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■夏の日の想い出・若葉の頃(4)

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4月29日、ローズ+リリーのツアーは沖縄から始まる。ローズ+リリーの国内ツアーは2014年12月以来1年4ヶ月ぶりで今回総計10万枚ほどのチケットは数時間で売り切れている。転売防止のため入場にはファンクラブ会員証を含む写真付きの身分証明書の提示が必要であり、実際入場口で入場を断られている人が結構出ていた。
 
今回のツアーの演奏に関しては、できるだけオリジナル通りにしようという方針を、私と氷川さん・森元さん、および大宮さんの4人で固めたので、大量の伴奏者が必要になった。
 
まずローズ+リリーのサウンドに必須の存在になっている弦楽器セクションについては、今回従姉のアスカ自身が参加してくれることになった。アスカとその生徒さんたち6人で構成する。
 
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管楽器セクションは渡部賢一グランドオーケストラのメンバーに協力してもらったほか、青葉の友人数人にも参加してもらった。青葉と同学年の田中世梨奈(金沢H大学)にフルート、上野美津穂(富山T大学)にクラリネット、1つ下の日高久美子にサックス、2つ下の久本照香にフルートをお願いした。田中さんと久本さんは昨年の苗場ロックフェスティバルにも参加してもらっている。
 
サックスは七星さんを中心に、日高さんとバレンシアの心亜の3人で吹いてもらうことになる。クラリネットは上野さんと私の友人・詩津紅の2人で吹いてもらう。フルートは、田中さん・久本さんともうひとりは線香花火のアンにお願いしていた。
 
弦楽器セクションと並ぶサウンドの要である和楽器に関しては私の親戚を動員している。箏は恵麻、胡弓は美耶で琵琶はその2人の母・風帆、三味線は佳楽、太鼓は歌衣、尺八はその2人の母・清香というメンツである。
 
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演奏者を物凄く選ぶ2つの楽器、龍笛と笙については、私は物凄く悩んだ。
 
今回は、当初の予定では龍笛を青葉、笙を七美花に頼むつもりで、本人たちからも内諾を得ていた。
 
私としては青葉には東北支援ライブでかなり無理してもらったので今回はその分も取り戻せる程度のギャラを払うつもりでいた。
 
ところが青葉が直前になって
「本当に申し訳ありません。重大案件に関わってしまって、手が離せないんです」
と言ってきたのである。
 
「お仕事が大変なのは理解するけど、こんな直前に困るよぉ」
と私もさすがに文句を言ったのだが、どうも向こうは人命に関わる仕事をしているようなのであまり強くも言えない。
 
それで代替演奏者を探さなければならなくなったのだが、こういう時に便利に使える笙・龍笛どちらも吹ける鮎川ゆまは、南藤由梨奈のツアーで同じ時期に全国を飛び回る。
 
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千里にも打診してみたが、彼女自身はオリンピックを前にして日本代表の合宿でほとんど時間が取れないということであった。念のため、彼女から海藤天津子さんにも照会してくれたが、彼女は連休中は「富士山ツアー」で、信者さんたちと一緒に富士登山をするということであった。
 
「まあ、それで元はといえば私の妹のドタキャンだから、責任取って、私が禁断の吹き手を紹介するよ」
 
ということで、千里の紹介で来てくれたのが、その人だったのである。
 

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「あのお、お名前お聞きしてもいいですか?」
とマリが珍しく控えめに言った。
 
「謎の男の娘ということにしておいてください」
と彼女は響きの豊かなソプラノボイスで言った。声質は40歳くらいに聞こえる。千里の知り合いなら、姉弟子か何かなのだろうか。
 
しかしみんな、その内容に反応した。
「男の娘なんですか!?」
 
「ちんちん付いてますよ」
「ほんとに? 見せて」
「そんなの見せたらセクハラです」
 
「何か吹いてみてもらえます?」
と七星さんが言う。
 
千里の推薦なら間違い無いだろうが、七星さんとしては吹き手の実力を確認しておかないと不安だろう。
 
それで《謎の男の娘》さんは『門出』の龍笛パートを吹いてみせてくれた。このパートは(たぶん)千里が自分で吹くつもりで書いたパートのようで、かなりの難易度がある。
 
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しかし《謎の男の娘》さんはこのパートを難なく吹きこなした。
 
思わず拍手が起きる。
 
「でもどうして顔を隠すんですか?」
 
彼女はプロレスラーが使うようなマスクで顔を隠しているので、人相が全く分からない。
 
「大人の事情です」
 
「うーん。まあ色々事情があるのならいいですけど、《謎の男の娘》では長いので、もっと短い呼び名とかは無いんですか?」
と風花が尋ねる。
 
「それではオクトとでも呼んで下さい」
「奥の戸?」
「カタカナでオクトかな」
「オクトパシー?」
「オクトーバーだったりして」
「10月生まれなんですか?」
「それが5月生まれなんですよね〜」
 
「うーむ・・・」
 

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ともかくも、今回のツアーでは、笙を七美花、龍笛をこのオクトさんに吹いてもらうことになったのである。
 
沖縄には前日の4月28日に入っているので、その日リハーサルをしたが、その様子を録音しようとしていた★★レコードのスタッフにオクトさんは言った。
 
「私の龍笛と若山鶴海(七美花)さんの笙があわさったら天変地異が起きますから、データのバックアップしておいた方がいいですよ」
 
「へ?」
と今回初めてローズ+リリーのツアーに参加する技術部の横田さんがきょとんとしているので、氷川さんが笑って
 
「今そのハードディスクの中に入っているデータが全部蒸発する可能性があるから、録音には毎回空っぽのハードディスクを使わないとダメですよ」
 
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「え〜〜!? この中身が消えたら、私海外逃亡しなきゃ」
と言って、車でひとっ走り電機店まで行き、新しいハードディスクを2台買ってきたようである。
 

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リハーサルは今日はマリのパートを風花が代理で歌う以外は、原則として本番通りに進める。台本に書いておいた冗談もそのまま言う。
 
そのマリは氷川さんの隣に座っておやつを食べながらニコニコしながらリハーサルを見ていた。
 

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さて、七美花の笙とオクトさんの龍笛が合わさるのは『振袖』と『門出』の2曲だけなのだが、七美花にはそれ以外でも数曲、篠笛を吹いてもらう。その最初の2人の合奏があるのが『灯海』であった。
 
その演奏中に森元課長に電話が掛かってきて、課長はホールの後ろの方に移動してから取ったようである。それでどうも町添部長と話していたようなのだが、途中で「わっ」という小さな声を立て、iPhoneを落としてしまった。
 
私たちは気になったが、演奏中なので先に行く。そしてその曲が終わった所で課長に声を掛けた。
 
「課長、どうかなさいましたか?」
「いや、スマホがどうも壊れてしまったみたいで・・・」
 
「課長、オクトさんと鶴海さんが演奏している時にスマホやデジカメの電源を入れてたら、通話中でなくても確実に壊れますから」
と氷川さんが言うと
 
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「うっそー!?」
と森元さんは驚いていた。
 

4月29日(祝)19:00、今回のツアーの最初のステージ、沖縄公演が始まる。3200人収容の那覇マリンセンターは満員である。
 
1ベル、2ベルが鳴って客電が落ちる。普通ならここで伴奏の音が鳴り始めてイントロとともに幕が上がるのだが、今日は違った。
 
幕が下りたまま、スポットライトが舞台下手袖に当たり、そこにかりゆし系の衣装を着けた私とマリが登場する。
 
物凄い歓声と拍手が起きる。マリが客席に向かって手を振っている。
 
私たちは幕を下ろしたまま、ステージ中央付近まで行く。
 

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「こんばんは!」
とふたりで一緒に言うと
「こんばんは!」
と返事が返ってくる。
 
「ローズ+リリーです!」
と言うと拍手と歓声が返ってくる。
 
「オープニングは沖縄らしく『雪原を行く』で始めるつもりだったのですが」
と私が言うと大きな笑い声が起きる。
 
「今回のツアーを準備している最中に熊本・大分地方で大きな地震が発生しました」
と私が言うと、会場はざわめいている。
 
「九州ってもともと地震は少ないんですよね。それがこんなに大きな地震が起きて、みなさん慣れてない分ほんとに大変なようですが、私たちにできることって何だろうと考えていたら、マリが応援ソングを作ろうと言い出しました」
 
ここで拍手がある。
 
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「こういう時のマリの行動って速いんです。10分ほどで誌を書き上げて、そのあと自分で30分くらい掛けて曲を付けてしまいました。そういう訳で、先週作ったばかりの曲『もっこす清正公』」。
 
ここで風花が舞台袖からパイプ椅子とアコスティックギターを持って出てくる。私はその椅子に座り、ギターを抱えて弾き始める。そして私たちはそのギターの音に合わせて歌い始めた。
 

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マリは実際には五線譜の上に波線のようなものでメロディーの「だいたいの流れ」を書いたので、それを曲として仕上げたのはむろん私である。マリは過去に何度か同様の手法で「作曲」をしたことがある。その最大のヒット曲が『神様お願い』である。
 
愛用のYAMAHA FG730Sを私がジャンジャンという感じでピックで鳴らしながらふたりで歌う。アコギ伴奏ではあっても、とっても元気な歌である。
 
「もっこす、もっこす、もっこす、もっこす」
と連呼しているし、「清正公の虎退治、ついでに地震のナマズ退治」(字余り)
などと、ほとんど言葉のリズムだけで書いたような詩である。
 
速筆のマリっぽい詩である。和泉なら1時間悩む所をマリはほとんど何も考えずに5分で書いてしまう。ふたりの性格の違いだ。
 
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この曲が終わった所で高らかにトランペットの音が鳴り響く。
 
男性的なとても力強いトランペットである。この音を合図に多数の楽器が鳴り始め幕が開く。私はギターとピックを椅子の上に置き、マリと手をつないでスタンドマイクの所に移動する。
 
『灯海』を演奏する。
 
電気楽器を全く使っていないにも関わらず物凄く元気で活力あふれる曲である。『The City』のコンセプトは『仮想表面』から始まったのだが、この曲は私があのアルバムを作っていく中で到達した最終進化形のようなものである。
 
弦楽器が重厚なサウンドを奏でる。金管楽器が明るい音を出す。フルートや龍笛・篠笛といった笛たちが自由に動き回る。
 
私とマリの歌が無くてもいいくらいだ!
 
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アップテンポで5分ほどの演奏で、私たちは軽く汗を掻くほど、熱唱した。
 

曲が終わるとともに、私は演奏者を紹介する。
 
「第1ヴァイオリン・蘭若アスカ」
「第2ヴァイオリン・鈴木真知子」
「ちなみに蘭若さんは国際的な***コンクールで優勝、鈴木さんは同じく国際的な###コンクールで3位になったことがあります」
 
「第3ヴァイオリン・伊藤ソナタ、第4ヴァイオリン・桂城由佳菜、第5ヴァイオリン・前田恵里奈、第6ヴァイオリン・佐藤典絵」
 
「ヴィオラ・鷹野繁樹、チェロ・宮本越雄、コントラバス・酒向芳知」
「ギター・近藤嶺児、グロッケン・月丘晃靖、リードオルガン・山森夏樹、ピアノ・長丸穂津美」
 
「トランペット・香月康宏、トロンボーン・杉江諒太、フレンチホルン・一橋輝良、ユーフォニウム・元山一、チューバ・広瀬和昭」
 
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このあたりの香月さん以外の金管は渡部賢一グランドオーケストラのメンバーである。特に杉江さんは鷹野さんの友人でもある。
 
「クラリネット・上野美津穂、バスクラリネット・安田礼美、フルート・田中世梨奈・久本照香・松川杏菜、アルトサックス・宝珠七星・山本心亜・日高久美子」
 
木管は青葉の友人とバレンシアのメンバーのミックスである。松川杏菜は線香花火のアンである。
 
「そして篠笛・若山鶴海、龍笛・謎の男の娘」
 
と私が紹介すると会場がざわめいている。
 
「えー。ちなみに《おとこのこ》の《こ》の字は娘の方ですね。謎の男の娘さんは事情があって顔を出せないんだそうです。私たちも彼女の顔は見ていません。そんなマスクつけてて汗掻きませんか?」
 
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と最後は本人に向かって話しかける。
 
「大丈夫です。夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けない、丈夫な身体を持っています」
 
「お聞きの通り、彼女はふつうに女性の声ですよね。実は女性ということは?」
「私、男ですよー。ちんちん付いてます」
「すみません。ちんちんは禁句にしてますので、よろしく」
「ああ、禁句にしないと、マリちゃんが下ネタ全開になるもんね。すぐ人を去勢したがるし」
 
「すみません。去勢とか性転換も禁句で」
「ごめーん」
 
「女装はいい?」
と隣からマリが茶々を入れる。
 
「だめ」
「はーい」
 
 
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■夏の日の想い出・若葉の頃(4)

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