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■夏の日の想い出・アルバムの続き(13)

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「常滑舞音ファン判別テスト」というものがあるらしい。
 
「常滑舞音マメやね(とこなめ・まね、まめやね)」と3回言えるかというものである。“常滑舞音”の発音しづらさはデビューの頃から言われていた。
「どうしても“とこなめまめ”になっちゃう!」
などと言っていた女性歌手もいた。舞音は逆にその“発音しにくい”名前を武器に知名度を上げてきた。
「あの何とかって発音しづらい子」
などと言ってた人もいる。
 
他に“常滑舞音豆舐めた”とか“常滑舞音まじめに真似した”などというのもあるらしい。
 
テレビ番組でこれについて感想を求められた舞音は
「常滑舞音マメやね、常滑舞音マメやね、常滑舞音マメやね」
と8秒で言い切って
「すごーい!さすが本家!」
とブリックリンに称賛されていた。
 
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でも一緒に来ていた水谷妹は1フレーズ目で噛んで
「私言えなーい」
と泣き顔になって笑いを取っていた(この子は天然ボケ)。
 

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10月31日(月).
 
この日の朝発売された週刊誌が衝撃的な報道をした。女子高生タレントとして人気のあった仮名Aが、友人数人とマリファナ・パーティーをしていたというのである。週刊誌にはAが恍惚な表情で右手にマリファナ・タバコらしきもの、左手にウィスキーかと思われるグラスを手にしているところが映っていた。
 
Aは◇◇テレビで現在放送中の『進め!乙女隊』に“主演”しており、そして次回の放送は今日の夕方の予定である!!
 
◇◇テレビは緊急役員会を開き、取り敢えず今日の放送の中止、代替番組として、富士川32と利根川32の生番組(司会:丸呑ワンダ・丸呑ジョージア)を放送することを決め、すぐに放送脚本を作らせた。
 
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タレントAは弁護士に付き添われて昼前に警視庁新宿署に出頭。事実を認め家庭裁判所に送致されることとなった。同日事務所はAとの契約を解除したことを発表。夕方には◇◇テレビは番組の打ち切りを決めた。
 
この事件ではパーティー出席者が全員特定された。そして18歳以上は送検され、未満は全員家庭裁判所に送致された。芸能契約をしていたものは解除され、高校在学中の者は退学処分にされた。またAと交友のあった者も全員薬物検査を受けたがその中に数名陽性の者があり、それなりの処分を受けた。薬物検査を求められた者には§§ミュージックのタレントもいたが全員陰性であった。
 
11月4日(金).
 
◇◇テレビの山岸編成局長は信濃町の§§ミュージック事務所にやってくると応接室のデスクに頭を付けるまで下げて言った。
 
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「伊藤さん、申し訳無い。ラピスラズリを貸してください」
と編成局長は言った。
 

「いったいどういうことでしょう?」
とコスモスは訊く。こうなる可能性は事件の報道があった時から考えていたのでラピスラズリの予定を入れないようにしていた。
 
元々『ザ・天下』の制作が延びた時に備えて11月上旬§§ミュージックのタレントの予定はだいたい空けてある。向こうもその事情を知ってこちらに来たようにも思われた。
 
それともうひとつは薬物事件なので更に摘発者が出た場合に備えてAとはできるだけ関係の薄い事務所を使いたかったというのもあったようである。
 
「乙女隊が突然打ち切りになって、代替番組を企画しなければならない。しかし先週のあの“ガヤガヤ番組”みたいなのは御免だ」
「あれひどかったですねー」
と横から川崎ゆりこが言う。
 
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一応最初は利根川32vs富士川32の対決戦として始められたものの、まともな台本が完成しておらず、途中からはもはや何を映しているのか訳の分からない世界となった。司会の丸呑ワンダ・丸呑ジョージアには80人もの女子が勝手に動き回るのをもう制御できなかった。BPOから注意を受けるほどの混乱ぶりだった。視聴者からもかなり苦情が来た。
 

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「とにかく企画を考えて、キャスティングして、脚本書いてなどとやっている時間が無いんです。この枠は中高生を使った番組を放送するので撮影は明日か明後日にしなければならない」
「厳しいですね」
 
「それで実は4月から9月まで放送したラピスラズリ主演『占い女子高生・みつる』の未使用台本が1つあるんですよ。これを使えないかという提案がありまして。幸いにもあの番組のセットはまだ解体せずに残っていたんです」
「ああ」
 
「それでこれを使う場合、キャスティングする時に脇役はもうスケジュールが取れる人を入れるしかないけど、主役は変えられない。だからラピスラズリにお願いしたい」
 
「それは1回だけですか」
とコスモスは訊いた。
 
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「最低7日放送分から年内まで7回か8回。1月からどうするかは未定」
 
「状況が状況ですし。仕方無いですね」
「そしてできれば主題歌も新しい主題歌を月曜までに一応放送できるレベルで。最悪1番だけでもいいです」
 
「それはできますよ」
「凄い!さすが§§ミュージックさんですね!」
 

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それでラピスラズリ、および共演していた直江ヒカル・今川ようこ・甲斐波津子の3人が呼ばれ、急遽日曜日の撮影に参加することになった。ついでに「生徒役が足りないから応援頼む」と言われて、左倉まみ・箱崎マイコ・豊科リエナも一緒に行かせた。
 
そして何とか撮影が終わった後、ラピスの2人はコスモスから
「これ明日の夕方までに完成させてね」
と言われ
『秘密指令EX』(松本葉子作詞・松本花子作曲)
という曲を渡されたのである。
 

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「しかしどうも芸能界で薬物汚染が進んでいるみたい」
「コロナでストレスが溜まってるのもあるんでしようけどね」
「あらためて全タレント・信濃町ガールズに『元気が出るお薬あるよ』みたいな話には絶対乗らないことと通達出しましたけどね」
 
「○○プロの丸花さんが言ってたけど芸能界にかなり人脈を持つ大物売人がいるのではというので警察も内偵を進めているらしいよ」
 
Xデーまで1ヶ月半・・・
 

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「元気が出るお薬飲んじゃお」
と言って早幡そらは、ドアノブに掛かっていたレジ袋(怪人X(*40) からのプレゼント)に入っていた“栄養剤”を飲んじゃった!この薬がDian35(女性ホルモン)であることは、彼も認識している。こうして彼は男子廃業への道を1歩また1歩確実に歩んでいた(既に手遅れだと思う)。
 

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(*40) 怪人Xとは、セキュリティがあって外部の者は入れないはずの男子寮を夜な夜な闊歩し、ドアノブに“ブレゼント”の入ったレジ袋を掛けていく謎の人物。
 
プレゼントには単純なおやつ、可愛いお洋服、女物の下着、女の子っぽい文具やアクセサリー、お化粧品などのほかに自動去勢器などのあやしげな機械、“栄養剤”と書かれた女性ホルモンが入っている。セレンたちは新しく入寮してきた子に『機械類は危険だから捨てろ。悩んだら自分たちに相談しなさい』と言っている。ホルモンについては本人の任意に任せている。ただ
 
「女性ホルモンはいったん飲み始めたら一生飲み続ける必要がある。中断しても男性機能は2度と回復しない。その覚悟ができてない人は飲んではいけない」
 
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というのだけ言っている。
 
怪人Xの正体は、何かでイライラしてる時の丸山アイ(虚空)である。女子寮にも時々出張している。他にもムーラン建設の寮などにもよく行っているようだ。あちらでは自動去勢器を使っちゃった人もいるもよう。
 
アイはきっと人体実験で改良に役立ててる。
 
自動去勢器は睾丸を切除した後で麻酔を掛けるという謎仕様、また自動オナニー器で到達したらいきなりペニスを切断するという不思議仕様は千里に言われてやめたようである。これで今井葉月やキャロル前田が犠牲になっている。キャロル前田はいったんペニスを切断されてしまったものの「まだペニスを取る心の準備が出来ない」と言って復活してもらった。ついでにヴァギナも造られた!
 
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彼は現在実は生理がある。ナプキンを使っているが同居している他のメンバーは“生理ごっこ”しているのだろうと思っている。アイは「妊娠はしないんじゃないかなあ、多分」と言っていた。
 
キャロル前田の妊娠報道も近い♪
 

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11月7日(月)から五反野の女子寮地下のスタジオでは、アクアのミニアルバムの制作が始まったが、私は小平市にある政子の実家の隣!に建てたスタジオでローズ+リリーのアルバムの歌唱録音に入った。
 
ここに以前建っていた家は2019年11月にガス爆発で崩壊し、周囲の住宅も被害を受けて建て直しが必要になった。それで持ち主は土地を売却して周囲の家に補償をし、よそに引っ越していった。その時、土地をポンと1.8億円で買い取ってあげたのが政子である。
 
「だってあのおじさんには小さい頃たくさん遊んでもらったし」
と政子は言っていた。縁日とか花火大会とかによく一緒に行っていたらしい。
 
政子はここにガレージを建てたいと言っていたのだが、
「ガス爆発のあった土地って何かあるかも知れないし」
と言って、たまたま東京に来ていた青葉に見てもらった。
 
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青葉は腕を組んで難しい顔をした。そして千里を呼んだ。千里は
「ここは2〜3年は人が住めない」
と言いながらもその土地が次第に浄化されていく仕組みを作ってくれた。
 

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今回の制作をするに当たり、最近私が忙しくて恵比寿のマンションではごはんにありつけないことも多いので、実家に居る確率の高いマリのためにこのガレージだけが建っていた土地にスタジオを建築することにしたのである。千里に見てもらったところ
「ここで宿泊しなければ問題無い」
 
ということだった。(千里が作った結界があるので)霊障までは起きないが、ここで寝てると多分悪夢を見るということらしい。
 
それで夏頃から建設を始め、機器を持ち込んで録音・ミキシングなどができるようにした。そういう訳でアルバム『空』の大半の歌唱録音は、政子の実家の隣のスタジオ(仮称:小平スタジオ)でおこなったのである。
 
基本的には午後にはここで自主練習していてもらい、詩津紅と白石マネージャーにお世話を頼んでおく。詩津紅は実は実家がわりと近くである。夜だいたい21時頃に私が佐良さんの運転するHonda ACCORD でスタジオ入りする。それから夜26時くらいまでが録音作業である。夜間のマネージングはだいたい竜木マネージャーがやってくれる。技術者は私の親友・市田有咲(旧姓町田)の会社の若い技術者が午後と夜間、交替で入っていてくれる。ミクシングには20代の若い耳が必要である。
 
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伴奏の修正が必要な場合はいったんDTMソフト上で修正しておく。そしてある程度まとまったところで七星さんに連絡すると、七星さんの家にあるスタジオにスターキッズのメンバーが集まって修正してくれる。
 
ちなみにマリの普通の起床時間は昼12時くらいで就寝時間は午前4時頃である。だいたい普通の人と6時間くらいずれている。
 
作業が終わったら私は政子の実家で寝て、朝佐良さんの運転する車で恵比寿のマンションに出掛ける。私は特に重要な案件が無い限り信濃町の事務所には出ない。向こうはコスモスに自由にやってもらうためである。
 
(↑ケイは毎日16時間くらい働いている気がする)
 

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夏の日の想い出・アルバムの続き(13)

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