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■女子高校生・秋のリスタート(8)

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12月13日、音楽グループのチューリップが出身地である福岡市で行われたコンサートを最後に解散した。
 
チューリップは1970-80年代に活発に活動した音楽グループで『虹とスニーカーの頃』、『心の旅』などで知られる。リーダーの財津和夫(財津一郎ではない!)は俳優としても活躍している。
 
オフコース・かぐや姫・さだまさし(グレープ)、などと並ぶ1970-80年代の男性フォークグループの代表的アーティストのひとつである。
 
なおチューリップを検索しようとすると“著作権”というのが検索語の候補に出てくることもあるが、それはこのグループではなく童謡の『チューリツプ』のことである!
 

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12月14日、長崎県佐世保市のスポーツクラブ「ルネサンス佐世保」で37歳の男が散弾銃を乱射、スイミングスクールの女性インストラクターと犯人の知人計2人が死亡、児童ら6人が怪我した。犯人は翌15日早朝、市内の教会近くで自殺した。
 

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男たちは神社のそばに車を停めると“檻(おり)”の出口を開け、その先に餌を放り投げた。
 
「冬ごもり前の熊が里に出て来て人間を襲うなんてよくある事件だよな」
などと男たちは言っている。
 

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御札頒布所に居た和枝ちゃんが短い悲鳴をあげたので千里はその動物を見た。草履を履き、扉を開けて外に出ると千里はその動物と対峙する。
 
熊が千里を威嚇した。
 
千里は一発で熊を倒した。
 
熊が音を立てて倒れたので和枝が訊く。
「死んだの?」
「多分死んでない。和枝さん、110番してください」
「分かった」
 
警察はすぐ来てくれた。熊は死んではいなかったが里に降りてきた熊は危険ということで結局殺処分された。
 

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一方警察が来る前の車の中
「あの女、一発で熊を倒したぞ」
「熊に触りもしなかった。護身用に銃でも持ってるのかな」
「いや銃声とかもしなかった。たぶん合気道の類い」
「合気道で熊が倒せるんですか〜〜?」
「坂本さんも言ってた通りだ。あの女には関わらないほうがいい。この神社からは手を引こう」
「はい」
 
それで男たちは警察が来る前に引き上げて行った。
 

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桜鱒プロジェクトでは12月は「年末だから少し多い方が助かる」と言われたので海面養殖と陸上養殖合わせて1500匹ほどを水揚げして富山の業者に送り1200万円ほどの売上を計上した。以降は毎月500匹程度のペースで取引することで合意している。柳里君は宮田君の助言で今月の売上分は取り敢えず大半を内部留保した。売上があまり上がらなかった月の給与を含む運転資金確保のためである。メンバーもみんな「先月いっぱいもらったから大丈夫」と言ってくれた。ただ月末には「年末手当」として一律5万円配った。
 
「お年玉資金だな」
「最近のガキは1000円くらいじゃ納得せんからな」
 

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2ヶ月続けて大きな売上が出て事業継続のメドが立ったことから、この事業は会社化することにし“桜水産”という会社を設立した。桜観光はこの子会社とする。柳里君が社長、佐々木君が副社長である。この会社で保険証を発行することから、これまで他の会社に勤めていたメンバーの数人がそちらを退職し、この会社の専業となった。柳里君と佐々木君は以前から専業である。
 
会社の資本金は取り敢えず5000万円とし、千里が90%を持つ。他に留萌漁協三泊支部が5%出してくれた。柳里君、佐々木君、田崎さん、宮田君、吉田さんが1%ずつである。この5人の出資額は実はバラバラだったが、この機会にいったん統一した。
 
なおアムリタは千里(天野産業)が所有し、桜観光にレンタルする形を取っている。会社で所有するには高すぎるのである。(アクパーラも所有者は千里(天野産業)。燃えたサラスヴァティも千里が春風観光から5000万円で買い取っていた:この“売却益”で春風観光は金融機関などからの借金をクリアできた/アクパーラは1.5億円で作ってもらった。サラスヴァティの改修費は2000万円払った。火事のお陰で1.5億円相当の船が7000万円で手に入ったことになる。サラスヴァティは20年前に建造した時1億円だったらしい。でも船の建造よりオーケストラの創設にお金が掛かっている:春風さんは1980年頃に土地取引で大きな資金を手にし、あの事業を始めたという)
 
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陸上養殖場の土地と施設(ソーラーを含む)、海上養殖場の施設、養殖場まで往復に使う船などは桜水産の所有とする。千里はこれらの施設を物納したので現金の支出はそれほど大きくは無かった。

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鰊(にしん)プロジェクトのほうも出荷することにし、数百匹の鰊を第八潮見丸で魚市場に持っていった。それで留萌港に数十年ぶりとなる大量の鰊が水揚げされた(前述)。
 
水揚げされた鰊のサイズが比較的揃っていたことから
「養殖?」
と疑問を持った人もあったが
「鰊の養殖なんて聞いたことない」
「鰊の養殖なんてできるわけない」
ということで否定的意見が支配的となった。ただ養殖をしている白石たちは疑われることのないようにしようと言い、他の船に敢えて鰊を獲らせることにした。目を付けたいくつかの船が特定のポイント(養殖場からは結構離れている)にいる時に、養殖していた鰊を放流した。それで白石たちの第八潮見丸以外の船も鰊を獲った。放流は毎週土曜日に行なったので「留萌沖のどこかで土曜日に鰊が穫れるらしい」という“土曜日の鰊伝説”が生まれることになる。
 
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白石たちはカズノコがたくさん食べられて満足していた。
 

12月中旬、立花K神社に10月にも来た不動産屋が来ていた。
「うちは売りませんよ」
とまゆりが言ったのだが不動産屋は
「いやそうではなく少し土地を買ってくれないかと思って」
という。不動産屋が示した地図を見ると神社より少し南側の領域である。そのエリアには、立花楽器のお店も含まれている。話を聞くと、このあたり一帯を再開発する構想があり、夏頃から土地を買い集めていたらしい。しかし計画は中止になり、土地は売ってくれた人たちに売り戻しているらしい。しかし立花楽器は買い戻す金が無いと言い、その南側にあった立花電器という店は元の所有者が所在不明で浮いてしまったという。千里は巫女控室に行って立花楽器さんに電話してみた。
 
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「土地を売ってくれと言われて、もう潮時かなあと思って売ったんですよ。年内に立ち退く予定だったのですが、唐突に今度は買い戻してくれと言われて。でも土地の売却代金で借金を返したからもう手元にはお金が無くて」
「土地を手放さなくてもよくなったらお店続けます?」
「ええ。儲かってはないけど、私自身はまだ元気だし」、
 
それで千里は応接室に行くと
「私がそこ買いますよ」
と言ったのである。
 

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きーちゃんを呼んで交渉させた。不動産屋の言い値は立花楽器と立花電器の土地合わせて50坪で1000万円だったが、きーちゃんは700万円まで値切った。不動産屋が「あんたには参った」と言っていた。でもきーちゃんがキャッシュで代金を払ったので喜んでいた。現金のいいところは証拠が残らないことである。振込だと明確に記録が残る。
 
それで千里ときーちゃんは立花楽器に行き、ここは自分が買ったからお店は続けてくれと言った。
「ありがとうございます!家賃は?」
「近所のよしみで月3万円ということで」
「ありがとうございます」
 

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「それにしてもこの店はひどすぎる」
と言い、きーちゃんはこの店の大改造をすることにした。
 
「まず商品が古すぎる」
「済みません。売れないもので回転が悪くて」
 
きーちゃんは店の商品の殆どをヤフオクで売りさばいた。そして代わりに新しい商品を仕入れさせた。また奧さんに言って店をきれいに掃除させた。隣接する立花電器は更地にして立花楽器の駐車場にしてしまった。
 
電機屋さんを呼んで照明を新しいものに交換させた。また有線を入れていつも音楽が流れているようにした。それから近隣の小学校と交渉し、かなり安い価格を提示してハーモニカ、ピアニカ、リコーダーの指定店にしてもらった。また姫路篠笛製作所の篠笛も扱うことにした。また多数のバンドスコア(最近流行ってるバンドの)や音楽雑誌を備えた。この書籍類の品揃えに関しては娘さんに監修させた。またぴあの端末を導入したら、客の少ない穴場として人気になった。CDも売れ筋のものを軸に少し置いた。チケット、書籍、CDで楽器(弦などの消耗品を含む)よりずっと大きな利益が出た。
 
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きーちゃんはここの奧さんがピアノ講師の資格を持っていることから、ピアノ教室をすることを勧めた。それで楽器店の2階を整備してそこでピアノ・エレクトーンの教室(立花音楽教室)を開設した。エレベータも取り付けた。 (お店を通らずに直接2Fの教室に行ける:店内からは階段を昇る)
 
エレクトーンについては、娘さんが講師の資格を持っている(ピアノ講師の資格もある)ので、娘さんに頼んだ。ここは白鷺楽器の音楽教室のサテライトみたいな扱いにしてもらった。
 
なおまゆりと交渉して、生徒さんたちを保護者が送迎する時、神社の駐車場に駐めてもいいことにしてあげた。
 
教室には生徒が10人ほど付いて何とか回っていくことになった。また白鷺楽器の生徒さんが練習にこちらを利用する場合もあった。白鷺楽器は町中にあってバスとかで行くのは便利だが車が駐められない。ここはバスとかでは不便だが車が使えるのでわりと補完しあえたのである。また練習したい生徒にはこちらは大抵空いているので役に立ったようである。ここはクラビノーバ1台とエレクトーン2台が置かれた小教室が4つある(中教室2つとしても使える)。サロンにはSクラスのグランドピアノも置かれている。このグランドピアノを弾きに来る生徒さんがよく居た。
 
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白鷺楽器の店主さんが
「村山さん、フルートも教えれるのでは?」
と言ったが
「私はまだ高校生だし」
と言って、きーちやんに講師をしてもらった。(こうして姫路のきーちゃんは多忙になる)ただ彼女が可愛い男の子の生徒を女の子に改造してしまわないか少し心配である。
 

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姫路のきーちゃん(1番ノエル)はあまりにも忙しいので時々3番のセリーナや6番アンナ・マリアが来ていることもあるが
「あれ、アンナ・マリアだ、お久〜」
などと千里が言うので
「なんで見分けられるの〜〜!?」
と驚いている。
 
なお立花楽器の2階は元は店主夫婦の住居だったのだが、教室に改造したので、夫婦は娘さんのマンションに同居することになった!でも孫の面倒が見られて楽しいようである。
 
 
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