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■女子高校生・秋のリスタート(5)

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千里は姫路市やその近くに所有している山の中の土地に生えている竹について、男竹は姫路市内の竹刀製作所や栃木県の龍笛工房に、女竹は姫路市内の姫路篠笛製作所という所に売っていたのだが、その日、姫路篠笛製作所のオーナーは言った。
 
「もう商売やめるかも」
「身体の調子とかお悪いんですか?」
「いや、これまで篠笛を売ってくれていた販売店が火事で焼けてしまって」
「ありゃ」
「もうこの機会にこのまま閉店するかもと言ってるんですよ。販路が無いと、うちも製作できないし」
「買ってくれるところないか訊いてみますよ」
 
千里はいつも行っている白鷺楽器に訊いてみた。サンプルを渡したら
「これはよくできた篠笛だ」
と言ってもらい、少しなら扱ってもらえることになった。それで姫路篠笛製作所は取り敢えず営業を継続することになったのである。
 
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10月初旬、立花K神社に人相の悪い男が来ていた。まゆりが応対していたが、やがて帰って行った
「まゆりさん、大丈夫でした?」
と千里は声を掛けた。
「大丈夫だよ。ただの不動産屋さんだよ。この神社の土地を売ってくれないかと言われたけど『ここは神様の土地です。売ることはできません』とお断りしたよ」
「へー。こんなところの土地買って何するんでしょうね」
「多分パチンコ屋か何か建てたいんじゃないかなって気がした」
「へー」
 

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立花K神社の少し南側、領域としては立花北町の南側で立花麦町に入るところに“立花楽器”という看板の出ている小さなお店があった。いつもシャッターがしまっているので、もうやってないのかなと思っていたのだが、その日千里が朝のジョギングをしていたら60代の男性が店の表のショーウィンドウを拭いていた。
 
「お早うございます」
と挨拶する。男性も
「お早うございます」
と挨拶を返した。千里はその男性の顔から別の人物を連想した。
「あのぉ白鷺楽器さんと何か関係あったりは」
「ああ、白鷺楽器に行ったことあります?あれはうちの弟がやってる店なんですよ」
「ご兄弟でしたか!」
「弟は愛想がよくて商売もうまいから繁華街に店を出してますけど、私は無愛想で商売も下手だからこんな寂れたところで細々と店を構えてるんですよ」
「へー。商売大変ですよね。でも頑張って下さい」
 
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千里は一度中を見せてもらったこともあるが、かなり旧型のカシオトーンや電子ピアノが数台並び壁にはエレキギターが数本飾ってある。あとはギターやヴァイオリンの弦が売られていた。他に尺八や竹製の篠笛、樹脂製のファイフ、陶器製のオカリナ、あとは小学生が使うようなカスタネット、トライアングル、タンバリン、マラカス、ハーモニカ、ピアニカ、折りたたみ式の木琴、かなり旧式のメトロノームなどが売られていた。店の照明も暗く(蛍光灯が切れかかっている)、あまり掃除もされてない感じで、ここで何か買いたい感じはしなかった。
 

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2007年夏、千里Rはミンタラ北海道の湯川さんから、間伐材の処分を目的に製紙会社を作りたいと相談され、旭川近郊にカイ製紙という会社を作った。播磨製紙から山田洋介さんという人と山田明宏さんという人に旭川まで来てもらい、立ち上げのための作業を手伝ってもらった。
「ご兄弟ですか」
「いえ無関係です」
「でも僕達以前からよく組んで仕事してたんですよね」
「前の社長からは結婚するとどちらも苗字変えなくて済んで便利だよとか言われたけど男と結婚する趣味は無いので」
「洋介君が性転換して可愛い女の子になったら考えてもいい」
「そういう誤解される発言はやめよう」
 
もっとも洋介さんはかなりがっちりしたスポーツマンタイプで(高校の時はサッカーをしていたらしい)、女装させてもあまり“可愛い”女の子にはなりそうもない。まだ明宏さんのほうが女装行けそうな気がした。
 
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この2人、仲はいいようである。
 
機械の導入できてくれて、そのあと作業の流れの指導でまた来てくれた。住まいは裕美に入ってもらったのと同じアパートに泊めた。(裕美は1階の103, 山田コンビは101, 102)
 
裕美のお産の時は偶然在室していて、裕美を病院に運んでくれた。
 

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10月12日(金)、旭川の東の千里は雨宮先生に唐突に呼び出され、飛行機を乗り継いで福岡空港に行く。そしてJRに乗り継いで熊本まで行き、そこから千里自ら車を運転して宮崎に行き(本当に運転したのはきーちゃんとこうちゃん)、青島や鵜戸神宮で大西典香に渡す曲を書いた。
 
わざわざ熊本から夜中に車で移動したのは、朝の日豊線で宮崎に向かうと青島で日の出に間に合わないからである。
 

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2007.10.21(日) 旭川で来春の開校に向けて建設中だったC学園旭川校の校舎が放火され、ほぼ全焼した。警察は付近に居た不審な女性、桜川朽巳子に同行を求め、任意に事情を聞いたが翌日放火の疑いで逮捕した。
 
旭川周辺では夏頃から放火事件が相次いでおり、警察の追及で彼女はほぼ全ての事件の犯行を認めた。
 

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C学園の校舎を建てていた工務店は信じがたいことに保険に入ってなかった。正確には工事期間が延びたので保険も延長しなければならなかったのに、その延長のための保険料をまだ払っていなかった。そのためこの工務店は倒産してしまう。市では連鎖倒産防止のため、下請けの工務店に緊急融資を実施した。
 
学園側は別の工務店に依頼して焼けた校舎の解体をさせた。そしてこの工事のお陰で下請けの工務店は取り敢えず作業賃をもらえて助かった。ミンタラはこの校舎の廃材をまるごと引き取った。そして無傷の材木はC学園が再建する新校舎の(主として)特殊教室棟の材料に使い、焼けかけのものは近隣の旭川N高校にオンドルの燃料として引き渡し、細切れのものはカイ製紙で製紙材料に使用した。
 
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それでミンタラの介入で学園側の損害はかなり圧縮されたのである。
 

犯人の妹の桜川陽子は東京で朝風美空などと組んでメテオーナというユニットでデビュー予定だったが、姉の事件を受けて辞退した。それでメテオーナは千代紙(絹川和泉と唐本冬子)と合体しkarionとしてデビューすることになる。
 
一方桜川陽子は桜木八雲と組んで“チェリーツイン”の“背景”としてデビューすることになる。陽子はチェリーツインの報酬で姉の損害賠償の債務を返済した。(他にもうひとりの妹・梅川広子が“予測プログラム”を作ってたくさんロト6を当てた)
 
※チェリーツインのボーカルは気良星子・気良虹子の双子(ツイン)だが、2人は言語障碍で声を出すことができない。それでコーラス(雨宮により“背景”に格下げされた)の桜川陽子(少女X)と桜木八雲(少女Y)(チェリー)が代理歌唱している。
 
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チェリーツインの公式スコアブックではボーカル1とボーカル2は全休符になっており、コーラス1とコーラス2に歌が設定されている。
 
なお、少女Xと少女Yの見分け方はXという文字の形通り下半身にスカートを穿いているのが女性的な少女Xで、Yという文字の形通り下半身がズボンなのが男性的な少女Yである。X染色体だけの少女XとY染色体が欲しい少女Yともよく言われる。少女Yはよく男の娘と間違われ「女の子みたいな声出すのうまいね」と言われる。「スカート穿いてもいいよ」と言われて困ることもあるらしい。
 
八雲は「男の子になりたいけど、男になるとソプラノが出なくなるから男性ホルモンとか飲めない」などと言っている。彼は下着も男物らしい。
「ブラジャーとか女の下着着けたくないけど着けてないと胸が邪魔になるから仕方無い」
とも言っていた。
「おふたりはレスビアンではないですよね」
と訊かれた陽子は
「八雲は男の子だからビアンにはならないと思う」
という微妙な返事をしている。2人はステージ上でキスしてみせたこともある。
 
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なお犯人の桜川朽巳子自身は、服役中に、精神の変調を引き起こしていた腫瘍の治療を受け、名前も功実と改名し、出所(仮釈放)後、東日本大震災のボランティアで活動した後、愛知県の尼寺・正法寺で修行して僧侶の資格を取った。しかし「あんたはまだ若いから俗世間ですべきことがある」と言われ、マウンテンフット牧場のオーナーが保証人になってあげてカイ造林という植林をする会社に入り、自分が燃やしてしまった木の代わりを育てている。
 

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10月28日(日)の朝、お留守番を終えたロビンと夜梨子は2人共日曜日はひたすら眠っていた。仕方無いので宿題はJとyで手分けして片付けた。
 
「何で私が宿題するの?」
とyは文句を言っていた。
「まあそう言わずに」
「私、近隣で死にかけてるお年寄りが3人いるから、あとで看取ってくるね」
「ああ、お疲れさん」
「私が般若心経読んであげると、死にかけてる人がみんな笑うのよね。何でかな」
「楽しい気持ちで旅立てるのは良いことだと思うよ」
「そうだよね」
 

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10月28日、滋賀県栗東(りっとう)市に建設が予定されていた東海道新幹線びわこ栗東駅の建設中止が正式決定した。
 
筆者の個人的な意見だが本数の少ないこだましか停まらない栗東駅なんて作るより、たくさん走っている新快速とかで新大阪か京都に出てのぞみに乗るほうがよほど便利だと思う。
 
この駅は賛否両論が渦巻く中2006年6月にいったん建設が始まったものの、その翌月に滋賀県知事選挙で建設凍結派の嘉田由紀子が知事に就任、工事は中断されていた。この建設をめぐっては建設のために莫大な地方債を発行するのが違法であるとして住民からの訴訟で発行が差し止められており、費用(240億円)が払えない状況にあった。
 
地方債はいつかは償還せねばならず、最終的には住民の税金が使われることになる。
 
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10月31日、BS9chによる衛星アナログハイビジョンテレビの放送が終了した。24時をもって完全停波した。アナログハイビジョンは、1991年11月25日の試験放送開始以来、1994年11月25日のNHK・民放各局共同の実用化試験放送、2000年12月1日のNHK単独の本放送へと引き継いだが、あくまでデジタル放送に移行する前の過渡的な規格と考える人が多かった。
 
(世の中にはハイブリッド車みたいに過渡的な規格が随分長く続いている例もあるが)
 

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11月2日(金)夕方、和弥はコリンの運転するウィングロードで伊勢から姫路に移動した。和弥は概して伊勢から姫路への移動では男装である。コリンは「遠慮せずに女装でいいのに」と言うが「いやこちらがいい」と和弥は言っている。むろんトイレも男子トイレを使う。
「でもマニキュアは付けてるんですね」
「あ、落とし忘れてた!」
と言って化粧ポーチからリムーバーを取り出し落とした。
「付けてていいのに」
「いや落とす」
 
最近は大学でも女子のクラスメイトに結構“遊ばれて”いる。このマニキュアも実はクラスメイトに塗られてしまったものである。おやつなど食べに行くのに誘われたりもするが、これは断るまでもないので応じている。
「平田先輩より和ちゃんの方が女らしい気がする」
などとみんな言っている。むろん“女らしい”は褒め言葉である。ちなみにまゆりは女子たちから下の名前で呼ばれることはまず無い。必ず苗字で呼ばれる。
 
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「揃って性転換しない?とかいわれたけどね」
「それもいいんじゃない?」
「平田先輩、男になったらいい男になりそうだもん」
「和ちゃんは可愛い女の子になるし」
「スカートくらい穿くんでしょ?」
「えーっと・・・」(←ほとんど認めてる)
 
「こないだはブラジャーも着けてたし」(うっかり着けたまま学校に行った)
 

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