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■女子高校生・夏の夜(8)

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しかし新しい船について楽団員は「ここ音響がいい!」と感心していた。船の中なので劇場みたいに大きくはできないが、天井と床の間を5m、左右の壁の間を14m取っているので、わりといい音になったようである。ラウンジの内壁は千里が自分の所有林から切り出して持ち込んだ北海道産ヒバである。この時期はまだ石川県のヒバ(アテ)林は所有してない。ヒバが大量には使えなかったので劇場の方は檜で代用した:檜の方がよりクリアな音になるはず。多分弦楽四重奏とかには檜のほうが良い。
 
ミンタラ木材の木村さん(現ミンタラ姫路社長)によれば杉や柏など柔らかい木はロック向き・管楽器向きで、檜や樫など硬い木はクラシック向き・ヴァイオリン向きらしい。ヒバは檜に似ているが管楽器の音は檜よりいいと言っていたので千里は新クルーザーにはヒバを使った。また改修中のサラスヴァティは南洋材ベースと思われる合板だったのを杉材に置換させる予定である。留萌では主としてロックバンドが演奏する予定だからである。また厚いカーテン・厚いカーペットで反響を殺す。アクパーラは反響がきちんと出て残響も残ってほしいのでカーペットも薄いものにしている。
 
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高校生の合唱団には陸上の劇場にも一度出演してもらった。今度は和食になったが「お魚も美味しい」とまた喜んでいた。
 
なおアクパーラのこけら落としでは千里も金狐で瀧廉太郎の『花』『浜辺の歌』『碇をあげて』『踊るポンポコリン』『WAになっておどろう』『“CATS”のメモリー』、『“新世界より”より第2楽章(下校の音楽)』、『“四季”の冬2番Largo』『G線上のアリア』『主よ、人の望みの喜びよ』と吹いて前座とさせてもらった。
 
指揮者の岡田さんが「あれで前座と言われるとやりにくいなぁ」と言っていたが。
 
なお合唱団はずっと座ってお茶など飲んだりトイレに行ったりしておいて第3楽章が終わったところで歌う位置に就いてもらった(こうしてくれる指揮者と第1楽章の先頭からずっと立たせておく指揮者とが居る。この曲の1〜3楽章は合計40分ある)
 
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その日、東の千里がバスケ部の練習を終え、更衣室で着替えていたら同学年のチームメイト睦子が「千里も少し寄付してよ」と言った。
「どうしたの?」
「裕美ちゃんが妊娠したのよ」
「え〜避妊しなかったの?」
「最初は付けてたんだけど使い切ってしまって。1回くらい大丈夫だよねなんて言ってやったら当たっちゃった」
「コンビニにでも売ってるんだから絶対付けなきゃだめだよ」
「うん。反省してる」
「それで中絶手術代寄付してよ」
「それ彼に払わせなよ。おとなの人?」
「高校生というかうちのバスケ部の男子」
 
それで千里には相手が誰か分かった。
 
「あかんなあ。それで中絶したいのね?」
「悩んだけど産むこともできないし。赤ちゃんには申し訳無いけど」
 
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どうも本人はまだ悩んでいるようである。千里たちの学年には妊娠して、休学して出産する決断をした子もいる。相手とちゃんと婚姻して産むからと言って教頭との大激論の末、学校に出産のための休学を認めさせてしまった(忍ちゃん。彼女はこの7月に結婚した)。
 
「申し訳無いというか赤ちゃん殺すということだけどね」
と千里はハッキリ言う。
「うん。だからもうごめんなさいとしか言いようが無い」
 
彼女が反省しているようなので、千里は2万円渡した。
「ありがとう!こんなにいいの?」
「私も彼氏居るしね」
「ああ3万人の観客の前でキスした人ね」
 
なんか観客の人数が増えてないか?
 

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病院にはその週の金曜日に行ったのだが、睦子と千里、そして妊娠させた相手の伊藤君も一緒に行った。伊藤君は土下座していた。
 
4人で病院に入り、裕美と伊藤君が中絶手術を申し込む。問診票・同意書を書きながら待合室で待っていた時突然裕美が言った。
 
「やはり産むわけにはいかないよね」
 
睦子が言う。
「産むのは中絶するのの100倍大変だけど、産みたいのなら応援するよ。裕美ちゃんの気持ち次第」
 
伊藤君は言う。
「もし裕美ちゃんが産みたいのなら、俺高校辞めて働く」
 
千里も言った。
「産みたいのなら私も応援するよ」
 
裕美は言った。
「春ちゃん、私産んじゃだめ?私この子殺したくない」
 
「僕たちの赤ちゃん産んでよ。僕も頑張る」
 
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それで4人は中絶はやめると受付の事務の人に告げて病院を出たのである。
 

千里Gは自分が出ていった。
「ちょっと付き合って」
と言って、きーちゃんに車を出させ、裕美と伊藤君(ついでに睦子も)を車に乗せ、市内のアパートに連れて行った。(伊藤君が助手席、千里・睦子・裕美が後部座席)
 
鍵を取ってきて1階の部屋にみんなを入れる。
 
「ここ、私の親戚が管理しているアバートなのよ。ここで妊娠生活・初期の育児生活するといいよ。家賃は要らないから」
「ありがとう」
 
「これからちょっと不思議なことが起きるけど驚かないでね」
とグレースは言うとA大神様にお願いして裕美のコピーを作ってもらった。
 
「きゃっ私が居る」
「裕美ちゃんが2人?」
「裕美ちゃんのコピーを取っただけだよ。妊娠している側が本体。妊娠してないほうはコピー」
「私妊娠してるから本体かな」
「私妊娠してない。私はコピーなのね」
 
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伊藤君はコピーのほうに“ゆめ”と命名した。み→めと文字をずらしたのである。
 
「それで裕美ちゃんはここで妊娠生活を送って、ゆめちゃんは学校に行けばいいね」
「すごーい!」
 
でも伊藤君は学校を辞めて働くと言った。ただし2人はまだ婚姻届けが出せない。伊藤君が18歳に達してないからである。
 
しかし伊藤君は裕美の子供を胎児認知した。また千里はきーちゃんと話し合い、ハイジに裕美の面倒を見させることにした。妊娠中の裕恵の面倒を見ているついでである。それに一応妊娠経験者だから役に立つだろう。
「この人見た目は男だけど一応女だから」
「そうなんですか(疑惑100%)よろしくお願いします」
 

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グレースは自分のピッチの番号を裕美と睦子に教えた。
 
「この秘密プロジェクトの件はこのピッチに直接連絡して。普段バスケ部に居る私では話が通じないから」
 
「ああ、千里は何人か居ると思ってた」
と睦子は言った。
 
実はバスケ部の練習に出ているのは青で、試合に出ているのは黄色(または統合千里)である。青は外形は女だが、中身が男なので女子の試合に出すわけにはいかない。青も黄色もスリーはうまい。ただ黄色はスタミナが無いのですぐへばっている。
 
「バスケ部の千里は青い携帯使ってるからね」
「こちらの千里はグリーンのピッチなのね」
 

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裕美(実はゆめ)が学校に普通に出て来てバスケもしているので、みんなは中絶をしたのだろうと思ったようである。真相を知るのは睦子と千里G(+V)のみである。裕美は結局翌年5月に女の子を出産した。
 
このプロジエクトを知っているのも千里Gと睦子のみである。
 
裕美と伊藤君の両親には妊娠は話さざるを得ないので話した(伊藤君のお父さんが土下座していた)が、両親たちには“ゆめ”は見せてない。妊娠しても裕美は学校を続けられることになったと説明した。
 
伊藤君はクルーズ船の甲板員として採用することにした。彼は何の資格も持ってないし18歳未満だからできる仕事が限られている。留萌新鮮産業の菌床の管理とか資格が要らないのに単価が高いが18歳未満に深夜労働はさせられない。ただ、甲板員は研修(訓練航海)で11月までは敦賀に
出張してもらうが、それは我慢して頑張ると言っていた。
 
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また裕美本人は桜観光の広報担当に採用し、ホームページを作ってもらった。
 
千里は伊藤君と裕美に桜観光の健康保険証を渡した。これで日常の病院とかに掛かれる。また裕美が出産した時は出産一時金が受け取れる。
 

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伊藤君は敦賀での研修が終わり、12月に北海道に戻ってクルーズ船の仕事を始めたが、クルーズ船は土日祝のみなので、平日の昼間は父および裕美の勧めで旭川のW工業に編入した。ここには水産コースがあるので海技士の資格取得を目指す。彼は昼間は高校に行くが、夕方からは旭川市内の飲食店で働いた。
 

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裕美の出産は来年の4〜5月になると思われるが、その時点でも伊藤君はまだ18歳未満なので婚姻届けが出せない、伊藤君の誕生日(7月)を待つしかない。
 
しかし伊藤君たち2人の給料だけで裕美は生活費と産婦人科の病院代をまかなえた。裕美(実はゆめ)の高校の学費は双方の親の話し合いで伊藤君の両親が払うことにした。伊藤君のほうの高校の学費も伊藤君のお父さんが出してくれる。
 

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出産の時の費用は伊藤君の両親が大半を出してくれた。だから裕美は出産一時金を伊藤君のお母さんに渡した。
 
2人の結婚式はインターハイ(埼玉)の後で行った。きーちゃんが司会を務める人前式としたが、祝賀会(睦子が発起人になった)にはクラスメイトやバスケ部の部員たちが出てくれた。みんな「いつの間に子供産んだの?」と驚いていた。
 

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千里Gは2007年秋頃、裕美が精神的にわりと安定していると思われる時に告げた。
 
「突然そういう事態が起きたらショックだろうから、予め言っとくけどさ」
「うん」
「人間のコピーつてあまり寿命が長くないんだよ」
「そうなの?」
「もって1年程度と思っといて」
「1年経ったらゆめちゃんどうなるの?」
「死ぬ」
「そんな」
「あくまで裕美ちゃんが妊娠している間のピンチヒッターだから」
「分かった」
「死んだらお花でも供えてあげて」
「うん」
 
実際には、ゆめは2年ほど生きてから、ある日灰が崩れるようにして消滅した(オルフェノクの最期にも似ている)。
 
しかし結局、卒業まで学校に通いバスケをしていたのは、ゆめである。裕美は結局学校には復帰しなかった。ただ教科書を見てお勉強はしていた。宿題とかは大半を裕美がしている。2人は筆跡が同じなので便利だった。ゆめのお葬式(裕美の願いにより千里がお坊さんを呼んだ)には、伊藤君と裕美母子・千里・睦子だけが出た。
 
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裕美は育児が落ち着いてから通信大学に入って4年間勉強し大学卒となった。
 

しかしまあ千里のコピーたち(黄色・J・y・r・B'など)が死にそうにないのは、神様たちにも不思議でならないようである。y(スモールワイ)なんてコピーのコピーなのにいたって元気である。コピーのコピーは通常もって3ヶ月程度らしいのに、既に昨年の11月から10ヶ月くらい生きている。
 
「千里って実はロボットなのでは」
「レントゲン撮ってみた感じでは機械ではないようだ」
 
yは現在完全にK大神の便利係にされている。P大神にとっての金色千里に近い位置付けである。(やはり寝ているだけでは済まなかったなとジェーンは思っている)またB'(ビーダッシュ)はQ大神が「この子もらっていいですか?」と言ってお持ち帰りしちゃった。やはり便利に使われているようである。
 
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8月24-26日(金土日)、東の千里は東京に行き、AYAのデビュー曲を書いた。この時期はAYAはあすか・ゆみ・あおいの3人組だったが、デビュー直前、既にデビュー曲の音源制作も終わった後にあすか・あおいの2名が辞任。ゆみ1人だけでデビューすることになる。
 
この時事務所の大勢はあすか・あおいに代わるメンバーを募集して新たな3人組としてデビューさせるというものだったが上島雷太が「AYAはゆみ1人でいい」と言い、千里が深夜のスタジオで3人で歌った音源をゆみのソロ音源に修正して(こんなこと千里以外にはできなかったと思う。多分後述)、1人ユニット(ソロプロジェクト)としてデビューした。
 
 
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