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■夏の日の想い出・何てったってアイドル(10)

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昨夜の事故の話を聞いて、秋風コスモス(社長)が急遽大阪に来て、私たちも一緒に話を聞きたいということだったので、私たちは午後から帰京する予定を延期して大阪に留まった。
 
私たちはホテルの一室で会って話した。コスモスと一緒に紅川会長も来ている。それで状況を説明する。ゆりこが消え入りそうな声で
 
「ほんとに申し訳ありませんでした」
と謝った。
 
「いや。それより誰も怪我が無くて良かったです」
とコスモスは言う。私も紅川さんも頷いている。
 
「車をかなり壊してしまったんですが、元はと言えば私が自分の車のバッテリーを上げてしまったことに端を発しているので、私と醍醐春海で折半して修理代は出しますので」
と私は言ったが
 
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「いえ、その修理代はこちらで出します。むしろケイ先生マリ先生の所にも醍醐先生の所にもあらためてお詫びにお伺いしますね」
とコスモスが言い、紅川さんも頷いている。
 
「あ、何かもらえるなら食べ物がいいな」
と政子が言うので
 
「おやつ系がいいですか?お肉やお魚系?」
とコスモスが訊く。
 
「中華料理とかもいいなあ」
「じゃ、今度中華料理の美味しい所にご招待しますよ」
などといった話になっている。
 
「エルミには罰として、これをしてもらう」
と言ってコスモスは自分のスマホの画面を見せる。エルミはゆりこの本名である。
 
「国盗り?何ですか?」
「位置ゲーの草分けみたいなゲームだよ」
「ゲームなんですか?」
「全国各地に行って国盗りボタンを押すと、その地域を制覇したことになる。国は全国600国、更に細分化した空が6000空ある。これを2年以内に全制覇すること」
「それが罰なんですか?」
 
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「国や空を制覇するためにはその場所に行かないといけない。たくさん車を使うことになる」
「じゃ、私、まだ運転していいんですか?」
「うん。でも仕事の予定はちゃんとこなさないといけないからね」
「そちらがけっこう大変だったりして」
 
「基本的にはお仕事で全国各地に行った時、空いてる時間を使ってその周辺の地域の国や空を制覇する。短時間に動き回る必要があるから、たくさん道路を走る必要がある。高速もかなり使うことになる。国盗りの空の中には凄い山の中まで入っていかないと盗れない所、半島の結構先の方まで行かないといけない所もある。山道・田舎道にも慣れてもらう」
 
「あはは」
「もちろん国盗りに夢中になりすぎて寝不足でステージに上がったりしたら、懲戒免職ものだから、ステージ絶対優先」
「それは徹底します」
 
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「あくまで仕事の合間に出かけて、各地で風景や料理の写真を撮ってブログに上げてもらう。それをお仕事ということにするから、必要なガソリン代、高速代、フェリー代、レンタカー代などは全部会社で出す」
 
「わりと美味しいかも」
「あと多少はぶつけてもいいし、車の修理代も出してあげるけど、他人に怪我させないことと、自分の身体を大破させないように」
「はい」
 
「2年後には間違い無くベテランドライバーになってるよ。エルミ副社長」
「頑張ります!」
と川崎ゆりこ(本名蓮田エルミ)は敬礼した。
 
「んじゃ私からエルちゃんの携帯に招待状送っておこう」
と言ってコスモスは自分のスマホを操作していた。
 
私は確か桃香も国盗りをしてたなと思い起こしていた。
 
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細川さんの妹さん、理歌さんが阿倍子さんのお母さんを連れて大阪に到着したのはもうお昼すぎであった。その間、阿倍子さんは産まれそうで産まれないという状況がずっと続いていた。それで医師はお母さんを1時間掛けて説得。それで15時すぎに帝王切開が行われ、(2015.6.28)15:30ジャスト、男の子が誕生した。
 
私たちもゆりことコスモスの話し合いに同席して遅くなったので、大阪にまだ居るついでに病院に行ってみることにした。千里はもう東京に戻って合宿をしているはずだが、理歌さんがいるし、理歌さんにくっつく形でその友人みたいな顔をして青葉も傍にいるようだからと思ったのもある。理歌さんが居なかったら、奥さんが出産している所に旦那の愛人の友人というのは、何ともお邪魔であろう。そして理歌さんは、どうも聞いていると千里の味方っぽいのである。
 
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佐良さんの運転するエルグランドが病院の前に着く。ここで降ろしてもらい、佐良さんは車を駐車場に入れる。
 
それで私たちが入って行った時、廊下で千里が看護婦と話しているのに気づく。
 
あれ?千里、東京に帰ったんじゃなかったんだっけ?と思い、私たちはそちらに行ったのだが、千里は看護婦さんにお辞儀をすると、こちらには気づかない様子で近くにあったトイレの中に入って行ってしまった。
 
私は千里がまだこちらに居るのなら、また上に上がってくるだろうと思い、そのまま政子と一緒にエレベータに乗って理歌さんに教えてもらっていた病室のある階まであがる。
 
部屋の中に入ると、阿倍子さんが寝ていて、4月に東京で会った貴司さん、理歌さん、青葉、そして60歳代くらいに見える車椅子の女性とその傍に付いているスモッグを着た女性がいるので、これが阿倍子さんのお母さんと付き添ってくれた看護婦さんかなと思った。
 
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「あ、唐本さん、さっき赤ちゃん産まれたんですよ」
と貴司さんが言う。お母さんが「こちらは?」と訊くので、彼が
「阿倍子さんが倒れていたのを発見して病院に連れて行ってくれたんですよ」
と説明すると
「そうでしたか。ありがとうございます」
と御礼をしていた。お母さんは私たちを阿倍子さんの友だちと思っているようであったが言わぬが花なので、そのあたりは曖昧にしておく。
 
青葉はずっと阿倍子さんに気を送り続けてかなり消耗している様子だった。それで「取り敢えず少し寝た方がいい」と私は言い、結局病院に駐めているエルグランドの中で少し仮眠することにした。なお、佐良さんには取り敢えず近くのホテルで休んでもらうことにして私がホテルを押さえ、青葉に伝言を頼んだ。
 
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理歌さんが案内してくれて別室にいる赤ちゃんも見てきたが、長時間にわたるお産で心配していたものの、赤ちゃんはとても元気そうで私たちはホッとした。政子は「わあ、可愛い」と言っている。
 
「冬が赤ちゃん産んだら、私可愛がってあげるからね」
などと言っている。
 
病室に戻ってしばらく雑談していたのだが、お産から1時間ほど経った16時半くらい、私たちはそろそろ引き上げようかと思っていた時、突然、阿倍子さんが気分が悪くなったようであった。意識が朦朧として行くようで、貴司さんや理歌さんが呼びかけても反応しない。私はナースコールを押した。看護師が来たが、顔色を見てすぐに医師を呼ぶ。そして血圧・脈拍・体温を計るが、どれもかなり低下している。
 
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医師が処置をしているが、医師はかなり焦っているようである。私は疲れているのに申し訳無いとは思ったが駐車場に行って青葉を起こしてきて、再度彼女に気を送り込んでもらった。するとそのおかげもあったか、18時すぎには阿倍子さんも安定した状態に回復した。しかしそれまでの1時間半ほどは病室にかなりの緊張が走っていた。
 
青葉がローズクォーツの数珠を持って何か唱えながら気を送り込んでいて、それが明らかに利いている様子だったので、お母さんは少し落ち着いてから
「すみません。どちらの宗派の方ですか。私、入信します」
などと言っていたが青葉は疲れきった表情の中
 
「うちは勧誘とかはしてないんですよ。御自宅の仏檀や神棚、あるいはどこかのお寺の檀家か神社の氏子になっておられましたら、そちらの寺で念仏なり祝詞でも唱えてきてください。自分とこの神様・仏様を敬うのがいちばん大事ですから」
 
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と笑顔で言った。
 

私はこの時になって千里はどうしたんだっけ?と思い至った。それで病室の外に出てロビーから千里に電話してみた。
 
「わあ、阿倍子さん、やばかったのか。でも回復して良かった」
と千里は言う。
「千里、今どこに居るの?」
「え?東京の合宿所だけど」
「え?16時頃こちらに居なかった?」
「私は今日はずっとこちらで練習してるよ。赤ちゃん産まれたってメールを15時半すぎに理歌ちゃんからもらって、おめでとーと返信しておいただけ」
 
「あれ〜?じゃ似た人と間違えたのかな」
「ああ。そうかもね。私くらいの髪の長さの女性はみんな同じ顔に見えたりするみたいだよ」
「あ、それはあるかもね。千里みたいに長くしてる人は少ないもん」
 
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そんな会話をしてから病室に戻ると、青葉と理歌さんだけが居た。貴司さんは少し仮眠してくると言って部屋を出て行ったらしい。恐らく待合室にでもいるのだろう。お母さんも空いている病室で休んでいてくださいということになって、病院が用意してくれた近くの病室に移動したらしい。政子はお腹が空いたと言って何か食べるのに出て行ったという。
 

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その時、阿倍子さんは唐突に語り始めた。
 
「私、前結婚していた時もなかなか赤ちゃんできなくて。思えば生理の始まった小学6年生頃からずっと生理不順だったんですよね。私の生理って、3ヶ月くらい来ないかと思ったら、2週続けてきたりとか、酷かったんです。『最初の内は乱れるものだよ、その内安定するよ』と言われていたんですけど、全然安定しなくて。以前の結婚の時もそれで不妊治療してタイミング合わせとかやっても、私の生理のサイクル自体が不安定だから、全然タイミングが合わないんですよ。卵胞が成熟しても卵巣の外に出てこなかったり、逆に未成熟の卵胞が排出されたりするらしいんです」
 
「阿倍子さん、確かに生理のサイクルのコントロールが弱いみたい。産褥期間が終わって体力回復してきたら毎日ウォーキングとかするだけでも少しは違うと思いますよ」
と青葉が言う。
 
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「ああ、やはり身体を動かすのがいいんですかね」
「マラソンとかエアロビみたいな激しい運動はむしろしない方がいいです。軽いお散歩とか、プールに行って水中ウォーキングとかもいいし」
 
「やってみようかなあ。。。。結局前の結婚も人工授精を何度も失敗してそれが最終的に流産で終わった後、お姑さんとの仲が険悪になってしまって、それで離婚になっちゃったんですよね」
 
理歌さんが言う。
 
「阿倍子さん、うちの母は阿倍子さんのこと、未だに認めてはいないけど、今回のことは凄く心配してましたよ。母子ともに無事だといいねと言ってたし、さっき赤ちゃん産まれたこと報告したら凄く喜んでいて、阿倍子さんに頑張ったね、ゆっくり休んでって言ってあげてと言ってました」
 
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「ありがとうございます」
「あれ、きっと孫の顔見たさに今までのこと御免なさいとか言って出てきますよ」
「だったらいいなあ」
 
「そちらお母さんと対立してるの?」
と私は理歌さんに訊いた。
 
「兄貴がこちらにあまり話をしないまま突然阿倍子さんとの結婚を決めたんで母がごねてるんですよ。年上でバツ1というのも気に入らなかったみたい。それで結婚式にもうちの父は出席したんですが、母は参列しませんでした。私も行くなと言われたんですけど、千里さんが自分はさすがに遠慮するけど、私と美姫には出てあげて欲しいと直接私に電話してきたんで、妹と2人、出ることにしたんですよ」
 
ああ、やはり理歌さんは千里派のようだ。この話だとお母さんもそれっぽい。どうもここの家庭は複雑みたいだなと私は思う。私は千里は貴司さんの愛人という立場かと思っていたのだが、これだと「もうひとりの妻」という立場に近いのかもという気がした。
 
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「しかもうちの父ったら、披露宴の席で『貴司、緋那さんおめでとう』なんて間違って言っちゃったし」
 
「誰それ?」
「兄貴の前の彼女なんですよ」
「うむむ」
 
「千里さんと緋那さんで数年間にわたって貴司を取り合っていたみたいなんです。そこに私が出てきて横取りして結婚しちゃったような形になったから」
と阿倍子さんは言う。
 
「それで父は兄貴が結婚した相手は千里さんのライバルだった緋那さんだと思い込んでいたらしくて。まあ要するに兄貴が浮気症なのが最大の問題」
と理歌さんは言う。
 
私はこの時、貴司さんって、そのうち更に新しい恋人作って阿倍子さんとも破綻したりしないか?と心配した。
 

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