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■夏の日の想い出・ひたすら泳いだ夏(1)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-08-06  
中学に入ってボクは若葉と誘い合うようにして陸上部に入った。最初は練習前のジョギングで1〜2周、周回遅れになるほどだったが、2年女子の絵里花さんが「走る時はこうやって走るんだよ」とフォームとか足の筋肉の使い方、キックの仕方などを詳しく教えてくれたことで、ボクは飛躍的に速くなった。
 
4月初めに100mのタイムを計られた時は28秒だったのが、7月には16秒2で走れるようになっていた。但し実は、最初に28秒出した日は愛用のランパンを持って行ってなくて体操服でしかも運動靴で走ったためにこのタイムとなったもので、後日ランパンを穿き陸上用のスパイクを履いて計ったら19秒8であった。ボクはこの愛用の(女子用)ランパンを穿いている時は、小6の時に既に23秒で走れていた。
 
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ボクが一所懸命練習しているので、5月の大会は見学だったものの10月の大会では400mに出してもらった。もっとも予選で他の選手に100m近い差を付けられてのゴールだったが、それでも大会で走るというのは気持ちいい!と思った。
 

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その10月の大会が終わると練習に出てくる部員がぐっと少なくなる。3年生が抜けるのは当然として、1・2年でも練習をサボる部員が多かった。いつも練習に出てきているのは、2年の石岡さん(新部長)・堀江さん、絵里花さん(新副部長)、それにボクの4人。そして週に3〜4回という感じで出てくるのが、1年の野村君、貞子あたりだった。
 
4人だけで練習している時、柔軟体操はボクはいつも絵里花さんと組んでしていた。「唐本君って、触った感触が女の子みたい」と絵里花さんは言っていた。「背中を押されている時も女の子に押されているみたいな感じだし」とも言っていた。
 
この時期若葉は夏頃から兼部で入ったテニス部が忙しくて、陸上部には週に1回くらいしか出てこなくなっていた。夏の時期は水泳部も兼部していた。
 
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「よくそんなに3つも兼部できるね」とボクは若葉に言った。
「まあ水泳部は夏の間だけだし。テニスは大会のメンツが足りないから、それだけ出てと言われて行ったつもりが・・・」
「まあ、ダウンしない程度に頑張ってね」
 
「そういう冬だって合唱部に行ってるでしょ?」
「昼休みに倫代の発声練習に付き合ってるだけだよ。そもそも合唱部は女子だけだし」
「そろそろネコかぶるのやめて、女の子になってセーラー服着て学校に来たら?そしたら合唱部に正式に入れるよ」
「あはは。どっちみち今は放課後陸上部で手一杯だし」
 
若葉は陸上部の方でロードを10km走った後、テニスの方の練習に行ったりとかテニスの方で練習している所に、絵里花さんが「リレーのメンツが足りないからちょっとこっち来て」などと言って連れてこられたりもしていた。
 
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ボクは中学生時代、基本的に男声で話していたので、小学校時代からの多くのクラスメイトがボクにも「とうとう変声期が来た」んだろうと思い込んでいたようであった。ボクが女声も出せることを知っていたのは、若葉・倫代、それに陸上部の顧問の加藤先生くらいだった。加藤先生はひょんなことからボクの女声の発声練習に付き合ってくれて、より自然な声になるよう指導してくれて、声域も小学校時代より広くなっていった。
 
もちろん加藤先生が教えてくれたのは声だけではなく、本来の陸上での筋肉の使い方、その筋肉の鍛え方、レースでの心理的な問題などもたくさん教えてくれた。加藤先生自身が元々長距離選手だったこともあり、先生の話はとても実戦的だった。秋頃以降、ボクは長距離選手としての道に活路を見い出して行ったが、その長距離のレースでは、心理戦の比重が比較的大きかったのである。
 
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「相手のペースを利用する時は相手にピタっと付いていく。ついて行かれると相手はそれだけで疲労する。抜く時は一気に抜く。抜いてもすぐ前を走っていたら相手はそれに付いてくる。だから相手が戦意を喪失するくらい離すまではスパートを緩めない」
 
「上り坂を上る時は、前に体重を掛けて重力を利用して走ると実力以上の速度で走ることができる。倒れ込むようにして倒れる前に足を運ぶ。下り坂を下りる時は、自然落下を利用する。身体が落下していくから足はそれに付いていく感じ。本当に落ちて行くみたいに感じて慣れないうちはちょっと怖いけど、ジェットコースーターに乗っているような気持ちで」
 

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下り坂の恐怖を克服するのに、長距離組の数人で遊園地にジェットコースターを乗りに行ったこともあった。パスポートで入り、朝から晩までひたすらジェットコースターに乗りまくった。
 
「これに・・・・乗るんですか?」
ボクはそのジェットコースターのレールを見上げて、もう逃げ出したい気分になった。
 
「こういうの男の子はタマが縮むとか言うよね」と先生。
「俺、もう縮んでるかも」と1年生の男子。
「冬はタマがもう無いから大丈夫だよね」と若葉。
「一応、付いてますけど」
「あれ?そうだっけ? 有咲から既に無いみたいと聞いたけど」
 
「おしっこチビった時のためにパンツの換えもいっぱい持って来たから安心して乗ってね」と先生。
「最初から1枚ずつ配っておこうか」と言って本当に配り始める。
 
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「えっと冬ちゃんは、男子用?女子用?」
「えっと・・・男子用で」と言ったが若葉がそばから
「冬は女子用ですよ」というので、「じゃ、こちらね」と言って、本当に女子用のパンティを渡された。
 
絶叫系ジェットコースターは最初は本当に拷問を受けている気分だったが、
「前の方を見て、コースをよく見て自分がどちらに次曲がるかというのを意識して。そうすると酔いにくいから」
と先生に言われて、そうしていると、次第に平気になっていった。
 
最後はその遊園地名物の、恐怖度では日本で5本の指に入ると言われているコースターに乗ったが、ここまでさんざん乗り尽くしたおかげで、恐怖はそれほどでもなく、このコースターを純粋に楽しむことができた。
 
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ボクが女声で話せることは11月頃、絵里花さんや貞子たち数人の女子部員にバレてしまう。その後、彼女たちからは女子部員に準じる扱いをしてもらえるようになり、12月の絵里花さんの家での女子クリスマス会では、とうとうボクはみんなの前で女装させられることになった。
 
「冬子ちゃん可愛いから女の子の服を着てもらおう」
などと言われて着せられたが、その時、ボクが自分でブラのホックを留めたのを見て、絵里花さんは
「冬子ちゃん、以前から女装してるよね?」
と言った。
 
「えー、そんなのしたことありませんよぉ」
とボクは言ったが、真相を知っている若葉はニヤニヤしていた。
 
ボクの女装姿は女子部員たちに好評だった。
「わあ、可愛い」
「やっぱり普段から女装してるんでしょ?」
「実はもう女の子の身体になってたりしないの?」
などと言われる。
 
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「ねね、若葉って冬子と同じ小学校だったんでしょ?何か知らないの?」
「冬とはおっぱいの触りっこしたことあるよ」と若葉。
「えーーー!?」
 
「冬って友だちというと女の子ばかりだったね。男の子の友だちって全然いなかったし、他の女子と一緒にいつもガールズトークしてたよ」と若葉。
「へー」
「私や冬も入れてよく4〜5人のグループで町に出て遊んだりしてたなあ。そんな時、冬って女子の中に埋没してるから、そのままトイレとかも一緒に行ってたし」
「トイレ一緒って、まさか女子トイレ?」
「私、学校以外で冬が男子トイレに入って行くの見たことないんだよね」
「ほほぉ」
 
「あと、冬って汗掻いても男の子の体臭がしないよね」と若葉。
「あ、それは私も思ったことある」と貞子。
「何らかの形でホルモンコントロールしてるんだと思うなあ」
「あはは」
 
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「そのあたりはいづれじっくり自白させるか。どこかに拉致監禁して」
「ああ、拉致監禁いいね〜」
「当然裸に剥いて、生理的な検査と染色体チェックも」
 

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「でも冬子ちゃん、やっぱり女子選手になっちゃいなよ」と絵里花さん。
「そんなことできるんですか?」
 
「今年5月にIOCが性転換した選手の受け入れについて新しい規則を定めたのよ。それだと去勢してから2年経過した元男子選手は女子選手として五輪に参加できることになったのよ」
「へー」
「だから、冬子ちゃん、来年中に去勢手術を受けて、その後女性ホルモンを摂取してれば、2008年の北京五輪には女子選手として出場できるよ」
「あはは。凄い誘惑」
 

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そんな冗談(?)も言い合っていたが、当面のボクたちの目標は3月に行われる駅伝だった。秋頃少なくなっていた練習の人数も、駅伝を目前にすると、また増えて行く。
 
他の部からの助っ人も頼んで、男子・女子ともに2チーム出ることになり総勢36人のメンバー(4人は補欠)で2月になってから本格的な練習に入った。
 
ボクは最初男子Bチームの4区、上り坂の担当と言われた。
 
ところが練習していて実際にタイムを計ってみると、ボクはAチーム4区に割り当てられていた子より速かった。
 
「唐本すげー」
「お前、よくこの上り坂をそのスピードで走れるな」
「上り坂のスペシャリストだな」
 
ということで、ボクはAチームの4区にトレードされた。タイムを見て他にも若干A,Bチームの入れ換えが行われた。
 
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ボクはこの時期トラックではランニングシューズで3000mを11分ジャスト程度で走っていたが、この駅伝4区の上り坂3kmは10分30秒程度で走っていた。「唐本、お前重力をねじ曲げてるだろ?」などと言われる。
 
ボクとしてはスパイクではなくランニングシューズで走るなら、土の地面よりアスファルトの方がキックがしっかり効いて、むしろ走りやすい感じだった。そして上り坂は加藤先生に教えられたように体重を前に掛けて倒れ込む力を利用して走っていたので、それも平地より走りやすい感じだったのである。
 
みんなスタミナが持たないと言っていたが、その点は夏から秋にかけてかなりの走り込みをしていたので、駅伝の区間の3kmなら充分全力疾走できていた。
 
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「2週間前の締め切りまではまだメンバーの入れ替えあるからね。みんな気を抜かないように。今Bチームになっている子も練習次第でAチームに入る可能性もあるよ」
と、この駅伝大会が最後の指導になる加藤先生も指導に力が入る。
 
「私、冬を女子のAチーム4区に欲しい」と絵里花さんが言う。
「あはは、ばっくれたらバレないかもね」と先生も笑って言っていた。「というか、冬って実は女子ではないかという疑惑が」と美枝。
「うーん。。。それは考えてみたこと無かった。冬ちゃん、どうなの?」
 
加藤先生はボクのことは他の女子と同様に名前で呼ぶ。先生は他の男子は苗字で呼んでいる。
 
「えーっとたぶん医学的には男子だと思いますが」
「精密検査が必要かも知れないですね」と彩絵も言う。
「まあ、でも女子は男子チームに参加してもいい規則になってるからね」
と先生は笑顔で言っている。
 
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そして3月20日(日)本番。この日は曇りの絶好のコンディション。ボクは今日は行けるぞという気分になっていた。
 
朝出がけに姉が自分の部屋に呼んだ。
「冬って中学に入ってから1度も女装してないよね?」
「うん。さすがに女装は小学生までだよ」
「それとも私の気付かない所で女装してるのかな?」
「そんなことできる場所無いよ〜」
 
「今日はこの下着付けて行きなよ」
と言って、姉は可愛らしいピンクのブラ・ショーツのセットを渡した。
 
「なんで〜?」
「だって冬って、自分でも言ってたじゃん。女の子の服を着てる時は能力が上がるって」
「うん。それはそうだけど」
「だから、これはおまじない。きっとこれを付けてった方が速く走れるよ」
「うん。そうしようかな」
 
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ボクは素直に姉の勧めに従って、そのブラとショーツを身につけ、その上にチームカラーの青のTシャツを着た。そして愛用の(女子用)ランパンを穿く。
 
「冬って女の子の下着を着けた時、本当に女の子みたいな雰囲気になるよね」
「そう?」
「うん。アンダーウェアは外には見えないはずなのに、不思議」
「でも1年ぶりくらいかな。女の子の下着付けるの」
「ほんとに?」
「え?なんで」
「確かに最近、冬がいつでも使えるようにしている女物の服が洗濯機に入ってたことないしなあ・・・」
「うん。だから女の子の服は着てないよ」
 
「まあいいや。今日は頑張ってね!」
「ありがとう」
「グッドラック!」
 

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学校に集まり軽めのウォーミングアップをする。しっかり準備体操をしてから協力してくれる数人の先生の車で、各々のスタート地点に散る。ボクは男女2チーム4区・6区の8人で、中継地点に行った。身体を冷やさないように長ズボンのジャージを穿いている。3区の堀江さんが走り出したという連絡を受けた。
 
ボクはズボンのジャージを脱ぎ、ストレッチ運動をする。特に足首や膝の関節はしっかり伸ばしておく。女子Aチーム4区を走る美枝が
「冬〜、柔軟体操しよっ」と言ったので、組んで柔軟体操をした。女子は男子より少し早めにスタートしているのだが、ちょうどこの4区付近で男女チームが入り乱れることになる。
 

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■夏の日の想い出・ひたすら泳いだ夏(1)

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