広告:Back-Street-Girls(5)-ヤングマガジンコミックス-ジャスミン・ギュ-ebook
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子高校生・秋の嵐(8)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

千里Rは10月27日(金)のお昼。また午後の授業をJとY2に任せて留萌に行った。P神社の社務所で花絵さんたちとおしゃべりしていたら、15時頃、まゆりさんが来訪するので驚く。彼女が来るという話は誰も聞いていなかった。常弥が
「平田さんを呼ぶのならちゃんと言いなさい」
と和弥を叱っていたが、どうも和弥自身知らなかったようである。後から本人に聞くと、朝一番の神戸→新千歳のJAL便に乗ってきたらしい。そういうのに乗るとこの時間に留萌に着けるのかと驚いた。常弥はまゆりに昇殿を勧め、千里と善美で笛と太鼓を演奏して常弥がご祈祷をしてあげた。
 
まゆりが“神戸プリン”をお土産に持って来ていたので、千里は司令室から小町に(ジャマイカ産)ブルーマウンテンを持って来させ入れてあげた。まゆりが「わっブルマン」と言い、菊子さんも「美味しいコーヒーね」と言っていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

その後、和弥・花絵・千里・まゆりで境内に建っているK神社の遙拝所にお参りする。
 
「この遙拝所はまだ未完成?」
とまゆりが訊く。それが分かるのはこの人、多少の霊的な力を持っているなと思う。
 
「この遙拝所を作ったことを姫路側で神前にご報告して完成する。次姫路に行った時にする」
と和弥は答えた。
 
「なるほどー」
 

↓ ↑ Bottom Top

そのあと、しばらく談笑していたが、やがて小中学生の子が来て勉強会を始める。
 
「田舎で塾とかもないから学校が終わった後、ここで勉強会してるんですよ」
「それで男の子もいるのか」
「人数が足りない時は巫女衣裳着せて太鼓叩かせたりしますけどね」
「あはは」
「和弥にもだいぶ巫女衣裳着せた」
「ああ。着せられた」
「可愛い巫女さんになりそう」
とまゆりは楽しそうに言っていた。和弥さんの巫女姿には違和感が無かったよなと千里は思っていた。まゆりさんはこどもたちの勉強を見てあげていた。
 
千里は夕食は自分の家(rの家:旧高木邸)に行って食べてきたが、まゆりさんは宮司宅で夕飯をごちそうになったようである。どうも彼女はホテルとかを取ってないようである。千里は善美と話しあい、まゆりを今夜は自分の家に泊めることにした。
 
↓ ↑ Bottom Top

(まゆりを社務所には泊められないから千里の家か善美の家が妥当だが、善美の家に行く途中でヒグマが出ると危険なので千里の家に決めた)
 
 
火始めの神事をまゆりが見学する。その後、火は和弥の手で神殿の燈台に移されて秋祭りが始まる。まゆりはそのあと1時間くらい不寝番の人たちと話していたが、千里は頃合いを見て彼女に声を掛け、自分の家に誘った。それで、まゆりはその日、千里の家(rの家)に泊まった。
 
まゆりは千里に尋ねた。
「秋祭りの火を10年ちょっと前に採ってきた女の子ってもしかして千里ちゃん?」
「ええ、そうですけど、ほんと小さかったから自分ではどこに行ったのか分からないんですよ」
「ああ、そういうもんだよね」
「当時3歳でしたから」
「3歳じゃ分からないよね」
「付き添いの巫女さんも占いをしながら移動してました。“どこか分からない所”から採ってきた火というのが神秘性があるのかも」
「なるほどー」
「でも中学生になってから当時の記憶にできるだけ合致する場所を探してみたら多分アトサヌプリという山だと思う」
「へー」
「でもザンギ丼が美味しかったのだけ印象に残ってますよ」
「ああ、そういうのが結構記憶に残るよね。でも私もザンギ好き」
「ただ当時食べたのは鶏じゃなくて鮭のからあげなんですよね」
「へー。そういうザンギもあるのか」
「それでよけい印象に残って」
「なるほどー」
 
↓ ↑ Bottom Top


翌朝は焼き鮭と若布のお味噌汁の朝御飯の後、まゆりと一緒に神社に行き、姫奉燈の出発式をする。ここで常弥はまゆりを祭りの期間の臨時の権禰宜に任命すると共に祭りの副祭主に任じた。それで彼女は姫奉燈の行列に加わることになった。行列の構成はこのようになる。
 
先導巫女4人−祭主(和弥)−姫奉燈を曳く氏子さんたち−姫奉燈−副祭主(まゆり)−末尾巫女(善美)
 
千里は今年も先導巫女のひとりである。これで5年連続だが、実際は2003年は黄色、2004年は赤、2005年は黄色(Y1)、今年は赤、と黄色と赤が交互に務めている。(来年はY2かひょっとしてVあたりだったりして)
 
千里は夏祭りには、峠の丼屋さんと桜製菓の出店を出したのだが、秋祭りには、銀馬車のパンを売る店と、姫北ハムのフランクフルト屋さんを出した。また本来姫北ハムの商品ではないが、牛串を併売したら800円もするのにたくさん売れてびっくりした(フランクフルトは300円)。やはりお祭りで財布の紐が弛んでいるようだ。他に市内の飲食店の人がザンギ串とかじゃがバターを売っていた。いか焼き(いかの丸焼き)を売っている店もあった。
 
↓ ↑ Bottom Top

昼間は日本舞踊や篠笛の合奏などが奉納される。15時から小学生の巫女舞、雅楽の奉納などがあり、18時から21時までは千里たち先導巫女4人による巫女舞が4回奉納される。千里はこの日もまゆりを自宅に泊めた。
 
日曜日は焼きサンマと豆腐の味噌汁で朝御飯にする。
 
「昨日の鮭はいいとしてサンマなんて日持ちしないのに、いつ買ったの?」
とまゆりが訊く。
「今夜もまゆりさんを泊めることになると思ったから、昼間のうちに買っておいてもらった」
「なるほどー」
と。彼女は納得していた。
「でも夏川さんとかはここに住んでるのではないのね」
「ええ。町中に別の家があるんですよ」
「へー」
 
まゆりは千里をかなりのお金持ちと思っているようである。運転手が北海道と姫路にひとりずついるし、ジェット機も買っちゃったし!ただ千里は、まゆりが知っている一般的な?お金持ちのお嬢様とは随分雰囲気が違う。むしろ一般的な?貧乏な家の子に近い!
 
↓ ↑ Bottom Top

朝御飯の後、まゆりと一緒に神社に向かう。姫奉燈の出発式をし、姫奉燈とともに町内を巡回する。昼間は様々な奉納が行われているのを耳で聞きながら巫女控室で休んでいる。まゆりには
「うち神社からも近いし、鍵預けておきますから自由に休んでくださいね」
と言って合鍵を渡したので、昼間に行ってお風呂に入ってきたようである。
 

↓ ↑ Bottom Top

16時、再度姫奉燈の運行が行われる。この最後の運行は夜景の中での運行になるのでこれが最も美しい。千里たち先導巫女は運行から戻ると、サッポロ一番・味噌ラーメンを作って食べてその後の行事に備える。
 
今日も18時から21時まで先導巫女4人による巫女舞が4回奉納される。最後の巫女舞が終わると祭りの公式行事は終わりで境内の灯りや沿道の灯りは落とされる。神殿ではこれ以上燈台には燃料を追加せず、燃え尽きるに任せる。
 
3つの燈台の中で最後に一番奥の燈台が燃え尽きる。そこで、和弥・まゆり・小鳩が神殿の前に並び、和弥が〆の祝詞を奏上して秋祭りは本当に終わった。千里は例年と同様にこの神事に付き合ったが、その後、大神様が手招きするので
「何でしょうか」
と言って、おそばに寄る。すると大神様はおっしゃった。
「ああ、千里。今年も私は神様会議に行って来るから一週間留守番を頼む」
「私が留守番するんですか〜?」
「いつもしてるではないか」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで大神様は飛んで行ってしまわれた。
 
(この千里と大神の会話は神社の深部で行われている。拝殿ではヴィクトリアがまゆりを誘ってrの家に行った)
 
千里は確かに小学生の時は留守番していたが、中学になって、赤青黄に分裂してからは、毎年黄色(昨年はY1)が留守番をしていた。赤は留守番したことが無い。(一昨年赤が先導巫女をしたのは、あの年は会議が秋祭りの前になり黄色が留守番で疲れていたため)
 

↓ ↑ Bottom Top

千里Rは小鳩との位置交換でジェーンをこちらに呼んだ。
「ねえ。大神様が神様会議でお出かけになったのよ。留守番を頼まれたからジェーンが留守番してくれない?」
「頼まれたのはロビン、あんたなんでしょ。あんたがすればいいじゃん」
「そんなあ」
「そもそも私の仕事はロビンと夜梨子を適宜入れ換えることであって、千里の代理をするのは私の業務には含まれてない。じゃがんばってね。コーヒーの差し入れくらいはしてあげるから」
と言って、ジェーンは姫路に飛ばされた小鳩と交換で姫路に帰ってしまった。
 

↓ ↑ Bottom Top

Rは小鳩と交換で夜梨子(Y2)を呼んだ。
 
「ねえ。大神様が神様会議でお出かけになったのよ。留守番を頼まれたから夜梨子が留守番してくれない?」
「頼まれたのはロビン、あんたなんでしょ。あんたがすればいいじゃん」
とこちらも同じ返事である。
 
「私自信無いよぉ」
「簡単なお仕事だよ。神社深部の大神様の居所の横の座にただ座っているだけだから。そこに居るだけで、大抵の邪霊や悪霊は恐れをなして近づいてこない。たまに身の程知らずの変なのが来たら、ちょちょいと粉砕すればいいだけだし」
 
「簡単なお仕事なら夜梨子がしてよぉ」
「ロビンにもできるって。それに昼間は小鳩がお留守番するから、こちらの担当は夜だけだし。危なかったら、きっとGが助けてくれるだろうし」
「ああ。グレースがいれば安心かもね」
「そうそう」
「授業は英語も私が出てあげるから。国語と地歴だけ出てよ。他の時間は司令室で寝てればいいじゃん」
「うーん」
「神様の代理なんてそうそうできることでもないし、ロビンちゃんのちょっといいとこ見てみたい♪」
 
↓ ↑ Bottom Top

「あれ?それの元ネタなんだったっけ」
「ハンターハンターのグリードアイランドのモタリケ君だね」
「あ、そうか。だけどあんなに人がゴロゴロ死ぬ所で生き延びてるんだからモタリケ君って結構実力者かも」
「ああ、そういう意見はあった」
 
「じゃ頑張ってね〜」
と言って、夜梨子は小鳩と位置交換で姫路に帰ってしまった。姫路と留萌は遠いが、位置交換程度ならESP能力の高くないYにも充分可能である。
 
しかし小鳩も姫路に飛ばされたかと思うと留萌に戻されてで忙しい。
 
それで仕方無くロビンは神社深部に行き、大神様の座の隣の席に座ったのである。ジェーンが持って来たのだろう。エメラルドマウンテンの缶コーヒーが一箱置いてあった。
 
↓ ↑ Bottom Top

(ジェーンはコーヒーを旭川で買って星子に持たせて社務所まで飛ばし、そのあとは大神の男性眷属に頼んで深部に運んでもらった)
 

↓ ↑ Bottom Top

それでロビンは一週間お留守番を務めた。昼間は小鳩がやってくれるので千里の担当は夜間である。昼間は学校に行く。ただし登下校は夜梨子がするし、夜梨子が普段の数学・理科のほか、英語・保険・体育・音楽・ホームルームも出てくれる。また国語はこの一週間はジェーンがしてくれた。それでロビンは地理だけ出て他の時間は司令室で寝ていた。お弁当は夜梨子が食べた。また部活には本来留萌担当のrを出した。部活をしたらとても徹夜する体力が無くなる。
 
(小鳩が留守番している時に変なのが来たらグレースが処理している。以前は境内社・猿田彦神社の神様(P大神の眷属)が対処していたが、最近はグレースに「頼んだ」と言っている)
 
しかしまあロビンが大神の座の隣に座っていると、その“空気”を感じて、夜梨子が言ったように普通の邪霊の類いはとても寄ってこないようである。たまに来たら即千里が粉砕するので、それを見てますます普通の邪霊は来なくなる。確かにこれは“座っているだけの簡単なお仕事”かもとロビンも思った。大抵の時間は問題集をやっている。なお、食事や飲み物はP大神の眷属のカノ子さんが用意してくれる。その他にジェーンが持って来たコーヒーもある。「コーラも欲しいな」と言ったら、ヴィクトリアが持って来て冷蔵庫にどっさり入れてくれた。なお千里自身は座から動けないので飲みたい時はカノ子に「コーラ取って」等と頼む。カップ麺などが食べたいときもカノ子に作ってもらう。ヴィクトリアはカップヌードルとUFOを箱で持って来てくれた。カノ子さんからは
「お酒とかビールがご所望ならお持ちしますよ」
と言われたが、アルコールは辞退した。
 
↓ ↑ Bottom Top


大神様は11月5日(日)の夕方、お戻りになった。ロビンは月曜日は一日寝ていて学校の授業は夜梨子とジェーンで分担して出てくれたようである。
 

↓ ↑ Bottom Top

 
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8 
女子高校生・秋の嵐(8)

広告:メイプル戦記 (第1巻) (白泉社文庫)