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■夏の日の想い出・君に届け(2)

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1月上旬、石川県の〒〒テレビの石崎柚布・制作部長さんが、うちのマンションを訪問してきた。
 
「確か川上青葉が4月から就職するテレビ局さんでしたよね」
「そうなんです、それで川上さんのことで相談がありまして」
 
と言って、石崎部長は、青葉を使った、作曲者さん紹介番組を企画していることを話した。これは青葉が東京五輪の代表に選ばれることは確実なので、夏までは彼女を報道番組などで使うことができず。日本水連とも話し合った上で、“撮り貯め”ができる、取材番組をやらせようということになったことを石崎さんは説明した。
 
それで実はその作曲家の一覧(と順序)を見て欲しいということだったのである。
 
これは確かに難しい問題だと思った。自分を飛ばしたとか、順序が違うと言って怒り出しそうな人もいる。私は石崎さんと話し合い、下記のような順序を決めた。
 
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東堂千一夜(1943) 4/05
東城一星(1954) 4/19
木ノ下大吉(1957) 5/10
東郷誠一(1965) 5/24
山本大左(1966) 6/07
すずくりこ(1966) 6/21
松居夜詩子(1962) 7/05
 
そして第一回の東堂千一夜さんには自分が付きそうこと(でないと東堂先生の話は24時間くらい続いて、多忙な青葉がダウンしかねない)、また東城一星さんの住んでいる所には北海道在住のチェリーツイン・桃川春美が案内できることを言い、桃川さんには電話して承諾を取った。
 

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1月22日(水)、仙台在住の月山和実が早朝、私のマンションを訪れ、2016年秋にクレールをオープンする時に借りた4000万円を返却したいと言って、銀行振出の小切手を私に差し出した。私は驚いて
 
「お金大丈夫なの?」
と訊いた。すると和実は意外なことを言った。
 
「隣にイオンが来るかも知れないというので、いっそのこと仙台市街地にお店を作って、そこの売上で借金をどんどん返していこうかというのも考えてみたと言ってたでしょ?」
 
「うん。京都で会った時言ってたね」
 
その時、私は小浜のミューズシアターの工事進捗状況を見にいっていて、帰りに京都駅で和実と遭遇し、東京までの新幹線で一緒に座って話したのである。
 
「Q議員の逮捕でイオンが来る話は消えてしまったんだけど、仙台市街地への出店は実行しようと思ってさ。あらたに銀行から資金を借りたから、一時的に資金のゆとりができたんだよ。それで政子ちゃんから借りた分はここで返しておこうと思って」
 
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「仙台市街地に出店するんだ!家賃高いのでは?」
 
「ちょうど売地になっていた土地を買った」
「よく買えたね」
「若葉の知り合いの必殺値切り人さんに4億8千万に値切ってもらったから」
「若葉が絡んでいるのか!」
「幽霊が出るという話だったけど、千里が除霊してくれた」
「千里も絡んでいるのか!」
 
「実は千里はQ議員とその親戚とかが買い占めていた、イオンとかカジノを誘致するために用意していた土地が、暴落していたところを根こそぎ買って、そこに公園を作ると言っている」
 
「へー。そんなところにも千里が」
「体育館を建てるらしいよ」
「何のために?」
「建てるのが趣味なんじゃない?」
「体育館建てるなら、ライブができるようにしてもらおう」
「ああ、冬はそういうだろうと言っていた」
「後で連絡しよう。だったら、この件には、若葉と千里が絡んでいるんだ?」
 
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「実は若葉と千里はクレールの主要株主なんだよ」
「なるほどー」
「だから新しいお店のビルと土地も、この3人で出資した会社で所有することにした」
 
「ああ」
 
それで私は、この4000万の返済資金もそのあたりから出ているのだろうと想像した。それで私は4000万の小切手を受けとった。
 

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和実は新しいビルの上の階に音楽スタジオを作り、TKRに丸ごと貸すことにしたと言った。私はそのスタジオに勤務する技術者さんを、麻布先生のコネで探してあげるよと言った。また、楽器店を入店させたいが、入店してくれそうな楽器店を知らないかというので、その日私は和実と一緒に仙台に行き、区画整理で移転を迫られていた楽器店を新しいビルに入居させる話をまとめた。
 
その日は話がたくさんあって、私も、うっかりしていたのだが、東京に戻ってから帳簿を確認したら、和実からは2017年末に500万返却してもらっていたことに気づいた。私は和実に連絡して、500万を彼女の口座に振り戻してあげた。
 
500万の返却を和実は忘れていたと言っていたが、私も帳簿を確認するまで忘れていたので、あいこである。
 
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1月中、私は『十二月』の発売、その後のツアーの準備などで多忙だったのだが、政子はかなり暇そうにしていた。それで政子にはできるだけ竜木マネージャーを付けて目を離さないようにしておいてもらったのだが、実際には、大林亮平のマンションにかなり入り浸りになっているようだった。
 
また、ローズクォーツの『Rose Quarts Plays Pops』の海外ポップスの歌詞の日本語訳を自ら買って出て、どれもかなり直訳っぽい歌詞を書いたが、それを歌うローザ+リリンが、かなり嫌がった曲もあったらしい。日本でならわりと婉曲的に表現するものを、洋楽ではけっこう大胆でストレートな歌詞になっているものも多いからなと私は思った。
 

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ローズ+リリーのシングルは現在16連続ミリオンが続いているが、連続ミリオンの記録では、実は12月25日に発売されたばかりのアクア『あの雲の下に/白い翼で』がデビュー以来の17連続ミリオンとなって、抜かれている。シングルを出すペースが全く違うので、彼(彼女?)の記録は、この後、ローズ+リリーよりずっと上に行くだろう。彼に声変わりが来るか、あるいは性転換!?でもしたりしない限り。
 
そしてさすがにローズ+リリーの連続ミリオン記録は今年中にも終了するだろうと私は思っていた。
 
私は震災復興イベントの作業もあったが、1月は来月実施予定のローズ+リリーの全国ツアーの準備も進めていた。
 
演奏者の確保やチケットの手配などは、玄子・竜木の2人のマネージャーが風花と相談しながらやってくれるので、私も楽だし、一時かなりオーバーワーク気味になっていた鱒渕さんの負荷もかなり軽減されているようだ。
 
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なお、担当してもらっている仕事の都合上、玄子さんは§§ミュージックの所属、竜木さんはサマーガールズ出版の所属にしている。
 

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一方で、私は中国で昨年11月頃?発生しておびただしい死者が出ている新型肺炎の情報が気になっていた。中国と日本の間の人の交流は多い。更に悲惨な状態になっている武漢(ウーハン)は国際都市である。多数の外国人が出入りしている。日本に飛び火するのは時間の問題だろうと思っていたら、1月16日にとうとう神奈川県で最初の患者(武漢に滞在していた中国人男性)が確認された。
 
1月25日は春節(旧正月)である。一部には、春節前に中国との行き来を制限すべきだという主張もあったが、政府は全くの無策を続けた。私は悪い予感が拡大しつつあった。
 
中国での感染者数は春節前の1月24日、とうとう1000人を越えてしまった。
 
政府は1月28日、武漢に滞在している日本人を帰国させるためのチャーター便を運航した。この時、日本が武漢の医療機関にマスクなど多数の衛生用品を贈ったことは現地の人たちに喜ばれた。
 
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1月下旬、私は千里・コスモス・丸山アイの4人で緊急会談をした。
 
「中国の数字は全く信用できない。実際はあの10倍以上だと思う」
と千里は言った。
 
「私も今自分の情報網を使って調べているけど、ウーハンは既に生き地獄になっている。今まだ死者は数百人だけど、たぶん数千人死ぬ」
と丸山アイは言った。
 
「日本にも来るよね?」
「避けようがないでしょ。日本でも相当の死者が出ることは覚悟した方がいい」
とアイは言う。
 
「アイちゃんも、千里も、中国に情報網持っているよね?」
「うん」
と2人とも答える。
 
「何をしなければならないか、何を準備しなければならないか、多少不確かな情報でもいいから欲しい」
と私は言った。
 
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「濃ゆめの洗剤でマイクとか、テーブルとか、譜面台とか、楽器とか拭くようにして。あとドアノブとか窓サッシのクレセント錠とか、人がよくもたれかかる柱とかも。とにかく人間の手が触れたり、つばが飛びそうな所」
 
とアイは言った。
 
「洗剤がいいの?」
 
「この病気の原因はコロナウィルスの一種だけど、界面活性剤の作用でコロナウィルスのエンベロープが破壊されるんだよ。これはコロナウィルス共通の弱点なんだ。だから、日常的に洗剤での掃除を徹底して。コスモスちゃんも、アーティストやバンドの人とかスタッフさんにも、それを徹底させて。特に応接室とかスタジオは使う度にきちんと掃除。掃除しない内に次の人を入れない」
 
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「分かった」
とコスモスも緊張した顔で答えた。
 
「あと、大皿での食事はしないようにしよう」
と千里は言った。
 
「ああ、確かに危なそうですね」
とコスモスも言う。
 
「食事は個別に食器に盛ったものを。あと対面で人を座らせない」
「へー!」
「向かい合って座る時は、互い違いに」
 
「分かった。それ早急にまとめて社内に通達を出します。後で文章をメールするからチェックしてもらえます?」
 
「取り敢えずこの4人で共通のワークスペースを作ろうよ」
「そうしよう」
 
1月31日、WHOはこの新型肺炎(この時点ではまだ名前が付いていない)についてPHEIC (Public Health Emergency of International Concern)− 国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態−を宣言した。
 
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1月31日、中国での(公式発表上での)患者数は1万人を超えた。1000人を突破してから、わずか一週間で10倍になってしまった。この時点で2012-2015年に全世界で2500人が感染したMERS、2002-2003に全世界で8000人が感染したSARSを既に越えている。
 
(1/31時点で中国での死者は公式発表でも259人)
 

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その日、推理作家の小坂時郎さんが、わりとうちには常連の大食いタレント・神崎バレンと一緒に、うちのマンションを訪問した。
 
実はマリがボリュームが“二郎”より凄いことで、一部の人たちに有名な鹿鹿鹿ラーメンで遭遇して、意気投合し
「うちで夕飯でも食べていきません?」
と誘って連れてきたらしい。バレンも近くに居たので一緒に誘ったらしい。
 
(二郎の倍くらいのボリュームのラーメンを食べた後、よく夕食が入るものだ)
 
小坂さんも女性のひとり暮らしの家なら遠慮したのだろうが、私がいるだろうと思ったようだし、バレンも一緒なので付いてきたようである。
 
「小坂さんも“大食い仲間”だったんですね」
と私は牛肉を取り敢えず2kg解凍しながら言った。
 
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「いや、あそこはマリちゃんも常連とは聞いていたし、マリちゃんのサインがお店に掛けてあったのは見ていたのですが、遭遇したのは初めてでしたね」
などと小坂さんは言っている。
 

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「だけど、私、小坂さんの小説好きですよ。『ロボット旅館』でハマッちゃったんですよ」
などとバレンが言っている。
 
「それは初期の作品からありがとうございます」
と小坂さん。
 
「でも小坂さんの作品って、ほんとにトリックが凄いですよね。よくこんなの思いつくなといつも思ってます」
とバレンは言っている。
 
「ああいうのは、だいたい全然関係無い作業してる時に思いつくんですよ。掃除してる時とか、料理作ってる時とか、運転してる時とか」
 
「ケイも運転中によく曲のモチーフ思いつくというよね?」
 
「うん。運転している時はわりとそれある。だからすぐ左脇に駐めて書き留める」
 
「あれ、すぐ書き留めないとダメだよね。5分もしたら忘れちゃう」
と小坂さん。
 
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「そうそう。後で思いだそうとしても、絶対思い出せないんですよ」
と私も言う。
 
「クリエイターと一般人の差がそれだと思うんですよ。誰でも凄いこと思いつくけど、すぐそれをメモする人だけがクリエイターになれる」
と小坂さんは言っているが
 
「私はその書いたメモをすぐ無くす」
などとマリは言っている。
 

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夏の日の想い出・君に届け(2)

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