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■夏の日の想い出・君に届け(12)

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KARIONのステージが終わったあと、XANFUSの演奏中に私は仮眠させてもらう。そして10分前に起こしてもらい、メイクをする。
 
なお、KARIONとXANFUSの間、XANFUSとローズ+リリーの間にもローザ+リリンのステージが10分間ずつ挿入されたが、視聴者たちは爆笑だったようである。
 
この支援イベントのラストを私とマリが締めくくる。私たちはスターキッズやお友達の伴奏に合わせて、これらの曲を歌った。
 
『君に届け』
『Burning Snow』
『ヴィオロンの涙』
『雪が白鳥に変わる』
『Atoll-愛の調べ』
『青い豚の伝説』
『コーンフレークの花』
『ピンザンティン』
『影たちの夜』
『あの夏の日』
 
『ピンザンティン』では会場に並べた800枚近いモニターの中で、視聴者の人たちがお玉を振ってくれているのが見えて、とても楽しい気分になった。
 
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最後にスターキッズや他の伴奏者たちが退場して、私のピアノだけで、『あの夏の日』を演奏する。
 
最後の音の余韻が消えたところで、割れるような拍手が歓声アプリから響いてくる。私たちは立ち上がり、モニターと書き割りで埋め尽くされた会場に向かって、深くお辞儀した。
 
その次の瞬間、中継画面は3×7=21分割された映像になる。
 
(2) リノン カノン (4) 丸山アイ 鹿島信子 フェイ ヒロシ
(4) 亮子・准子・道子・真樹
(4) いづみ みそら らんこ こかぜ
(3) 音羽 光帆 キャロル前田 (4) マリ ケイ 醍醐春海 大宮万葉
 
そして音羽が
「最後の曲は『花は咲く』」
と言うと、録音されていた伴奏(XANFUSが演奏したもの)が流れ、分割された画面に映る人が、この歌を熱唱して中継は終了した。
 
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最後に
「これにて2020年東日本大震災復興支援イベントの中継を完全に終了します」
という山下ルンバのアナウンスがあり、番組は終了した。
 

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「冬だけ2枠出てずるい」
と後からマリに言われた。
 
「いや、1人はローズ+リリーのケイで1人はカリオンの蘭子だよ」
「もうその話はみんな忘れているのに」
 

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この日は出演者35名でクレール(若林店)に行き、打ち上げをしたが、ここは客席を完全にビニールシートで区切ってあり、また強烈な換気を掛けてあった、このビニールシートは、津幡公演のために準備していたものだが、それがキャンセルになってしまったため、若葉と和実が、ムーラン及びクレールで使いたいと言って、大量に買い取ってくれたものである。おかげで津幡アリーナに掛けた改造費用の一部を回収できて私も助かった。一部は千里が津幡アリーナの2階常設席の区切りとしても使用すると言っていた。
 
なおこの打ち上げでは会話禁止!とした。おしゃべりは全てLINEなどのメッセージ交換を使用する。注文も、クレールがコロナ対策で用意した注文パネルを使用する。このパネルは客ごとにきちんとアルコール消毒して出しているらしい。
 
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この日は、4月から入社するメイドのために建設した女子寮にみんな泊まった。まだ建てただけで寝具を用意していないのだが、全員ゴロ寝である。男性たちに和実は“今夜だけ女子”パスを渡していた。
 
「ちなみに今夜だけではなくずっと女子になりたい人は、秘密の男の娘改造室にご案内しますが」
 
「いや、遠慮しとく」
 

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翌日は一部のメンバーでクレール青葉通り店の建設現場に行った。ここに来たのは私と和泉に八雲さん、青葉と千里、和実、東京から駆けつけて来たコスモスと加藤部長に、TKRの山崎さんである。
 
「かなりできてるね」
「コロナ対策で設計図をかなり書き換えた。竣工は少し遅れるかも」
「遅れても問題ないんじゃない?」
「うん。今の状況では、予定通りオープンできるとは思えない」
 
コロナ対策は実際には、私・千里・若葉・和実・丸山アイなどで話しあった内容に基づくのだが、どういう対策をする予定かというのを、加藤部長は熱心に聞いていた。おそらく、今後のライブのあり方について参考にさせてもらうのだろう。
 
またここにコスモスが来ていたので、和実は信濃町ガールズにここでも歌ってほしいと要請。コスモスは信濃町ガールズもいいが、§§ミュージックの“中間層”歌手たちにここで歌わせて度胸付けさせるのもいいかなと言っていた。
 
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ところで震災イベントのチケット払い戻し期間は念のため3月15日まで設定していたのだが、実は払い戻しした人は、わずか2割程度に留まった。
 
それは実はネットで
「今回の震災イベントのチケットは実質被災地への寄付なのだから、そのまま寄付でいいんじゃない?」
 
という声があがり、多くの賛同者が現れたためである。有名人の中にも
 
「自分はアクアのチケットを運良くゲットしたけど払い戻しはしない」
と言明した人などがいた。
 
「私たちはこの後も口座番号を明記してチケットを★★レコードまで郵送してもらえたら責任持って返金します」
 
と広報した上で、取り敢えず返金受付窓口を閉めたのだが、その後も返金の請求をしてくる人は皆無だった。
 
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それで私たちはありがたくその分を全部被災地に寄付させてもらった。
 
なお今回のイベントの運営費は中継の設備を揃えたり、プロジェクターやパソコンなども揃えたこともあり、全部で2億円ほど掛かっているが、これは6割をサマーガールズ出版、残りを§§ミュージック、★★レコード、フェニックストライン、ムーランが1割ずつ負担している。
 
(ストリーミングの視聴料収入も全部寄付しているので売上が上がっても費用は相殺されない)
 

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3月9日(月)。
 
私は再び亮平君と都内の料亭で会ったのだが、私は彼の話に仰天することになる。この料亭はコロナ拡大の中、一般の予約を全て断っているらしい。受け付けているのは、お得意様に限られる。実際この日はどうも客は私たちだけだったようである。
 
「結局、政子と別れた原因って何なんですか?」
「僕の浮気です。本当に申し訳ないです」
と亮平は謝った。
 
「それはいけませんね」
と私はさすがに苦言を呈した。
 
「僕も謝ったのですが、政子はもう冷めたと言って、許してくれませんでした」
「もしかして何度か目ですか?」
「面目ないです」
 
まあ彼はそもそも人気があるし、優しい性格だからなあと私は思った。
 
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「それで何から話したらいいのか分からないのですが」
と言って彼は話を始めた。
 

「実は、6日の日に帰宅したら、原野妃登美が来てまして、夕食を作って僕の帰宅を待っていたんですよ」
 
「浮気って彼女ですか?」
「違います。彼女とは2年前に別れた後は、一度もセックスはしていませんでした」
「でも鍵は持っていたんですか?」
「鍵は政子からもらったということで」
「ああ!」
 
「実は僕は政子から妃登美に売却されちゃったんです」
「はあ!?」
 
それで亮平が説明した内容に、私は呆れてしまったのだが、どう反応していいか分からず腕を組んで考え込んだ。
 
「それで実は妃登美は妊娠していたんですよ」
「へ?亮平さんの子供ですか?」
「違います。本当に僕はあの子とはこの2年間性的な接触はしてないんですよ」
「だったら」
「それがこういうことらしいんです」
 
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と言って亮平が話してくれた内容に、私は再度腕を組んだ。そして、唐突に、妃登美のお腹の中の子供の父親って、もしかしたらあの人では?というインスピレーションが閃いた。
 
そして・・・その瞬間、氷川真友子のお腹の中の子供の父親も分かってしまったのである。
 
そういうことだったのか!
 
でも1人と避妊失敗するのは分かるが、2人も相次いで避妊に失敗するってあり得るだろうかと考えた。これはきっと誰かの作為がある、と思った。
 
そうだ。これは春朗さんと結婚を決めた女性が仕掛けたんだ。おそらくは自分以外にも彼に恋人がいることを知らず、自分が春朗さんに結婚してもらいたいという一心で。それが思わぬ波紋を生み出したのだろう。
 
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ひとつ間違えば大きな悲劇か愛憎劇になるところだが、どうも丸く収まりつつある気がする。
 

「それでどうするんですか?」
「僕は妃登美と結婚するつもりです」
「いいと思いますよ。だったら子供は?」
「200日には足りませんけど、結婚している夫婦が出生届けを出せば、自動的にその子は僕の子供として戸籍に記載されます」
 
(本当は子供が嫡出になるためには結婚後200日以上した後の出産でなければならないのだが、出生届けを出すことで認知したのと同じ効果が出て、特例で嫡出になる)
 
「それでいいんですか?」
「構いません。僕は妃登美のこと好きですから、全てを引き受けます」
「いいと思いますよ」
と言いながら、私は亮平君って、何て男らしいんだろうと彼を見直した。
 
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「ちょっと待って」
と言って、私は唐突に頭の中に浮かんだメロディーを近くにあった伝票の裏に書こうとしたのだが、亮平君がさっとメモ用紙を出してくれたので、御礼を言って、私はそこにABC譜でメロディーを書き留めた。
 
だいたい5分ほどで曲はまとまったが、私はそこに『I Love you All』と書いた。
 

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「いい曲できました?」
「プライバシーの暴露にならないように気をつけて作りますね」
「お願いします。あまりバラされると、妃登美が辛い目に遭うので」
「分かりました」
 
「それで妃登美と結婚することを今度の日曜日にも発表するつもりです。事務所の社長も承諾してくれました」
 
「まあ、30代のタレントの結婚には反対できないでしょう」
「社長も諦めた感じでした。でもいきなり結婚を発表して、妃登美が妊娠していることも発表したら、それをケイさんが聞いたら激怒するだろうと思ったので、内情を先に話しておくことにしたんですよ」
 
「そういうことでしたか。確かに内情知らずに聞いたら私は激怒したと思いますよ」
 
「ちなみに、政子が怒る原因になった彼女とはもう切れているんでしょうね」
「その子とはもう年末に別れていたんですけどね」
「そうなんですか?そんな前に別れていたのなら政子も怒らなくてもいいのに」
「いや、その時点では新居のプランとかも話していた時期だから、その時期に僕がまだ二股していたことが許せないと」
「ああ。微妙な所だ」
 
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「でも僕は妃登美と結婚するから、もう政子の恋人にはなれません」
「まあそうでしょうね」
「ちょっと寂しいけど割り切ることにします」
「妃登美さんを幸せにしてあげてください」
「ありがとうございます」
 
「でも政子のお腹の中の子供の父親であることも忘れないで下さいね」
「それはもちろんです」
 
私はふと気づいた。
 
「だったら、亮平さん、秋には2児の父になっちゃうんだ?」
「そうなんですよ。まだ全然心の準備ができません」
と言う亮平の顔は嬉しそうだった。
 

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Timeline(2019.12-2020.03)
12.下旬 高木佳南のニードルワーク
1.初旬 真友子・妃登美が妊娠に気づく。佳南も妊娠確認
1.09(木)真友子、春朗に結婚できないと告げられる。
1.10(金)妃登美、春朗に結婚できないと告げられる。
 
1.23(木)深夜 真友子が礼江に妊娠を告白。
1.27(月)真友子が春朗に認知拒否を告げる。
1.28(火)妃登美が春朗に認知拒否を告げる。
2.24(振)春朗が妃登美にお詫び金を渡して関係清算。
2.25(火)春朗が真友子にお詫び金を渡して関係清算。
 
3.01(日)春朗が佳南に指輪を贈る(サイズ調整のため受取は1週間後)。
3.02(月)礼江が男装し春朗の振りをして宝石店を訪れ、石のサイズを確認。
3.03(火)政子が亮平と別れる。
3.04(水)礼江が真友子に指輪を贈る。政子が妊娠発表し相手とは別れたと語る。
 
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3.05(木)氷川と礼江が加藤部長に結婚報告。
同日妃登美はマリから亮平を“買い取り”亮平の所に押しかけ女房。
3.06(金)氷川と礼江がケイに結婚報告。
3.09(月)春朗と礼江が静岡の実家に行き母に結婚報告。
3,15(日)亮平が妃登美との結婚を発表。披露宴はリモートで実施。
 
結局いちばん大きなサイズのエンゲージリングをもらったのは原野妃登美!

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夏の日の想い出・君に届け(12)

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