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■夏の日の想い出・アルバムの続き(28)
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実際には細川聖知と友人の北里ナナは、二十面相がフルートを奪うのは、最後のライブの後だと考えた。ライブ以前に盗むとライブの時に聖知が気付くからである。
そこで聖知とナナはライブが終わった後、フルートを展示ケースに戻す前にフルートをレプリカとすり替えることにしたのである!実際にはフルートの清掃作業をしている間に交換する。女性の警備員が立っているが、警備員は外部から侵入する賊に警戒しているから、聖知やナナをほとんど見ていない!
それでも聖知は自分ですり替えるのは自信が無いと言った。それで北里ナナはこれは小林君も知らないうちにやったほうが安全だと思い(*76)、少年探偵団No.3の井上一郎(鈴本信彦)に相談した(No.1=小林芳雄、Np.2=花崎マユミ)。井上は手が器用で背丈もあり(*78)、本人もフルートを吹く女性団員・沢田恭子(演:月城たみよ)に依頼した。
だからフルートをすり替えたのは、北里ナナと少年探偵団の沢田恭子である。具体的には、袖の中に隠し持ったレプリカを反対側の手で押し出すようにして出現させ、すぐに本物はそれまでレプリカを入れていた袖の中の収納場所に放り込んだのである。2人は事前にプラチナフルート2本、ゴールドフルート2本を使ってかなり練習した。
この日演奏者が各々のフルートと同色の衣裳を着ていたのは、フルートを隠し持っていても目立たないようにするためである。
(*76) 小林がフルートの行方を知っていたら、うまく二十面相に欺されてしゃべってしまう危険がある。知らなければそういうリスクを避けられる、と北里ナナは判断した。
だから・・・
ライブでロマノフの小枝を吹いたのも聖知ではなく沢田団員である!本物の聖知は北里ナナの自宅で休んでいた。河野令子団員がガード役で付いていた。
放送用のライブ音源でも実際に、月城たみよ・アクア・安原祥子の3人で演奏したものが使用された。映像では、たみよが吹いた映像とセシルが吹いている映像をたくみに繋ぎ合わせている。指の接写は全てたみよの映像(*77).
わざわざこのラストライブの音源だけセシルではなくたみよに演奏させたのは最初や2度目の演奏と吹き手が違うことに耳の良い視聴者が気付くようにするため(*79).
そしてすり替えが終わってレプリカを展示ケースに納めた後は気分が悪くなった振りをして井上一郎に送ってもらい、“本物のフルート”を隠し持ったまま北里ナナの自宅に行く。そして待っていた聖知たちと一緒にパーティーをしながら小林が気付いて連絡して来るのを待っていたのである。
パーティーの出席者:細川聖知(羽鳥セシル)、北里ナナ(アクアF)、花田小梢(安原祥子)、沢田恭子(月城たみよ)、河野令子(内野涼美)
パーティーには参加せず警戒:井上一郎(鈴本信彦)
鈴本の後日コメント「一緒に楽しめばいいのにとアクアちゃんから言われたけど、女の子のパーティーにはさすがに入れんかった。食べ物だけもらった」
(*77) 指の接写を見て「あれ?これセシルちゃんの指じゃないみたい」と気付いた人が結構いたようである。多くの人が
「これは男の人の指だ」
と思った!元男の娘のセシルの指は女の子のような細くて脂肪質の指である。それに対して小さい頃から篠笛・ファイフを吹き、小学5年生の時からフルートを吹いていて、一方ではバレー部もしていた、たみよの指は太く丈夫でまさに男性の指のように見える。
(*78) 羽鳥セシルは171cm, 月城たみよは172cmで背丈の差は僅かだった。
(*79) 初回の放送で気付いた視聴者は少数だったが、指摘されてから録画や再放送で再度聴き、違いが分かった視聴者は3割ほども居た。
羽鳥セシル(上手なアマ・レベル)と月城たみよ(プロレベル)とでは技量の差は明らかである。トリルの速度などが全く違っていたし、全体的な表現力が段違いだった。またたみよは循環呼吸(*80) ができるので『主よ人の望みの喜びよ』をノンブレスで吹いてみせた(放送されたライブ音源でもその“ワザ”を見せている)
セシルがたみよの演奏を見て「すごーい!」と感心していた。
安原もかなりうまい。
(*80) 循環呼吸とは口から息を吹いて楽器を演奏しながら、鼻で息を吸い込むことにより管楽器をノーブレスで吹くワザ。プロの管楽器奏者にはこれができる人が時々居る。但し“美しく”吹ける人は少ない。どうしても吹く息が不安定になりやすい。たみよはその“美しく”循環呼吸演奏ができるレアな演奏者。彼女は小学5年生の時に循環呼吸自体は習得したらしいが、循環呼吸で美しく吹けるようになったのは中学に入ってからと言っていた。
1月22日(日).
朝開店前に小林少年と明智探偵の手で展示ケースにロマノフの小枝と火の鳥が戻された(*84)。最終日の細川家至宝展は物凄い賑わいであった。この日は特別に朝9時から夜21時まで展示を行った。この日の夕方には予定に無かった臨時特別ミニライブが行われ、再びロマノフの小枝と火の鳥、及び金狐との共演が行われた。
二十面相は拘置所に入って取り調べを受けることになったが全て黙秘して何も語らなかった。香取市の隠れ家は警察が行った時にはもぬけの空であった。捜査令状を取って捜索し、明智事務所のプリウスの鍵は警察の特殊部隊の隊員の手により井戸から回収された。井戸の底は酸素が足りない可能性があるので空気ボンベを背負った隊員がロープで降下したのだが,実際には酸素は充分あった。更に抜け穴を見付けた!
そして火の鳥は当面、北里ナナが預かることが発表された!北里ナナは広い邸宅を持ち、高いセキュリティが掛かっており、またフルート自体も上手い。だから実は火の鳥の貸与者として最高の条件だったのである!
ナナは
「洋介さんも言ってましたけど、このフルートのキィの位置は変なんですよ」
と言って,小梢の“金狐”と並べたところをカメラに撮影してもらっていた。キィの位置の違いを認識した視聴者は多かった。
「宝石が並んでいて管体が不均質になっているので、普通のフルートと同じ位置に穴を開けると正しい音にならないんですよね。だからこのフルート作るのにメーカーさんも苦労したみたいです」
と北里ナナは解説していた。
「私も最初このフルート渡された時に『キィの位置が変〜!』と叫んじゃったんですよ」
とナナは言っていた。
「でもナナちゃんが預かってくれるのなら、この3人での定期演奏会を時々開こうよ」
と聖知(羽鳥セシル)。
「そういうのもいいね。この番組が来年も続いてたら毎年お正月に演奏するとか」
と小梢(安原祥子)。
「きっと来年は二十面相はうちにある純金の五重塔か七色の宝石が入ったマリア像を狙うのよ」
と聖知。
「そんなのあったんだっけ?」
「あったことにすればいいのよ。脚本の尾崎さんがうまく書いてくれるよ、ね、ナナちゃん」
「ああ。セシルちゃん毎年1回出るなら来年もこの3人で演奏してもいいかもね」
と北里ナナも答えた(*83).
ラストシーンは北里ナナの自宅リビング(*82)で、井上一郎(鈴本信彦)・溝口洋平(松田理史)・小林芳雄(アクアF)・沢田恭子(月城たみよ)の各団員が見守る中、細川聖知(羽鳥セシル)・北里ナナ(アクアM)・花田小梢(安原祥子)がロマノフの小枝・火の鳥・金狐で『パッヘルベルのカノン』を合奏しているシーンであった。(*81)
(今回のドラマで唯一素顔の小林少年と北里ナナが並ぶシーン!)
(*81) さりげなくアクアと松田理史が隣り合ってるという一部からの指摘!
「女アクアは北里ナナじゃないの?」
「いやここはきっと弟に北里ナナ役をさせて姉が小林少年役をして松田理史と並んでる」
(↑その指摘が正しい)
むろん公式見解としては今井葉月がボディダブルをして2度撮影して合成したもの。
(*82) この北里ナナの自宅セットは春日部市のゆりかもめスタジオ(§§ミュージック所有)の近くに、半恒久的な施設として建築した。敷地は約52m四方(820坪). 周囲は頂上に有刺鉄線が付いた煉瓦風のフェンスで囲まれている。侵入しようとすると警報が鳴って本物の警備会社のガードマンが10分以内に駆け付けてくる。
外ガラスは全て防弾ガラスであり、ドアもピッキング不能な電子鍵(内側からも電子鍵でのみ開き、ドアノブの回転では開かない)。フェンスを越えたとしても邸内への侵入は困難である。
本当にアイドルを多数抱えている§§ミュージックにしか作れなかった究極の“アイドルの住まい”。土地代1500万円、建築費2500万円。施工は播磨工務店。
ゆりかもめスタジオで撮影する時に迎賓館のような役割も果たす。
住宅の維持のため、メンテ要員の名目で§§ミュージックのスタッフが交替で泊まり込んでいる。主たるお仕事は買い出しとお掃除である!(大変そう)今回のパーティーシーンの準備のため、調理スタッフが2名行って半日掛かりで用意した。
結局“北里ナナ”というキャラクターが一人歩きしてしまったので、その仮想的な住まいとして§§ミュージックで用意したものである。今回はここの外観とLDKが撮影で使用された。今後もしばしば登場予定。
(*83) この会話は台本にはなかったが監督が羽鳥セシルに指示し、安原祥子もコメントの仕方を指示されていた。アクアはセシルのアドリブだろうと思い、適当に応答した。
しかし事前に聞いてなかったアクアは自分が重大発言をしたことに気付いてない。つまり羽鳥セシルのロマノフの小枝と、北里ナナの火の鳥、安原の金狐を“1年後”にも再度演奏することを約束したのである!
(*84) 物語に登場したフルートは結局4セットあった。
(A) 本物 priceless
(B) 細川聖知が作らせた精巧なレプリカ。制作費7500万円。
(C) 二十面相が作らせた偽物。制作費はおそらく1500万円程度。
(D) ホログラム。
(A)はライブのあと聖知(に変奏した沢田団員)とナナが保護して持ち去った。その後しばらくは(B)が飾られていた。それを二十面相が奪い、そのあと20時頃まで(C)が飾られていた。だから入場再開後にきたお客さんは二十面相が用意したレプリカを見ている。そのあと24時までは(D)が飾られていた。だから不寝番やその前の“つなぎ”の番の人たちは(D)を見ている。1/22 0:00 ホログラフィのスイッチが切られてフルートが“消失”した。
現実のドラマの制作ではこのようにした。
(A) “本物”のロマノフの小枝と火の鳥。
ロマノフの小枝は2年前の制作に使用したものはフェイが所有していたのでそれを借りて使用した。火の鳥は2年掛けて制作したものである。
(B) 実際には洋銀製・プラチナメッキのフルート。火の鳥は本物を作った時のと同じ塗装を掛けている。ロマノフの小枝はフェイから借りた後、そちらの傷と同じ傷をこちらにも付けてそっくりにした。火の鳥は正しい音が鳴る位置に穴を開けたので(A)とは微妙に違う位置に開いている。普通のフルートとは全然違う。両者は重さで区別できるが、出演者たちは重そうに演技する。
(A)の宝石は天然石とほとんど見分けが付かないものを作れるが時間のかかるフラックス法で本当に作った高品質合成コランダムだが、(B)はクリスタルガラスに人工ルビー・人工サファイア(安価なベルヌーイ法使用)の薄片を載せたいわゆる“ダブレット”。
制作費は300万円ほどである。このフルートセットは来シーズンまでにフェイが本物のロマノフの小枝を壊してしまった場合に備えて、テレビ局で保管することにした!
(C) 実際には白銅製・プラチナメッキのフルート。これには本物のロマノフの小枝のような傷は付けてない。その傷の有無で区別が付く。また火の鳥の塗装は(A) (B) とはわざと少し違う色で塗っている。キィの位置は普通のフルートと同じ位置である(正しい音では鳴らない:実は宝石を外すと正しい音で鳴る)。
宝石は(B)と同様のダブレット。これも色合いを僅かに変えてある。
制作費は120万円ほどで明智文代役の山村星歌が記念に欲しいと言ったので100万円で引き取られた。
(D) (C)のセットから制作したホログラム。だから入れ替わっても見た目は変わらない。
ライブの音源に関しては次のようにして作っている。
(1) セシル版(1回目と2回目)
羽鳥セシル:自前のプラチナフルート
アクアM:自前の23金フルートM刻印
安原祥子:千里の“金狐”
安原祥子:ベビースタインウェイ
(2)たみよ版(3回目のライブ:放送で全てを流した/サウンドトラックに全収録)月城たみよ:自前のプラチナフルート“葉二”
アクアF:自前の23金フルートF刻印
安原祥子:千里の“金狐”
安原祥子:ベビースタインウェイ
アクアもセシルも「ロマノフの小枝も火の鳥も基本的には鑑賞用だと思う」と言ったので、音源は“まともな”フルートで制作した。
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夏の日の想い出・アルバムの続き(28)