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夢の中に全身金色の服を着た女性が出て来た。村山さんに似ているが年齢が高い。20-21歳くらいである。村山さんにお姉さんがいたら、このくらいかもと思った。彼女は言った。
「和弥さん、女の子になったんですね。おめでとうございます」
女の子になるってめでたいこと??
「でも女の子になったのに“和弥”という名前は変ですね。お姉さんが花絵だし、“和絵”とかに改名しましょう」
ああ、その辺りが順当かなという気がする。
「女の子になったら、下着も女の子用を着けるといいです。これは女の子用のパンティです。正式にはショーツといいます。男の子用に似ていますが、ちんちんを出す穴がありません。醜いちんちんとか女の子には無いからそんな穴は不要ですね。ただ前後が分かりにくいですが、この小さなリボンが付いてる側が前です。間違わないようにしましょう。ここに3枚置いておきますから好きなのを履いて下さい。あと女の子の下着と言えばブラジャーですが、祭りの期間中はこのスポーツブラを推奨します。着け方を説明しますね」
と言って、彼女はその幅広のベルトのような下着を脚から穿くようにして、胸の所まであげる。そしてふたつの胸のふくらみをその中に納めた。なるほど、そうやって着けるのかと思った。
「これはアウターに響きにくい黒を置いておきますね。それでは女の子の人生を楽しんでね。今の世の中、何かと女は優遇されるから、男より女の方が生きやすいですよ。女の子は可愛い服も着られるし、セックスの時も男の子は凄く大変な運動しないといけないけど、女の子は寝てればいいし、オナニーも男の子より気持ちいいよ。ちょっと練習してみましょう。横になっている状態で指をクリトリスの上に当てます」
と言って彼女は和絵の指を取るとお股の陰裂の一番手前にある敏感な場所に導いた。
「ここを軽く押さえて優しく回転運動を掛けてみて。ね、気持ちいいでしょ?」
それは未知の快感だった。物凄く気持ちいい。こんな気持ちいいことができるって女の子はいいなあと思った。
[女の子とセックスする時はここを刺激してあげると喜ぶよ]
なるほどー!すると男の子ができやすくなるのかな?
「でも和絵ちゃんが女の子になっちゃったから、わざわざセックスなんて大変なことしなくても自分で跡継ぎを産んでもいいかもね」
え?僕が産むの??確かに女になったら僕が自分で産めるかも?でも誰か男の人とセックスせずに産めるんだっけ??ぼく女ではあっても遺伝子がXYだから男の子を産める??あまり自信無いなあ。
(XY女性が単為生殖した場合、X卵子またはY卵子が特殊分裂してXX卵またはYY卵になる。しかしYY卵は生命として存続できないのでXX卵だけが生き残り、生まれる子供は必ず女の子である。結局、単為生殖からはシス型しかできないので、XYというヘテロ型の子供を作るには必ず受精を経る必要がある。コモドドラゴンが単為生殖でオスを産むのは、トカゲ属はメスがヘテロ(ZW)でオスがシス(ZZ)であるため)
和弥(和絵?)が短い睡眠から目をさますと、枕元に女の子用のパンティが3枚(白・ボーダー・イチゴ模様)とスポーツブラが置いてあった。和弥(和絵?)はまずスポーツブラを身に付けた。するとがっしりと胸を押さえてくれる。さっきはあまり意識はしていなかったものの、確かに胸が揺れて歩いてて胸が痛いくらいだったが、これだけしっかり押さえてあれば大丈夫だろうと思った。それからパンティを手に取り「ボーダーが無難かなぁ」などと思ったが、思い直して男物のトランクスを穿いた。パンツは男物でも実用上問題無い気がする。前あきを使わないだけである。男の身体で女のパンツを穿くのは不便だろうが女の身体で男のパンツを穿いても不便は無い。
和弥(和絵?)はスポーツブラを着けている上半身に更にグレイの綿シャツを着た。そしてこの祭り用の神職衣裳を身につけた。鏡に映して、ブラを着けていることが外からは分からないことを確認し、リビングに行ってトーストとコーヒーの朝食をとる。そして時計を見て拝殿に行った。
姫奉燈の出発式をする。七尾さんが太鼓を叩き、村山さんの妹さんが龍笛を吹いて和弥(和絵?)が祝詞を奏上する。この時自分の声がまるで女性の声のように高いピッチになっていることに気付いたが、気にしないことにした!
しかしそれで姫奉燈は出発した。4人の先導巫女のあと、祭主(和弥)に続いて女装した10人の男性氏子が奉燈を曳き、その後ろに副祭主、末端巫女と続く。末端巫女は現在この神社の唯一の正職員巫女である七尾さんである。副祭主は常弥が務めるのが順当だが、常弥はまゆりに
「平田さん、やってもらえません?」
と声を掛け彼女は了承した、それでまゆりが狩衣(自前)を着て奉燈の後ろを歩いた。その後に巫女衣裳に千早も着けた七尾さんが続く。七尾さんは花菱の模様が染め抜かれた旗を持っている。伊勢の外宮の紋であるが、特別に使用が許可されているものである。ご祭神・豊受大神の象徴として使われている。
沿道でまゆりの素性について噂が立っていた。
「誰?あの格好いい女の人は?」
「若神主のフィアンセさんだって。みんな噂してた」
“みんな”噂してるのか?
「へー。若神主さんにお嫁さんが来たらこの神社も安泰だね」
「でも凄く意志の強そうな顔してる。この人が跡継ぎで、和弥ちゃんがお嫁さんでもいいくらいかも」
「ああ。和弥ちゃん、優しい顔立ちだし、性格も優しいし、いい奧さんになったりして」
「ああ、いいお母さんになるよ」
やはり僕が子供産むの??
でも確かにまゆりは強い性格だ。男に生まれたかったとよく言ってる。ほんとに僕が彼女の奧さんになったりして。
そして僕が男の子を2人産む??えっとブルーゼリーとか使うんだったっけ??
(きっとグリーンゼリーね。でもまゆり君は男になったらセックス上手そうだよ)
秋祭りは夏祭りと違い静かなお祭りである。境内の出店も掛け声など出さずに静かに売っている。イカ焼き、フランクフルト、ジャガバター、唐揚げ串、鈴カステラ、またどこかのパン屋さんのお店も出ている。奉納されるものも騒々しくないものが多い。日本舞踊、箏の演奏、篠笛の合奏、笙の演奏、またアイヌ舞踊の奉納などもあった。15時から小学生の巫女舞、雅楽の奉納などの後、18時から21時まで1時間置きに、先導巫女4人による巫女舞が奉納される。1日目はこの21時の巫女舞で終了する。
まゆりは夕方から、高校生巫女の高山(世那)さんに案内してもらって、町内のカンデラを見学して回ったようである。
まゆりはこの日も村山さんの家に泊まったようである。2日目も1日目と似たような順序で行事は進行する。姫奉燈の運行に始まり、高校生巫女の巫女舞のあと様々な奉納が行われる。
16時から再度姫奉燈が運行される。北海道の16時は充分暗いので、実はこの最後の運行がいちばん美しい。カンデラが灯された町の中を姫奉燈が静かに運行されていく。その様子がほんとに美しい。
奉燈が戻ってきて一息ついて(先導巫女さんたちは暖かいラーメンを食べて休憩していた)、今夜も18時から21時まで先導巫女4人による巫女舞が1時間おきに奉納される。21時の巫女舞が終わったところで祭りの公式行事は終わりであり、道路に置かれたカンデラや境内のLEDは消灯される。神殿の燈台はこのあとは燃料補給せず、燃え尽きるにまかせる。この時、最後に燃え尽きるのは必ずいちばん奥の燈台である。この燈台が燃え尽きると、神殿前に、和弥(祭主)・善美(巫女長)・小鳩(神様のお使い)の3人が並び和弥が〆の祝詞を奏上する。これで秋祭りは本当に終了する。まゆり(一応副祭主)もこの〆の神事に付き合った。また村山さんも拝殿の端で眺めていた。そういえば村山さんは毎年この行事を見ていたなと和弥は思った。この日も村山さんはまゆりを誘い、一緒に退出した。和弥は燈台に火が残ってないのを確認して(火の用心)、拝殿を降り、自分の部屋に戻った。
千里Rは10月13日(金)。午後の授業はY2とジェーンに任せて和弥・花絵と一緒に留萌に移動し、14-15日の七五三の行事をお手伝いした。和弥と花絵はそのまま月末まで留萌に留まるようであったが、千里は“洞門の鏡”を通って姫路に帰還した。留萌では今月は七五三の参拝客が多く、和弥はたくさんご祈祷をしてあげていた。千里は20日(金)の夕方にはまた留萌に来て、21-22日は祈祷のお手伝いをしたが、平日はずっと姫路にいた。平日の祈祷では太鼓と笛は次のようにしている。
昼間:花絵と善美
夕方:善美とr
そして金曜の夕方からと土日はRが笛を吹いた。一方、千里Jは10月は毎週金曜日に姫路でRの代役をした。
ちなみにJは最近しばしばRの代理をやらされるので
「調整作業だけすればいいと聞いていたのに話が違う」
と思っていた。Jはjasper(碧玉)の略で基本的にはG(グリーン)の代理者である。
(異説:Gはフランス語ではジェーと読む。英語で“ジェー”と言えばJだからJと呼ぶ)
グリーンの代理者なのでよく緑色のワンピースを着ていたのだが、最近はいつでもRと入れ替われるように制服を着ていることが多い。
自分が無防備のRのそばに行くとRが消えるので自分はGと同じパワーを与えられているようだと認識している。もっともGとVは誰が作ったものかはA大神も知らないようである。A大神は出羽のH大神か伊勢のT姫大神ではないかと推測しているようである。