・」
「ちょっ。マキ、そういう気(け)があったんだっけ?」
「いや、俺はストレートのつもりだが」
 
マキには2年ほど交際している女性の恋人がいる。何度か仕事場に連れてきていたので私も挨拶していた。今はまだ収入に不安があることもあって、結婚を先延ばしにしているようである。
 
今回は東京・横浜・名古屋・大阪・金沢・博多・札幌・仙台と8ヶ所を巡ったが、高い年齢の観客を相手にしたドサ回りの時とは、また違った雰囲気の観客の反応を感じた。私はたまに戸惑う時もあったが他の3人が落ち着いて演奏してくれたので、それにあわせて私も無難に乗り切ることができた。
 
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仙台公演が終わったあと、美智子が涙を浮かべているのを見て、私は
「どうしたの?みっちゃん」と声を掛けた。
「冬〜、今回のライブハウスツアー、8ヶ所とも黒字だったよ。各々の利益は数千円だけどさあ」
「わあ、すごい」
私は美智子と手を取り合って喜んだ。
 

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12月31日は都内のライブハウスで数組のバンドとともに年越しライブに参加。明けて1月1日は大阪で年明けライブに参加して2日から5日までを休みとした。
 
東京のライブではローズ+リリーの録音に参加してくれた近藤さんのバンド、「スターキッズ」も出演していた。ちょうどバックステージの通路で会ったので挨拶したら、マキさんと「よぉ」などと挨拶している。びっくりして「お知り合いですか?」と訊くと同じ高校の同学年だということだった。高校時代も各々別のバンドに属していて、お互い相手を意識していたらしい。
「お前らが忙しいというから、俺がローズ+リリーの録音には付き合ったぞ」
「すまん、すまん。あの時期はまだ専業じゃなかったもんで」
 
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大阪では、ローズ+リリー時代にライブで一緒になって、私のファーストキス?を奪った女性のデュオ「パラコンズ」も出演していた。楽屋で目が合ったので私が挨拶すると、ちゃんと向こうも覚えていて「わーい、久しぶり−」といって、またキスされた。もうひとりが「この子、キス魔だから気をつけてね」などと笑いながら言っている。
 
「でも、ケイちゃんが男の子だったなんて、全然気付かなかったなあ」
「ごめんね。でも、もう男の子じゃなくなっちゃった。ほらこことか」
といって、自分の胸に触らせる。
「おお、改造済みか?」
「まだ改造中」
「よし、どんどん改造しちゃえ。君みたいな可愛い子はさっさと女の子になっちゃったほうがいいよ」
「うん。ありがとう」
 
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