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和弥は11月2日は伊勢を16時すぎに出て20時頃に姫路に到着した。
青いウイングロードはいつものように神社に駐める。そして宮司宅に入るが
速攻で女装させられた!
女装で夕食を食べる。光子さん(まゆりの母)も和子さん(まゆりの祖母)も
「ほんと可愛い」
「娘がもうひとりできたみたい」
などと言っている。和子さんからスカーフ、光子さんからはカチューシャとかも頂いてしまった。このカチューシャはまゆりからも
「似合ってる。可愛い」
と言われてまんざらでもない気がしている。(既にかなり危ない道に入っているね)
お風呂に入った後はネグリジェを着せられた!
まゆりと一緒のお布団に入るが
「してあげるね」
と言われて、あそこを指で押さえて回転運動を掛けられる。この刺激では実は勃起はしない。勃起させるには往復運動が必要である。代わりに“濡れて”くるのを感じる。
「よしよし。入れてあげるね」
「は?」
しかしまゆりは何かを入れて来た。気持ちいい!
「何入れてるの〜?」
「もちろんおちんちんに決まってる」
「ちょっと待て」
「でもこんなにたくさん濡れてたら、きっと男の子ができるよね」
「え〜!?」
「あ、ごめん生で出しちゃった」
「えーっと」
「でも妊娠しても大丈夫だよね。ぼくたち結婚してるし」
とまゆりは言っている。まゆりはここ2年くらい自粛していたが、元々自称は“ぼく”である。大学ではいつも“ぼく”と言っていた。“ぼく”を使うまゆりのほうがまゆりらしい気がした。
「じゃ妊娠したら元気な男の子産んでね」
「あはは」
「今妊娠すれば予定日は来年の7月くらいかな」
「あははは」
「ぼくが産む星弥と3ヶ月違いの年子になるね」
こういうのも年子になるのだろうか。
「ぼくが産む子が星弥だから、和ちゃんが産む子は月弥にしようか」
「ああ、それもいいね」
ぼくほんとうに妊娠しなかったよね?と和弥は不安になった。
星弥というのは、生まれる子はきっと男の子だろうというので、まゆりがもう名前を付けてしまったのである。まゆりの父の名前“照星 ”から1文字取っている。
11月3日の例祭は、まゆりが妊娠中なので和弥が中心になり神事を進めた。もっともここの神社の例祭は出店とかが出ることもないし、純粋に神事のみである。ここの神社では春の姫祭りのほうが大きい。
11月3日は友引なので結婚式も3件入っていた。いづれも和弥が祭主を務めた。三三九度は恵美さんと、京都からこのために移動してきた花絵とで行い、巫女舞は高校生3人で舞った。
「三三九度のやり方少し変えたんですね」
と提子係(*5)の恵美さんが言った。
「うん。こないだ和弥の結婚式に出てて、あそうだ、本来はこうだったと気付いた」
と銚子係(*5)を務めた花絵は答えた。
「へー」
お酒を杯に注ぐ時、小小大と注ぐ流儀のところが多いが、本来は小大小である。陰陽を組み合わせるのが伝統的な流儀である。
(*5) 三三九度の時、杯にお酒を注ぐのが銚子(ちょうし)。小の杯・中の杯が終わり大の杯に行く前に銚子にお酒を追加するのが提子(ひさげ)。一般に年上の巫女が提子を担当することが多いが恵美があまりお酒に強くなく揮発したアルコールで酔いそうと言うので、花絵が銚子のほうを担当している。
月曜日は(女装の)和弥とまゆりで一緒に産婦人科に検診に行った。
「え!?双子なんですか」
「このエコー写真を見てください」
とお医者さんが見せてくれた写真にはきれいに2つの“物体”の姿が映っていた。
「この形は一卵性ですね」
一卵性と二卵性では子宮内の赤ちゃんの配置が異なる。
まゆりと和弥は双子を妊娠しているという診断書を書いてもらい、保健所に行って母子手帳をもう一冊もらった。
「子供の名前だけど和ちゃんがもし妊娠してなかったら、和ちゃんの赤ちゃんの名前を流用して“星弥”と“月弥”にしようか」
「うん」
それで和弥は妊娠検査薬を使わされて!陰性であることを確認の上、まゆりが妊娠している2人に(男の子であったら)“星弥”と“月弥”という名前を付けることにした。
「へー双子!」
と光子さんも驚いていた。
「来年の4月には男の子が2人または女の子が2人できますね」
「楽しみだね」
和弥は月曜日の夜にコリンの運転するウイングロードで伊勢に戻ったが、女装で移動した。むろん途中でトイレに行くときは女子トイレを使った。
(和弥は保健所にも女装のまま行ったが、最近こういう人は多いので窓口の人は何も変な顔はしなかった)
「ぼく女装が癖になったらどうしよう?」
もう手遅れだと思うぞ。
むろん女装の時は下着も女物である。あまりにも頻繁に女物を着けているので、アパートでお風呂に入った後うっかり女物の下着を着けて寝てしまうこともある。学校に出掛ける前に気付いて慌てて着替える。(女物の下着のまま学校に行っても問題無いと思うけど)
また最近和弥は女の子式オナニーにはまりつつある。あそこを指で押さえて回転運動を掛けると勃起しないまま逝った感覚に到達する。往復運動を掛けるとちゃんと勃起して射精するのだが、回転運動だと射精しないまま到達する。そしてこちらのほうが気持ちいい気がしている。
(以前は回転運動でも勃起していたが最近は“男性感覚”と“女性感覚”が分離してしまい、回転運動では勃起しなくなった)
もう後戻りできない所に来てない?
和弥のペニスは勃起すると12cm程度あって(多分)女性とのセックスが可能なのだが、勃起してない時は皮膚表面から2-3cm程度しかなく(皮膚下に3cmくらい埋没している)、小便器を使うことが困難である。しかし元々和弥はよく袴を穿いている問題もあり、個室でする習慣があるので、特に実用上の問題は無い。
その日和弥はいつものように女子たちとおやつを食べた後「松阪に出ようよ」と言われて一緒に松阪のイオンまで行った。
女子たちはお化粧品のコーナーで
「あ、可愛い色が出てる」
などと言って見ている。和弥はそれを眺めていたのだが唐突に
「この色とか和ちゃんに似合わない?」
と言われた。サンプルで左目のまぶたを塗られる。
「あ、似合ってる似合ってる」
との声。
「でもこっちの色も似合わない?」
「どっちだろ」
それでもうひとつの候補を右目に塗られる。
「どちらがいいかな」
と言っていたら、化粧品コーナーのお姉さんが寄ってくる。
「お客様は暖色系がお似合いだからこの左目のカラーがお似合いですね」
「ですね」
そしてなぜそうなったのかよく分からないのだが、和弥は15分後にはフルメイクされてしまった。それで結局和弥は最初に塗られたアイカラーにファンデとルージュもお買い上げになったのである。全てお姉さんが言っていた暖色系である。
「まあいいや。まゆりに渡そう」
と和弥は言ったが
「自分で使えばいいよ」
「和ちゃんの肌の色に合ったカラーのだし」
「だいたい平田先輩がメイクした所なんて見たことない」
とみんなの声。
確かにまゆりのメイクは和弥もほとんど見てない。さすがに結婚式の時は美容師さんにメイクしてもらっていたが、全然似合ってなかった。母親の光子さんにまで
「お前化粧が全然似合わない」
と言われていた。
「ぼくをメイクするのが間違ってる。和弥をメイクすべき」
「ああきれいになりそうね」
さすがに遠慮した。下手すれば白無垢まで着せられそうな気がした。
(白無垢を着てもいいって常弥さん言ってたじゃん)
松阪に行った日は化粧品コーナーの後、お洋服のコーナーに行き、まずはライトピンクの可愛いカーディガンを勧められて買ってしまう。更に
「これ暖かそうだよ」
などと言われてモスグリーンのウールのスカートまで買うことになり
その場で穿いてしまった。
「やはり和ちゃんこういうのが似合うね」
とみんな言っていた。
更に
「スカート穿いて転ばずに歩けるのは普段から穿いている証拠」
と指摘された。(反論できない)
「足のむだ毛もちゃんと処理されてるし」
本当は昨年の秋祭り以来すね毛・ヒゲなどは生えて来なくなったのである。
その後一緒にイタリアンなお店で御飯を食べたが、お店を出た後みんなでトイレに行く。(なぜ女は集団でトイレに行くのか?)
和弥は男子トイレに入ろうとしたのだがキャッチされる。
「そっち違うよ」
「こっちこっち」
と言って女子トイレに連行された。
「まずいよ〜」
「いや、この格好で男子トイレを使ってはいけない」
しかし和弥が普通に列に並んでみんなとおしゃべりしているので
「女子トイレ慣れしてる」
「やはり普段から女子トイレ使ってるね」
などと言われた。
そういうわけで和弥は最近は女子たちからほぼ神職課程女子グループのひとりとみなされているのである。女性神職の会“みめの会”という
のにも“翻田和耶”の名前で加入してしまった!(会員バッヂまで
もらった)
和弥は11月は毎週末姫路まで往復したが、伊勢→姫路では男装、姫路→伊勢では女装であった。(往復女装でいいのに)
姫路滞在中も神事をするのに祭服(正装・礼装・常装)または狩衣を着るとき以外は女物の服を着ていた。巫女衣装も着せられたが
「何でそんなに似合ってるの?」
と呆れられた。
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女子高校生・秋のリスタート(6)