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■神様のお陰・高3編(8)

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予備校の夏期講習から帰った後、ふたりは毎日どちらかの家で一緒に勉強していたが、8月21日(日)には模擬試験があり、命(めい)たちの学年では大学への進学を考えている子ほぼ全員でK町の会場まで受けに行った。人数が多いので、スクールバスを出してもらっての移動であった。
 
受験者は男子16名・女子10名で、それに付き添いの先生1名(理彩たちの担任のH先生)と保護者代表の合計28名、それに運転手さんも入れて定員ジャストであった。先生は男女とも偶数だから、それぞれ男同士・女同士で隣り合って座れるな、と思っていたのだが・・・困った子たちがいた。
 
「なんで、理彩と命(めい)が並んで座るのよ?」と春代。
「私たちはいつも一緒だもん」と理彩。
「そこで男女で座られると、どこかにしわ寄せが行くんだけど」
「春代、香川君と座れば?」
「あ・・・・」と言って春代が香川君を見ると、彼はむしろ春代と一緒に座りたがっている雰囲気。
「そだねー」と言って、二人が並んで座った。
 
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先生が人数を確認するのに後ろまで来ると、その一角だけ男女で座っている。「なんで、お前らだけ男女なの?」と先生が訊くと、理彩が
「あ、命(めい)は女子ですから、ここは女同士です」と答え、春代も
「そういう訳で、最後男女1人ずつ余ったので一緒に座りました」などと言った。
 
先生も命(めい)の女装は何度も見ているので「ま、いっか」と笑って、自分の席に戻った。
 

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春代と香川君はこの時期までは本当にふつうの友だちだったようであるが、この頃から少し良い雰囲気になって来た感じもあった。
 
命(めい)たちの村から試験会場のあるK町までふだんなら1時間半ほどなのだが、その日は途中の国道が混んでて2時間以上掛かった。試験の時間には余裕を持って出ているのでよいのだが、さすがに疲れるしトイレ休憩もしたいということで途中の道の駅で休憩することにした。
 
そこまでの1時間に結構親密になった春代と香川君が、少しじゃれ合いながら歩いていた。その時、香川君が何かきつい冗談を言ったようで、春代が「やだ!」などと言って香川君をどついた。
 
が、その場所が悪かった!
 
ちょうど水路を渡る橋の上だったので、香川君はバランスを崩して、水路に落ちてしまった。
「あ、ごめん!」
「大丈夫、大丈夫」と言って、すぐに上がってくるが、ずぶ濡れだ。
「お前ら、何やってんの?」と先生も駆け寄ってきた。
 
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「わあ、びっしょりだな」
「このままじゃ、いくら夏でも風邪引いちゃうかも」
「ごめんなさい」と春代は半泣き顔。
 
「誰も着替えなんて、持ってないよな?」などと言っていた時、理彩が
「私、女の子の服なら1セット持ってるけど」
などと言い出す。
 
「さすがに女装は勘弁」と香川君。
「あ、分かった!」と理彩。
「命(めい)、今着てる服を香川君に貸してあげなよ。それで命(めい)が私の持ってる服を着ればいいのよ」
「ああ、なるほど!」と周囲から声があがる。
 
「それがいいみたいね。香川、僕の着てる服でもいい? 一応下着は出がけに換えたばかり」
「うん、助かる」
 
という訳で、まず理彩の持っていた服を持って、命(めい)が女子トイレに行き着換えて来た。そして命(めい)が脱いだ服を香川君が持って男子トイレに行き着換えて来た。香川君の濡れた服は、道の駅のショップでビニール袋を買ってそれに入れた。
 
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「理彩、助かったよ。ありがとう」と春代。
「ふざけるのも場所考えてね」
「でも、理彩、何のために予備の服なんて持ってたの?」
「命(めい)を女装させるために決まってるじゃん」
「やはりそうか」
「予定調和だなあ」
 
「でも、命(めい)、今平気で女子トイレに入っていったね」
とひとりの子が言うが、
「命(めい)って、学校でも時々女子トイレにいるよね」
などと、別の子に言われて、可愛いマリンルックのパーカーと膝上スカートを穿いた命(めい)は頭をポリポリと掻いた。命(めい)を女子トイレに連れ込んでいるのは主として理彩と春代であるが、たまにちゃっかりひとりで入っている時もある。
 
試験場で、係の人が受験票と受験者の確認に回ってくる。命(めい)は受験票の性別は男になってるし、何か言われないかな、と思ったが何も言われないのでほっとしたような拍子抜けしたような気分だった。
 
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そのことを休憩時間に、隣の席になった春代に言っていたら、春代が命(めい)の受験票を見て「あれ?」という。
 
「命(めい)の受験票、性別、女になってるけど」
「え? あ、ほんとだ。なんでだろ?」
「申し込む時にチェックし間違ったんだろうね」
「ほんとに間違い? わざと女の方をマークしたんじゃ?」
 
「でもこれじゃ、男の服では受けられなかったね」
「予定調和すぎる!」
 

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10月。春の祈念祭と並ぶ、この村の大きな祭り・秋の燈籠祭が行われる。ふだんの村は、18歳以下と60代以上が大半。という、いびつな人口構成なのだが、この時期は普段都会で暮らしている「若いもん」たちが村に戻ってきてたくさんの燈籠が飾られた9台の屋台を曳いて回る。
 
むろん都会から戻ってくる人たちも多いが、中高生なども、屋台を曳く戦力としては貴重である。命(めい)たち高校3年生も、就職活動や受験勉強に忙しい時期ではあるものの、当然のように戦力として駆り出される。命(めい)もその日、法被を着て、詰所に出かけようとしていたのだが・・・・そこに神社の宮司さんから電話が掛かってきた。
 
行ってみると、理彩も来ていて、何やら巫女さんのような衣装に着替えている。他に宮司さんの三女で大学生の梅花さんも同じ衣装を着ている。
 
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「あ、命(めい)君もこの服に着替えて」と言われて理彩と同じ服を着る。
 
着替えている時に「なんで女の子の下着を着てるのよ?」と理彩から突っ込みが入ったが「それは好都合です」と宮司さんからは言われた。
 
「実は3人でちょっと那智まで行ってきて欲しいんですよ」
「那智って、熊野のですか?」
「そうそう。うちの神社は那智大社の系統にあるんです。神社組織上の系統ではなく、霊的にね」
「へー」
 
「燈籠祭りの大燈籠に付ける火は鏡で太陽光線を集めて作るんですが、その火を那智に納めてくるよう、お告げがあったんです」
「ああ、毎年する訳ではないんですね」
「そうそう。これやるの8年ぶりなのですが、その使者として、君たち3人が指名されたんです」
「わあ」
 
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「梅花は8年前と12年前にも使者をしたんですけどね」と宮司さん。
「わあ、懐かしいと思っちゃった」と梅花さん。
「でも、本来、この役目って女性3人ですよね」と理彩。
「そうそう。だけど、命(めい)君がトップに指名されたんだよね」
 
「それで、僕もこういう巫女さんみたいな衣装なんですか!」
「そうなんだよ。田植え祭りの時の早乙女姿を見て、神様が命(めい)君を気に入ったのかも」
「神様的には命(めい)は女の子なんだね」
 
命(めい)が後で神様(理龍)に聞いた話では、この時期既に神様の卵子が命(めい)の身体の中に宿っていたので、燈籠祭りの激しい屋台の動きをさせるのを避けるために使者に指名したのだということだった。その年にこの神事をしたのは神様の交替があるため。8年前の神事は、それまで那智に籠もっていた円龍神を村に迎えるためだったらしい。通常は辰年の前年(卯年)にすればいいらしい。
 
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拝殿の中に入り、宮司さんと、巫女衣装を着た宮司の奥さんにお祓いをしてもらった。
 
その上で神社境内に燃えている大燈籠から、今年の祭りの祭主さんの手で火が移動用のカンテラに移される。それを今回の使者の代表である命(めい)が受け取った。
 
宮司さんの名代で奥さんが運転する車に3人が乗り込み、那智に向けて出発。途中2回の休憩を入れて8時間のロングコースである。使者とはいっても途中はくつろいでいれば良いということだったので、4人でおしゃべりしながらの行程であった。ただし、使者をしている間は往復とも肉・魚が食べられないということで、昆布おにぎり、お稲荷さん、野菜の煮染め、などをその日の朝、急遽作ってお弁当に持って来ていた。
 
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朝出発して那智には夕方着いた。火納式は深夜にやるということで、火をいったん燈籠に移して一行はいったん神社の施設で仮眠させてもらう。そして23時頃に起き出し、23時半に向こうの禰宜さんに先導されて秘儀の場に向かう。
 
燈籠の火をそこにある3つの松明に命(めい)の手で移す。そしていったんこちらの燈籠は消す。各松明の下の供物台に、持参したお酒とおにぎりを1つずつ置いた。(おにぎりはお弁当用とは別に特別な手順で作ったもので米も精米してない玄米)
 
名代である宮司の奥さんが祝詞を奏上する。それから理彩が祈年祭の時に舞う巫女舞を奉納した。本来は使者は全員村の女性なので巫女舞を覚えているから、代表者が舞うところを、命(めい)はこの舞を知らないので、理彩が代行したのである。
 
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深夜の松明の前で幻想的な舞を舞う理彩の姿が美しい。命(めい)は理彩が舞っている間に、とても大きなものが、自分たちを包んでいるのを感じた。元々の那智の水分あふれる空気もあるせいだろうか。命(めい)はなにか瑞々しいものの中に自分たちがいるのを感じた。
 
舞を奉納したところで、3人の使者は各松明の下に正座し、2つ拍手をしてから供物台のおにぎりを取って頂く。この神々しい場で食事をすることで、使者は神と一体になる。それから目の前の松明の火を各々がトーチに移し、3人で集まって、同時にひとつの新しい燈籠に火を点けた。これで3つの火がひとつにまとまる。
 
トーチと松明の火を消して神社の施設に戻る。そして朝までまた仮眠する。
 
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翌朝の日の出の直後、燈籠の火を新しい移動用カンテラに移した。行きと帰りで使用する燈籠とカンテラは別の物を使用する。命(めい)はこれは火を納めるというより、何かを迎える儀式だと確信した。
 
夕方、村に帰着する。
 
燈籠祭りの屋台は通常は9台なのだが、この火納式をした時だけ特別にあと1台の屋台が出される。命(めい)たちはその特別な屋台の最上段の燈籠に、那智から持ち帰った火を点灯した(燈籠は現在基本的に電気式だが、最上段の燈籠のみ本当に火を使う)。更に神社の境内に置かれた大燈籠の横にもうひとつ別の大燈籠が設置されていたのにも火を移した。ふたつの大燈籠が並ぶのも、この火納式をした年だけである。最後に拝殿内に特別に置かれた3つの小さい燈籠にもその火を移してから、カンテラの火は消した。
 
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3人はそのまま巫女装束で祭りを見守り、夜中の0時から2時まで掛けて10台の屋台が交替交替に神社の境内に入り、拝殿前まで来ては木遣歌を奉納するのを拝殿の中で眺めていた。
 
夜2時、最後の屋台(火納式の時だけの特別の屋台)で木遣歌が奉納されたので祭りは終了する。屋台の火が消され、大燈籠の火も消され、拝殿内の3つの小燈籠の灯りだけになる。この燈籠はこの後1週間点けっぱなしにするらしい。使者の3人はその小燈籠の前に座り、宮司さんの祝詞奏上で、役目を解かれた。
 

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お勤めが終わるとすぐに理彩が「お肉食べたい!」と叫んだので、3人は普通の服に着替えてから、宮司さんの御自宅に招かれ、ストックのお肉で焼肉をして頂いた。
 
「いや、お疲れ様でした。長旅大変だったでしょう?」
「私たちはひたすらしゃべってたけど、運転してたお母ちゃんが大変だったかも」
と梅花さん。梅花も運転免許は持っているが、使者は運転出来ない。
 
「でも、8年前と12年前に、梅花さん、使者の代表を連続で務めたんでしょ?だったら、命(めい)もまた3〜4年後に使者の代表をする可能性ありますよね」
「ああ、確かに」
「じゃ、命(めい)も巫女舞を覚えようよ」
「うーん。。。。」
「本来は初潮前の女の子が覚えるものなんだけど、命(めい)はまだ生理来てないよね?」
「うん、確かに生理になったことはない」
「じゃ、そもそも巫女舞に参加する資格があったりして。それに命(めい)って巫女さん体質だしね」
「ああ、確かに。霊媒体質だよね」と宮司さん。
「命(めい)君が女の子だったら、常勤の巫女さんになって欲しいくらいだとは思ってた。うちの神社、神意を問う神事が多いから」
 
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「うーん。祈年祭の巫女舞は遠慮しとくけど、舞は覚えてもいいかなと思った。昨夜の理彩の舞、幻想的で凄く美しかったし」
「じゃ、私が教えてあげる」
「えっと、今受験で忙しいから、大学の二次試験が終わった後でいいかな?」
「今覚えたら、今度の2月の祈年祭で舞えるのに」
「いや、それは若い子たちに任せておくから」
 
そういう訳で、命(めい)は翌年2月の阪大二次試験が終わった後、巫女舞をしっかり理彩から習ったのであった。練習の時は、当然のように理彩の趣味で女の子の服を着せられていた。
 
「でも今回の旅では久しぶりに女子トイレ使ったな」と命(めい)。
「ああ、確かにあの衣装で男子トイレには入れないよね」と梅花さん。「ダウト!」と理彩。
「先週、学校の女子トイレにいたじゃん」
「えーっと・・・・」
 
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「だけど確かに、那智の神社の人、命(めい)君が男の子だということには全然気づいてない雰囲気だったよね」
「当然です。命(めい)は女の子ですから」
 
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