広告:まりあ†ほりっく 第6巻 [DVD]
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■女子高校生・夏の夜(7)

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表彰式の後は新幹線で姫路に戻り、打ち上げで焼き肉屋さんに行った。
「来年は優勝しよう」
「また頑張ろう」
 

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H大姫路の剣道部ではインターハイも終わったので3年生は第一線から退き武原さんも部長を退任。新しい部長を2年生から選ぶことになる。これは満場一致で清香が新部長、双葉が新・副部長に選ばれた。千里ではなく双葉になったのは、千里にポカが多いのをみんな知っているからである。
 
「村山さんが副部長なら大会申し込み忘れてて参加できないとか起きそう」
「木里さんも問題外だし」
 
ということで千里も清香も事務的な物事に関しては全く信用が無い。
ちなみに千里は“危ない”で清香は“問題外”らしい。
 
「島根さんなら安心ね」
 
ということで双葉はこういう問題についてはみんなの信頼が厚い。
 
千里には“部長代理”なる職名?が与えられた。大会でのチームでは清香を主将、千里を副主将とする。
 
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なお男子では公世が部長、福田君が副部長になった。
 
「工藤さんと谷口さんが部長・副部長だったら、キャプテン会議とかに出て行った時に『ここ男子の会議ですよ』と言われるけど福田さんが居れば安心」
などという声もあった。
 
(公世は中学の時もそれかなり言われている)
 

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結局剣道部はそのあと8月12日(日)まで合宿を続けた。大会に行かなかった子は連続で3週間の合宿になった。合宿の最後は庭でバーベキューをした。
 
「焼き肉とバーベキューの違いって何だ?」
「食べる場所が違うだけだと思う」
「うん。屋外で食べればバーベキュー」
「北極ではバーベキューができないな」
「うん。火まで凍るかもしれん」
「和泉雅子さんが北極行った時はトイレが大変だったらしいね」
「ああ、そういう時は男が便利かもね」
「でも男もちんちんが凍るかも」
「素早くしないと凍るかもね」
「ちんちん凍ったらどうすんのかな」
「トンカチで叩くとか」
「折れて取れたりして」
「だったら男の娘は北極に行くといいな」
「男の娘は立ち小便しないと思う」
 
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なぜ焼肉からそういう話に行く?
 

「何か学校工事してたね」
「何ができるのかな」
「プールとか」
「ああ。なんでうちの学校プール無いんだろう?と思ってた」
「食堂ができるらしいよ」
「ほほお」
「食堂は歓迎だけど、ほんとプールもあればいいのにね」
 
プールがあって水泳の授業があると公世が女の子の形なのもみんなにバレるよなと千里は思った。この夏の合宿では公世は一度もプールに来なかった。
 
本人は
「ぼくのちんちんは普段は体内に埋没してるからお股に出っ張りができないだけ」
などと言っていた。
 
公世は“生のお股”を清香に見せたらしいが、清香は「個人の秘密は他人には言えない」などと言っていた。およそ清香らしくない言葉である。
 
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7月28日(土・さだん)茨木市の春風劇場が竣工し、こけら落とし公演が行われた。演奏曲目は゛ートーヴェンの交響曲第5番『運命』、ドヴォルザークの『新世界より』、モーツァルト交響曲41番『ジュピター』、そして幕間に緑信乃さんのエレクトーン演奏『トッカータとフーガ』、千里の黄金フルートの演奏『“韃靼人の踊り”ほか』が演奏された。千里は実際には『韃靼人の踊り(stranger in paradise)』『“くるみ割り人形”より葦笛の踊り』、『真珠採り』『涙のトッカータ』『2人の天使』『ハイドンのセレナーデ』『主よ人の望みの喜びよ』『“アルルの女組曲”からメヌエット』『“四季”より冬2番Largo』と吹いた。
 
ちなみにRが玉竜旗にインターハイと続き忙しかったので、ここに出演したのはJである。
 
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7月29日〜8月3日には佐賀県唐津市でインターハイのバスケットが行われ東の千里がこれに参加した。千里たちは準決勝で“女王”愛知J学園に敗れた。
 
このインターハイについて千里は父に
「優勝した所と当たって負けた」
と言っている(嘘は言ってない)。更に千里が女子の部に出たことは言ってない!
 
また大会中にたまたま唐津に来ていた湧見絵津子(中3)と遭遇し、勧誘することになる。
 
「え?君男の子じゃなかったの?」
「女です」
「性転換手術受けて女の子になったの?」
「生まれた時から女でした」
 
また千里は唐津の鏡山の姫君に気に入られたが、11年後に姫君はクロガー事件で力を喪失した東の千里の復活に協力してくれることになる。
 
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まゆりは姫路での結婚祝賀会をした7月2日に生理があった。それでその2週間後の7月16日くらいが排卵日と推測し、16日に人工授精を行った。生理予定日は7月30日であるが、30日に生理は来なかった。それから念のため1週間おいて8月6日、まゆりは妊娠検査薬を使った。きれいに横棒が表示された。陽性である。
 
人工授精をしてくれた富士クリニックに連絡し、(女装させた)和弥と一緒に病院に行き、診察を受けて妊娠診断書を書いてもらう。ここでは分娩はあまり取り扱ってないのでということで、市内の大橋産婦人科というところへの紹介状を書いてもらった。そこで妊娠中のケアと出産を見てもらうことにする。
 
2人は診断書を持って保健所に行き、母子手帳をもらった。
 
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「こんなのもらうとホントに私赤ちゃん産むんだなあと思うな」
「僕は何もできないけど、頑張ってね」
「和ちゃんが産んでくれてもいいんだけどね」
「僕には産めないし」
「産めそうな気がするけどなあ。赤ちゃん出てくる穴もあるし」
「卵巣とか子宮とか無いし」
「いやきっとある。だから和ちゃんの子宮に精液投入すればきっと妊娠する」
「誰の精液を?」
「和ちゃんの精液じゃだめ?」
「自分の精液で授精するの〜?」
「うーん。私は精液持ってないし困ったな。そうだ。和ちゃんのちんちんちょうだいよ。それで射精するから」
「それ結局僕の精液だって気がする」
「難しいね」
 
オーリタに頼めば2人の性別を一時的に逆転させ、まゆりの精液で僕が妊娠するというのもできそうな気がするけど、妊娠するのは大変そうなのでやめておくことにした。
 
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(まゆりは妊娠中は男になれないと思う。妊娠前に性転換して男になり精液採取しておく必要があった。今和弥に卵巣や子宮があるのかは筆者もよく分からない)
 
あるいは、まゆりをコピーすると妊娠してないまゆりのコピーができるから、その子を男に性転換して射精させ、その精液を和弥の子宮に投入するか?コピーは長生きできないらしいが、オナニーする程度の時間があれば用は済む。
 
ただ、まゆり・和弥の双方が妊娠すると誰が神事をするのかが問題である?
 

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まゆりの妊娠を受けて10月には留萌にまゆりは連れて行かず、和弥だけで行くことにして常弥に連絡した。
 
「おお、早速おめでたか。でかした」
と常弥は喜んでいた。
「一応長男を留萌の跡取りに、次男を姫路の跡取りにするつもり」
「うまく男の子が生まれるといいな」
 
男女産み分けをしていることは言わなかった。病院の先生も「100%ではないですから」と言ってたし。なんか30万くらいかかる検査をすれば子供の性別は分かるらしいが(母親の血液中に混入した胎児の細胞を調べる)
「まあ生まれるまで待とうよ」
と、まゆりとは話している。
 

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まゆりの姉たちは
「アルカリ性食品食べると男の子が生まれやすいらしいよ」
などと言って、トマトとかレモンとか持って来てくれた。
 
妊娠した後では関係無い気がするが。妊娠中に胎児の性別が変わったら大変だ!
 
(天海僧正が修めていた変成男子(へんじょうなんし)の法では胎児を男児に変えたらしいが:それで生まれたのが徳川家綱)
 

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8月15日にはまた姫路城で盆踊りがあったので、千里・清香・公世の3人で出掛けた。現地で双葉・春恵とも連絡しあって一緒になった。千里たち3人も双葉も浴衣である。今年は公世は素直に女の子用の浴衣(あやめ模様)を着た。
 
「自分が男であるという気持ちをしっかり持っていれば日常の服にはこだわらないことにする」
「じゃ2学期からは女子制服で通学しよう」
「いや男子制服を着る」
 
春恵は夏向きのワンピースを着ていた。髪には可愛い髪留めなどもつけていた。双葉が「春ちゃん可愛いよ」とおだてていた。
 
更には女物の浴衣を着た福田君とも遭遇した。例によって彼は女物の浴衣を着ても男にしか見えない。でも本人も開き直っている。福田君は、千里・清香・公世・双葉・春恵と並んでいるところを写真に撮ってくれた。公世も福田君と春恵が並んでいるところの写真を撮ってあげていた。
 
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今年は福田君と春恵が共同でみんなにたこやきをおごってくれた。
 
その後、Tシャツとジーンズのパンツを穿いた山崎君にも遭遇したが、彼は速攻で拉致して女の子用の浴衣(ひまわり模様)を着せてしまった。彼は男の服でも女の子に見えるが、女の子浴衣など着ると完璧に女の子にしか見えない。特にこの日はお姉さんが美容室に連れてってくれたとかで可愛い髪型だった。彼は雑誌の記者を名乗る人に「モデルになってください」と言われて写真を撮られていた。小道具として双葉が豚さんの団扇(うちわ)を貸していた。後でほんとうに有名雑誌に掲載されていたので本人が照れていた。双葉が貸した豚さん団扇もしっかり写っていた。
 

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8月下旬、長崎の造船所から新しいクルーザーができたという連絡があったのでサラスヴァティのクルーを連れて受け取りに行った。これが“アクパーラakupara”で2020年に3代目の“ワクワク”(waqwaq) と交代するまで13年間使用されることになる。この船は2022年には映画『黄金の流星』の撮影にも使用された。
 
春風観光のクルーはアクパーラの進水式を終えるとその船を敦賀に回航した。それと入れ替わりに留萌のクルーズに投入される予定のクルーの手でサラスヴァティが長崎に回航され改修作業が始まった。改修は11月に終わる予定である。改修のポイントは北海道での運用ということで寒さ対策と老朽化しているエンジンの載せ替え(これが一番お金が掛かる)、およびやはり古くなっている内装の更新(これに時間・手間が掛かる)である。
 
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アクパーラにはフィギュアヘッドが取り付けられている。これは香織が提案したもので、万歳するように両手を挙げている女性“歓喜”である。それでこけら落としにはベートーヴェンの第9を演奏した。合唱は地元の高校の混声合唱部(実際には女声合唱部も加わった)にお願いした。出演料は先方の校長先生も交えた交渉で料理とバーターということにしたが「美味しい美味しい」と喜んでいた。
 
(彼らがアマチュア規定に抵触しないように演奏は無償で料理はサービス(試食会)というのを建前とした:実際はオーケストラと一緒に第9を歌ったこと自体が楽しかったようである)
 

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