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千里、清香、双葉、公世、谷口春恵、山崎一の6名は7月中旬、兵庫県剣道連盟から呼ばれたので行ってみたら唐突に告げられた。
「君たちを国体の代表に推薦するから」
どうもインターハイ予選の上位選手を中心に選考したようである。E高校の角口さんによると昨年の代表はE高校とW学院の選手を中心に編成されたらしい。しかしH大姫路が2年連続で好成績を出しているので今年はH大姫路も入れたようである。それでこういうチームが編成された。
少年女子
先鋒 島根双葉(H大姫路)
次鋒 村山千里(H大姫路)
中堅 木里清香(H大姫路)
副将 横田美知(W学院)
大将 角口芳恵(E高校)
少年男子
先鋒 山崎一(H大姫路)
次鋒 谷口春恵(H大姫路)
中堅 工藤公世(H大姫路)
副将 大原隆司(W学院)
大将 中田篤志(E高校)
基本的に大将・副将は3年生、次鋒・中堅は2年生、先鋒は1〜2年生からということにしたようである。H大姫路の3年生にはインターハイ予選の上位に残った選手がいなかったのでE高校とW学院から選ばれたようである。
「男女とも中堅が一番強いという不思議なチームだ」
と男子の中田さんが言っていた。
「まあ国体はどうせお祭りだし」
と角口さんが言っていたが、この時は千里には意味が分からなかった。
8月下旬、大阪で国体の近畿ブロック予選が行われ、このチームで出場してきた。結果は女子は1位、男子は大阪に次ぐ2位で、どちらも本戦に行く。
2007年8月28日(火).
この日は日本時間の夕方から皆既月食があり、天気が悪かった九州以外のほぼ全国で見ることができた。本影食は17:51 という早い時間に始まり、この時刻には日本のほとんどの地域で月の出前だったので月出帯食となった。この日の留萌の月出は18:15, 姫路は18:31 だった。もっとも留萌も姫路も東側に山があって月の出が見られない!きーちゃんからは
「ジェット機から月の出を見る?」
と言われたが
「そこまでもしなくてもいいや」
と言って寝ていた。きーちゃんは釧路に行き、1番(姫路のノエル)と2番(旭川のルミナ)および月ちゃんと3人で少し欠けた月が東の海から登るのを見てきたらしい。(釧路の月出は18:02)
この様子は他にも太平洋岸の町でなら見ることができた。
なお皆既食は18:52-20:23 で赤の千里は姫路の自宅で皆既の始まりと終わりを見た。
桜鱒養殖の陸上部門では3月に8つの飼育槽を作り、4月から1ヶ月単位で稚魚を育て始めたのだが、飼育槽は12ヶ月分12個作ろうという事になり、土地を買い増して8月にあと4個の飼育槽を作成した。飼育槽の名前はみつお・ブービー・すみれ・・・という名前を付けていたものの、この機会に4月スタートを4号、5月スタートを5号、などとリネームし、次のような別名を付けることにした。
4 ヨット
5 ごぼう
6 ロック
7 虹
8 たこ
9 野球
10 いか
11 サッカー
12 ダース
1 ソロ
2 デュエット
3 トリオ
4号をシではなくヨにするのは、シは死に通じて縁起が悪いからである。5をバスケ、6をバレーとする案もあったが
「最近のバレーは(リベロを入れて)7人だと思う(*1)」
という異論が出てバスケットも巻き添えに両者ボツとなった。
ビートルズ、ドリフターズ、クールファイブ、などという案もあったが
「クールファイブって5人じゃないの〜?(*2)」
という質問が出て、漁協の支部長さんに聞くと長い話が始まり、曖昧の内にボツとなった。
(*1) リベロ制度は1998年に導入された。
(*2) クールファイブ(正確には“内山田洋とクールファイブ”)は『長崎は今日も雨だった』、『中の島ブルース』『東京砂漠』などで知られる歌謡グループ。初期の頃はバンド(グループサウンズ)形態でも演奏していた。クールファイブ本体は5人だったが、ゲストボーカルに前川清を加えた状態で売れたので6人セットで活動していた期間が長い。前川清は藤圭子(宇多田ヒカルの母)の元夫で一時期萩本欽一と組んでお笑いをしていた時期もある。6人組を挙げるならV6とかのほうがわかりやすかったと思う。
そもそも音楽ユニットの構成人数はファン以外にはパッとは分からないものが多い。また離脱・加入が多く人数が不安定だったり(スクエアとかモーニング娘。とか)、準メンバーとか衛星ユニット(例えば米米CLUBのBIG HORNS BEEやSUE CREAM SUE)とかが居てどこで線を引くべきか微妙なところも多い。
卯月・皐月・・・などという案もあったが
「789あたりの対応があやふや」
という意見からボツになった。ちなみに対応は7文月8葉月9長月である。特に7と9を逆に覚えている人は多い。
2学期制の旭川N高校では8月19日で夏休みは終わり、8月20日(月)から1学期の授業が再開された。3学期制のH大姫路では8月31日で夏休みが終わり、土日を置いて9月3日(月)から2学期が始まる。9月3日は始業式でインターハイで上位まで行った部が顕彰された。女子2位男子3位の剣道部のほか、ベスト8のテニス部も顕彰されていた。
今回は台風の最中の大会だったが、テニスはボールが風で飛んでいき大変だったらしい(途中で室内に会場が変更された)。
本校からは出場してないが、陸上など強風のため競技が中断、やり直しになったらしい。長距離を2度走らされた選手は全くお疲れ様である。
毎年批判されているが過密日程でスケジュールに余裕がないため、延期などができず強風の中強行したようである。特に同じ施設で複数の競技が行われたところは辛かったようである。
最初から室内で行われた剣道やバスケはまだ良かったようである(それでもバスケは会場の外でのパブリックビューイングが中止された。また同じ会場でバスケのあと弓道が行われることになっていたので日程がずれることは許されなかった)
(西の)千里たちが移動した時は大丈夫だったが新幹線とかもだいぶ運休したようである。また千里たちは指定席だから良かったが自由席は乗車率150%とかだったらしい。(東の千里は飛行機が飛ばずに現地で足止めを食った)
(台風の最中におやつを買いに行ってくれたアイリスには感謝)
9月、春風観光の新クルーザー“アクパーラ”が就航した。
アクパーラとはインド神話に出てくる巨大な亀の名前である。
これに合わせてお食事無しの単純乗船券も発行することにした。音楽と料理付きの遊覧券が5000円なのに対して単純乗船券は1000円である。更に船室が使用できる“個室乗船券”も3000円で出す(2人券5000円)。
“個室乗船券”は予想されたことだが、ホテル代わりに使う客がかなり居た。船室にはカラオケセットもあるので、歌うのが目的で利用する人もあった。また各部屋は防音になっているので、楽器の練習が目的という人もあったようである。“単純乗船券”“個室乗船券”の場合、サロン(食事が出てくるラウンジと別に設けた)のプロジェクターで景色をみることができる。寒いのを気にしなければ2階席で見てもよい。またゲームルームで。クレーンゲーム、エアホッケー・卓球・などを遊ぶこともできる。またサロンには売店があり、サンドイッチやコーヒーなどを買うこともできる。景色は個室船室のモニターでも見ることができる。
そしてこのゲームルームの売上が結構大きかったのである。
「こういうので儲けるのは邪道かもしれないが」
と春風社長が悩んでいた。
「外国の船ならカジノがあるところでしょうね」
「ええ。でも日本では違法だし」
また“個室乗船券”を10代のカップルが利用するケースもよく見られた。明らかにラブホテル代わりの利用である。春風社長は開き直って廊下にコンドームの自販機を設置した!
9月8日(土)、2004年の台風23号で運休していた高山本線の高山駅から猪谷駅までの復旧工事が終了し高山駅から猪谷駅までの運転が再開した。これにより名古屋駅/新大阪駅から高山駅までの運転となっていた特急ワイドビューひだも富山駅までの運行が再開された。
9月9日(日)、H大姫路では文化祭が行われた。千里は今年も吹奏楽部から応援頼むと言われたので、夜梨子が!“銀桃”を持って演奏に参加した。譜面はその場で3枚渡された。レミオロメンの『粉雪』、スクエアの『宝島』と、千里の知らない『光の舞』という曲であった。今年もフルートは千里だけだった!2人居たが2人とも8月で辞めてしまったらしい。
「今年もコンクールに出たいから来週の日曜、市民会館に9時半にお願い」
と3組の菅原君に頼まれる。
「了解了解」
「曲はこの『光の舞』と『宝島』ね」
H大姫路では9月10日(月)は文化祭の代休だった。11日(火)には実力テストが行われ、千里は学年7位だった。また公世が28位に入り2組から1組に移動された。ただし千里同様夕方の補習は免除してもらう。
千里は進路指導の先生から
「村山さんもそろそろ志望校を決めようか」
と言われる。
「君の成績なら国立の結構上位を狙えるよ」
「国立で剣道の強い所とかありますかね」
「どうだろう。ちょっと調べてみるよ」
と先生は言っていたが数日後、先生が声を掛けて来た。
「筑波大学が剣道凄く強いらしいよ」
「へー。それどこにあるんですか」
「茨城県つくば市」
「関東ですか!遠いですね。関西の・・・京都とかには無いですか?」
「京都がいいの?」
「親戚がいるので下宿させてもらえそうなので」
「なるほどね。また調べてみるけど、一般に教育学部とか体育学部のある大学は体育の先生を目指す人が集まるからスポーツの強いところが多い」
「なるほどー」
数日後に先生は言った。
「京都の大学というと、国立ではないけど同志社が剣道無茶苦茶強いらしいよ」
「ああ」
「君の成績なら合格率70%以上あると思う」
やはり同志社が浮上してきたかと千里は思った。
9月12日 - 安倍晋三首相(自民党総裁)が突然が辞任表明した。先月末には内閣改造を行い、ほんの2日前に国会で所信表明演説をしたばかりだった。
「テロ特措法の延長困難」などを辞任理由に挙げたが、健康上の問題があることも与謝野馨内閣官房長官が明かした。
一部にはあるいは7月の参議院選の大敗の責任を取ったのだろうという見方もあった。
しかし多くの棄民からは「職務放棄」と非難された。
9月14日(金)、千里Rは柳里君からの電話で目が覚めた。
「燃えた!?」
改修中のサラスヴァティが焼失したらしい。
「大沼さんからの連絡によると隣のドックで建造中だった船が爆発してこちらにも火の粉が飛んできて」
取り敢えず千里Rと柳里君で長崎県の造船所まで出掛けて行った(また学校はY2とJで出る)。
桜ジェットを神戸空港→旭川空港→長崎空港、と運航した。
造船所の社長さんが平謝りであった。
「それで、燃えた船を改修するより新規建造ということにさせていただけませんか」
多分その方が手間が掛からないのだろう。恐らく納期も早い。
「費用そっちもちなら、それでもいいですよ」
と千里は言った。
それで話し合いの結果、先日建造したアクパーラとほぼ同じ仕様のクルーザーを新規建造することになった。
それで留萌のクルーズは結局新造船で運用されることになったのである。
ただアクパーラとの違いは今回改修予定だった、寒さ対策(デッキや2階席のポリカーボネイト製風防、船室や廊下の暖房能力の強化)、ラウンジの内壁の素材、またフィギュアヘッドなどである。
ラウンジの内壁はヒバではなく杉(山口県産)を使ってもらう。どっちみちこの材料はこちらが持ち込む予定だった。
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女子高校生・秋のリスタート(1)